制作:国土交通省 |
運営:不動産適正取引推進機構 |
1 本システムは、これまでに発生した不動産取引をめぐる他のトラブル事例をもとに、消費者の皆様が、トラブルの未然防止や万一トラブルに発展した場合に円滑な解決が図れるよう、情報を提供するものです。 2 掲載内容は、①裁判事例、②国土交通省各地方整備局や各都道府県で宅建業者に対して行った行政処分、③(一財)不動産適正取引推進機構で調整した特定紛争処理案件の中から基礎的で有用と思われる事例を抽出し、項目ごとに整理したうえ、事案の概要や紛争の結末等について要約して記載しています。 |
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タイトル:裁判事例インターネット等でのマンション建設反対と名誉毀損
横浜地裁判決 平成15年9月24日
(判例タイムズ 1153号 192頁)
《要旨》
近隣住民によるミニコミ誌やインターネットの掲示板での建築反対の表現行為は、建築業者の名誉・信用を違法に毀損するものとは認められないとされた事例
(1) 事案の概要
マンションデベロッパーXは、地上7階、地下3階のマンションを建築する計画を立て、土地を取得した。本件土地は、丘陵の外縁に位置し、その東側は急傾斜地となっており、10年程前にはがけ崩れが発生し、がけ下の私鉄が終日不通となったことがあった。また、片道1車線でS字型の勾配のある道路に接している。
近隣住民Yは、建築協定運営委員長であり、自治会マンション対策専門委員長でもある。自治会マンション対策専門委員会は、「マンション問題特別号」を作成、自治会の会員に配布した。その内容は、
(ア)危険を招くマンション計画
(イ)線路上に崩落を起こし、あわや大惨事…と心配させた丘です。
(ウ)マンションができれば64台の自動車と77台の自転車が道路を出入りするこ とになります。危険なことだと思いませんか。
(エ)眺望や風害、日照、プライバシーなどに大きな影響
等であった。また、Yは、インターネット上の掲示板に、同様の書き込みをした。更に、52,000世帯にミニコミ誌も配布された。
Xは、Yの本件表現行為による名誉・信用の毀損によって、有形、無形の損害を受けたとして、損害賠償と謝罪広告を求めた。
(2) 判決の要旨
(ア)特定の表現行為が、その対象とされた者の名誉・信用を毀損するものか否かは、当該表現行為の内容、方法等とともに、その者の社会における位置、状況等を考慮し、当該表現行為により、その者に対する社会的な評価が低下するものと認められるか否かによって判断すべきである。
(イ)本件はXのマンション建設計画に対して、近隣住民らにより建築反対運動が起こったものであって、本件表現行為も、この反対運動の一環としてされたものである。
(ウ)表現行為の内容がマンション建築に反対する趣旨の意見の表明の範囲内にとどまるものである限り、このような表現行為に接した通常の読み手は、それらは、そのような対立関係にある一方当事者の側から一方的に発信された意見表明にすぎないものと受け取るものと認められるのである。そうである以上、このような意見表明によって直ちにXの社会的評価を低下させるというような性質の行為であるということはできない。本件表現行為中にはいずれもXの社会的評価を低下させると認められるような表現は見当たらない。
(3) まとめ
反対運動における表現行為が、マンション業者そのものを標的とした場合は、異なる判断となる場合もあろう。
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