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該当件数

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No. 判決日 概要 事件番号 RETIO
1 R4.12.12

賃貸住宅に係る賃料債務等の保証委託及び連帯保証に関する契約書中の、「賃料等の不払があるときに連帯保証人が無催告にて賃貸借契約を解除することができる旨を定める条項、賃料等の不払等の事情が存するときに連帯保証人が賃貸住宅の明渡しがあったものとみなすことができる旨を定める条項」の消費者契約法10条に規定する消費者契約の条項該当性について判断された事例

令3(受)987号

2 R4.10.6

マンション建替事業の施行者がマンションの建替え等の円滑化に関する法律76条3項に基づく補償金の供託義務を負う場合において、補償金に対して差押えの競合が生じたとき、施行者は補償金について、同項及び民事執行法156条2項のいわゆる混合供託をしなければならないとされた事例

令2(受)1462号

3 R4.7.19

宮古島市水道事業給水条例16条3項は、水道事業者である市が水道法15条2項ただし書により水道の使用者に対し給水義務を負わない場合において、使用者との関係で給水義務の不履行に基づく損害賠償責任を負うものではないことを確認した規定にすぎないとされた事例

令3(オ)555号

4 R4.4.19

相続税の課税価格に算入される不動産の価額を財産評価基本通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反しないとされた事例

令和2(行ヒ)283

5 R4.4.18

農地の売買契約が締結されたが、譲受人の委託に基づき第三者の名義で農地法所定の許可が取得され、当該第三者に所有権移転登記が経由された後、当該土地を不法に領得した当該第三者に横領罪が成立するとされた事例

令2(あ)131号

6 R4.3.22

不動産取得税の課税に関し、複数の不動産を一括して分割の対象とする共有物の分割により不動産を取得した場合における持分超過部分の有無及び額については、分割の対象とされた個々の不動産ごとに、分割前の持分の割合に相当する価格と分割後に所有することとなった不動産の価格とを比較して判断すべきとした事例

令3(行ヒ)62号

7 R3.6.29

宅地建物取引業法3条1項の免許を受けない者が宅地建物取引業を営むために免許を受けて宅地建物取引業を営む者からその名義を借り、当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意は、同法12条1項及び13条1項の趣旨に反するものとして、公序良俗に反し、無効であるとされた事例

令2(受)205号

RETIO 125-150

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8 R3.6.21

担保不動産競売の債務者が免責許可の決定を受け、同競売の基礎となった担保権の被担保債権が上記決定の効力を受ける場合、当該債務者の相続人は、民事執行法188条において準用する同法68条にいう「債務者」に当たらないとされた事例

令3(許)7

9 R3.1.22

土地の売買契約の買主が売主に対し債務の履行を求めるための訴訟の提起等に係る弁護士報酬を債務不履行に基づく損害賠償として請求することはできないとされた事例

令1(受)861

10 R2.9.18

不動産競売手続において区分所有法所定の先取特権を有する債権者の配当要求により、配当要求債権に消滅時効の中断の効力が生ずるためには、民事執行法181条1項各号に掲げる文書により債権者が先取特権を有することが不動産競売手続において証明されれば足りるとされた事例

平31(受)310

11 R2.9.11

請負契約に基づく請負代金債権と同契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権の一方を本訴請求債権とし、他方を反訴請求債権とする本訴及び反訴の係属中における、本訴請求債権を自働債権とし反訴請求債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは許されるとされた事例

平30(受)2064

12 R2.9.8

請負人である破産者の支払の停止の前に締結された請負契約に基づく注文者の破産者に対する違約金債権の取得が、破産法72条2項2号にいう「前に生じた原因」に基づく場合に当たり,違約金債権を自働債権とする相殺が許されるとされた事例

平31(受)61

13 R2.9.2

担保不動産競売の手続において最高価買受申出人が受けた売却許可決定に対し他の買受申出人が民事執行法188条において準用する同法71条4号イに掲げる売却不許可事由を主張して執行抗告をすることはできないとされた事例

令2(ク)275

14 R2.3.24

家屋の評価の誤りに基づき固定資産税等の税額が過大に決定されたことによる損害賠償請求権に係る民法724条後段所定の除斥期間は、当該年度の固定資産税等に係る賦課決定がされ所有者に納税通知書が交付された時から進行するとされた事例

平30(受)388

15 R2.3.19

固定資産評価基準により隣接する2筆以上の宅地を一画地として認定して画地計算法を適用する場合において、各筆の宅地の評点数は、画地計算法の適用により算出された当該画地の単位地積当たりの評点数に、各筆の宅地の地積を乗ずることによって算出されるとした事例

平31(行ヒ)99

16 R2.3.6

不動産の所有権移転登記の申請の委任を受けた司法書士に当該申請の委任者以外の者との関係において注意義務違反があるとした原審の判断に違法があるとされた事例

平31(受)6号

17 R1.8.27

相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既に当該遺産の分割をしていたときは、民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額は、当該分割の対象とされた積極財産の価額であるとされた事例

平30(受)1583号

18 R1.8.9

民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が、当該死亡した者からの相続により、当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を、自己が承継した事実を知った時をいうとした事例

平30(受)1626号

19 R1.7.18

土地改良区が河川法23条の許可に基づいて取水した水が流れる水路への第三者の排水により当該水路の流水についての当該土地改良区の排他的管理権が侵害されたとした原審の判断に違法があるとされた事例

平30 (受)533号

20 R1.7.18

都市計画区域内にある公園について、湖南市地域ふれあい公園条例(平成17年湖南市条例第35号)に基づく公告がされたことをもって、都市公園法2条の2に基づく公告がされたとはいえないとされた事例

平30 (受)1563号

21 R1.7.16

固定資産課税台帳に登録された価格を不服として固定資産評価審査委員会に審査の申出をした者は、同委員会による審査の際に主張しなかった事由であっても、当該申出に対する同委員会の決定の取消訴訟において、その違法性を基礎付ける事由として、これを主張することが許されるとした事例

平30(行ヒ)139号

22 H31.4.9

固定資産課税台帳に登録された土地の価格について、当該土地が調整池の用に供されその機能を保持することが商業施設に係る開発行為の許可条件になっていることを理由に地目を宅地と認定するなどして算出された上記価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回るものではないとした原審の判断に違法があるとされた事例

平30(行ヒ)262号

23 H31.3.18

相続財産についての情報が被相続人に関するものとしてその生前に個人情報保護法2条1項にいう「個人に関する情報」に当たるものであったとしても、そのことから直ちに、当該情報が当該相続財産を取得した相続人又は受遺者に関するものとして上記「個人に関する情報」に当たるということはできないとされた事例

平29(受)1908号

24 H31.3.5

マンションの一括受電方式への変更のために、各区分所有者等にその専有部分の既存の電気受給契約を解約することを義務付ける決議が管理組合でなされた場合であっても、一部の区分所有者がこれに従わないことが、他の区分所有者に対する不法行為を構成するものではないとされた事例

平30(受)234号

RETIO 114-128

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25 H31.1.23

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項4号は、憲法13条、14条1項に違反しないとされた事例

平30(ク)269号

26 H30.12.21

弁護士法23条の2第2項に基づく照会をした弁護士会が、その相手方に対し、当該照会に対する報告をする義務があることの確認を求める訴えは、確認の利益を欠くものとして不適法であるとされた事例

平29(受)1793号

27 H30.7.17

固定資産課税台帳の土地の登録価格について、接面道路が建築基準法42条1項3号の要件を満たすか不明にもかかわらず、同道路に該当する旨の市長の判定がされていること等を理由に、接面道路が同道路に該当することを前提とする価格の決定は適法とした原審の判断に違法があるとされた事例

平28(行ヒ)406号

28 H30.4.17

抵当権者に対抗することができない賃借権が設定された建物が担保不動産競売により売却された場合において、その競売手続の開始前から当該賃借権により建物の使用又は収益をする者は、当該賃借権が滞納処分による差押えがされた後に設定されたときであっても、民法395条1項1号に掲げる「競売手続の開始前から使用又は収益をする者」に当たるとされた事例

平30(許)3号

29 H30.2.23

抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合における当該抵当権自体の消滅時効は、民法167条2項所定の20年の消滅時効にかかるとされた事例

平29(受)468号

30 H29.12.21

改良住宅の入居者が死亡した場合において、市長の承認を受けて死亡時に同居していた者等に限り使用権の承継を認める京都市市営住宅条例は、住宅地区改良法29条1項、公営住宅法48条に違反し違法、無効であるとはいえないとされた事例

平29(受)491号

31 H29.12.19

賃借人が契約当事者を実質的に変更したときは賃貸人は違約金を請求することができる賃貸借契約において賃借人が吸収分割により契約上の地位を承継させた場合に、同吸収分割を理由に違約金債務を負わないとの当該賃借人の主張が信義則に反するとされた事例

平29(許)10号

RETIO 119-082

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32 H29.12.18

理事長を建物の区分所有等に関する法律に定める管理者とし、役員である理事に理事長を含むものとした上、役員の選任及び解任について総会の決議を経なければならない旨の定めがある規約を有するマンション管理組合において、理事の互選により選任された理事長につき、理事の過半数の一致により理事長の職を解くことができるとされた事例

平成29(受)84号

33 H29.12.14

不動産は、商法521条が商人間の留置権の目的物として定める「物」に当たるとされた事例

平29(受)675号

34 H29.10.23

個人情報の漏えいを理由とする損害賠償請求訴訟における損害に関する原審の判断に審理不尽の違法があるとされた事例

平28(受)1892号

35 H29.2.28

私道の用に供されている宅地の相続税に係る財産の評価における減額の要否及び程度は、私道としての利用に関する建築基準法等の法令上の制約の有無のみならず、当該宅地の位置関係、形状等や道路としての利用状況、これらを踏まえた道路以外の用途への転用の難易等に照らし、当該宅地の客観的交換価値に低下が認められるか否か、また、その低下がどの程度かを考慮して決定する必要があるとされた事例

平28(行ヒ)169号

36 H28.12.19

地方税法施行令附則6条の17第2項にいう「居住の用に供するために独立的に区画された部分が100以上ある共同住宅等」に当たるか否かは、1棟の共同住宅等ごとに判断すべきであるとした事例

平28(行ヒ)6号

37 H28.12.1

地上建物に仮差押えがされ、その後、当該仮差押えが本執行に移行してされた強制競売手続における売却により買受人がその所有権を取得した場合において、土地及び地上建物が当該仮差押えの時点で同一の所有者に属していたときは、その後に土地が第三者に譲渡された結果、当該強制競売手続における差押えの時点では土地及び地上建物が同一の所有者に属していなかったとしても、法定地上権が成立するとされた事例

平27(受)477号

38 H28.10.18

弁護士法23条の2第2項に基づく照会に対する報告を拒絶する行為が、同照会をした弁護士会の法律上保護される利益を侵害するものとして当該弁護士会に対する不法行為を構成することはないとした事例

平27(受)1036号

39 H28.6.27

認定司法書士が代理した債務整理につき、当該債務整理の対象となる個別の債権価額が司法書士法3条1項7号規定の額を超え、裁判外の和解について代理することができないとして、受領した報酬につき不法行為による損害賠償として報酬相当額の支払義務を負うとされた事例

平26(受)1813号

40 H28.6.27

市が土地開発公社の取得した土地をその簿価に基づき正常価格の約1.35倍の価格で買い取る売買契約を締結した市長の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法となるとはいえないとした事例

平26(行ヒ)321号

41 H28.6.3

いわゆる花押を書くことは、自筆証書遺言の押印の要件を満たさないとされた事例

平27(受)118号

42 H28.5.25

ガス抜き配管内で結露水が滞留してメタンガスが漏出したことによって生じた温泉施設の爆発事故について,設計担当者に結露水の水抜き作業に係る情報を確実に説明すべき業務上の注意義務があったとされた事例

平26(あ)1105号

43 H28.4.28

破産手続開始前に成立した第三者のためにする生命保険契約に基づき破産者である死亡保険金受取人が有する死亡保険金請求権は、破産法34条2項にいう「破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権」に該当するものとして、死亡保険金受取人の破産財団に属するとした事例

平27(受)330号

44 H28.3.31

宅建業法30条1項前段所定の取戻事由が発生した場合において、取戻公告がされなかったときは、宅建業者の営業保証金の取戻請求権の消滅時効は、当該事由が発生した時から10年を経過した時から進行するとされた事例(破棄自判・RETIO101-118の上告審)

平27(行ヒ)374 号

RETIO 123-063

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45 H28.3.29

信託契約の受託者が所有する複数の不動産の固定資産税に係る滞納処分としてされた、信託財産である土地とその上の家屋に係る賃料債権に対する差押えが適法とされた事例

平26(行ヒ)228号

46 H28.3.18

建物の区分所有等に関する法律59条1項に規定する競売を請求する権利を被保全権利として、民事保全法53条又は55条に規定する方法により仮処分の執行を行う処分禁止の仮処分を申し立てることはできないとした事例

平27(許)15号

47 H28.3.1

線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた認知症の者の妻と長男の民法714条1項(責任無能力者の監督義務者等の責任)に基づく損害賠償責任が否定された事例

平26(受)1434号

48 H28.2.26

・相続の開始後認知によって相続人となった者が、他の共同相続人に対して民法910条に基づき価額の支払を請求する場合における遺産の価額算定の基準時は、価額の支払を請求した時であるとした事例
・民法910条に基づく他の共同相続人の価額の支払債務は、履行の請求を受けた時に遅滞に陥るとした事例

平26(受)1312号

49 H28.1.12

信用保証協会と金融機関との間で保証契約が締結され融資が実行された後に主債務者が反社会的勢力であることが判明した場合において、信用保証協会の保証契約の意思表示に要素の錯誤がないとされた事例

平26(受)2365号

50 H28.1.12

信用保証協会と金融機関との間で保証契約が締結され融資が実行された後に主債務者が反社会的勢力であることが判明した場合において、信用保証協会の保証契約の意思表示に要素の錯誤がないとされた事例

平26(受)266号

51 H28.1.12

信用保証協会と金融機関との間で保証契約が締結されて融資が実行された後に主債務者が反社会的勢力であることが判明した場合において、信用保証協会の保証契約の意思表示に要素の錯誤がないとされた事例

平26(受)1351号

52 H27.12.14

市街化調整区域内にある土地を開発区域とする開発許可に関する工事が完了し、当該工事の検査済証が交付された後においても、当該開発許可の取消しを求める訴えの利益は失われないとされた事例

平27(行ヒ)301号

53 H27.12.8

特例財団法人は、所定の手続を経て、その同一性を失わせるような根本的事項の変更に当たるか否かにかかわらず、その定款の定めを変更することができるとした事例

平25(受)2307号

54 H27.11.20

遺言者が自筆証書である遺言書の文面全体に故意に斜線を引く行為が、民法1024条前段所定の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当し遺言を撤回したものとみなされた事例

平26(受)1458号

55 H27.11.19

保証人が主たる債務者に対して取得した求償権の消滅時効の中断事由がある場合であっても、共同保証人間の求償権について消滅時効の中断の効力は生じないとされた事例

平25(受)2001号

56 H27.9.18

区分所有者の団体が、一部の区分所有者が共用部分を第三者に賃貸して得た賃料のうち各区分所有者の持分割合に相当する部分につき生ずる不当利得返還請求権を区分所有者の団体のみが行使することができる旨を集会で決議し又は規約で定めた場合には、各区分所有者は、上記請求権を行使することができないとされた事例

平25(受)843号

RETIO 116-079

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57 H27.7.17

登記簿の表題部の所有者欄に「大字西」などと記載されている土地につき、地方税法343条2項後段の類推適用により、当該土地の所在する地区の住民により組織されている自治会又は町会が固定資産税の納税義務者に当たるとした原審の判断に違法があるとされた事例

平26(行ヒ)190号

58 H27.6.1

債務者が異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をした場合において、譲渡人に対抗することができた事由の存在を譲受人が知らなかったとしても、このことについて譲受人に過失があるときには、債務者は、当該事由をもって譲受人に対抗することができるとした事例

平26(受)1817号

59 H27.3.27

市営住宅条例で入居者が暴力団員であることが判明した場合に明渡請求できる定めは憲法に違反しないとされた事例

平25(オ)1655号

RETIO 124-131

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60 H27.2.17

事前求償権を被保全債権とする仮差押えは、事後求償権の消滅時効をも中断する効力を有するとした事例

平24(受)1831号

61 H26.12.12

相続税につき減額更正がされた後に増額更正がされた場合において,上記増額更正により新たに納付すべきこととなった税額に係る部分について上記相続税の法定納期限の翌日からその新たに納付すべきこととなった税額の納期限までの期間に係る延滞税が発生しないとされた事例

