トラブル事例大項目:その他 トラブル事例中項目:その他 トラブル事例小項目:

タイトル:処分事例売主に無断の広告掲載

《要旨》
 所有者の意思を確認することなく売買に係る広告を行ったとして、媒介業者が7日間の業務停止処分とされた。

(1) 事実関係
 Xは、相続手続が未了であり、その処分については態度を保留していた土地について、業者Yにより勝手な新聞折込広告が行われ、その結果当該物件を売ってほしいとの話が複数あったため、Yに抗議した。
 Yは、事実関係を十分に確認することなく広告を行ったことを認めたが、Xは、この土地の上に存する亡父の家屋に人が侵入している形跡がある、知らないうちに所有権が移転されることが心配だなどとして、行政庁にYの指導を申し立てた。

(2) 事情聴取
 行政庁で、調査したところ、Yは開発許可(かいはつきょか)
無秩序な開発を規制するため、都市計画法第29条
の規定により、開発許可を行なう際に必要とされ
る都道府県知事等による許可のこと。
や農地転用許可を得る前に本件広告を行ったこと、買主に対して媒介契約書(ばいかいけいやくしょ)
宅建業者は、媒介契約を締結したときは、遅滞なく、
一定の事項を記載した書面を作成し、
依頼者(売主・買主・貸主・借主)に交付しなければならない。
この書面を「媒介契約書」と呼んでいる(宅建業法第34条の2第1項)
。媒介契約書に記載されるべき事項は詳細に法定されている。
を交付していないことが常態化していることも判明した。Yは、事実関係を認め、他の業者からの情報を鵜呑みにして事実を確認せずに広告をしてしまった、Xからの連絡で初めて事実を知り、Xには謝罪をした上今後は当該土地の取引には関わらない旨の念書を差し入れたなどと述べた。
 なお、Yの代表者が代表を務める別業者Zは、宅建業法33条(広告の開始時期の制限)、34条(取引態様の明示)、「不動産の表示に関する公正競争規約不動産の広告に関する不動産業界の約束ごと
であり、政府(公正取引委員会)が正式に認定
したものを「不動産の表示に関する公正競争規約」という。
不動産業界では一般的に「表示規約」または
「広告規約」と呼んでいる。
」違反により、4か月前に文書勧告を受けていた。

(3) 処 分 
 行政庁は、Yは、他の宅建業者からの売り情報を鵜呑みにして、持主(所有権者は死亡しているため相続権者3名)に、それら物件を売る意思を確認することなく売買に係る広告を行った、その際、これらの物件について都市計画法29条1項、農地法5条1項の許可農地を転用(農地以外のものにすること)目的で
、所有権の移転等の権利の移動を行う場合は、
都道府県知事(同一事業の目的に供するために
4haを超える場合は農林水産大臣)からこの
許可を受けなければならない。なお、予め農業
委員会に届け出てから転用する場合など、一定
の場合には許可を要しない。
を得る前に広告を行った、買主との売買の媒介の契約を締結した際、媒介契約書(ばいかいけいやくしょ)
宅建業者は、媒介契約を締結したときは、遅滞なく、
一定の事項を記載した書面を作成し、
依頼者(売主・買主・貸主・借主)に交付しなければならない。
この書面を「媒介契約書」と呼んでいる(宅建業法第34条の2第1項)
。媒介契約書に記載されるべき事項は詳細に法定されている。
を依頼者に交付していないとして、Yを7日間の業務停止処分とした。

本システムの掲載情報の正確性については万全を期しておりますが、利用者が本システムの情報を用いて行う行為については本システムの制作者、運営者は何ら責任を負うものではありません。また、同種の事案について、必ず同様の結果が得られるものではありませんのでご承知おきください。なお、個別に発生したトラブル等については、管轄の行政庁等の相談窓口等にお問い合わせください。