制作:国土交通省 |
運営:不動産適正取引推進機構 |
1 本システムは、これまでに発生した不動産取引をめぐる他のトラブル事例をもとに、消費者の皆様が、トラブルの未然防止や万一トラブルに発展した場合に円滑な解決が図れるよう、情報を提供するものです。 2 掲載内容は、①裁判事例、②国土交通省各地方整備局や各都道府県で宅建業者に対して行った行政処分、③(一財)不動産適正取引推進機構で調整した特定紛争処理案件の中から基礎的で有用と思われる事例を抽出し、項目ごとに整理したうえ、事案の概要や紛争の結末等について要約して記載しています。 |
最新の情報については、
「RETIO判例検索システム」
「特定紛争案件検索システム」
「ネガティブ情報等検索サイト」(国土交通省)
「不動産のQ&A」
をご活用ください。
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トラブル事例大項目:重要事項説明に関するもの | トラブル事例中項目:眺望・日照・周辺環境等 | トラブル事例小項目: |
タイトル:特定紛争隣地マンションの新築による日照阻害によるトラブル
《要旨》
南側隣地マンションの建築計画について説明を受けていないとして、買主が物件の買戻し又は損害賠償を求めたもの。解決金330万円で和解成立。
(1) 事案の概要
買主Xら(8名)は、平成9年7月、業者Zの媒介で、売主業者Yから新築マンションのC棟の一室(12階建の2階~9階)を代金2,930万円~4,290万円で買い受け、平成11年4月引渡しを受けて入居した。
ところが、入居4年後に南側の前面敷地に9階建のマンションが建築され、Xらの日照が奪われた。
Xらは、Y及びZが不利益事実には一切触れず、南側の隣地敷地の土地所有者から事前に高層建築物の建築計画が知らされていたのに説明しなかったのは重要事項説明義務違反であり、説明があれば物件は購入しなかったとして、Y及びZに対して、買戻すか、それができないなら損害賠償金を支払うよう主張した。
これに対して、Yは、近隣説明等の実施にあたり、隣地の南側隣地の土地所有者から建物建築の予定があるとの申入れはあったが、建築計画が具体化されていない状況で購入者に説明することは、購入者に誤解等を生じることになるので、明示する必要はないと判断したと主張し、一方、Zは、Yからも隣地所有者のマンション建設予定がある等の情報は聞いておらず、重要事項はきちんと説明し、購入者の署名・押印ももらっているので問題はないと主張したため、紛争になった。
(2) 事案の経過
委員3名により9回の調整を行った。調整の過程で、Xらは、四面採光というパンフレットを気に入り購入した、説明があれば購入しなかったとして、物件を買戻すか、それができないなら損害賠償として1世帯あたり200万円余を支払うよう主張した。
これに対しYは、マンション建築時に隣地土地所有から空地にマンションを建てることは聞いたが、いつ建てるとか、何階建とか、具体的な建築計画はなかったので、説明義務はないと判断した、買戻しはできないが、Xらに迷惑をかけたのは事実なので見舞金として総額200万円程度は考えていると主張した。
Zは、販売当時、隣地土地所有者のマンション建築についてはYから何も聞いていないし、近隣の建築計画については役所で調査をし、建築看板なども調査したが何もなかった、ただ、見舞金として総額60万円程度は支払ってもよいと主張した。
(3) 和解の内容
委員から、Xらに対しては、商業地域(しょうぎょうちいき)
主として商業その他の業務の利便を増進
するため定める地域(都市計画法(9条)。で隣地に空地があればいずれ建物が建つことは予想されるが、現実に4年問住んでいるので、買戻しは現実的ではなく、金銭による解決が望ましいと説明し、YはXらに総額270万円、Zは60万円、合計330万円支払うよう提示したところ、Y及びZも納得し、Xらも同意したので、本案件は和解に至った。