平25(行ヒ)449号

62 H26.12.12

共同相続された委託者指図型投資信託の受益権につき、相続開始後に元本償還金又は収益分配金が発生し預り金として上記受益権の販売会社における被相続人名義の口座に入金された場合に、共同相続人の1人が自己の相続分に相当する金員の支払を請求することはできないとした事例

平24(受)2675号

63 H26.11.4

不動産強制競売事件の期間入札において、執行官が無効な入札をした者を最高価買受申出人と定めたとして売却不許可決定がされ、これが確定した場合に、当初の入札までの手続を前提に再度の開札期日を開くこととした執行裁判所の判断に違法がないとされた事例

平26(許)15号

64 H26.10.9

労働大臣が石綿製品の製造等を行う工場又は作業場における石綿関連疾患の発生防止のために労働基準法に基づく省令制定権限を行使しなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例

平23(受)2455号

65 H26.9.25

土地又は家屋につき、賦課期日の時点において登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に登記又は登録がされていない場合において、賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記又は登録されている者は、当該賦課期日に係る年度における固定資産税の納税義務を負うとした事例

平25(行ヒ)35号

66 H26.9.25

借地借家法32条1項の規定に基づく賃料増減請求により増減された賃料額の確認を求める訴訟の確定判決の既判力は、原告が特定の期間の賃料額について確認を求めていると認められる特段の事情のない限り、前提である賃料増減請求の効果が生じた時点の賃料額に係る判断について生ずるとした事例

平25(受)1649号

RETIO 122-125

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67 H26.7.29

産業廃棄物の最終処分場の周辺住民が産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の許可処分の無効確認訴訟並びに上記各処分業の許可更新処分の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例

平24(行ヒ)267号

68 H26.4.7

約款で暴力団員からの貯金の新規預入申込みを拒絶する旨定めている銀行の担当者に暴力団員であるのに暴力団員でないことを表明、確約して口座開設等を申し込み通帳等の交付を受けた行為が、詐欺罪に当たるとされた事例

平24(あ)1595号

69 H26.3.28

暴力団関係者の利用を拒絶しているゴルフ場において暴力団関係者であることを申告せずに施設利用を申し込む行為が、詐欺罪にいう人を欺く行為に当たらないとされた事例

平25(あ)911号

70 H26.3.28

入会の際に暴力団関係者を同伴しない旨誓約したゴルフ倶楽部会員において、同伴者が暴力団関係者であることを申告せずに同人に関するゴルフ場の施設利用を申し込み、施設を利用させた行為が、詐欺罪に当たるとされた事例

平25(あ)725号

71 H26.3.28

暴力団関係者の利用を拒絶しているゴルフ場において暴力団関係者であることを申告せずに施設利用を申し込む行為が、詐欺罪にいう人を欺く行為に当たらないとされた事例

平25(あ)3号

72 H26.3.14

時効の期間の満了前6箇月以内の間に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者に法定代理人がない場合において、少なくとも、時効の期間の満了前の申立てに基づき後見開始の審判がされたときは、民法158条1項の類推適用により、法定代理人が就職した時から6箇月を経過するまでの間は、その者に対して時効は完成しないとされた事例

平25(受)1420号

73 H26.2.27

権利能力のない社団は、構成員全員に総有的に帰属する不動産について、その所有権の登記名義人に対し、当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟の原告適格を有するとされた事例

平23(受)2196号

74 H26.2.25

・共同相続された委託者指図型投資信託の受益権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないとした事例
・共同相続された個人向け国債は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないとした事例

平23(受)2250号

75 H26.2.14

共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は、遺産確認の訴えの当事者適格を有しないとした事例

平23(受)603号

76 H26.1.14

認知者は、民法786条に規定する利害関係人に当たり、自らした認知の無効を主張することができ、この理は、認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても異ならないとした事例

平23(受)1561号

77 H25.11.29

共有物について、遺産分割前の遺産共有持分と他の共有持分とが併存する場合、共有者が遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める裁判上の手続は民法258条に基づく共有物分割訴訟であり、共有物分割の判決によって遺産共有持分権者に分与された財産は遺産分割の対象となり、共有関係の解消については同法907条に基づく遺産分割によるべきとされた事例

平22(受)2355号

78 H25.10.25

土地収用法94条7項又は8項の規定による収用委員会の裁決の判断内容が損失の補償に関する事項に限られている場合であっても、その名宛人は、上記裁決の取消訴訟を提起することができるとした事例

平24(行ヒ)187号

79 H25.9.13

保証人が主たる債務を相続したことを知りながら保証債務の弁済をした場合、当該弁済は、特段の事情のない限り、主たる債務者による承認として当該主たる債務の消滅時効を中断する効力を有するとした事例

平23(受)2543号

80 H25.9.4

民法900条4号ただし書前段の規定(非嫡出子の法定相続分の規定)は、遅くとも平成13年7月当時において、憲法14条1項に違反していたとした事例

平24(ク)984号

81 H25.7.12

原審が,壁面に吹き付けられた石綿が露出している建物が通常有すべき安全性を欠くと評価されるようになった時点を明らかにしないまま、同建物の設置又は保存の瑕疵の有無について判断したことに審理不尽の違法があるとされた事例

平22(受)1163号

82 H25.7.12

滞納者と他の者との共有に係る不動産につき、滞納者の持分が国税徴収法47条1項に基づいて差し押さえられた場合における他の共有者は、その差押処分の取消訴訟の原告適格を有するとした事例

平24(行ヒ)156号

83 H25.7.12

固定資産税評価額について、土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格が評価基準によって決定される価格を上回る場合には、同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず、その登録価格の決定は違法となるとされた事例。

平24(行ヒ)79号

84 H25.6.6

・いわゆる明示的一部請求の訴えに係る訴訟において、債権の一部消滅の抗弁に理由があると判断され判決にて債権の総額の認定がされた場合、残部についての消滅時効の中断の効力は生じないとされた事例
・いわゆる明示的一部請求の訴えが提起された場合、特段の事情のない限り、当該訴えの提起は、残部について、裁判上の催告として消滅時効の中断の効力を生じ、債権者は当該訴えに係る訴訟の終了後6箇月以内に民法153条所定の措置を講ずることにより、残部について消滅時効を確定的に中断することができるとされた事例

平24(受)349号

85 H25.4.16

債務整理に係る法律事務を受任した弁護士が、特定の債権者の債権につき消滅時効の完成を待つ方針を採る場合において、上記方針に伴う不利益等や他の選択肢を説明すべき委任契約上の義務を負うとされた事例

平24(受)651号

86 H25.4.9

建物地下1階店舗の賃借人が、建物の前所有者の承諾を得て、営業のため建物1階部分の外壁・床面に看板等を設置していたところ、建物の譲受人が看板等の撤去を求めた事案において、当該撤去請求が権利の濫用に当たるとされた事例

平24(受)2280号

RETIO 90-140

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87 H25.3.26

一級建築士により構造計算書に偽装が行われていた建築物の計画についての建築主事による建築確認が、国家賠償法1条1項の適用上違法となるとはいえないとされた事例

平22(受)2101号

88 H25.3.22

土地区画整理事業の施行地区内の土地について、売買当時、賦課金を課される可能性が存在していたことをもって、民法570 条にいう瑕疵があるとはいえないとされた事例

平23(受)1490号

RETIO 117-090

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89 H25.2.28

・既に弁済期にある自働債権と弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというためには、受働債権につき、期限の利益を放棄することができるというだけではなく、期限の利益の放棄又は喪失等により、その弁済期が現実に到来していることを要するとされた事例
・時効によって消滅した債権を自働債権とする相殺をするためには、消滅時効が援用された自働債権は、その消滅時効期間が経過する以前に受働債権と相殺適状にあったことを要するとされた事例

平23(受)2094号

90 H25.2.26

通行地役権者らが、担保不動産競売による承役地の取得者に対し、通行地役権の確認を求めた事案において、承役地の取得者が、地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たるか否かは、担保不動産競売による土地の売却時における事情ではなく、最先順位の抵当権の設定時の事情によるとした事例

平23(受)1644号

RETIO 90-156

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91 H25.1.22

ゴルフ場経営を目的とすることが定められているにすぎず、土地が建物の所有と関連するような態様で使用されていることもうかがわれない地上権設定契約及び土地賃貸借契約において、借地借家法11条の類推適用をする余地はないとされた事例

平23(受)2229号

92 H24.12.21

共有者の1人が共有物を第三者に賃貸して得る収益につき、その持分割合を超える部分の不当利得返還を求める他の共有者の請求のうち、事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分は、その性質上、将来の給付の訴えを提起することのできる請求としての適格を有しないとされた事例

平23(受)1626号

93 H24.11.20

収用委員会の裁決につき審査請求をすることができる場合に、審査請求がされたときにおける収用委員会の裁決の取消訴訟の出訴期間は、土地収用法133条1項ではなく行政事件訴訟法14条3項の適用により、その審査請求に対する裁決があったことを知った日から6か月以内かつ当該裁決の日から1年以内となるとした事例

平24(行ヒ)20号

94 H24.10.15

売買代金が時価相当額であったとしても、土地の売買による換金の利益が賄賂に当たるとされた事例

平21(あ)1985号

95 H24.9.13

借地借家法38条2項所定の書面は、賃借人(事業者)が契約更新がなく期間満了で終了すると認識していたとしても、契約書とは別個独立の書面とすることを要するとした事例

平22(受)1209号

RETIO 88-108

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96 H24.9.4

賃料債権差押えの効力発生後に賃貸借契約が終了した場合、差押債権者は、その後に支払期の到来する賃料債権を取り立てることができないとされた事例

平22(受)1280号

RETIO 88-110

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97 H24.4.23

住民訴訟の係属中にされたその請求に係る市の損害賠償請求権を放棄する旨の市議会の議決が違法であるとした原審の判断に違法があるとされた事例

平22(行ヒ)136号

98 H24.4.6

第1審判決の仮執行宣言に基づく強制執行によって建物が明け渡されている場合には、控訴審は、当該建物の明渡請求と併合されている賃料相当損害金等の支払請求の当否や同請求に対する抗弁において主張されている敷金返還請求権の存否についても、当該明渡しの事実を考慮することなく判断すべきであるとした事例

平22(受)754号

99 H24.3.16

取得時効完成後、所有権移転登記前に第三者により設定された抵当権は、特段の事情がない限り、再度の取得時効により消滅するとされた事例

平22(受)336号

RETIO 86-096

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100 H24.2.16

従前の宅地が整形で、北側と南側で道路に接していたのに対し、仮換地の形状が一部不整形で、北側と東側で道路に接することとなったマンションの敷地の仮換地指定が、照応の原則を定める土地区画整理法89条1項に違反しないとした事例

平23(行ヒ)166号

101 H24.1.17

マンションの区分所有者が、業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷する内容の文書を配布するなどする行為が、建物の区分所有等に関する法律6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地がある場合とした事例

平22(受)2187号

102 H23.12.16

建築基準法等の法令の規定に適合しない建物の建築を目的とする請負契約を締結した請負人と注文者が、互いに工事代金支払、損害賠償等を求めて争った事案において、違法建物建築の本工事の請負契約が公序良俗に反し無効とされ、本工事施工開始後に施工された追加変更工事の施工の合意が公序良俗に反せず有効とされた事例

平22(受)2324号

RETIO 86-102

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103 H23.11.17

公有地に係る土地信託契約において、受益者に対する費用補償請求権を定めた旧信託法(平成18年法律第109号による改正前のもの)36条2項本文の適用を排除する旨の合意が成立していたとはいえないとされた事例

平22(受)1584号

104 H23.10.18

無権利者を委託者とする物の販売委託契約が締結された場合、当該物の所有者が自己と同契約の受託者との間に同契約に基づく債権債務を発生させる趣旨でこれを追認したとしても、その所有者が同契約に基づく販売代金の引渡請求権を取得することはできないとされた事例

平22(受)722号

105 H23.10.11

建物の区分所有等に関する法律59条1項に基づく訴訟の口頭弁論終結後に被告であった区分所有者がその区分所有権及び敷地利用権を譲渡した場合に、その譲受人に対し同訴訟の判決に基づいて競売を申し立てることはできないとした事例

平23(ク)166号

106 H23.9.30

長期譲渡所得に係る損益通算を認めないこととした平成16年法律第14号による改正後の租税特別措置法31条の規定をその施行日より前に個人が行う土地等又は建物等の譲渡について適用するものとしている平成16年法律第14号附則27条1項の規定は、憲法84条の趣旨に反しないとした事例

平21(行ツ)173号

107 H23.9.22

長期譲渡所得に係る損益通算を認めないこととした平成16年法律第14号による改正後の租税特別措置法31条の規定をその施行日より前に個人が行う土地等又は建物等の譲渡について適用するものとしている平成16年法律第14号附則27条1項の規定は、憲法84条の趣旨に反しないとした事例

平21(行ツ)73号

108 H23.7.21

建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵には、放置するといずれは居住者等の生命、身体又は財産に対する危険が現実化することになる瑕疵も含まれるとされた事例 【H19.7.6最高裁差戻、H23.7.21最高裁差戻、H25.1.29最高裁上告棄却】

平21(受)1019号

RETIO 84-101

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109 H23.7.15

賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条により無効ということはできないとされた事例

平22(オ)863号

RETIO 115-083

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110 H23.7.12

消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付されたいわゆる敷引特約(敷引金の額は月額賃料の3.5倍程度)が、消費者契約法10条により無効ということはできないとされた事例

平22(受)676号

RETIO 83-140

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111 H23.6.7

公にされている処分基準の適用関係を示さずにされた建築士法10条1項2号及び3号に基づく一級建築士免許取消処分が、行政手続法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠き違法であるとされた事例

平21(行ヒ)91号

112 H23.6.3

土地を時効取得したと主張する者が、当該土地は所有者が不明であるから国庫に帰属していたとして、国に対し当該土地の所有権を有することの確認を求める訴えにつき、確認の利益を欠くとされた事例

平22(受)285号

113 H23.4.22

契約の一方当事者が当該契約の締結に先立ち,信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合には、上記一方当事者は、相手方が当該契約を締結したことにより被った損害につき、不法行為による賠償責任を負うことがあるのは格別、当該契約上の債務の不履行による賠償責任を負うことはないとした事例

平20(受)1940号

RETIO 83-124

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114 H23.3.25

家屋の建替えにより、固定資産税等の賦課期日に旧居住用家屋が取り壊され存しなかったが、居住用家屋の建築工事が現に進行中であることが客観的に見て取れる状況にあった土地について、当該年度の固定資産税及び都市計画税につき、住宅用地に対する課税標準の特例の適用があるとされた事例

平21(行ヒ)154号

115 H23.3.24

・居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は、敷引金の額が高額に過ぎると評価されるものは、特段の事情のない限り、消費者契約法10条により無効とされるとした事例
・同敷引特約(敷引金が賃料月額の2倍弱ないし3.5倍強)につき、敷引金の額が高額に過ぎるとはいえないとして有効と判断された事例

平21(受)1679号

RETIO 82-150

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116 H23.2.22

「相続させる」旨の遺言は、推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には、特段の事情のない限り、その効力を生じないとして代襲者の上告を棄却した事例

平21(受)1260号

RETIO 84-134

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117 H23.2.15

マンション共用部分の無断改造工事に対する原状回復や使用料などの請求について、マンション管理組合(権利能力のない社団)は各訴えについて原告適格を有するとされた事例

平21(受)627号

118 H23.2.9

権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を有する債権者が、当該社団の構成員全員に総有的に帰属し、当該社団のために第三者がその登記名義人とされている不動産に対して仮差押えをする場合における申立ての方法について判断された事例

平22(許)43号

119 H23.1.21

抵当権設定登記後に賃借権の時効取得に必要な期間、当該不動産を継続的に用益したとしても、賃借人は公売による買受人に対し賃借権の時効取得を主張できないとした事例

平21(受)729号

RETIO 82-182

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120 H22.12.16

不動産の所有権が、元の所有者から中間者、現在の所有者に、順次移転したにもかかわらず、登記名義が元の所有者に残っている場合において、現在の所有者が元の所有者に対して直接、真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することは許されないとした事例

平21(受)1097号

RETIO 81-070

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121 H22.10.19

詐害行為取消訴訟の訴訟物である詐害行為取消権は、取消債権者が有する個々の被保全債権に対応して複数発生するものではないとされた事例

平21(受)708号

122 H22.10.15

被相続人が生前に提起して相続人が承継していた所得税更正処分等の取消訴訟において同処分等の取消判決が確定した場合、被相続人が同処分等に基づき納付していた所得税等に係る過納金の還付請求権は、被相続人の相続財産を構成し相続税の課税財産となるとした事例

