制作:国土交通省 |
運営:不動産適正取引推進機構 |
1 本システムは、これまでに発生した不動産取引をめぐる他のトラブル事例をもとに、消費者の皆様が、トラブルの未然防止や万一トラブルに発展した場合に円滑な解決が図れるよう、情報を提供するものです。 2 掲載内容は、①裁判事例、②国土交通省各地方整備局や各都道府県で宅建業者に対して行った行政処分、③(一財)不動産適正取引推進機構で調整した特定紛争処理案件の中から基礎的で有用と思われる事例を抽出し、項目ごとに整理したうえ、事案の概要や紛争の結末等について要約して記載しています。 |
最新の情報については、
「RETIO判例検索システム」
「特定紛争案件検索システム」
「ネガティブ情報等検索サイト」(国土交通省)
「不動産のQ&A」
をご活用ください。
検索ボタンをクリックして頂くと、該当する事例の一覧が表示されます。
トラブル事例大項目:契約成立・解除等に関するもの | トラブル事例中項目:その他 | トラブル事例小項目: |
タイトル:特定紛争建築条件付土地売買契約の解除をめぐるトラブル
《要旨》
建築条件付土地売買(けんちくじょうけんつきとちばいばい)
売主と買主の間で、土地の売買契約締結後
一定期間内に、当該土地上に建築物の請負
契約を締結させることを条件に売買を行うこと。
指定期間内に建築請負契約が締結されない場合は、
契約は白紙解除となり、預り金などは全額返還される。契約において請負契約(うけおいけいやく)
家の建築工事など、当事者の一方がある
仕事を完成することを約束し、相手方が
その仕事の結果に対して報酬を支払うこ
とを約束するような契約を「請負契約」という。の前提条件が異なるとして、買主が契約の白紙解除を求めたもの。売主業者が買主に240万円を返還することで和解成立。
(1) 事案の概要
買主Xは、平成15年9月、売主業者Yと建築条件付土地売買(けんちくじょうけんつきとちばいばい)
売主と買主の間で、土地の売買契約締結後
一定期間内に、当該土地上に建築物の請負
契約を締結させることを条件に売買を行うこと。
指定期間内に建築請負契約が締結されない場合は、
契約は白紙解除となり、預り金などは全額返還される。契約を締結し、手付金160万円を、また、同日付で建築工事請負契約(うけおいけいやく)
家の建築工事など、当事者の一方がある
仕事を完成することを約束し、相手方が
その仕事の結果に対して報酬を支払うこ
とを約束するような契約を「請負契約」という。を締結し、手付金100万円を支払った。
Xは、売買契約を締結する前に、Yと建築設計に関する打合せを行い、1階を和室とするよう要望し、Yも了解したが、正式な設計図を見たら、1階が納戸(なんど)
もともとは屋内に設けた衣類などを収納する
部屋という意味であるが、不動産広告では
採光のための窓がない(または窓が小さい)
部屋のことを「納戸」と表示する。になっていたので不信感が募り、Yに対して、契約の白紙解除と支払った手付金260万円の全額返還を主張した。
これに対してYは、Xとは事前に間取り等の仕様について打合わせをし、設計図も作成し、134万余円の費用もかかっている、白紙解除は受け入れることはできないとし、契約を履行するか、手付金260万円放棄による契約解除するよう主張し、紛争になった。
(2) 事案の経過
委員3名により4回の調整を行った。調整の過程で、Xは、(ア)契約前の図面では1階が洋室になっていたので和室仕様にするよう要望したところ、Yも了解した、(イ)契約締結後、確認申請の段階で正式な設計図をもらったが、1階が和室ではなく、納戸(なんど)
もともとは屋内に設けた衣類などを収納する
部屋という意味であるが、不動産広告では
採光のための窓がない(または窓が小さい)
部屋のことを「納戸」と表示する。となっていた、(ウ)Yに苦情を言ったところ、建築基準法上は1階は納戸(なんど)
もともとは屋内に設けた衣類などを収納する
部屋という意味であるが、不動産広告では
採光のための窓がない(または窓が小さい)
部屋のことを「納戸」と表示する。になるが和室仕様にするということだった、(エ)契約の前提条件が違うので、契約の白紙解除と手付金260万円の全額返還してほしい等と主張した。
これに対してYは、(ア)事前に1階が納戸(なんど)
もともとは屋内に設けた衣類などを収納する
部屋という意味であるが、不動産広告では
採光のための窓がない(または窓が小さい)
部屋のことを「納戸」と表示する。になるという説明はしていないが、1階の採光が厳しいということは伝えている、(イ)契約解除は認める、(ウ)Xとは、事前に何度も設計について打合わせをし、設計費用として116万円かかっているので、その費用を差し引いた金額を返還する等と主張した。
(3) 和解の内容
委員から、Xに対しては、Yの設計費用の請求は法的には根拠はないが、Xも打合わせの段階で、和室への変更、収納庫の変更、階段の変更等を要求しており、Yは設計のやり直しなど努カをしているので、本案件の解決のため、いくらかの解決金を支払ったらどうかと説明し、Yに対しては、Xと設計契約を締結していないこと、設計について報酬を支払う約束をしていないこと、成果品がないこと等から法的に設計費用を求める根拠がないこと等を指摘した。
委員から、諸般の事情を勘案して、Xは解決金として20万円をYに支払い、Yは240万円を返還するよう提示したところ、双方納得し、本案件は和解に至った。
本システムの掲載情報の正確性については万全を期しておりますが、利用者が本システムの情報を用いて行う行為については本システムの制作者、運営者は何ら責任を負うものではありません。また、同種の事案について、必ず同様の結果が得られるものではありませんのでご承知おきください。なお、個別に発生したトラブル等については、管轄の行政庁等の相談窓口等にお問い合わせください。 |