制作:国土交通省 |
運営:不動産適正取引推進機構 |
1 本システムは、これまでに発生した不動産取引をめぐる他のトラブル事例をもとに、消費者の皆様が、トラブルの未然防止や万一トラブルに発展した場合に円滑な解決が図れるよう、情報を提供するものです。 2 掲載内容は、①裁判事例、②国土交通省各地方整備局や各都道府県で宅建業者に対して行った行政処分、③(一財)不動産適正取引推進機構で調整した特定紛争処理案件の中から基礎的で有用と思われる事例を抽出し、項目ごとに整理したうえ、事案の概要や紛争の結末等について要約して記載しています。 |
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タイトル:裁判事例消滅時効を理由とした保証協会の認証の拒否
東京地裁判決 平成13年12月19日
(判例時報 1787号 128頁)
《要旨》
買主による、売買契約上の違約金(いやくきん)
不動産の売買契約では、当事者の一方が債務
を履行しない場合には、債務の履行を確保
するために、その債務を履行しない当事者が
他方の当事者に対して、一定額の金銭(違約金)
を支払わなければならないと定めることがある。請求権について弁済業務(べんさいぎょうむ)
宅地建物取引業保証協会が、その社員である宅建業者と
宅地建物取引業に関して取引をした者がその取引によって
生じた債権を弁済する業務をいう。
(べんさいぎょうむ)
宅地建物取引業保証協会が、その社員である
宅建業者と宅建業に関して取引をした者がそ
の取引によって生じた債権を弁済する業務をいう。保証金から弁済を受ける申出に対し、売主による時効援用(えんよう)
時効の完成によって利益を受ける者が、
時効の完成を主張すること。がなくても、保証協会による消滅時効(しょうめつじこう)
一定期間、権利を行使しないという事実状態
が継続することにより、債権などの権利が
消滅するという時効。の援用(えんよう)
時効の完成によって利益を受ける者が、
時効の完成を主張すること。により否認できるとされた事例
(1) 事案の概要
買主(法人)Xは、平成4年1月、保証協会の社員である訴外会社Aとの間でマンションの一室を売買代金1,175万円で購入し、手付金100万円を支払った。
本件売買契約書には、「Aが契約に違反し、かつ、期限を定めた履行の催告に応じない場合には、Xは契約を解除することができる。この場合、AはXに対し手付金を返還するとともに手付金相当額を違約金(いやくきん)
不動産の売買契約では、当事者の一方が債務
を履行しない場合には、債務の履行を確保
するために、その債務を履行しない当事者が
他方の当事者に対して、一定額の金銭(違約金)
を支払わなければならないと定めることがある。として支払う」とする特約が付されていた。
Xは、Aに対し、相当期間を定めて建物を引渡すよう催告したうえ、同年2月頃、本件契約を解除する旨の意思表示をした。これにより、XはAに対し、本件売買契約の特約に基づき、支払済の手付金100万円と違約金(いやくきん)
不動産の売買契約では、当事者の一方が債務
を履行しない場合には、債務の履行を確保
するために、その債務を履行しない当事者が
他方の当事者に対して、一定額の金銭(違約金)
を支払わなければならないと定めることがある。100万円の合計200万円の支払を請求する債権を取得した。
Xは、平成11年12月、Aを被告として、本件債権の支払請求訴訟を提起し、A欠席により請求を認容する判決が同12年1月確定した。
Xは、同月、保証協会Yに対し、本件債権について認証の申出をしたが、Yは、同13年7月、本権債権の消滅時効(しょうめつじこう)
一定期間、権利を行使しないという事実状態
が継続することにより、債権などの権利が
消滅するという時効。を援用(えんよう)
時効の完成によって利益を受ける者が、
時効の完成を主張すること。して、その認証を拒否した。Xは、Yに対し、本件債権につき認証することを求め訴訟を提起した。
(2)判決の要旨
(ア)保証協会は、社員の債務について保証人(ほしょうにん)
債務者がその債務を履行しないときに、
その履行をする責任を負う者をいう。あるいは物上保証人(ほしょうにん)
債務者がその債務を履行しないときに、
その履行をする責任を負う者をいう。的な地位に立つというべきであって、社員が消滅時効(しょうめつじこう)
一定期間、権利を行使しないという事実状態
が継続することにより、債権などの権利が
消滅するという時効。を援用(えんよう)
時効の完成によって利益を受ける者が、
時効の完成を主張すること。するか否かに関わりなく、独自の立場で消滅時効(しょうめつじこう)
一定期間、権利を行使しないという事実状態
が継続することにより、債権などの権利が
消滅するという時効。を援用(えんよう)
時効の完成によって利益を受ける者が、
時効の完成を主張すること。することができると解するのが相当である。
(イ)弁済業務(べんさいぎょうむ)
宅地建物取引業保証協会が、その社員である宅建業者と
宅地建物取引業に関して取引をした者がその取引によって
生じた債権を弁済する業務をいう。
(べんさいぎょうむ)
宅地建物取引業保証協会が、その社員である
宅建業者と宅建業に関して取引をした者がそ
の取引によって生じた債権を弁済する業務をいう。保証金制度においては、弁済業務(べんさいぎょうむ)
宅地建物取引業保証協会が、その社員である宅建業者と
宅地建物取引業に関して取引をした者がその取引によって
生じた債権を弁済する業務をいう。
(べんさいぎょうむ)
宅地建物取引業保証協会が、その社員である
宅建業者と宅建業に関して取引をした者がそ
の取引によって生じた債権を弁済する業務をいう。保証金は取引した社員だけでなく、他の社員の出捐した分担金によって組成され、しかも、供託者である保証協会が弁済業務(べんさいぎょうむ)
宅地建物取引業保証協会が、その社員である宅建業者と
宅地建物取引業に関して取引をした者がその取引によって
生じた債権を弁済する業務をいう。
(べんさいぎょうむ)
宅地建物取引業保証協会が、その社員である
宅建業者と宅建業に関して取引をした者がそ
の取引によって生じた債権を弁済する業務をいう。の実施機関として弁済額を認証する権限を付与されているのであるから、保証協会は、取引した社員の認識・判断や両者間の確定判決に拘束されることなく、独自に事実認定と法律判断を行うことができるというべきであって、社員が主張しない抗弁を主張することも許されると解される。
(ウ)したがって、保証協会は消滅時効(しょうめつじこう)
一定期間、権利を行使しないという事実状態
が継続することにより、債権などの権利が
消滅するという時効。を援用(えんよう)
時効の完成によって利益を受ける者が、
時効の完成を主張すること。して認証を拒否することができ、Xの本訴請求は理由がないからこれを棄却する。
(3) まとめ
宅地建物取引業保証協会(たくちたてものとりひきぎょうほしょうきょうかい)
宅建業者を社員として、国土交通大臣の指定
を受けた社団法人であって、社員の宅地建物
取引業に係る取引に関する苦情の解決及び
取引により生じた債権の弁済等が主な業務内容である。の認証については、宅地建物取引により生じたものかどうかが争われた事例(最判 平成10年6月11日 判例時報1649号110頁)、認証の撤回について争われた事例(東京高判 平成12年12月7日 判例時報1741号84頁)等の裁判例がある。
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