平21(行ヒ)65号

123 H22.10.14

数社を介し順次発注された工事の最終の受注者と、最終受注者への発注者との間の請負契約において、発注者が代金の支払を受けた後に最終受注者に代金を支払う旨の合意は、発注者が代金の支払を受けることを停止条件とする旨とはいえず、発注者が代金支払を受けた時点又はその見込みがなくなった時点で支払期限が到来する旨とした事例

平21(受)976号

124 H22.9.9

土地の賃貸人及び転貸人が、転借人所有の地上建物の根抵当権者に対し、借地権が消滅するおそれが生じたときはその事実を通知をする旨の条項を含む念書を差し入れた場合において、同通知の不履行を理由とした損害賠償請求が認められた事例

平21(受)1661号

RETIO 80-146

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125 H22.8.25

担保不動産競売事件の期間入札において、自らが最高の価額で買受けの申出をしたにもかかわらず、執行官の誤りにより当該入札が無効と判断されて他の者が最高価買受申出人と定められたため買受人となることができなかったことを主張する入札人は、この者が受けた売却許可決定に対し執行抗告をすることができるとした事例

平22(許)2号

126 H22.7.20

弁護士資格等がない者らが、ビルの所有者から委託を受け賃借人らと立退交渉を行い、賃貸借契約を合意解除した上で各室を明け渡させた行為について、弁護士法72条違反にあたるとされた事例

平21(あ)1946号

RETIO 81-102

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127 H22.7.16

定期建物賃貸借契約の締結において、借地借家法38条2項の説明書面交付の立証がないにもかかわらず、賃貸借契約に公正証書に説明書面の交付があったこと確認する旨の条項があり、賃借人において公正証書の内容を承認していることのみをもって、説明書面の交付があったとした原審の認定には,経験則又は採証法則に反する違法があるとされた事例

平21(受)120号

128 H22.6.29

葬儀場の営業を行う業者が、その近隣に居住する者に対し、居宅から葬儀場の様子が見えないようにするための目隠しを設置する措置を更に講ずべき義務も、葬儀場の営業についての不法行為責任も負わないとされた事例

平21(受)1709号

RETIO 80-124

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129 H22.6.29

権利能力のない社団を債務者とする債務名義を有する債権者が、第三者が登記名義人となっている構成員の総有不動産に対して強制執行をする場合においては、強制執行の申立書に社団を債務者とする執行文の付された債務名義のほか、不動産が社団の構成員全員の総有に属する確認の確定判決その他これに準ずる文書を添付して当該社団を債務者とする強制執行の申立てをすべきとした事例

平21(受)1298号

130 H22.6.17

新築建物を購入した買主らが、当該建物には構造耐力上の安全性を欠くなどの瑕疵があると主張して、その設計、工事の施工等を行った業者らに対し、不法行為に基づく損害賠償等を求めた事案において、購入した新築建物自体が社会経済的価値を有しない場合には、買主から工事施工者等に対する建替え費用相当額の損害賠償請求においてその居住利益を損害額から控除することはできないとされた事例(控訴審 H21.6.4 名古屋高裁 RETIO78-106)

平21(受)1742号

RETIO 114-074

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131 H22.6.3

固定資産税等の税額の過大な決定よって損害を被った納税者は、地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく、国家賠償請求を行い得るとした事例

平21(受)1338号

132 H22.6.1

売買契約の目的物である土地の土壌に、売買契約締結後に法令に基づく規制の対象となったふっ素が基準値を超えて含まれていたことから、このことが民法570条の瑕疵担保にあたると主張して、瑕疵担保による損害賠償を求めた事案において、瑕疵が認められないとした事例 (控訴審 H20.9.25 東京高裁 RETIO74-126)

平21(受)17号

RETIO 80-136

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133 H22.4.20

共有不動産につき、持分を有しない者がこれを有するものとして共有名義の所有権保存登記がされている場合、共有者の1人は、その持分に対する妨害排除として、登記を実体的権利に合致させるため、持分を有しない登記名義人に対し、自己の持分についての更正登記手続を求めることができるにとどまり、他の共有者の持分についての更正登記手続までを求めることはできないとした事例

平21(オ)1408号

134 H22.4.20

市の土地買収につき租税特別措置法所定の特別控除額の特例適用がある旨の市の職員の誤った教示等に従い所得税の申告をし、過少申告加算税の賦課決定等を受けた者への市の損害賠償責任を認め、損害の有無及び額並びに過失相殺の可否について更に審理を尽くさせるため原審に差し戻した事例

平20(受)2065号

135 H22.4.13

都市計画法56条1項の規定に基づく土地の買取りが収用の実質を有しないとして、土地を売却した納税者に対する租税特別措置法上の譲渡所得の特例措置の適用を否定した事例

平21(行ヒ)110号

136 H22.3.30

道路買収により買収地上の建物移転補償金を受けた個人が、当該建物を他に譲渡して曳行移転させた場合において、取壊工事費に相当する補償金部分等のうち、曳行移転費用に充てられた部分は所得税法44条の適用を受け、それ以外の部分についても同条又は措置法33条1項の適用を受ける部分がありうるとした事例

平20(行ヒ)419号

137 H22.3.16

遺言を偽造した相続人に対して、相続欠格事由に該当し、相続人の資格を有しないことの確認を求める訴訟は、固有必要的共同訴訟であって、相続人全員を当事者として提起されるべきであるとされた事例

平20(オ)999号

138 H22.1.26

マンション管理組合の総会決議により行われた、自ら専有部分に居住しない組合員が組合費に加えて住民活動協力金を負担する旨の規約変更が、建物の区分所有等に関する法律66条、31条1項後段の「一部の団地建物所有者の権利に特別の影響を及ぼすとき」に当たらないとされた事例

平20(受)666号

RETIO 78-128

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139 H22.1.19

共有者の1人が共有不動産の賃料収入を全額自己の不動産所得として計算し、所得税等を過大に支払ったとしても、過大に納付した分を含め所得税等の申告納付は自己の事務であり、他人のために事務を管理したということはできず、事務管理は成立しないとして、事務管理に基づく費用償還請求を棄却した事例

平21(受)96号

140 H21.12.18

遺留分権利者から遺留分減殺請求を受けた受遺者等が、価額弁償の意思表示をしたが、遺留分権利者から目的物の現物返還請求も価額弁償請求もされていない場合において、弁償額につき当事者間に争いがあり、受遺者等が判決により確定されたときは速やかに支払う意思を表明して、弁償額の確定を求める訴えを提起したときは、訴えには確認の利益があるとした事例

平21(受)35号

141 H21.12.17

市が土地開発公社に対し土地の先行取得を委託する契約の有効性等が争われた事例において、同委託契約は私法上無効とはいえず、また、市が公社の取得した土地を委託契約に基づき売買契約を締結したことが違法ともいえないとした事例

平21(行ヒ)162号

142 H21.12.17

都建築安全条例4条3項に基づく安全認定が行われた上で建築確認がされている場合、建築確認の取消訴訟において安全認定が違法であるために同条1項所定の接道義務の違反があると主張することは安全認定が取り消されていなくても許されるとした事例

平21(行ヒ)145号

143 H21.12.10

国税の滞納者を含む共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、滞納者である相続人にその相続分に満たない財産を取得させ、他の相続人にその相続分を超える財産を取得させるものであるときは、国税徴収法39条にいう第三者に利益を与える処分に当たるとされた事例

平20(行ヒ)177号

144 H21.11.30

分譲マンション各住戸のドアポストに政党の活動報告等を記載したビラを投函する目的で、マンション管理組合の意思に反してマンションに立ち入った行為が、刑法130条前段の罪(住居侵入罪)が成立するとされた事例

平20(あ)13号

145 H21.11.27

土地の賃貸人が、賃借人に対し妻子への無断転貸を理由に賃貸借契約を解除したとして、当該土地上の建物の収去明渡し及び賃料相当損害金の支払いを求めた事案において、賃借人の無断転貸につき、賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるとされた事例

平20(受)1340号

RETIO 81-104

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146 H21.11.9

民法704条(悪意の受益者の返還義務等)後段の損害賠償責任の規定は、悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて、不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず、悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではないとした事例

平21(受)247号

147 H21.9.4

貸金業者の借主に対する貸金の支払請求、弁済を受ける行為が不法行為となるのは、貸金業者が当該債権が事実的、法律的根拠を欠くことを知りながら、又は通常の貸金業者であれば容易にそのことを知り得たのにあえて請求をしたなど、社会通念に照らし著しく相当性を欠く場合に限られ、この理は当該貸金業者が過払金の受領につき民法704条所定の悪意の受益者に推定されるときであっても異ならないとした事例

平21(受)47号

148 H21.9.4

借主の利息制限法1条1項所定の制限を超えた利息の継続支払により過払金が発生した場合における、悪意の受益者の民法704条による利息の支払いは、金銭消費貸借が継続的に借入れと弁済が繰り返される基本契約に基づくもので、過払金が発生した当時他の借入金債務がなければ過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものであった場合でも、異ならないとした事例

平21(受)1192号

149 H21.7.16

相手方らの立入禁止等と記載した看板を被告人方建物に取り付けようとする行為に対して、被告人らの上記建物の共有持分権、賃借権等や業務、名誉に対する急迫不正の侵害への防衛として行った、被告人が相手方の胸部等を両手で突いた暴行が、刑法36条1項にいう「やむを得ずにした行為」に当たるとされた事例

平20(あ)1870号

RETIO 78-122

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150 H21.7.13

警察署庁舎建物の利用のために供されている高さ約2.4mの塀は、刑法130条にいう「建造物」の一部を構成するものとして建造物侵入罪の客体に当たり、中庭に駐車された捜査車両を確認する目的で本件塀の上部に上がった行為は、建造物侵入罪を構成するとした事例

平20(あ)835号

151 H21.7.10

「期限の利益喪失特約の下での制限超過部分の支払いは原則として貸金業法43条1項にいう、債務者が利息として任意に支払ったものということはできない。」とした、最高裁平成18年1月13日判決以前の期限の利益喪失特約下の支払について、これを受領したことのみを理由として当該貸金業者を悪意の受益者であると推定することはできないとした事例

平20(受)1728号

152 H21.7.3

担保不動産の収益に係る給付を求める権利は所有者に帰属し、賃借人は抵当権設定登記前に取得した賃貸人に対する債権を自働債権とし賃料債権を受働債権とする相殺をもって管理人に対抗できるとされた事例

平19(受)1538号

RETIO 78-130

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153 H21.6.5

市街化が進んでいない場合の市街化区域農地等の固定資産評価において、固定資産評価基準所定の評価方法等により算定された価格は、当該土地の適正な時価を上回るとした原審の判断に違法があるとした事例

平18(行ヒ)179号

154 H21.4.23

建物の区分所有に関する法律70条(団地内の建物の一括建替え決議)は、憲法29条に違反するものではないとされた事例

平20(オ)1298号

155 H21.3.27

債権の譲渡禁止の特約は、債務者の利益保護のために付されるものと解され、譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者が同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張することは、債務者にその無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り許されないとした事例

平19(受)1280号

156 H21.3.26

他人所有の建物を預かり保管していた者が、金銭的利益を得ようとして、同建物の電磁的記録である登記記録に不実の抵当権設定仮登記を了したことにつき、電磁的公正証書原本不実記録罪及び同供用罪とともに横領罪が成立するとされた事例

平20(あ)2253号

157 H21.3.24

相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合においては、特段の事情のない限り、当該相続人に相続債務も全て相続させる旨の意思表示と解され、これにより相続人間においては、当該相続人が指定相続分の割合に応じて相続債務を全て承継することになるとされた事例

平19(受)1548号

158 H21.3.10

動産購入代金の立替金債務の担保として動産の所有権を留保した者は、当該動産が第三者の土地上に存してその土地所有権行使の妨害となった場合、被担保債権の残債務弁済期の経過後は、撤去義務・損害賠償責任を免れることはないとした事例

平20(受)422号

RETIO 76-092

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159 H21.1.22

過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引において、同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は、特段の事情がない限り、同取引が終了した時点から進行するとされた事例

平20(受)468号

160 H21.1.22

・金融機関は、預金契約に基づき、預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負うとした事例
・預金者の共同相続人の一人は、他の共同相続人全員の同意がなくても、被相続人名義の預金口座の取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができるとした事例

平19(受)1919号

161 H21.1.19

地下1階店舗の賃貸借において、賃借人が原因不明の出水によりカラオケ店の営業ができなくなったとして、賃貸人に対し営業利益相当の損害賠償を請求した事案につき、賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたと解される時期以降に被った被害のすべてが民法416条1項にいう通常生ずべき損害に当たるものではないとして、その請求の一部が認められた事例

平19(受)102号

RETIO 75-060

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162 H20.12.16

いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約中の、ユーザーについて民事再生手続開始の申立てがあったことを契約の解除事由とする旨の特約は、無効であるとされた事例

平19(受)1030号

163 H20.12.11

相続人が遺産取得の代償として自己所有建物を他の相続人に譲渡する条項がある遺産分割調停調書を添付してされた所有権移転登記申請につき、登記原因証明情報の提供を欠くことを理由に却下した処分が違法とされた事例

平20(行ヒ)29号

RETIO 75-064

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164 H20.11.25

建築基準法3章の規定が適用されるに至った際、A点からB点を経てC点に至る幅員4m未満の道のうちA点からB点までの部分にのみ建築物が存した場合において、B点からC点までの部分が同法42条2項にいう現に建築物が立ち並んでいる道に当たらないとされた事例

平19(行ヒ)91号

RETIO 73-198

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165 H20.10.10

窃盗グループにより法律関係のない振込みが普通預金口座へ行われ、当該口座より窃盗グループへ預金の払い戻しが行われた事件において、法律関係のない振込みの不当利得返還義務の負担を理由とした当該口座所有者の金融機関の過失を原因とした金融機関への預金払い戻し請求は、権利の濫用には当たらないとされた事例

平19(受)152号

166 H20.9.10

市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとした事例

平17(行ヒ)397号

167 H20.7.17

土地が入会地か否かの争いにおいて、訴えの提起に同調しない一部構成員がいるため、入会集団の構成員全員で訴えを提起することができないときは、訴えの提起に同調しない構成員も被告に加え、入会集団の構成員全員が当該土地について入会権を有することの確認を求める訴えを提起することが許され、構成員全員による訴えの提起ではないことを理由に当事者適格を否定されることはないとした事例

平18(受)1818号

168 H20.7.4

コンビニエンス・ストアのフランチャイズ・チェーンの加盟店基本契約において、運営者提供の発注システムによる商品仕入れにおいて運営者が加盟店に代わり支払う仕入代金につき、その内容に関する加盟店への報告に関する定めがない場合において、当該支払い内容の報告を加盟店経営者から請求があった場合には、準委任の性質を有する本件委託について、民法656条、645条規定の受任者の報告義務を負うとされた事例

平19(受)1401号

169 H20.6.10

いわゆるヤミ金融業者の著しく高利の貸付けに対する借主の不法行為に基づく損害賠償請求に関し、借主がこの借入れにより得た貸付金に相当する利益を、貸主が損益相殺等の対象としてその損害額から控除請求することは民法708条の趣旨に反し許されないとした事例

平19(受)569号

170 H20.4.14

共有の性質を有する入会権に関する各地方の慣習の効力は、入会権の処分についても及び、入会集団の構成員全員の同意を要件としないで同処分を認める慣習であっても、公序良俗に反するなどその効力を否定すべき特段の事情が認められない限り、有効であるとした事例

平18(受)336号

171 H20.4.11

公務員宿舎である集合住宅の1階出入口から各室玄関前までの部分及び門塀等の囲障を設置したその敷地が刑法130条(邸宅侵入罪)の客体に当たり、各室玄関ドアの新聞受けに政治ビラを投函する目的で立入った行為を同条の罪に問うことができ、そのことは憲法21条(表現の自由)に違反しないとされた事例

平17(あ)2652号

RETIO 75-066

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172 H20.3.27

業務上の過重負荷と基礎疾患とが共に原因となって従業員が死亡した場合において、使用者の不法行為を理由とする損害賠償の額を定めるに当たり、使用者による過失相殺の主張が訴訟上の信義則に反するとして民法722条2項の規定を類推適用しなかった原審の判断に違法があるとされた事例

平18(受)1870号

173 H20.2.29

賃料自動改定特約のある建物賃貸借契約の賃借人から賃料減額請求がされた場合において、当事者が現実に合意した直近の賃料を基にすることなく、上記特約によって増額された賃料を基にして、増額された日から当該請求までの日までの間に限定して経済事情の変動等を考慮した原審の判断に違法があるとされた事例

