トラブル事例大項目:瑕疵担保責任に関するもの トラブル事例中項目:建物の瑕疵 トラブル事例小項目:戸建て

タイトル:特定紛争土地付建物売買に係る建物瑕疵をめぐるトラブル

《要旨》
 買主が購入した土地付建物の補修を要求したもの、売主業者が補修を行うことで和解成立

(1) 紛争の概要
 買主Xは、平成16年3月、業者Zの媒介で、売主業者Yから新築の土地付建物(3階建)を買い受けた。
 Yから受け取ったA社のカタログには、1階床下も、壁、天井と同様の断熱処理が施される図面が掲載され、「床下は収納スペースとして利用可能」と記載されており、Xは、1階床下も断熱処理がなされ、二輪車やスキー程度の大きさのものも収納できると思った。
 Xは、平成16年8月に建物の引渡しを受け、残代金の決済を行い、媒介手数料については、内金として50万円支払った。この時点で建物は補修を要する箇所が数多くあり、外構が未完成であった。
 Xは、同10月、1階洋室の床下にカビが発生していることを発見し、原因調査の結果、一階床下に所定の工法による断熱ボードが取り付けられていないこと及び床下は収納が出来る構造にはなっていないことが判明した。さらに階段のシミ等の不具合もあり、XはZに対してこれら不具合を伝えたが、Yは補修を行わなかった。
 Xは、上記の不具合による損害として、月額20万円の家賃を想定し、1階洋室の床面積割合10%に相当する家賃分2万円(月額)をYに要求し、Zに対しては、支払金50万円の返還を要求した。
 これに対して、Yは、床下の断熱材については、施工の方法等でXの理解が得られず、また床下収納スペースは構造上限りがあり、替わりに、洗面所及び浴室の床下収納庫等の無料サービスで解決したと主張し、Zは、未収媒介手数料については請求しないことで解決を図りたいと主張して、紛争になった。

(2) 調整の経過
 委員3名により7回の調整を行なった。調整の過程で、Xは、(ア)床下について、所定の断熱処理を施し全面的に床下収納が出来るよう工事を行なう、(イ)階段全部について、「しみ」の原因を究明する、(ウ)Yは、平成16年9月から補修工事が完了するに至るまでの間、月額2万円の割合による金員を支払う、(エ)Zは、媒介手数料50万円を返還する等々を要求した。
 これに対しYは、床下の断熱材の不備は認めた上で、基本的には、Xの要望に可能な範囲で応じる姿勢を示したが、媒介手数料の返還及び月間2万円の損害賠償請求には応じられないと主張した。

(3) 和解の内容
 委員は、現地調査を実施することを提案し、双方立会いの上、平成17年6月に現地調査を実施後、補修工事が必要と判断し、Yに対して床下の断熱処理等の補修工事内容を提出するよう要請した。
 Yから提出された補修工事表をもとに、委員からXに対して調整を図ったところ、Xからは、床下収納口を物が入れ易いように改善すること、玄関の床下にウレタンフォームを充填すること等の要望が出され、委員からの調整によりYも了承した。この段階で委員から、媒介行為は行われているので、双方に対して、媒介手数料は50万円だけとし、損害金は請求しないことを要請し了解を得た。以上により、本件は和解に至った。

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