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タイトル:処分事例期日までの引渡し未了

《要旨》
 期日までに引渡しを行わなかった、宅建業法に定める制限を超える手付金を受領した等として、売主業者が免許取消処分とされた。

(1)事実関係
 X1は、売主業者Yとマンションの売買契約を代金2,165万円で結び、手付金1,500万円を支払った。その後中間金として600万円を支払ったが、期日になっても引渡しが行われず、引渡し日を3か月後に変更したにもかかわらず、変更後の期日に至っても履行はされなかった。
 X2は、Yとマンションの売買契約を代金1,750万円で結び、手付金1,000万円を支払ったが、やはり期日までに引渡しがなされなかった。
 X1及びX2は、上記のほか、Yはマンションの売買契約の締結に当たり、重要事項説明書に、取引対象の土地に登記された抵当権の内容を記載せず、取引主任者(とりひきしゅにんしゃ)
宅地建物取引主任者のこと。宅地建物取引主任者
資格試験に合格・登録し、宅地建物取引主任者証
の交付を受けた者。
yをしてその説明をさせなかったとして、行政庁に相談するとともに、代理人弁護士による被害届を行政庁に提出した。

(2)事情聴取
 行政庁で、Yに確認したところ、上記事実のほか、Yは、X1及びX2との間で締結した売買契約において、売買代金の10分の2を超え、それぞれ1,500万円及び1,000万円となる手付金相当額の違約金(いやくきん)
不動産の売買契約では、当事者の一方が債務
を履行しない場合には、債務の履行を確保
するために、その債務を履行しない当事者が
他方の当事者に対して、一定額の金銭(違約金)
を支払わなければならないと定めることがある。
の定めを行ったこと、売買代金の10分の1を超える手付金を受領する前に必要な保全措置(ほぜんそち)買主が宅建業者から宅地建物を購入する場合、
手付金・中間金などの額が、
(1)工事完了前の売買にあっては、売買代金の5%
又は1,000万円を超えるとき、
(2)工事完了後の売買にあっては、売買代金の10%
又は1,000万円を超えるときは、宅建業者は、手付金等
の保全措置を講じなければならない
(宅建業法41条、41条の2)。
を講じていないことが判明した。

(3)処 分
 行政庁は、Yは、(ア)期日までに引渡しを行わなかった、(イ)重要事項の説明において誤った説明を行った、(ウ)制限を超える違約金(いやくきん)
不動産の売買契約では、当事者の一方が債務
を履行しない場合には、債務の履行を確保
するために、その債務を履行しない当事者が
他方の当事者に対して、一定額の金銭(違約金)
を支払わなければならないと定めることがある。
の定めを行った、(エ)制限を超える手付金を受領した、(オ)保全すべき額の手付金を受領するに当たり、行うべき保全措置(ほぜんそち)買主が宅建業者から宅地建物を購入する場合、
手付金・中間金などの額が、
(1)工事完了前の売買にあっては、売買代金の5%
又は1,000万円を超えるとき、
(2)工事完了後の売買にあっては、売買代金の10%
又は1,000万円を超えるときは、宅建業者は、手付金等
の保全措置を講じなければならない
(宅建業法41条、41条の2)。
を講じなかった等として、Yを免許取消処分とした。
 また、取引主任者(とりひきしゅにんしゃ)
宅地建物取引主任者のこと。宅地建物取引主任者
資格試験に合格・登録し、宅地建物取引主任者証
の交付を受けた者。
であるyに対しては、重要事項の説明において取引対象の土地に登記された抵当権の内容を故意に説明せず、その情状が特に重いとして、登録を消除した。

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