平18(受)192号

174 H20.1.24

遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をした場合には、当該遺留分権利者は、遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権をさかのぼって失い、これに代わる価額弁償請求権を確定的に取得するとした事例

平18(受)1572号

175 H19.12.4

借地権の目的となっている土地と隣接する他の土地にまたがって建築されている建物について、借地権設定者が、借地借家法19条3項(同法20条2項により準用する場合を含む)に基づき、自ら当該建物及び賃借権の譲渡を受ける旨の申立てをすることは許されないとされた事例

平19(許)3号

RETIO 73-202

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176 H19.11.13

刑法105条の2にいう「威迫」には、不安、困惑の念を生じさせる文言を記載した文書を送付して相手にその内容を了知させる方法による場合が含まれ、直接相手と相対する場合に限られるものではないとされた事例

平19(あ)779号

177 H19.10.19

マンションの住込み勤務の管理員が、所定労働時間の前後の一定の時間も断続的に業務に従事していた場合において、管理員室隣の居室にいて実作業に従事していない時間も、会社の指揮命令下におかれていたものであるとして、当該時間も労働基準法上の労働時間に当たるとした事例

平17(受)384号

178 H19.7.6

土地を目的とする先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後、甲抵当権が設定契約の解除により消滅し、その後、乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至った場合において、当該土地と建物が、甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても、乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは、法定地上権が成立するとされた事例

平18(受)1398号

RETIO 70-088

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179 H19.7.6

建物の設計・施工者等が、瑕疵により生命、身体又は財産を侵害された者に対し、不法行為責任を負うとされた事例 【H19.7.6最高裁差戻、H23.7.21最高裁差戻、H25.1.29最高裁上告棄却】

平17(受)702号

RETIO 121-099

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180 H19.3.20

建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪の客体に当たるか否かは、当該物と建造物との接合の程度のほか、当該物の建造物における機能上の重要性を総合考慮して決すべきものであるが、住居の玄関ドアは、外壁と接続し、外界との遮断、防犯等の重要な役割を果たしているから、建造物損壊罪の客体に当たるとした事例

平18(あ)2197号

181 H19.2.13

継続的貸付に関する基本契約の締結がない場合において、第一の貸付の各弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生し、その後第二の貸付に係る債務が発生したときは、第一の貸付に係る過払金は、第一の貸付に係る債務の各弁済が第二の貸付の前にされたものであるか否かにかかわらず第二の貸付に係る債務には充当されないとした事例

平18(受)1187号

182 H19.1.23

被相続人の居住の用に供されていたが、土地区画整理事業における仮換地の指定に伴い相続開始の直前に更地となっていた土地の相続税の課税価格については、本件仮換地を居住の用に供する予定がなかったと認めるに足りる特段の事情のない限り、租税特別措置法69条の3(小規模宅地等の特例)の適用があるとされた事例

平17(行ヒ)91号

183 H19.1.19

無道路地であっても実際に利用している通路が同一の所有者に帰属する場合、固定資産税台帳に登録すべき価格を決定するに当たり、通路開設補正を適用しないとする取扱は同基準に違反せず地方税法403条1項に違反しないとされた事例

平16(行ヒ)253号

184 H18.12.21

質権者の優先弁済権が害されたとして、損害賠償等を求めた事案において、破産管財人が、破産宣告後の未払い賃料債務と質権が設定された敷金返還請求債権を相殺したことが破産管財人の担保価値保全義務に反するとした上で、破産管財人の善管注意義務違反を否定し、破産管財人に対する不当利得返還請求が認められた事例 (第一審 H16.1.29 横浜地裁 RETIO59-82)

平17(受)276号

RETIO 68-072

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185 H18.11.27

大学入学試験の合格者が、入学金および授業料等を納付した後に入学を辞退した事案において、入学金については、消費者契約法9条1号の「平均的な損害」を超えるものではないとして有効とされ、授業料等については、入学辞退が入学日よりも前に行われた場合は原則として返還義務を負い、入学日以降に行われた場合は返還義務を負う理由はないとされた事例

平17(受)1158号

186 H18.11.14

代位弁済をした保証人が、原債権及びその担保権を代位行使し、担保不動産の差押債権者の地位承継を執行裁判所に申し出た場合には、承継申出の主債務者への通知がなくても求償権の消滅時効が不動産競売手続完了までの間中断するとされた事例

平17(受)1594号

187 H18.11.2

都知事が行った都市高速鉄道に係る都市計画の変更が鉄道の構造として高架式を採用した点において、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるとはいえないとされた事例

平16(行ヒ)114号

188 H18.10.20

不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないとした事例

平16(受)1641号

RETIO 69-054

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189 H18.9.14

賃借人から建物明渡しに関する交渉の依頼を受けた弁護士が、賃貸人から受け取った造作買取代金、追加金を依頼者に報告しなかったことが弁護士法所定の「品位を失うべき非行」に該当するとされた事例

平15(行ヒ)68号

190 H18.9.4

下請業者が施工業者との間で下請契約を締結する前に、施主の了承を得て下請の仕事の準備作業を開始したが、施主が下請業者の支出費用の補填など代償的措置を講ずることなく施工計画を中止した場合においては、これにより生じた下請け業者の損害につき、施主に不法行為による賠償責任が生じるとした事例

平17(受)1016号

191 H18.9.4

建設大臣が都市計画公園とする決定に、隣接する国有地でなく民有地を区域に定めた行為が裁量権の範囲を逸脱・濫用に当たらないとした判断に違法性があるとされ差し戻された事例

平15(行ヒ)321号

RETIO 67-080

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192 H18.7.20

重複して譲渡担保が設定された動産について、後順位譲渡担保権者による私的実行の可否について争われた事案において、先行する譲渡担保権者に優先権を行使する機会が与えられない後順位譲渡担保権者による私的実行は認めることはできないとされた事例

平17(受)948号

193 H18.7.14

意思無能力者に代わって相続税を申告し納付した者による事務管理に基づく費用償還請求につき、意思無能力者には相続税申告書の提出義務がなく税務署長による税額の決定がされることもないことを前提として、事務管理に基づく費用償還請求を棄却した原審の判断には違法があるとされた事例

平17(受)883号

194 H18.7.7

固定資産税の課税標準である土地の「適正な時価」とは、正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格、すなわち、客観的な交換価値をいうものであり、これを当該土地から得ることのできる収益を基準に資本還元して導き出される価格をいうものと解することはできず、また、一般に土地の取引価格は、上記の価格以下にとどまるものでなければ正常な条件の下に成立したものとはいえないということもできないとした事例

平15(行ヒ)30号

195 H18.6.12

建築後に土地の一部を売却すると、容積率制限を越える違法建築物となり、また当該土地購入者も敷地の二重使用となり建築確認申請の支障となる敷地について、その一部売却が困難である点を説明しなかった建築会社に説明義務違反があるとされ、銀行にも説明すべき信義則上の義務を肯認する余地があるとされた事例

平16(受)1219号

RETIO 65-074

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196 H18.4.20

資産の譲渡に当たって支出された費用が所得税法33条3項所定の譲渡費用に当たるかどうかは、現実に行われた資産の譲渡を前提として、客観的に見てその譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうかによって判断すべきであるとされた事例

平15(行ヒ)217号

197 H18.3.30

東京都国立市所在の通称「大学通り」に面した分譲マンションの建築販売について、本件建物の近隣地域に学校を設置し、居住し、通学し、又は大学通りの景観等に関心を有する原告らが、本件建物のうち、高さ20mを超える部分の撤去と、不法行為に基づく損害賠償をマンション分譲業者に求めた事案において、上告審においていずれも棄却された事例(控訴審 H16.10.27 東京高裁 RETIO61-80)

平17(受)364号

RETIO 64-062

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198 H18.3.23

建築基準法42条2項道路(いわゆる「みなし道路」)の所有者がブロック塀を設けるなどして他の土地所有者の通行を妨害したことから、他の土地所有者がブロック塀等の撤去を求めた訴訟において、道路所有者がみなし道路であることを前提に建物を所有してきた場合に、他の土地所有者に対しみなし道路であることを否定する趣旨の主張をすることは、信義則上許されないとされた事例

平15(受)1886号

RETIO 70-098

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199 H18.3.17

入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち、入会権者の資格を原則として男子孫に限定し同入会部落の部落民以外の男性と婚姻した女子孫は離婚して旧姓に復しない限り入会権者の資格を認めないとする部分につき民法90条の規定により無効とされた事例

平16(受)1968号

200 H18.3.16

自動車による通行を前提とする通行権の成否及びその具体的内容は、公道に至るため他の土地について自動車による通行を認める必要性、周辺の土地の状況、同通行権が認められることにより他の土地の所有者が被る不利益等の諸事情を総合考慮して判断されるとした事例(差戻後控訴審 H19.9.13 東京高裁 変更 RETIO71-88)

平17(受)1208号

RETIO 66-056

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201 H18.2.23

不実の所有権移転登記がされたことにつき、所有者が当該移転登記の抹消を請求した事案において、不動産の権利証を預け、売買の意思がないのに売買契約書に署名押印するなど所有者にも重い帰責性があるとして、民法94条2項、110条を類推適用すべきものとされた事例(控訴審 H15.3.28 福岡高裁 RETIO61-74)

平15(受)1103号

RETIO 66-040

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202 H18.2.21

道路を一般交通の用に供するために管理している地方公共団体は、その管理の内容、態様によれば、道路がその事実的支配に属するものというべき客観的関係にあると認められる場合には、道路を構成する敷地について占有権を有するとした事例

平14(受)133号

RETIO 64-060

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203 H18.2.7

目的不動産の占有の移転が伴わない買戻特約付売買契約は、特段の事情のない限り、譲渡担保の目的で締結されたものと推認され、その性質は譲渡担保契約と解するのが相当であるとされた事例

平17(受)282号

RETIO 66-050

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204 H18.1.19

登記に表示された所在地番及び床面積が実際と異なる建物が、借地借家法10条1項の「登記された建物」に当たるかが争われた事案において、所在地番の相違が登記官の過誤によるものであり、床面積の相違は建物の同一性を否定するものでないとして、同建物は、「登記された建物」に当たるとされた事例

平17(オ)48号

RETIO 66-052

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205 H18.1.19

債務者が利息制限法所定の制限を超える約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約の効力は、制限超過部分の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分につき無効であるとした事例

平15(オ)456号

206 H18.1.17

通路部分の時効取得の成否が争われた事案について、不動産の取得時効完成後に当該不動産の譲渡を受けて所有権移転登記を了した者が背信的悪意者に当たるためには、時効取得者が多年にわたり当該不動産を占有している事実を認識することが必要であるとされた事例

平17(受)144号

RETIO 65-050

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207 H17.12.16

賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗について賃借人が原状回復義務を負うためには、賃借人が補修費用を負担することになる上記損耗の範囲につき、賃貸借契約書自体に具体的に明記されているか、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識して、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要であるとした事例

平16(受)1573号

RETIO 64-058

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208 H17.12.16

公有水面埋立法に基づく埋立免許を受けて埋立工事が完成した後竣工認可がされていない埋立地につき、黙示的に公用が廃止されたものとして取得時効の成立が認められるとされた事例

平15(受)1980号

209 H17.12.15

相続を原因として共同相続人の1人に対してなされた所有権移転登記が実体関係に符合しないとした他の相続人が是正を求める方法として、更正登記手続の方法によることはできないが、当該登記の全部抹消登記手続を求めることはできるとした事例

平16(オ)402号

210 H17.12.7

・鉄道の連続立体交差化を内容とする都市計画事業の事業地周辺住民が、同事業の認可の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例
・鉄道の連続立体交差化に当たり付属街路を設置することを内容とする都市計画事業の、事業地の周辺住民が同事業の認可の取消訴訟の原告適格を有しないとされた事例

平16(行ヒ)114号

211 H17.11.24

強制執行の申立書に「被担保債権及び請求債権」として記載された金額の解釈につき、申立書に被担保債権の一部につき根抵当権の実行を求める趣旨の明示の記載がないことから、配当請求額の上限を示す趣旨であるとされた事例

平15(受)278号

212 H17.11.11

根抵当権者が競売の申立ての際に提出した登記事項証明書に、当該根抵当権の登記のほかに譲渡担保を原因とする同人への所有権移転登記が記載されていても、同登記事項証明書は、民事執行法(平成16年法律第124号による改正前のもの)181条1項3号の文書に当たるとされた事例

平17(許)22号

RETIO 66-048

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213 H17.11.1

昭和13年に決定された都市計画に係る計画道路の区域内にその一部が含まれる土地に建築物の建築の制限が課せられることによる損失について、憲法29条3項に基づく補償請求をすることができないとされた事例

平14(行ツ)187号

214 H17.10.11

相続が開始して遺産分割未了の間に第二次の相続が開始した場合において、第二次被相続人から特別受益を受けた者があるときは、その持戻しをして各共同相続人の具体的相続分を算定しなければならないとされた事例

平17(許)14号

215 H17.9.16

マンションの売買において、防火戸が作動しない状態で引き渡されたことにつき、売買の目的物に隠れた瑕疵があったとして損害賠償を請求した事案において、売主から委託を受けてマンション販売に関する一切の事務を行っていた宅建業者に、防火扉の操作方法等につき、買主に対して説明すべき信義則上の義務があるとされた事例 (差戻後控訴審 H18.8.30 東京高裁 取判41)

平16(受)1847号

RETIO 67-070

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216 H17.9.8

共同相続された不動産から生ずる賃料債権は、各共同相続人の持分に応じて分割単独債権として帰属し、その帰属は遺産分割の結果による影響を受けないとされた事例

平16(受)1222号

217 H17.7.11

土地課税台帳等に登録の基準年度の土地価格についての審査決定の取消訴訟において、固定資産評価審査委員会の認定価格が、裁判所が認定した適正な時価等を上回っていることを理由として、審査決定を取り消す場合には、当該審査決定のうちその適正な時価等を超える部分に限り取り消せば足りるとした事例

平14(行ヒ)181号

218 H17.6.24

指定確認検査機関による建築基準法6条の2第1項の確認に係る建築物について、同法6条1項の確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体は、指定確認検査機関の当該確認につき行政事件訴訟法21条1項所定の「当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体」に当たると判示した事例

平16(行フ)7号

RETIO 63-032

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219 H17.6.14

損害賠償額の算定に当たり、被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するために控除すべき中間利息の割合は、民事法定利率によらなければならないとされた事例

平16(受)1888号

220 H17.4.26

いわゆる強制加入団体でもなく、その規約において会員の退会を制限する規定を設けていない、権利能力のない社団である県営住宅の自治会の会員は、いつでも当該自治会に対する一方的意思表示によりこれを退会することができるとされた事例

平16(受)1742号

221 H17.3.29

同一の敷地にあって一つのリゾートホテルを構成している複数の建物の固定資産課税台帳の登録価格についてされた審査申出の棄却決定の取消しを求める各請求が互いに行政事件訴訟法13条6号所定の関連請求に当たるとされた事例

平16(行フ)5号

222 H17.3.29

自宅から隣家の被害者に向けて、精神的ストレスによる障害を生じさせるかもしれないことを認識しながら、連日連夜、ラジオの音声及び目覚まし時計のアラーム音を大音量で鳴らし続けるなどして、被害者に精神的ストレスを与え、慢性頭痛症等を生じさせた行為は、傷害罪の実行行為に当たるとされた事例

平16(あ)2145号

223 H17.3.29

自動車の通行を目的とする通行地役権を有する者が、当該通行地役権の設定された通路(位置指定道路)上に恒常的に車両を駐車する者に対して、道路の目的外に使用する行為の禁止及び通行妨害行為の禁止を求めた事案において、通行妨害の禁止請求が認容された事例

平15(受)1590号

RETIO 62-046

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224 H17.3.10

賃借人の要望により建築された他用途転用の困難な建物の賃貸借に関し、賃貸人の将来にわたる安定賃料の収受等を目的として3年毎の賃料増額特約が付されていた場合において、賃料減額請求の当否の判断に当たり、専ら公租公課の上昇及び賃借人の経営状態のみを参酌し、借地借家法32条1項所定の他の重要な事情を参酌せず、賃借人の賃料減額請求の行使を否定した原審の判断には違法があるとされた事例

平14(受)1954号

RETIO 64-054

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225 H17.3.10

土地の賃借人が同土地を無断で転貸し、転借人が同土地に産業廃棄物を不法に投棄したという事実関係の下では、賃借人は、賃貸借契約の終了に基づく原状回復義務として、産業廃棄物を撤去すべき義務を負うとした事例

平14(受)1565号

RETIO 64-052

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226 H17.3.10

抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり、抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産に適切に維持管理することが期待できない場合には、抵当権者は、占有者に対し、直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができると判示した事例 (控訴審 H13.1.30 東京高裁 RETIO54-64)

