制作:国土交通省 |
運営:不動産適正取引推進機構 |
1 本システムは、これまでに発生した不動産取引をめぐる他のトラブル事例をもとに、消費者の皆様が、トラブルの未然防止や万一トラブルに発展した場合に円滑な解決が図れるよう、情報を提供するものです。 2 掲載内容は、①裁判事例、②国土交通省各地方整備局や各都道府県で宅建業者に対して行った行政処分、③(一財)不動産適正取引推進機構で調整した特定紛争処理案件の中から基礎的で有用と思われる事例を抽出し、項目ごとに整理したうえ、事案の概要や紛争の結末等について要約して記載しています。 |
最新の情報については、
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「特定紛争案件検索システム」
「ネガティブ情報等検索サイト」(国土交通省)
「不動産のQ&A」
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タイトル:特定紛争隣接地への工事立入り承諾書の徴求をめぐるトラブル
《要旨》
隣接する売主の敷地内への工事立入り承諾書の取得ができず紛争となったもの、媒介業者が買主に解決金150万円を支払うことで和解成立。
(1)紛争の概要
買主Xは、平成16年10月、業者Yの媒介で、売主A(非業者)から、Aの居住する建物に隣接する中古の土地付建物を賃貸目的で買い受けた。
契約時に、XはAと話し合い、Aは、(ア)境界に植木やフェンスを設置しないこと、(イ)建物修繕等の維持管理のため、Aの所有する隣地への工事人の立入りや足場器材の設置を許可することを約束して売買契約を締結した。Xは、Yに対して、上記の約束の内容を約定書として作成し、Aの署名捺印を取得の上、残金決裁時までに渡すよう依頼した。
残金決済時に、XがYに「約定書」の件を聞いたところ、「書類を作成して至急売主からもらって届ける」とのことであったが、結局Yは、当該約定書をAから取得することができず、決済日以降、Aは態度を変えて、敷地内への立入りを拒否し続けた。
Aの態度の変化に関して、Yは、「平成16年11月の残金決済・引渡し後に、本件建物内に数卓あった座卓について、XからAに譲ってほしいとの申し入れがあったが、価格面で折り合いがつかず、結局Aが自身で処分することになった。その件についてAは『Xから一言の謝りもない。今後、敷地内には一歩も入らせない。』と憤慨して話もできない状態である。」としていたが、平成20年2月、Xが行政庁へ相談したことを契機に、YはXに対して金銭解決をしたい旨申し入れた。
Xは、妥当な金額は分からないとしながらも、2階部分のリフォームができなかったことによる3年間の賃料逸失利益(いっしつりえき)
損害賠償で請求することのできる損失の1つで、
本来得られるべきであるにもかかわらず得られな
かった利益をいう。645万円及び敷地内立入許可裁判費用300万円等で総額1,170万円の支払を申し入れたところ、Yは、媒介手数料(693千円)の返還にのみ応じる旨主張し、X・Y間の話合いでは折合いがつかず紛争となった。
(2) 調整の経過
委員3名により5回の調整を行った。調整の過程で、Xは、「Yは立入り承諾書の取得を了解し、決済までに十分時間があったにもかかわらず、Aから承諾書をもらうのを怠ったため結果的に売主が翻意して承諾書が取れなくなったのだから、Yには債務不履行(さいむふりこう)
売買契約において、代金を支払ったにもかかわらず、
売主が物件を引き渡さない場合など、
債務が履行されない状態のこと。の責めがある。」などと主張した。これに対してYは、承諾書に関してはXから言及はあったがはっきりした依頼があったものではないとの認識を示し、Xが工事に入れず迷惑をかけているのも事実であるので、受領した媒介手数料を返還する考えがあると述べた。
これを受けて委員は、Xに対して、仮にYが承諾書をAからもらっておくと言ったとしても、それは書類の受取りについて委任を受けたにすぎず、相手の気が変わって承諾書がもらえなくなっても債務不履行(さいむふりこう)
売買契約において、代金を支払ったにもかかわらず、
売主が物件を引き渡さない場合など、
債務が履行されない状態のこと。とは言い難いことなどを説諭し、Yに対しては、媒介手数料にプラスアルファした程度の金額を検討するよう要請した。
(3)和解の内容
委員から、提示された解決金150万円による和解案を両当事者が同意し、本案件は和解に至った。
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