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タイトル:処分事例ペット飼育禁止の不告知

《要旨》
 ペット飼育について従前の入居者から了解が得られないと認識していたにもかかわらず、それを告げずにマンションを販売したとして、売主業者が5日間の業務停止処分とされた。

(1)事実関係
 売主業者Yは、新規分譲したマンションについて、分譲開始当初はペット飼育禁止のマンションとして販売をしていたが、その後、ペット飼育可能のマンションと説明して販売するようになった。
 本件マンションにおいて、マンション管理組合(かんりくみあい)
分譲マンションなどの区分所有建物において
、区分所有者が建物および敷地等の管理を行
なうために区分所有法にもとづいて結成する
団体のこと。
が設立されたのち、既にペットを飼育している入居者については、現在飼っているペット一代に限り飼育を認めることが決議され、管理規約(かんりきやく)
区分所有法にもとづいて設定される、区分所有建物における区分所有者相互間の関係を定めるための規則のこと。
案にペット飼育の禁止条項が追加された。ペット嫌いの買主X1及びペット好きの買主X2は、各々Yから「ペット飼育禁止」「ペット飼育可能」と異なる説明を受けて入居し、それぞれ苦痛を被ったという理由でYを相手に損害賠償請求訴訟を提起し、X1及びX2の請求が認められた。

(2)事情聴取
 行政庁でYに事情を聴いたところ、Yは、「販売当初、ペット類の飼育が禁止であるマンションと説明していたが、その後飼育可能として説明をした。管理組合(かんりくみあい)
分譲マンションなどの区分所有建物において
、区分所有者が建物および敷地等の管理を行
なうために区分所有法にもとづいて結成する
団体のこと。
設立ののち、組合の決議によってペット飼育の可否について制約される可能性について認識していた。」などと述べた。
 X2による訴訟の判決によると、YはX2と売買契約をする時点で、ペットの飼育を可能として販売することについて従前の購入者から既に抗議が出ており、「ペット飼育禁止」と説明を受けて購入した住民の了解を得られず、のちにペットの飼育ができなくなる可能性のあることを具体的に予見できたことが認められた。また、X2についてペット飼育可能であることがマンション購入の重大な要素であったことをYは承知していたことも認められた。

(3)処 分 
 行政庁は、Yは、買主にとってペットの飼育ができることがマンション購入を決める重要な要素であることを承知し、分譲開始当初にマンションを購入した者からペット飼育についての了解が得られていないことを認識していたにもかかわらず、そのことを告げずペット飼育ができるマンションとして販売したとして、Yを5日間の業務停止処分とした。

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