平13(オ)656号

RETIO 62-044

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227 H17.2.22

動産売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後においては、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできないとした事例

平16(受)1271号

228 H17.1.27

不動産を目的とする1個の抵当権が数個の債権を担保し、そのうちの1個の債権のみについての保証人が当該債権に係る残債務全額につき代位弁済した場合において、当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときには、特段の合意がない限り、売却代金につき債権者が有する残債権額と保証人が代位によって取得した債権額に応じて案分して弁済を受けるとされた事例

平16(受)1019号

229 H16.12.10

民事執行法上の競売手続により宅地又は建物を買い受ける行為は、宅地建物取引業法2条2号にいう宅地又は建物の「売買」に当たるとされた事例

平16(あ)1065号

RETIO 127-113

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230 H16.11.26

宅地建物取引業保証協会が、宅地建物取引業者からの入会申込みに対し、宅地建物取引業協会の会員でなければならないとする資格要件を満たしていないことを理由に入会拒否をしたことについて、当該宅地建物取引業者が会員たる資格を有する地位にあることの確認と、不法行為による損害賠償を求めた事案において、上記要件を満たしていないことを理由にこれを拒否したことが不法行為には当らないとした事

平15(受)1710号

RETIO 62-042

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231 H16.11.18

公団住宅の建替事業において、分譲住宅の売主(公団)が団地の賃借人で建替え後の住宅を購入する買主に対し、買主の意思決定の上で重要な価格の適否に関する事実について説明をしなかったことに対する買主の慰謝料請求が認められた事例

平16(受)482号

RETIO 62-040

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232 H16.11.8

サブリース契約につき、借地借家法32条による賃料減額請求権の適用が認められるとされ、一方で賃料減額請求の当否及び相当賃料額の判断に当たっては、業務委託協定及び賃貸借契約の賃料自動増額特約の存在は賃料決定の際の重要な要素と解されるので十分考慮すべきとされた事例

平15(受)869号

RETIO 60-026

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233 H16.10.29

別荘地の不動産取得税につき、賦課決定の基礎となった固定資産税課税台帳登録価格が、急傾斜地である土地の現況を無視した評価であるとして、原審判決を破棄し差し戻した事例

平13(行ヒ)224号

234 H16.10.29

土地を造成し宅地分譲を行うに当たり、地方公共団体から都市計画法上の同意権を背景として開発区域外の排水路の改修工事を行うよう指導された場合において、その費用の見積金額を「当該事業年度の収益に係る売上原価」の額として損金算入することができるとされた事例

平12(あ)1714号

235 H16.7.13

農地所有者が、その土地を耕作して占有する者に行った明渡し請求に対し、占有者が、本件土地は先代が賃借権を時効取得したものを相続したものであるとした事案において、農地の賃借権の時効取得については、農地法3条の規定の適用はなく、知事等の許可がなくても時効取得が認められるとされた事例

平14(受)1459号

RETIO 61-072

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236 H16.7.7

根抵当権放棄の対価が、根抵当権者が相当と認めた金額であっても、当該支払いは根抵当権目的不動産の第三者への正規売却に伴うものとの誤信がなければ、根抵当権の放棄に応じなかったにもかかわらず、根抵当権設定者が、真実は自己の支配会社への売却であることを秘し、根抵当権者を欺き誤信させ、根抵当権を放棄させてその抹消登記を了した場合には、刑法246条2項の詐欺罪が成立するとした事例

平13(あ)1839号

237 H16.7.6

共同相続人が、他の共同相続人に対し、その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えにつき、固有必要的共同訴訟であるとした事例

平15(受)1153号

238 H16.6.29

賃料の増減額請求権に関する借地借家法の規定は強行規定であり、「消費者物価指数が下降しても賃料の減額はしない」とする旨の特約がある場合でも、賃料の増減額請求権の行使が妨げられることはないとした事例

平15(受)751号

RETIO 60-024

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239 H16.6.8

土地売買契約の当事者双方から所有権移転登記手続についての代理を嘱託された司法書士が、本件土地について実体的所有関係を確定することができない等と述べて嘱託を拒んだことにつき、正当な事由がないとして、土地売主の司法書士に対する損害賠償請求が一部容認された事例

平15(受)709号

RETIO 61-070

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240 H16.4.27

身体への蓄積により人の健康を害する物質による損害など、不法行為により発生する損害の性質上、加害行為終了後相当の期間を経て損害が発生する場合には、「不法行為の時」と規定される損害賠償請求権の除斥期間の起算点は、当該損害の全部又は一部が発生した時が除斥期間の起算点となるとされた事例

平13(受)1760号

241 H16.4.23

マンション管理組合が組合員である区分所有者に対して前所有者の延滞していた管理費及び特別修繕費を請求したのに対し、管理費等に係る債権が5年間の短期消滅時効を定める民法169条所定の定期給付債権に当たり、5年を経過した部分は時効により消滅しているとの区分所有者の主張が認容された事例(控訴審 H13.10.31 東京高裁 RETIO53-86)

平14(受)248号

RETIO 59-054

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242 H16.4.23

東京都が自動販売機を都道にはみ出し設置した者に対して、占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を行使しないと判断したことが違法ではないとされた事例

平12(行ヒ)246号

243 H16.4.20

相続財産である可分債権につき共同相続人の一人がその相続分を超えて債権を行使した場合、他の共同相続人は不法行為に基づく損害賠償または不当利得の返還を求めることができるとされた事例

平15(受)670号

244 H15.12.9

地震保険加入の意思決定は、生命、身体等の人格的利益に関するものではなく、財産的利益に関するものであることに鑑みると、特段の事情が存しない限り、火災保険契約締結に際して、火災保険会社は保険契約者に対し地震保険の内容等に関する情報提供をすべき信義則上の義務はないとした事例

平14(受)218号

245 H15.11.14

建築確認申請書に自己が工事監理を行う旨の実体に沿わない記載をした一級建築士が建築主に工事監理者の変更の届出をさせる等の適切な措置を執らずに放置した行為が、当該建築主から瑕疵のある建物を購入した者に対する不法行為になるとされた事例

平12(受)1711号

RETIO 58-054

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246 H15.11.11

不動産競売手続きにおいて、入札書の入札価額欄の一の位が空欄となっている場合において、一の位の数字が何であっても他の入札書の入札価額より高額となる場合であっても、当該入札は無効とすべきものとされた事例

平15(許)23号

247 H15.11.7

金融機関の従業員が顧客に対し融資を受けて宅地を購入するように勧誘する際に、当該宅地が接道要件を具備していないことを説明しなかったことが、当該宅地を購入した顧客に対する不法行為を構成するとはいえないとされた事例

平14(受)458号

RETIO 59-052

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248 H15.10.31

不動産の時効取得を原因とする所有権移転登記前に、前所有者によって設定された抵当権に対抗するため、起算点を後にずらして抵当権設定登記後の時効取得を主張・援用することができないとされた事例

平12(受)1589号

249 H15.10.23

サブリース契約においても借地借家法34条の適用があるが、賃料増減額請求の当否や賃料相当額の判断にあたっては、契約当事者が賃料額決定の要素とした事情を総合的に考慮すべきとされた事例
(差戻後控訴審 H16.12.22 東京高裁 原判決変更 RETIO62-54)

平14(受)852号

250 H15.10.21

サブリース契約につき、借地借家法32条の規定は適用されうるとし、一方で賃料減額請求の当否及び相当賃料額を判断するに当たっては、当該サブリース契約において賃料額決定の重要な要素とされた事情等を十分に考慮すべきであると判示した事例

平12(受)573号

RETIO 56-066

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251 H15.10.21

サブリース契約にも借地借家法32条が適用されるが、建物賃貸借契約の当事者は契約に基づく使用収益の開始前に、同条に基づいて当初賃料の額の増減を求めることはできないとされた事例

平12(受)123号

252 H15.10.10

耐震性の高い建物とするため主柱に特に太い鉄骨を使用することが重要な内容である建物建築工事の請負契約において、建物請負業者が注文主に無断で約定の太さの鉄骨を使用しなかったことは、使用された鉄骨が、構造計算上居住用建物としての安全性を備えていたとしても、当該主柱工事は瑕疵にあたるとされた事例

平15(受)377号

RETIO 58-052

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253 H15.7.18

評価基準に従い決定した固定資産課税台帳登録の家屋の価格は、評価基準が定める評価方法によっては再建築費を適切に算定することができない特別の事情又は評価基準が定める減点補正を超える減価を要する特別の事情の存しない限り、その適正な時価であると推認するのが相当であるとし、登録価格が適正な時価を超えるとした原審の判断に違法があったとした事例

平11(行ヒ)182号

254 H15.7.11

不動産の共有者の1人は、共有不動産について実体上の権利を有しないのに持分移転登記を経由している者に対し、単独でその持分移転登記の抹消登記手続を請求することができるとされた事例

平13(受)320号

RETIO 58-050

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255 H15.7.3

配当異議の訴えにおいて、競売申立書における被担保債権の記載が錯誤、誤記等に基づくものであること及び真実の被担保債権の額が立証されたときは、真実の権利関係に即した配当表への変更を求めることができるとした事例

平14(受)1873号

256 H15.6.26

土地課税台帳等に登録された土地の価格が、賦課期日における当該土地の客観的な交換価値を上回れば、当該価格の決定は違法となるとして、賦課期日における宅地の価格の決定に適正な時価を超える違法があるとされた事例

平10(行ヒ)41号

257 H15.6.13

不動産の所有者から交付を受けた登記済証、白紙委任状等を利用して不実の所有権移転登記がされた場合において、所有者が虚偽の外観の作出に関与しておらず、放置していたとも言えないとして、所有者に対し所有権が移転したことを善意無過失の第三者が対抗し得ないとされた事例

平14(受)1008号

RETIO 57-134

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258 H15.6.12

地代等自動改定特約において、地代等の改定基準の基礎とした事情が失われることにより、同特約により地代等の額を定めることが借地借家法11条1項の規定の趣旨に照らし不相当となった場合には、同特約の適用を争う当事者は、同特約に拘束されず、同条項に基づく地代等増減請求権の行使が可能とされた事例

平14(受)689号

RETIO 57-148

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259 H15.4.23

委託を受けて他人の不動産を占有する者がほしいままに売却等による所有権移転行為を行った場合に、先行の抵当権設定行為が存在することは、後行の所有権移転行為について横領罪が成立することを妨げないとされた事例

平13(あ)746号

260 H15.4.18

法律行為が公序に反することを目的とするものであるとして無効になるかどうかは、法律行為がされた時点の公序に照らして判断すべきとされた事例

平11(受)1519号

261 H15.4.11

入会地の売却代金債権が、入会権者らに総有的に帰属するとし、各入会権者が同代金債権について持分に応じた分割債権を取得したということはできないとされた事例

平13(受)505号

262 H15.3.14

破産終結決定がされて法人格が消滅した会社を主債務者とする保証人は、主債務についての消滅時効が会社の法人格の消滅後に完成したことを主張してこれを援用することはできないとした事例

平13(受)751号

263 H14.10.25

民事訴訟法113条の類推適用により、競売開始決定の公示送達による送達が、被担保債権の時効中断事由である差押えの通知としての効力を有するとされた事例

平14(許)11号

264 H14.10.22

共同抵当の不動産の価額を同時に配当する場合に、同順位の抵当権者がいる不動産があるときは、まずそれぞれの被担保債権額に応じて、同順位の抵当権者がいる不動産の価額を按分し、按分後の各不動産の価額に応じて申立人の被担保債権を割り付けるべきものとされた事例

平13(受)1567号

265 H14.10.15

造成地内の土地所有者が、当該土地の前面から公設の上下水道管に至る給排水施設を設置した者に対し、当該施設の使用許諾を求めた事案において、民法220条及び221条の類推適用により、その請求が認められた事例

平13(受)1841号

RETIO 56-049

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266 H14.9.24

建物の建築請負工事に基づいて建築された建物に重大な瑕疵があるために、これを建替えざるを得ないとして、請負人に対して建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を命じた事例

平14(受)605号

RETIO 57-138

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267 H14.9.24

ワープロを操作して秘密証書遺言の遺言書の表題及び本文を入力し印字した者が民法970条1項3号にいう筆者であるとされた事例

平14(受)432号

268 H14.9.12

借入金を所定の期日までに返済しない場合には債務者所有の土地を債権者名義に変更し、第三者に売り渡すことを承諾する旨の契約が譲渡担保契約であるとされた事例

平13(受)1461号(裁判所HP未登載)

RETIO 54-082

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269 H14.9.12

サブリース契約における賃貸借予約契約において、賃貸借条件に関する協議条項が置かれている場合に、賃借人の賃料減額の申入れが、当該条項に基づく協議の申入れであって、借地借家法32条に基づく賃料減額請求権の行使とは認められないとされた事例 (控訴審 H13.3.28 東京高裁 RETIO52-80)

平13(受)1084号(裁判所HP未登載)

RETIO 53-044

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270 H14.7.12

遺言執行者が推定相続人の廃除を求める審判手続において、廃除を求められていない推定相続人が利害関係人として審判手続に参加した場合に、参加人は廃除の申立てを却下する審判に対して即時抗告をすることができないとされた事例

平14(許)2号

271 H14.7.11

特定の商品代金の立替払契約がいわゆる空クレジット契約である場合において、保証人の意思表示には法律行為の要素に錯誤があるとされた事例

平11(受)602号

272 H14.7.9

地方公共団体が建築工事の中止命令の名あて人に対して同工事を続行してはならない旨の裁判を求める訴えが不適法とされた事例

平10(行ツ)239号

273 H14.6.13

抵当権に基づく物上代位権の行使としてされた債権差押命令に対する執行抗告においては、被差押債権の不存在又は消滅を理由とすることはできないとした事例

平13(許)30号

274 H14.6.11

土地収用法71条は憲法29条3項に違反するものではないとされた事例

平10(行ツ)158号

275 H14.6.10

特定の遺産を「相続させる」旨の遺言により特定の不動産を取得した者は、登記なしにその取得を他の相続人及び他の相続人から当該不動産に関する権利の移転・設定を受けた第三者に対抗できるとされた事例

平11(受)271号

276 H14.6.7

債権に対する仮差押えの執行後に本執行がされた場合において、仮差押命令及びその執行の申立てが取り下げられたときは、第三債務者は、仮差押えの執行後本執行前にした被差押債権の弁済をもって差押債権者に対抗することができるとした事例

平13(受)1662号

277 H14.4.5

土石の捨場として使用されていた農地の売主が、その後買主によって行われた同土地の非農地への造成、転用を完成させる行為に共同正犯として関与したときは、農地法4条1項違反の罪と同法5条1項違反の罪の双方が成立するとした事例

平12(あ)585号

278 H14.3.28

・総合設計許可に係る建築物により、日照を阻害される周辺の他の建築物に居住する者は、同許可の取消訴訟の原告適格を有するとした事例
・都市計画道路が完成し供用が開始された場合においては、建築基準法施行令131条の2第2項に基づく認定処分の取消しを求める訴えの利益は失われるとした事例

平9(行ツ)159号

279 H14.3.28

抵当不動産について敷金の授受された賃貸借(転貸借)契約が締結されていたが、抵当権者が物上代位権を行使して転貸賃料債権を差押え、取立権に基づき転借人に対しその支払を求めた事案において、当該転貸借契約が終了して目的物が明け渡された後は、賃料債権は敷金の充当によりその限度で消滅するとした事例

平12(受)836号

RETIO 53-072

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280 H14.3.28

転貸により収益を得ることを目的として締結された事業用ビルの賃貸借契約が、賃借人の更新拒絶により終了しても、賃貸人が再転借人に対し信義則上その終了を対抗することができないとされた事例

平11(受)1220号

RETIO 53-078

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281 H14.3.12

抵当権の物上代位の目的となる債権に対する転付命令は、これが第三債務者に送達される時までに抵当権者により当該債権の差押えがされなかったときは、その効力を妨げられないとした事例

平12(受)890号

RETIO 53-074

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282 H14.2.28

不活動仮眠時間であっても、労働からの解放が保証されていない場合は労基法上の労働時間に該当するとされた事例

平9(オ)608号

283 H14.1.22

他人の権利を譲り受けて訴訟等の手段によってその権利の実行をすることを業とする行為であっても、みだりに訴訟を誘発するなど国民の法律生活上の利益に対する弊害が生ずるおそれがなく、社会的経済的に正当な業務の範囲内にあると認められる場合には、弁護士法73条に違反するものではないとされた事例

平12(受)828号

284 H14.1.22

総合設計許可に係る建築物の倒壊、炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者は、総合設計許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有するとした事例

