制作:国土交通省 |
運営:不動産適正取引推進機構 |
1 本システムは、これまでに発生した不動産取引をめぐる他のトラブル事例をもとに、消費者の皆様が、トラブルの未然防止や万一トラブルに発展した場合に円滑な解決が図れるよう、情報を提供するものです。 2 掲載内容は、①裁判事例、②国土交通省各地方整備局や各都道府県で宅建業者に対して行った行政処分、③(一財)不動産適正取引推進機構で調整した特定紛争処理案件の中から基礎的で有用と思われる事例を抽出し、項目ごとに整理したうえ、事案の概要や紛争の結末等について要約して記載しています。 |
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トラブル事例大項目:分譲マンション固有のトラブル | トラブル事例中項目:設備、管理等に関するもの | トラブル事例小項目: |
タイトル:裁判事例分譲マンション駐車場の維持管理に関する説明義務
福岡地裁判決 平成12年3月29日
(判例集未登載)
《要旨》
売主にはマンション駐車場の維持管理についての説明義務違反等はなく、未分譲建物の組合費等の支払義務を負うこともないとされた事例
(1) 事案の概要
売主Y(旧住宅・都市整備公団)は、平成4年11月から平成8年8月頃までに9棟のマンションを数次にわたって分譲した。
Yの第6次分譲にわたる募集用パンフレットには、1住宅に1台の駐車場(ほとんどが機械式)の専用使用が確保され、利用料金は、1台当たり、概算で月額3,500円となる見込みが記載され、また、管理組合(かんりくみあい)
分譲マンションなどの区分所有建物において
、区分所有者が建物および敷地等の管理を行
なうために区分所有法にもとづいて結成する
団体のこと。Xの創立総会に先立つ世話人会の席上、Yは、平成6年度末までは、これを変更しない旨の説明をした。
そして、平成4年11月の管理組合(かんりくみあい)
分譲マンションなどの区分所有建物において
、区分所有者が建物および敷地等の管理を行
なうために区分所有法にもとづいて結成する
団体のこと。設立総会において、当該駐車場利用料金の提案がなされ、その旨が決議された。
その後、平成7年11月頃、Xは、管理会社にその長期修繕計画を作成させたところ、月額3,500円では、耐用年数期間内(15年間)の修繕費等までは賄えないことが明らかとなった。
また、本件土地上には未分譲となっている住戸あったが、平成8年11月頃、Xは、Yに対し、当該未分譲の住宅部分につき、その建物が完成した平成7年7月以降分の組合費等を請求した。
Xは、Yに対し、機械式駐車場の維持管理コストの説明を怠ったこと等による債務不履行(さいむふりこう)
売買契約において、代金を支払ったにもかかわらず、
売主が物件を引き渡さない場合など、
債務が履行されない状態のこと。等に基づく損害賠償、未分譲建物部分について区分所有法65条の団地関係にある建物所有者として負担すべき未払組合費等の支払を求めて提訴した。
(2) 判決の要旨
(ア)Yは、本件マンションの分譲に当たり、駐車場の利用料金が概算見込みであることや当該年度現在のものであることを表示し、将来改定がある旨を説明している。
(イ)長期修繕計画の策定を含む管理業務を行う権限と責任はもともと管理組合(かんりくみあい)
分譲マンションなどの区分所有建物において
、区分所有者が建物および敷地等の管理を行
なうために区分所有法にもとづいて結成する
団体のこと。であるXにある以上、Yには情報提供や説明義務を負うべき法的根拠はない。
(ウ)未分譲建物については、Xの合意のもと、内部未施工のまま国際競技会の選手村として使用させていた等の事実があり、この間当該敷地は、他の敷地とフェンス等により明確に区分されてYが管理し、Xは管理及び費用負担をしていなかった。
(エ)そうすると、工事完了から、分譲までに必要な合理的期間内においては、Yに組合費等の負担義務はないと解される。
(3) まとめ
マンション分譲業者は、未分譲部分について区分所有権を有する以上は、共用部分の管理費等の支払義務があるとする判例が多い(東京地判 平成2年10月26日 判例タイムズ764号184頁等)。
本判決は、未分譲建物がユニバシアード福岡大会の選手村として活用されたという特別な条件のもとで判断されたことを考慮しておく必要がある。
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