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タイトル:処分事例手付金の返還遅延

《要旨》
 売買契約の解除にあたり約定された支払期日までに、買主に手付金等を返還しない等として、売主業者が18日間の業務停止処分とされた。

(1)事実関係
 Xは、売主業者Yから土地付建物を1,000万円で買い受ける売買契約を締結した。しかし、当該物件が相続手続中のため所有権移転登記が直ちにできないことが判明するとともに、浸透枡が使えないことがわかり、Xは、2か月後に、売買契約を解除した。
 契約解除に伴い、Xは、Yとの間で、Xが支払った手付金、内金、当該物件を利用するためにXが負担した費用等の合計700万円について、Yが返還することを確約する旨の合意をしたが、Yは期日までにこれを履行しなかった。そこで、YがXに、毎月100万円ずつ支払い、7か月で全額を返還する旨の確約書を交したが、やはり履行されなかった。

(2)事情聴取
 行政庁で、Yに事情を聴いたところ、Yは、「当時は浸透枡もまだ完了していなかったが、今は完成している。当月中には相続が完了するといわれたので信用して、翌月に引渡しをすることとして契約書を結んだがうまくいかず、3か月後に相続の手続が完了した。Xが契約を断ったのは、本当に相続になるか不安になったからだと思う。」と述べた。
 また、行政庁で調査したところ、YはXとの取引において、重要事項説明書を交付していないこと及び手付金等の保全措置(ほぜんそち)買主が宅建業者から宅地建物を購入する場合、
手付金・中間金などの額が、
(1)工事完了前の売買にあっては、売買代金の5%
又は1,000万円を超えるとき、
(2)工事完了後の売買にあっては、売買代金の10%
又は1,000万円を超えるときは、宅建業者は、手付金等
の保全措置を講じなければならない
(宅建業法41条、41条の2)。
を講じないで、売買代金の額の10%を超える手付金を受領していたことが判明した。

(3)処 分 
 行政庁は、Yは、土地付建物の売買契約の解除にあたり、解約時に約定した支払期日までに、買主に手付金等を返還せず、再度約定した期日にも、返還しなかった、重説の書面を交付しなかった、保全措置(ほぜんそち)買主が宅建業者から宅地建物を購入する場合、
手付金・中間金などの額が、
(1)工事完了前の売買にあっては、売買代金の5%
又は1,000万円を超えるとき、
(2)工事完了後の売買にあっては、売買代金の10%
又は1,000万円を超えるときは、宅建業者は、手付金等
の保全措置を講じなければならない
(宅建業法41条、41条の2)。
を講ずることなく売買代金の額の10%を超える手付金を受領したなどとして、Yを18日間の業務停止処分とした。
 なお、手付金等700万円は、その後Xに返還された

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