平9(行ツ)7号

285 H14.1.22

差押えの登記前に登記された先取特権者の優先弁済権は、工事により生じた増価額が、不動産競売手続における評価人の評価又は最低売却価額に反映されているか否かにより影響を受けるものでないとされた事例

平11(受)1244号

286 H14.1.17

告示により一括して指定される方法でされた建築基準法42条2項道路の指定も、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとした事例 (差戻前控訴審 H10.6.17 大阪高裁 破棄差戻 RETIO43-89 差戻後控訴審 H14.10.16 大阪高裁 控訴棄却 RETIO56-51)

平10(行ヒ)49号

RETIO 54-076

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287 H13.11.27

土地のいわゆる実測売買において、測量会社の過誤により契約書に表示された面積より実際の面積が過大であった場合、売主の買主に対する民法565条の類推適用による代金の増額請求は認められないとされた事例

平12(受)375号

RETIO 52-061

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288 H13.11.27

弁済供託における供託金取戻請求権の消滅時効は、供託者が免責の効果を受ける必要が消滅した時から進行するとして、賃料債務についてされた弁済供託につき、賃料債務の弁済期の翌日から民法169条(定期給付債権の短期消滅時効)所定の5年間の時効期間が経過した時、さらにそれから10年が経過することによって消滅時効が完成すると判示した事例

平10(行ツ)22号

RETIO 52-057

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289 H13.11.27

購入土地の一部について道路位置指定がなされていたことは瑕疵にあたるとして、買主が売主に対し損害賠償を請求した事案において、瑕疵担保による損害賠償請求権の消滅時効は買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行するとして、10年経過による消滅時効により買主の請求を棄却した事例

平10(オ)773号

RETIO 52-018

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290 H13.11.27

指名債権譲渡の予約につき確定日付のある証書により債務者に対する通知又は承諾がされても、債務者は、これにより予約完結権の行使により当該債権の帰属が将来変更される可能性を了知するに止まり、指名債権譲渡の予約の完結による債権譲渡の効力は、当該予約の通知又は承諾をもって、第三者に対抗することはできないとされた事例

平10(オ)331号

291 H13.11.22

公簿面積を表示した売買契約により土地を購入した買主が、目的物件の実測面積が公簿面積に満たなかったとして、売主に対して売買代金の減額を求めた事案において、本件契約の代金額に関する交渉経緯等から民法565条にいう数量指示売買に当たるとして、買主の減額請求を認容した事例

平12(受)372号

RETIO 52-059

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292 H13.11.22

遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、これを第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができないとされた事例

平10(オ)989号

293 H13.11.21

裁判所は、借地借家法20条に基づく許可の裁判をする場合において、同条1項後段の付随的裁判として、相当な額の敷金を差し入れるべき旨を定め、その交付を命ずることができるとした事例

平13(許)20号

RETIO 52-082

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294 H13.10.26

農地転用許可を停止条件とする土地売買につき、転用許可手続未了であっても、代金を支払い、引渡しを受けた時点で自主占有が開始されたものとした事例

平13(受)94号

295 H13.10.25

抵当権に基づき物上代位権を行使する債権者は、他の債権者による債権差押事件に配当要求をすることによって優先弁済を受けることはできないとした事例

平13(受)91号

RETIO 53-076

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296 H13.7.19

請負人が欺罔手段を用い請負代金を不当に早く受領したことをもって刑法246条1項の詐欺罪が成立するというためには、欺罔手段を用いなかった場合に得られたであろう請負代金の支払とは社会通念上別個の支払に当たるといい得る程度の期間支払時期を早めたものであることを要するとした事例

平10(あ)806号

297 H13.7.10

被相続人の占有により取得時効が完成した場合において、その共同相続人の1人は、自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用することができるとした事例

平11(受)223号

298 H13.7.10

共同相続人間においてされた相続分の譲渡に伴って生ずる農地の権利移転については、農地法3条1項の許可を要しないとされた事例

平11(行ヒ)24号

299 H13.4.13

不動産競売において、抵当権の不存在又は消滅を理由として売却許可決定に対する執行抗告をすることはできないとされた事例

平12(許)52号

300 H13.3.28

宅地並み課税の税負担は、値上がり益を享受している農地所有者が資産維持の経費として担うべきと解され、小作料は農地の使用収益の対価であることから、小作地において固定資産税等の宅地並み課税を理由とする小作料の増額請求をすることはできないとされた事例

平8(オ)232号

301 H13.3.27

遺言公正証書の作成に当たり、当該遺言の証人の欠格事由に該当する者が同席していたとしても、この者によって遺言の内容が左右されたり、遺言者が自己の真意に基づいて遺言をすることを妨げられたりするなど特段の事情のない限り、同遺言が無効となるものではないとされた事例

平10(オ)1037号

302 H13.3.13

抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできないとした事例

平11(受)1345号

RETIO 49-071

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303 H13.3.13

遺言者の住所のみをもって表示された不動産の遺贈の解釈として、同所の建物のみの遺贈と解すべきではなく、土地及び建物一体の遺贈と解されるとされた事例

平10(オ)936号

304 H13.2.22

民法564条規定の、売主の担保責任の除斥期間の起算点である「事実を知った時」とは、買主が売主に対し民法563条又は565条規定の担保責任を追及し得る程度に確実な事実関係を認識した時をいうとした事例

平11(オ)1261号

RETIO 50-080

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305 H13.1.25

最先順位の抵当権者に対抗できる賃借権者は、その者の債務を担保する抵当権に基づく競売開始決定がなされた場合を除き、民事執行法83条に基づく引渡命令の対象とならないとされた事例

平12(許)22号

306 H12.12.19

建物に抵当権を設定した者がその敷地の賃借権を有しない場合、競売による建物の買受人は、民法94条第2項、第110条により建物の所有権を取得するときでも、敷地の賃借権自体について同法理により保護される事情等がない限り、建物の所有権とともに敷地の賃借権を取得するものではないとした事例

平11(受)1197号

RETIO 50-056

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307 H12.12.15

使用貸借における用法違反が、土地所有者の意思に反して占有の態様を質的に変化させ、その占有を新たに排除したとして不動産侵奪罪の成立が認められた事例

平12(あ)840号

308 H12.12.15

都職員の警告を無視して都公園予定地の一部に無権原で簡易建物を構築し、相当期間撤去にも応じなかった行為が不動産の侵奪に当たるとされた事例

平12(あ)451号

309 H12.10.20

A社とその関連会社B社の代表を兼ねる取締役が、B社救済の目的で同社所有不動産を不当に高額でA社に購入させ損害を与えたとして、A社の株主が株主代表訴訟を提起した事案において、取締役に商法266条1項4号の責任のほか、同法266条1項5号の責任をも負うとした事例

平10(オ)920号

310 H12.7.12

相手方の同意を得ないで相手方との会話を録音したテープの証拠能力が認められた事例

平11(あ)96号

311 H12.7.11

受贈者又は受遺者は、遺留分減殺の対象とされた贈与又は遺贈の目的である各個の財産について、民法1041条1項に基づき価額を弁償して、その返還義務を免れることができるとした事例

平11(受)385号

312 H12.5.30

共同相続人の一部の者が、遺留分減殺請求権の行使により受贈者から取得すべき持分を超える持分を有償で受贈者から取得した場合において、その持分取得に係る登記は相続登記の更正登記の手続により行うことはできないとされた事例

平10(オ)994号

313 H12.4.14

抵当権者は、抵当不動産の賃借人と所有者とを同視できる場合を除き、賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位を行使することはできないとされた事例

平11(許)23号

RETIO 47-028

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314 H12.4.7

共有地を一部の共有者が他の共有者を排除して占有している場合において、排除された共有者は、当該一部の共有者に対し明渡請求をすることはできないが、共有持分に応じた地代相当額の不当利得返還請求又は損害賠償請求ができるとされた事例

平9(オ)1876号

315 H12.3.24

長時間にわたる残業を恒常的に伴う業務に従事していた従業員がうつ病にり患し、衝動的、突発的に自殺した事案において、使用者に民法715条に基づく損害賠償責任が認められた事例

平10(オ)217号

316 H12.3.21

マンションの特定の区分所有者の専用に供される排水管の枝管が、その階下の区分所有建物の天井裏に設置されている場合に、排水管の機能、管理及び建物全体の排水との関連などを総合判断して、共用部分にあたるとされた事例 (控訴審 H9.5.15 東京高裁 RETIO39-56)

平9(オ)1927号

317 H12.3.17

墓地計画地より300mに満たない地域に敷地がある住民等に、墓地経営許可の取消訴訟の原告適格性はないとされた事例

平10(行ツ)10号

318 H12.3.16

抵当権の実行としての競売のための差押えに先行して設定された短期賃借権であっても、その設定が国税徴収法に基づく滞納処分による差押えの後の場合には、賃借人は競売による買受人に対し賃借権を対抗できないとされた事例

平11(許)39号

319 H12.3.10

内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、民法768条(財産分与)の規定を類推適用することはできないとした事例

平11(許)18号

320 H12.2.24

民法903条1項により算定されるいわゆる具体的相続分の価額又はその価額の遺産の総額に対する割合の確認を求める訴えは、確認の利益を欠くものとして不適法であるとした事例

平11(受)110号

321 H12.1.27

渉外親子関係の成立の判断は、まず嫡出親子関係の成立についてその準拠法を適用し、嫡出親子関係が否定された場合には、嫡出以外の親子関係の成立についてその準拠法を適用して行うとされた事例

平7(オ)1203号

322 H12.1.27

建築基準法42条2項規定の道路に接する土地の所有者が、道路の所有者が道路内に設置した自動車通行を妨害する金属製ポールの撤去を求めた事案において、専ら徒歩または二輪車による通行に供されていた未舗装の道路であること等から請求者の通行地役権は自動車通行を目的とするものではないとして、その請求を棄却した事例

平8(オ)1248号

RETIO 46-055

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323 H12.1.27

共同相続された不動産につき、被相続人から相続人以外の第三者に直接所有権移転登記が経由された場合につき、共同相続人の1人が自己の持分の登記名義を回復するには、更正登記手続によることはできす、真正な登記名義の回復の手続によるべきものとされた事例

平11(オ)773号

324 H11.12.16

いわゆる「相続させる」遺言について、特定の不動産の所有権移転登記を指定された相続人に取得されることが、遺言執行人の職務権限に属するとされた事例

平10(オ)1499号

325 H11.12.9

建物賃借人が土地に産業廃棄物を大量に廃棄・堆積した行為が、土地所有者に対する不動産侵奪罪を構成するとされた事例

平9(あ)1054号

326 H11.11.30

買戻権の行使による抵当権の遡及的消滅は売買当事者間でのみ効果を有するに過ぎず、目的不動産の抵当権者は、買主の買戻代金債権に対し、物上代位権を行使することができるとされた事例

平10(受)407号

327 H11.11.25

建築請負人からの注文者に対する請負契約に係る建物の所有権保存登記抹消登記手続請求訴訟の提起は、請負代金債権の消滅時効中断事由である裁判上の請求に準ずるものとはいえず、訴訟の係属中の請負代金について催告が継続していたということもできないとした事例

平8(オ)718号

328 H11.11.25

都市計画法に基づく環状六号線道路拡幅事業の認可処分及び首都高速道路公団に対する中央環状新宿線建設事業の承認処分の取消訴訟において、事業地の周辺地域に居住し、又は通勤、通学しているが事業地内の不動産につき権利を有しない者は、処分の取消しを求める原告適格を有しないとした事例

平8(行ツ)76号

329 H11.11.24

抵当権者が権利の目的である建物の所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使して、直接抵当権者に建物を明け渡すよう求めることができるとされた事例

平8(オ)1697号

RETIO 45-043

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330 H11.11.9

主債務者である破産者が免責決定を受けた場合に、免責決定の効力の及ぶ債務の保証人は、その債権についての消滅時効を援用することができないとされた事例

平9(オ)426号

331 H11.11.9

土地の共有者のうちに境界確定の訴えを提起することに同調しない者がいる場合には、その余の共有者は、隣接する土地の所有者と訴えを提起することに同調しない者とを被告にして訴えを提起することができるとした事例

平9(オ)873号

332 H11.10.26

開発行為に関する工事が完了し検査済証が交付された時点においては、予定建物の建築確認がされていないとしても開発許可の取消しを求める訴えはできないとした事例

平9(行ツ)24号

333 H11.10.26

強制競売の対象となった土地上に件外建物が存在する場合でも、特段の事情がない限り、裁判所は当該土地の全部について引渡命令を発することができるとされた事例

平11(許)25号

334 H11.10.21

後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することはできないとされた事例

平9(オ)1771号

335 H11.9.9

・極度額を超える金額の被担保債権を請求債権とする根抵当権の実行がされた場合、被担保債権の消滅時効中断の効力は、当該極度額の範囲にとどまらず、請求債権として表示された当該被担保債権の全部について生じるとした事例
・債務者に対する被担保債権の消滅時効中断の効力が生じた後、不動産競売の申立ての取下げがされた場合、時効中断の効力は、初めから生じなかったことになるとした事例

平8(オ)2422号

336 H11.7.19

共同相続人相互の間で一部の者が他の者を共同相続人でないとしてその相続権を侵害している場合において、相続回復請求権の消滅時効を援用しようとする者は、真正共同相続人の相続権を侵害している共同相続人が、当該相続権侵害の開始時点において、他に共同相続人がいることを知らず、かつ、これを知らなかったことに合理的な事由があったことを立証しなければならないとした事例

平7(オ)2468号

337 H11.7.13

公道に1.45m接する土地の上に建築基準法施行前から存在した建物を取り壊した場合において、同土地所有者が建築基準法の接道義務の基準を充たすために隣地に幅員0.55mの囲繞地通行権が存するとの主張は認められないとされた事例

平8(オ)539号

RETIO 44-032

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338 H11.6.29

事業団融資を条件として売買契約を締結し、手付金を約束手形で交付したが、同融資が拒絶された場合において、買主が故意に解除条件の成就を作出したかについて判断をしていない遺脱があるとして、ローン特約による解除を認めた原審判決を破棄差戻しとした事例

平10(オ)2189号

RETIO 44-076

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339 H11.6.24

遺留分減殺の対象としての要件を満たす贈与を受けた者が、取得時効を援用したとしても、贈与に対する減殺請求による遺留分権利者への目的物についての権利の帰属は妨げられないとした事例

平8(オ)2292号

340 H11.6.11

遺言者の生存中に推定相続人が提起した遺贈を内容とする遺言の無効確認の訴えは、遺言者が心神喪失の常況にあって、遺言者による当該遺言の取消し又は変更の可能性が事実上ないとしても、不適法であるとした事例

平7(オ)1631号

341 H11.6.11

共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となり得るとした事例

平10(オ)1077号

342 H11.6.10

相続財産に属する特定の財産を計算の基礎としない相続税の期限内申告書が提出された場合において、納税者が当該財産が相続財産に属さないか又は属する可能性が小さいことを客観的に裏付けるに足りる事実を認識して期限内申告書を提出したときは、国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとされた事例

平8(行ツ)54号

343 H11.4.27

不動産競売手続きにおいて債務名義の正本を有する債権者がする配当要求は、配当要求に係る債権の消滅時効を中断する効力があるとされた事例

平9(オ)2037号

344 H11.4.22

共有に係る土地及び借地権につき、全面的価格賠償方式による分割を認めた事例

平9(オ)1104号

345 H11.3.25

売買により賃貸建物の所有権を買主に移転した場合は、特段の事情のない限り、建物賃貸人の地位、建物賃借人の敷金に関する権利義務は、買主に移転、承継され、建物前所有者と新所有者間の賃貸人の地位留保の合意があったとしても、同合意は当事者間においてのみ有効でそれを知らない賃借人には対抗できないとして、建物賃借人の新所有者への敷金返還請求が認められた事例

平7(オ)1705号

346 H11.3.11

月一回元利金を返済する消費貸借契約において、返済期日を単に「毎月X日」と定め、その日が日曜日などの休日に当たる場合の取扱いを定めていなかった場合には、特段の事情がない限り、契約当事者間にX日が休日であるときはその翌営業日を返済期日とする旨の黙示の合意があったと推認されるとされた事例

平10(オ)1465号

347 H11.3.10

廃棄物処理法における「不要物」とは、自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要となった物をいい、これに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び事業者の意思等を総合的に勘案して決するとした事例

