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タイトル:裁判事例中高層マンション建築用地の売買と地中障害物

東京地裁判決 平成10年11月26日
(判例時報 1682号 60頁)

《要旨》
 中高層マンション建築用地において、マンション建築の支障となる地中障害物が存在したときは、隠れたる瑕疵があるとして、売主に対し同障害物の撤去費用相当額の支払を命じた事例

(1) 事案の概要
 買主業者Xは、平成6年9月、媒介業者Aの媒介で、7階建て分譲マンション建築目的で、売主Yらから、土地建物を7億4,500万円で買い受け、平成7年5月、建物解体工事及びマンション建設基礎工事をしたところ、多数のPC杭及び二重コンクリートの耐圧盤等の地中障害物が発見され、その撤去に3,090万円を要した。
 Xは、Yらに対し、損害賠償を求めた。
 Yらは、本件地中障害物の存在は低層建物の建築には支障にならないと主張した。

(2)判決の要旨
 (ア)Yらは本件契約締結に際し、Xの中高層マンション建築予定を知悉していた。
 (イ)また、Xは、本件契約に先立ちYの資料図面により基礎の位置等を確認した上で解体工事を進めたところ、同図面に記載のない多数のPC杭及び二重コンクリートの耐圧盤等の地中障害物が発見された。
 (ウ)本件土地に中高層マンションを建築するには、本件地中障害物の撤去に3,000万円以上かかる。
 (エ)これらの事実からすれば、本件地中障害物が存在する本件土地は、中高層マンション建築予定の土地として通常有すべき品質、性状を備えておらず、隠れたる瑕疵がある。
 (オ)よって、YらはXに対し、3,090万円を支払え。

(3) まとめ
 企業の工場や社宅跡地の売買では、土壌汚染ないし地下埋設物問題の表面化により、引渡し後撤去費用の負担や工事中断といったトラブルへ発展するケースある。また、本件では訴外だが、媒介業者の調査義務についても問われる可能性がある点も留意する必要がある。

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