制作:国土交通省 |
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1 本システムは、これまでに発生した不動産取引をめぐる他のトラブル事例をもとに、消費者の皆様が、トラブルの未然防止や万一トラブルに発展した場合に円滑な解決が図れるよう、情報を提供するものです。 2 掲載内容は、①裁判事例、②国土交通省各地方整備局や各都道府県で宅建業者に対して行った行政処分、③(一財)不動産適正取引推進機構で調整した特定紛争処理案件の中から基礎的で有用と思われる事例を抽出し、項目ごとに整理したうえ、事案の概要や紛争の結末等について要約して記載しています。 |
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タイトル:裁判事例マンション管理費等の滞納と管理組合による競売請求
東京地裁判決 平成18年6月27日
(判例時報1961号 65頁)
《要旨》
マンションの区分所有者が管理費等を長期間滞納したことにより、管理組合(かんりくみあい)
分譲マンションなどの区分所有建物において
、区分所有者が建物および敷地等の管理を行
なうために区分所有法にもとづいて結成する
団体のこと。が区分所有法59条に基づいて行った競売(けいばい)
債権者が裁判所を通じて、債務者の財産(不動産)
を競りにかけて、最高価格の申出人に対して売却し、
その売却代金によって債務の弁済を受けるという
制度のこと。の請求が棄却された事例
(1) 事案の概要
マンションの区分所有者であるYは、平成12年11月から管理費等を滞納し、滞納額が平成18年1月末時点で169万円余に達した。
管理組合(かんりくみあい)
分譲マンションなどの区分所有建物において
、区分所有者が建物および敷地等の管理を行
なうために区分所有法にもとづいて結成する
団体のこと。Xは、Yに支払督促を行ったうえYの銀行預金を差し押さえたが、預金残高がないため回収できず、本物件の強制競売(けいばい)
債権者が裁判所を通じて、債務者の財産(不動産)
を競りにかけて、最高価格の申出人に対して売却し、
その売却代金によって債務の弁済を受けるという
制度のこと。を検討した。しかし、高額の担保権が設定されており、無剰余による取消が見込まれるため断念せざるをえなかった。そこでXは、本物件につき区分所有法59条1項に基づく競売(けいばい)
債権者が裁判所を通じて、債務者の財産(不動産)
を競りにかけて、最高価格の申出人に対して売却し、
その売却代金によって債務の弁済を受けるという
制度のこと。を請求した。
(2) 判決の要旨
(ア)Yは管理費等を滞納しており、その額は約170万円と多額であり、かつ約5年半という長期にわたり滞納を継続しているうえ、この間Xの支払い請求に全く応じていない。通常、共同住宅では他の区分所有者と共同使用する設備や施設等が存在し、共同施設等を維持管理していくことは区分所有者の共同の利益のために必要不可欠である。管理費等はその維持管理に必要となるもので、その負担は区分所有者の最低限の義務ということができる。長期かつ多額の管理費等の滞納は、区分所有法6条1項の共同の利益に反する行為ということができ、これによって同法59条1項所定の、共同生活上の著しい障害が生じているといえる。
(イ)区分所有法59条の適用は、行為者の区分所有権を剥奪し、区分所有関係から排除するものであることから厳格に解すべきであり、先取特権の実行その他Yの財産に対する強制執行によっても回収できず、もはや同条の競売(けいばい)
債権者が裁判所を通じて、債務者の財産(不動産)
を競りにかけて、最高価格の申出人に対して売却し、
その売却代金によって債務の弁済を受けるという
制度のこと。による以外に回収の途がないことが明らかな場合に限るものと解するのが相当である。
(ウ)XのYに対する債権回収の方策として、預金債権以外の債権執行の余地がないかについては明らかとはいえず、未だ本来の債権回収の方途が尽きたとまではいえない。さらにYは本件訴訟において長期間の滞納を謝罪するとともに、経済状況が好転したことから分割弁済による和解を希望する態度を示しており、和解の中で回収する途も考えられるところ、XはYの希望を拒否して競売(けいばい)
債権者が裁判所を通じて、債務者の財産(不動産)
を競りにかけて、最高価格の申出人に対して売却し、
その売却代金によって債務の弁済を受けるという
制度のこと。の途を選んだといえる。
(エ)Xには区分所有法59条1項による競売(けいばい)
債権者が裁判所を通じて、債務者の財産(不動産)
を競りにかけて、最高価格の申出人に対して売却し、
その売却代金によって債務の弁済を受けるという
制度のこと。申立て以外に管理費等を回収する途がないことが明らかとはいえない。同条項所定の要件を充足すると認められないため、Xの請求は棄却する。
(3) まとめ
本件では、区分所有法59条にいう「他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるとき」について、「もはや同条の競売(けいばい)
債権者が裁判所を通じて、債務者の財産(不動産)
を競りにかけて、最高価格の申出人に対して売却し、
その売却代金によって債務の弁済を受けるという
制度のこと。による以外に回収の途がないことが明らかな場合に限る」と厳格に解し、和解の中で債権の回収の可能性があるとして競売(けいばい)
債権者が裁判所を通じて、債務者の財産(不動産)
を競りにかけて、最高価格の申出人に対して売却し、
その売却代金によって債務の弁済を受けるという
制度のこと。の請求を認めなかった。
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