平9(あ)105号

348 H11.3.9

・被相続人の生存中になされた相続人への売買を原因とする所有権移転登記は、被相続人の死亡後に、相続を原因とするものに更正することはできないとした事例
・被相続人の生存中に所有不動産につき、共同相続人である甲に対して仮空の売買を原因として所有権転移登記がされ、甲が第三者乙のために抵当権設定登記をした場合には、被相続人の死亡後他の相続人は、甲に対しては真正な登記名義の回復を原因とする持分の移転登記手続を、乙に対しては甲の持分についての抵当権設定登記に改める更正登記手続を請求できるとした事例

平9(オ)953号

349 H11.2.26

甲地のうち、乙地との境界全部に接続する部分をAが、残部分をBがそれぞれ譲り受けた場合において、甲乙両地の境界に争いがあり、この確定によってA及びBがそれぞれ取得した土地の範囲の特定が可能になるという事実関係においては、A及びBは甲乙両地の境界確定の訴えの当事者適格を有するとした事例

平9(オ)104号

350 H11.2.26

譲渡担保権者から被担保債権の弁済期後に譲渡担保権の目的物を譲り受けた第三者は、譲渡担保権設定者が譲渡担保権者に対して有する清算金支払請求権につき、消滅時効を援用することができるとした事例

平7(オ)690号

351 H11.2.25

木造建物の所有を目的とする土地の使用貸借について、契約締結後約38年8カ月を経過し、この間に貸主と借主の間の人的つながりの状況が著しく変化しているという事実関係の下では、使用収益をするのに足りるべき期間の経過を否定できないとした事例

平10(オ)513号

352 H11.2.23

やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の組合契約における約定は、無効であるとした事例

平7(オ)1747号

353 H11.1.22

都市計画法43条1項6号ロにいう「市街化調整区域に関する都市計画が決定され…た際すでに宅地であった土地」とは、市街化調整区域指定時に宅地であり、かつ、それ以降継続して宅地であることを要するとされた事例

平10(行ツ)114号(裁判所HP未登載)

RETIO 45-069

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354 H11.1.21

水道事業者である町が水道水の需要の増加を抑制するため、マンション分譲業者との給水契約の締結を拒否したことに、水道法15条1項にいう「正当の理由」があるとされた事例

平7(オ)2122号

355 H11.1.21

建物賃貸借契約継続中に賃借人が賃貸人に対して敷金返還請求権の存在確認を求める訴えにつき確認の利益があるとされた事例

平7(オ)1445号

356 H11.1.21

相続債権者は、被相続人から抵当権の設定を受けていても、被相続人の死亡前に仮登記がされていた場合を除き、相続財産人に対して抵当権設定登記手続を請求することができず、限定承認がされた場合における限定承認者に対する設定登記手続請求も、これと同様であるとした事例

平10(受)5号

357 H10.12.18

通行地役権の承役地の譲受人が地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない場合には、地役権者は、譲受人に対し、同権利に基づいて地役権設定登記手続を請求することができるとした事例

平8(オ)2343号

358 H10.12.17

不法行為に基づく損害賠償請求訴訟の係属によって不当利得返還請求権の消滅時効が中断するとされた事例

平6(オ)857号

359 H10.12.17

パチンコ屋の近隣住民が、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律3条1項に基づいてなされた営業許可が違法であるとしてその取消しを求めた事案において、近隣住民らに当該営業の許可処分の取消しを求める訴えの原告適格を有しないとした事例

平8(行ツ)271号

360 H10.11.25

相互銀行の役員らが、土地の購入資金及び開発資金等の融資をするにあたり、担保が大幅に不足し、回収困難に陥るおそれが明らかであり、当該融資の必要性、緊急性が認められず、第三者の利益を図る目的があったとして、特別背任罪の成立を認めた事例

平7(あ)246号

RETIO 43-091

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361 H10.11.24

・仮差押えによる時効中断の効力は、仮差押えの執行保全の効力が存続する間は継続するとした事例
・仮差押えの被保全債権につき勝訴判決が確定したとしても、仮差押えによる時効中断の効力は消滅しないとした事例

平7(オ)1413号

362 H10.11.20

一部区分所有者のマンション駐車場の無償の専用使用権につき、当該利害関係者の同意を得ずに行った当該専用使用権を消滅させる集会決議が無効とされ、無償の専用使用権を有償化する集会決議は有効であるとして、その負担額につき審議を差し戻した事例 (差戻後控訴審 H13.1.30 東京高裁 RETIO56-77)

平8(オ)1362号

363 H10.11.12

市がその施行する土地区画整理事業において、取得した保留地を随意契約の方法により売却する行為は、「財産の処分」及び「契約の締結」に当たり、住民訴訟の対象となるとした事例

平6(行ツ)239号

364 H10.11.4

不動産の競売における入札により最高価買受申出人となった者に対し、威力を用いてその入札に基づく不動産の取得を断念するよう要求したときは、競売入札妨害罪が成立するとした事例

平8(あ)235号

365 H10.10.30

マンション駐車場の専用使用権分譲の対価が分譲業者に帰属すべきものとされた事例

平8(オ)1881号

366 H10.10.30

マンション駐車場の専用使用権を有する区分所有者が増額された使用料の支払に応じないことを理由としてされた駐車場使用契約の解除の効力が否定された事例

平8(オ)258号

367 H10.10.22

マンション駐車場の専用使用権分譲の対価が分譲業者に帰属すべきものとされた事例

平8(オ)1559号

368 H10.9.3

居住用の家屋の賃貸借においていわゆる敷引特約がされた場合において、災害により賃借家屋が滅失し、賃貸借契約が終了したときは、特段の事情がない限り敷引特約を適用することはできず、賃貸人は賃借人に対し敷引金を返還すべきとされた事例

平9(オ)1446号

RETIO 41-048

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369 H10.7.17

本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではないとされた事例

平6(オ)1379号

370 H10.7.14

不動産競売の開始決定がされた不動産について、その売却の公正な実施を阻止するため、所有者との間で決定より前に短期賃貸借契約が締結されていた旨の内容虚偽の賃貸借契約書を裁判所に提出したときは、偽計による競売入札妨害罪が成立するとした事例

平10(あ)385号

371 H10.7.3

所有者が土地及び建物に共同抵当権を設定した後、建物が取り壊され、土地上に新たに建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたなどの特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しないとした事例

平9(オ)128号

372 H10.6.30

一個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えを提起している場合において、当該債権の残部を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、債権の分割行使をすることが訴訟上の権利の濫用に当たるなど特段の事情の存しない限り、許されるとされた事例

平6(オ)698号

373 H10.6.22

詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の債権の消滅時効を援用することができるとした事例

平6(オ)586号

374 H10.6.12

債権譲渡の通知は、詐害行為取消権行使の対象とすることができないとされた事例

平8(オ)1307号

375 H10.6.11

被相続人の全財産が相続人の一部の者に遺贈された場合において、遺留分減殺請求権を有する相続人が、遺贈の効力を争うことなく、遺産分割協議の申入れをしたときは、特段の事情のない限り、その申入れには遺留分減殺の意思表示が含まれているとした事例

平9(オ)685号

376 H10.6.11

宅地建物取引業保証協会が、その内部規約で宅建業法64条8に規定される弁済すべき債権に制限を加え、認証を拒絶することはできないとされた事例

平9(オ)243号

377 H10.4.24

土地の売買において買主の仮登記が付されたが、売買から20年以上経過した後に、売主が買主の仮登記を抹消した上で第三者に売却したため、買主が売主に対し債務不履行による損害賠償を求め、売主が消滅時効を主張し争った事案において、契約に基づく債務不履行による損害賠償請求権の消滅時効は、売買契約締結時から進行するとされた事例

平7(オ)2472号

378 H10.3.26

区分所有建物の動物の飼育を禁ずる規約は有効であるとされた事例

平10(オ)25号(裁判所HP未登載)

379 H10.3.26

債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、両者の優劣は、一般債権者の申立てによる差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決すべきであるとされた事例

平6(オ)1408号

380 H10.3.24

民法903条1項の定める相続人に対する贈与は、相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り、民法1030条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となるとされた事例

平9(オ)2117号

381 H10.3.24

共有者の一部が、他の共有者の同意を得ず共有物に変更を加えた場合において、他の共有者は、各自の共有持分権に基づき、同行為の全部禁止を求めることだけでなく、原状に復することが不能であるなどの特段の事情を除き、共有物を原状に復させることを求めることもできるとした事例

平8(オ)551号

382 H10.3.24

建物の賃料債権の差押えの効力が発生した後に、建物が譲渡され賃貸人の地位が譲受人に移転したとしても、譲受人は、建物の賃料債権を取得したことを差押債権者に対抗することができないとされた事例

平7(オ)514号

383 H10.3.13

民法969条に従い公正証書による遺言がされる場合において、証人は、遺言者が同条4号所定の署名及び押印をするに際しても、これに立ち会うことを要するとされた事例

平9(オ)218号

384 H10.3.10

遺留分権利者が減殺請求権を行使するよりも前に、減殺を受けるべき受遺者が遺贈の目的を他人に譲り渡した場合において、遺留分権利者に対して価額弁償すべき額は、譲渡の価額がその当時において客観的に相当と認められるものであったときは、その価額を基準として算定すべきとされた事例

平8(オ)20号

385 H10.2.27

いわゆる全面価格賠償の方法により共有物を分割することの許される特段の事情の存否について、審理判断することなく競売による分割をすべきものとした原審の判断に違法があるとされた事例

平7(オ)1684号

386 H10.2.27

遺言により特定の相続人に相続させるものとされた特定の不動産についての賃借権確認請求訴訟の被告適格を有する者は、遺言執行者があるときであっても、特段の事情のない限り、遺言執行者ではなく、右相続人であるとされた事例

平7(オ)1993号

387 H10.2.26

共有の不動産を居住または共同事業のために共同で使用してきた内縁の夫婦の一方が死亡した場合において、両者の間では特段の事情がない限り、その一方が死亡したときは他方が当該不動産を単独で使用する旨の合意が成立していたものと推認されるとした事例

平6(オ)1900号

388 H10.2.26

相続人に対する遺贈が遺留分減殺の対象となる場合においては、遺贈の目的の価額のうち受遺者の遺留分額を超える部分のみが、民法1034条にいう目的の価額に当たるとした事例

平9(オ)802号

389 H10.2.24

登録免許税法25条に基づいて登記官の行う登録免許税額の納付の事実の確認は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとされた事例

平8(行ツ)168号

390 H10.2.13

通行地役権の承役地が譲渡された場合において、譲渡時に承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることが客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していた又は認識が可能であったときは、譲受人が通行地役権の設定を知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらないとされた事例

平9(オ)966号

391 H10.2.13

不動産の死因贈与の受贈者が贈与者の相続人である場合において、限定承認がされたときは、死因贈与に基づく限定承認者への所有権移転登記が相続債権者による差押登記よりも先にされたとしても、信義則に照らし、限定承認者は相続債権者に対して不動産の所有権取得を対抗することができないとした事例

平8(オ)2168号

392 H10.2.10

抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるとされた事例

平8(オ)673号

393 H10.1.30

抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるとした事例

平9(オ)419号

394 H9.12.18

現実に開設されている位置指定道路を通行することについて日常生活上不可欠の利益を有する者は、敷地所有者により道路の通行を妨害されるなどのおそれがあるときは、特段の事情のない限り、敷地所有者に対して妨害行為の排除及び将来の妨害行為の禁止を求める権利を有するとされた事例

平8(オ)1361号

395 H9.12.18

買主が転売先から取り戻した動産を売主に対する売買代金債務の代物弁済に供した行為は、破産法72条4号による否認の対象になるとした事例

平7(オ)863号

396 H9.12.18

担保権の設定された物件が弁済までの間に共同相続により共有となった場合、民法501条5号にいう「頭数」は、弁済の時における物件の共有持分権者をそれぞれ一名として頭数を数えるべきものと解されるとした事例

平5(オ)1128号

397 H9.11.13

遺言者が遺言を撤回する遺言を更に別の遺言をもって撤回した場合において、遺言書の記載に照らし、遺言者の意思が当初の遺言の復活を希望するものであることが明らかなときは、当初の遺言の効力が復活するとされた事例

平7(オ)1866号

398 H9.11.13

期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人との間で保証契約を締結した場合には、特段の事情のない限り更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れないとされた事例

平6(オ)1883号

RETIO 126-077

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399 H9.11.11

賭博により生じた債権が譲渡された場合において、債務者が異議をとどめず債権譲渡を承諾したときであっても、債務者に信義則違反などの特段の事情のない限り、債務者は債権の譲受人に対して債権の発生に係る契約の公序良俗違反による無効を主張してその履行を拒むことができるとした事例

平7(オ)2025号

400 H9.9.12

遺言者に相続人は存在しないが相続財産全部の包括受遺者が存在する場合は、民法951条にいう「相続人のあることが明かでないとき」に当たらないとされた事例

平6(オ)2052号

401 H9.7.17

建物に譲渡担保権が設定され、譲渡担保権者が建物の引渡しを受け使用又は収益をしたときは、譲渡担保権が実行されておらず、譲渡担保権設定者による受戻権の行使が可能であるとしても、建物の敷地について民法612条にいう賃借権の譲渡又は転貸がされたものと解され、特段の事情のない限り、賃貸人は同条2項により土地賃貸借契約を解除することができるとした事例

平5(オ)486号

402 H9.7.15

執行官の山林の現況調査において、目的不動産の現況をできる限り正確に調査すべき注意義務に違反したものと認められた事例

平6(オ)548号

403 H9.7.15

請負人の報酬債権に対し、注文者がこれと同時履行の関係にある目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とする相殺の意思表示をした場合、注文者は、請負人に対する相殺後の報酬残債務について、相殺の意思表示をした日の翌日から履行遅滞による責任を負うとした事例

平5(オ)2187号

404 H9.7.3

留置物の所有権が譲渡等により第三者に移転した場合において、対抗要件を具備するよりも前に留置権者が民法298条2項の留置物の使用又は賃貸について承諾を受けていたときには、留置権者は承諾の効果を新所有者に対し対抗することができるとした事例

平6(オ)1279号

405 H9.7.1

一体として利用されている2筆の借地のうち一方の土地上のみに借地権所有者の登記されている建物がある場合において、借地人の土地の利用状況等から、両筆土地の買主による建物が付着しない土地の明渡請求が権利の濫用に当たるとされた事例

平6(オ)590号

406 H9.6.5

譲渡禁止特約のある指名債権について、譲受人が特約の存在を知り、又は重大な過失により特約の存在を知らないでこれを譲り受けた場合でも、その後、債務者が債権の譲渡について承諾を与えたときは、債権譲渡は譲渡の時にさかのぼって有効となるが、民法116条の法意に照らし、第三者の権利を害することはできないとされた事例

平5(オ)1164号

407 H9.6.5

所有者が、土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後、建物を取り壊し土地上に新たに建物を建築し、新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権を設定した場合であっても、新建物についての抵当権の被担保債権に優先する国税について執行裁判所に対し交付要求がされたときには、新建物のために法定地上権は成立しないとした事例

平5(オ)2172号

408 H9.6.5

一個の不動産の全体を目的とする抵当権が設定されている場合において、抵当不動産の共有持分を取得した第三者が抵当権の滌除をすることは許されないとした事例

平5(オ)1713号

409 H9.4.11

譲渡担保権設定者は、譲渡担保権の実行として譲渡された不動産を取得した者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができるとした事例

平5(オ)358号

410 H9.3.27

マンションの専有部分の区分所有者の特定承継人が分譲業者と建築当初の取得者間の専有部分の用途制限に係る合意に拘束されないとされた事例

平4(オ)279号

411 H9.3.14

共同相続人甲、乙、丙のうち甲と乙間において、ある土地につき甲の所有権確認請求を棄却する判決が確定し、確定判決の既判力により、甲が乙に対して相続による土地の共有持分取得を主張し得なくなった場合であっても、甲は土地につき遺産確認の訴えを提起することができるとした事例

平5(オ)920号

412 H9.3.14

所有権確認請求訴訟で敗訴した原告が後訴において共有持分の取得を主張することが、前訴の確定判決の既判力に抵触して許されないとされた事例

平5(オ)921号

413 H9.2.25

賃貸借が賃借人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了するとした事例

平6(オ)456号

414 H9.2.25

同一の債権につき、甲の強制執行による差押えと乙の物上代位権の行使としての差押えとが競合した場合に、甲乙に対し二重に弁済をした第三債務者は、甲に対し不当利得として弁済金の返還を請求することができるとした事例

平5(オ)1612号

415 H9.2.25

不動産売買契約において、「債務不履行時における手付金相当額の損害賠償の予定」の定めのほか、「特別な損失を受けた当事者は損害賠償請求できる」旨の約定の意義について、債務不履行により手付金額を超える損害を被った債権者は、通常生ずべき損害であると特別の事情によって生じた損害であるとを問わず、損害全額の賠償を請求することができる旨を定めたものと解されるとした事例

平6(オ)669号

416 H9.2.14

所有者が土地及び建物に共同抵当権を設定した後、建物が取り壊され、土地上に新たな建物を建築した場合、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたとき等特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しないとした事例

平7(オ)261号

417 H9.2.14

請負契約の目的物に瑕疵がある場合においては、注文者は請負人から瑕疵の修補に代わる損害の賠償を受けるまでは、瑕疵の程度や各契約当事者の交渉態度等に鑑み信義則に反する場合を除き、報酬全額の支払を拒むことができ、これにつき履行遅滞の責任も負わないとした事例

平5(オ)1924号

418 H9.1.28

土地収用法133条所定の損失補償に関する訴訟において、裁判所は、収用委員会の補償に関する認定判断に裁量権の逸脱濫用があるかどうかを審理判断するのではなく、裁決時点における正当な補償額を客観的に認定し裁決に定められた補償額が認定額と異なるときは、これを違法とし、正当な補償額を確定すべきであるとされた事例

平5(行ツ)11号

419 H9.1.28

相続人が相続に関する被相続人の遺言書を破棄又は隠匿した場合において、相続人の同行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、同相続人は、民法891条5号所定の相続欠格者に当たらないとされた事例

平6(オ)804号

420 H9.1.28

開発区域内の土地が、がけ崩れのおそれが多い土地等に当たる場合には、がけ崩れ等による直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する者は、開発許可の取消訴訟における原告適格を有するとした事例

平6(行ツ)189号

421 H8.12.17

共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て、遺産である建物に被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と同相続人との間において、同建物について、相続開始時を始期とし、遺産分割時を終期とする使用貸借契約が成立していたものと推認されるとした事例

平5(オ)1946号

422 H8.11.26

被相続人が相続開始時に債務を有していた場合における遺留分の侵害額は、被相続人が相続開始時に有していた財産の価額にその贈与した財産の価額を加え、その中から債務の全額を控除して遺留分算定の基礎となる財産額を確定し、それに法定の遺留分の割合を乗じるなどして算定した遺留分の額から遺留分権利者が相続によって得た財産の額を控除し、同人が負担すべき相続債務の額を加算して算定するとされた事例

平5(オ)947号

423 H8.11.22

譲渡担保権設定者は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできないとした事例

平6(オ)1532号

424 H8.11.12

リゾートマンションの売買契約とそれと同時に締結されたスポーツクラブ会員契約に関して、屋内プールの完成遅延を理由として売買契約を解除することができるとされた事例

平8(オ)1056号

RETIO 36-044

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425 H8.11.12

他主占有者の相続人が独自の占有に基づく取得時効の成立を主張する場合において、占有が所有の意思に基づくものであるといい得るためには、占有者である当該相続人において、その事実的支配が外形的客観的にみて独自の所有の意思に基づくものと解される事情を自ら証明する必要があるとした事例

平7(オ)228号

426 H8.11.8

買換えにあたり、買主の売却希望価額が高過ぎて決済日までに売却できず、利用した買換つなぎローンも返済できなくなったため、買主が媒介業者に対し損害賠償を求めた事案において、買取りの約束又は第三者売却の約束があったとは認められず、また、買換特約を設けなかったことに違法はないとされた事例

判例集未登載

RETIO 38-038

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427 H8.10.31

いわゆる全面的価格賠償の方法により共有物を分割することの許される特段の事情の存否について、審理判断することなく競売による分割をすべきものとした原審の判断に違法があるとされた事例

平8(オ)677号

428 H8.10.31

いわゆる全面的価格賠償の方法により共有物を分割することが許されるとされた事例

平7(オ)1962号

429 H8.10.31

共有物を取得させるべき者に賠償金の支払能力があることを確定しないで、いわゆる全面的価格賠償の方法により共有物を分割した原審の判断に違法があるとされた事例

平3(オ)1380号

430 H8.10.29

所有者甲から乙が不動産を買い受け、その登記が未了の間に、甲から丙が当該不動産を二重に買い受け、更に丙から転得者丁が買い受けて登記を完了した場合に、丙が背信的悪意者に当たるとしても、丁は、乙に対する関係で丁自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもって乙に対抗することができるとした事例

平5(オ)956号

431 H8.10.14

借地人である小規模で閉鎖的な有限会社における、持分の譲渡及び役員の交代による実質的な経営者の交代が、民法612条にいう賃借権の譲渡には該当しないとされた事例

平6(オ)693号

432 H8.9.27

連帯保証債務の物上保証人に対する抵当権の実行は、主債務の消滅時効の中断にならないとした事例 (控訴審H7.5.31 東京高裁 RETIO32-30)

平7(オ)1914号

RETIO 36-046

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433 H8.7.12

物上保証人に対する不動産競売において、被担保債権の時効中断の効力は、競売開始決定正本が債務者に送達された時に生ずるとされた事例

平5(オ)1788号

434 H8.7.12

借賃額増減請求に関し当事者間で協議が調わず、賃借人が借地法12条2号の相当の賃料を支払う場合において、賃借人が自らの支払額が、賃貸人の目的物について負担する公租公課等の額を下回ることを知っていたときには、賃借人がその支払額を主観的に相当と認めていたとしても、特段の事情のない限り、債務の本旨に従った履行をしたということはできないとされた事例

平7(オ)672号

435 H8.7.12

・賃料増額請求にて、借主が従前賃料を相当と認めていない場合は、従前賃料と同額を支払っても借地法12条2項にいう相当賃料を支払ったことにはならないとした事例
・賃借人が、自らの支払額が公租公課の額を下回ることを知っていたときは、賃借人がその支払額を主観的に相当と認めていたとしても、特段の事情のない限り相当賃料を支払ったことにはならないとした事例

平5(オ)13号

436 H8.6.18

敷金の返還請求権を目的とする質権設定に関し、第三債務者が敷金から控除される金額の割合を定めた特約が存在することにつき錯誤し異議をとどめない承諾をした場合において、同錯誤は要素の錯誤に当たるとされた事例

平4(オ)874号

437 H8.6.4

代金手取額のほか売主に課される譲渡所得税相当分を買主が負担する条件にて不動産売買契約を締結し、買主が用意した譲渡所得税相当分の金額を売主が信用金庫に預金したが、買主がその預金をすぐ引き出したため、売主が買主及び信用金庫等に対し損害賠償を請求した事案について、売買代金額は譲渡所得税相当額を含めた額で、払戻請求権は特段の事情のない限り売主に帰属するとされた事例

平7(オ)21号(裁判所HP未登載)

RETIO 38-051

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438 H8.5.28

違法な申立てにより仮差押え登記を行った債権者の、当該差し押さえにより締結していた転売契約が違約解除となった売主に対する損害賠償について、債権者が知っていた売主の転売利益のほか、同契約の解除に伴う買主への違約金支払い額も予見することができたとして認められた事例

平7(オ)839号

439 H8.4.26

振込依頼人から受取人の銀行の普通預金口座に振込みがあったときは、両者の間に振込みの原因となる法律関係が存在するか否かにかかわらず、受取人と銀行との間に振込金額相当の普通預金契約が成立するとした事例

平4(オ)413号

440 H8.3.28

不動産競売手続きにおいて、抵当権者が債権の一部に対する配当を受けたことをもって、残額について時効の中断の効力を有するものではないとされた事例

平4(オ)2107号

441 H8.1.26

遺言者の財産全部の包括遺贈に対して遺留分権利者が減殺請求権を行使した場合に遺留分権利者に帰属する権利は、遺産分割の対象となる相続財産としての性質を有しないとされた事例

平3(オ)1772号

442 H8.1.26

強制競売の手続において、借地権付建物であるとして評価及び最低売却価額の決定がされ売却が実施されたが、実際には買受人の代金納付時点において借地権が存在しなかった場合、買受人が建物買受けの目的を達することができず、かつ債務者が無資力であるときは、強制競売による建物の売買契約を解除した上、売却代金の配当を受けた債権者に対しその代金の返還を請求することができるとされた事例

平5(オ)1054号

443 H7.12.15

登記簿上の所有名義人に対して所有権移転登記手続を求めないなどの土地占有者の態度が他主占有と解される事情として十分であるとはいえないとされた事例

平6(オ)1905号

444 H7.12.15

借地上に建物を所有する土地の賃借人が建物買取請求権を行使しないまま、賃貸人提起の建物収去土地明渡請求を認容する判決が確定した場合であっても、賃借人はその後に建物買取請求権を行使した上、賃貸人に対し確定判決による強制執行の不許を求める請求異議の訴えを提起し、建物買取請求権行使の効果を異議の事由として主張することができるとした事例

平4(オ)991号

445 H7.12.5

単独名義で相続登記した共同相続人の一人から不動産を譲り受けた者は、その譲渡人が本来の相続持分を超える部分が他の共同相続人に属することを知っていた等の事由により、他の共同相続人に対して相続回復請求権の消滅時効を援用することができない場合には、その譲受人も消滅時効を援用できないとされた事例

平6(オ)440号

446 H7.11.10

譲渡担保権者は、担保権を実行して確定的に抵当不動産の所有権を取得しない限り、民法378条所定の滌除権者たる第三取得者には該当せず、抵当権を滌除することができないとした事例

平4(オ)1128号

447 H7.11.9

禁治産者の後見人が、その就職前にした無権代理による訴えの提起及び弁護士に対する訴訟委任の行為の効力を再審の訴えにおいて否定することが、信義則に反するものではないとされた事例

平4(オ)735号

448 H7.10.26

国土法に基づく土地売買の届出書について知事の不勧告通知を受けたが、売主が第三者に売却したことから買主不動産業者が、売主に対し損害賠償を求めた事案において、売買予約の成立、信義則違反の事実は認められないとしてこれを棄却した事例

判例集未登載

RETIO 35-033

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449 H7.9.19

建物借主より請け負って修繕工事をした者が、借主の無資力を理由に建物所有者に対し不当利得返還請求をする場合には、建物所有者が対価関係なしに修繕工事の利益を受けたときに限られるとした事例

平4(オ)524号

450 H7.9.5

預託金会員制ゴルフクラブの施設利用権の消滅時効は、会員が施設の利用をしない状態が継続したことのみによっては進行せず、ゴルフ場経営会社が、会員に対してその資格を否定して施設の利用を拒絶し、あるいは会員の利用を不可能な状態としたような時から進行し、同利用権が時効により消滅したときは、ゴルフ会員権は、包括的権利としては存続し得ないとされた事例

平3(オ)771号

451 H7.9.5

物上保証人に対する不動産競売において、開始決定の債務者への送達が付郵便送達によりされた場合、決定正本が郵便に付して発送されたことによっては被担保債権の消滅時効の中断の効力を生ぜず、正本の到達によって初めて時効中断の効力を生ずるとした事例

平7(オ)374号

452 H7.7.18

マンションの路地状敷地の地役権設定が争われた事案において、共有に属する要役地のために地役権設定登記手続きを求める訴えは固有必要的共同訴訟には当たらず、各共有者が単独で行いうるとされた事例

平3(オ)1684号

453 H7.7.7

一般国道等の道路の周辺住民が、その供用に伴う自動車騒音等により受けた被害が、社会生活上受忍すべき限度を超えるとして、道路の設置又は管理に瑕疵があるとされた事例

平4(オ)1503号

454 H7.7.7

一般国道等の道路の周辺住民から、自動車騒音等により被害を受けているとして道路の供用の差止めが請求された事案において、請求を認容すべき違法性はないとされた事例

平4(オ)1504号

455 H7.7.7

住宅ローンの名義貸しを銀行の貸付担当者が知っていたときは、消費貸借契約上の貸主としての保護を受けるに値せず、民法93条但書の類推適用により、その返還を求めることができないとされた事例

平7(オ)362号(裁判所HP未登載)

RETIO 33-047

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456 H7.6.29

幼稚園経営の観点から隣接の園舎敷地と不可分一体の関係にある、運動場として使用するための土地賃貸借について、借地法1条にいう「建物の所有を目的とする」ものに該当しないとされた事例

平4(オ)1878号

457 H7.6.23

債権者が物上保証人に対して担保保存義務免除特約の効力を主張することが信義則に違反せず権利の濫用にも当たらないとされた事例

平6(オ)1835号

458 H7.6.9

遺留分権利者が減殺請求により取得した不動産の所有権又は共有持分権に基づく登記請求権は、時効によって消滅することはないとされた事例

平6(オ)2007号

459 H7.3.28

代表者に建物を賃貸していた会社の、居住しているその妻に対する建物明渡請求が権利の濫用に当たるとされた事例

平4(オ)1013号

460 H7.3.23

・主たる債務者の破産手続の債権調査期日終了後に、債権全額を弁済した保証人が債権の届出名義の変更の申出をした場合、保証人が取得した求償権の消滅時効は、求償権の全部について届出名義の変更の時から破産手続の終了に至るまで中断するとされた事例
・主たる債務者の破産手続の債権調査期日において、債権者の届出債権につき異議がなく保証人がその後に債権全額を弁済した場合、同弁済により保証人が取得した求償権の消滅時効期間は、民法174条の2第1項により10年に変更されるものではないとされた事例

平3(オ)1493号

461 H7.3.10

物上保証人が債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することは、担保権の付従性に抵触し、民法396条の趣旨に反し許されないとされた事例

平6(オ)2325号

462 H7.3.7

公簿上特定の地番により表示される甲乙両地が相隣接する場合に、乙地の所有者が甲地のうち境界の全部に接続する部分を時効取得したとしても、甲乙両地の各所有者は、境界確定の訴えの当事者適格を失わないとした事例

平6(オ)1728号

463 H7.1.24

甲が被相続人の遺言により、相続にて不動産の所有権を取得した場合には、甲は単独でその旨の所有権移転登記手続をすることができ、遺言執行者は、遺言の執行としてその登記手続をする義務を負わないとした事例

平3(オ)1057号

464 H7.1.24

責任を弁識する能力のない未成年者の行為により火災が発生した場合においては、未成年者の監督義務者が火災による損害を賠償すべき義務を負うが、監督義務者に未成年者の監督について重大な過失がなかったときは、これを免れるとした事例

平3(オ)1989号

465 H7.1.19

甲がその所有する一棟の建物のうち構造上区分され独立して住居等の用途に供することができる建物部分のみについて、乙に対し賃借権を設定したが、甲乙間の合意に基づき一棟の建物全部について乙の賃借権設定の登記がされている場合において、甲が乙に対して登記の抹消登記手続を請求したときは、その請求はその建物部分を除く残余の部分に関する限度において認容されるとした事例

平4(オ)2188号

466 H6.12.20

地上建物の共有者の一人にすぎない土地共有者の債務を担保するため土地共有者の全員が各持分に共同して抵当権を設定した場合に法定地上権が成立しないとされた事例

平2(オ)663号

467 H6.12.16

民法891条5号にいう遺言書の隠匿に当たらないとされた事例

平4(オ)658号

468 H6.12.16

要役地の所有者が、自己所有地を提供したり費用を負担したりして、道路の拡幅、維持管理を行うとともに、通路として使用していたときには、要役地の所有者によって通路が開設されたものと認められるとし、その後20年以上通路として使用していたことにより通行地役権の時効取得が認められるとした事例

平6(オ)414号

469 H6.11.24

民法719条所定の共同不法行為が負担する損害賠償債務は、いわゆる不真正連帯債務であつて連帯債務ではないから、その損害賠償債務については連帯債務に関する同法437条の規定は適用されないとされた事例

平4(オ)1814号

470 H6.10.25

借地法4条1項の正当事由を補完する立退料等金員の提供ないしその増額の申出は、事実審の口頭弁論終結時までにされたものについては、原則としてこれを考慮することができるとした事例

平2(オ)326号

471 H6.10.11

建物借主の失火により建物が全焼してその敷地の使用貸借権を喪失した賃貸人は、焼失時の建物の価格と本件土地使用に係る経済的利益に相当する額との合計額を、本件建物の焼失による損害として請求することができるとした事例

平3(オ)825号

472 H6.9.27

甲の乙に対する売買契約に基づく所有権移転登記手続請求訴訟において、丙が、乙に対して所有権移転請求権保全の仮登記に基づく本登記手続を、甲に対して本登記手続の承諾を求めてした参加の申出は、(旧)民訴法71条による参加の申出に当たらないとされた事例

平3(オ)1170号

473 H6.9.27

風俗営業の地域的制限の根拠となる診療所等の施設を設置する者が風俗営業の許可の取消しを求める訴訟において原告適格が認められた事例

平4(行ツ)109号

474 H6.9.13

禁治産者の後見人がその就職前に無権代理人によって締結された契約の追認を拒絶することが信義則に反するか否かを判断するにつき考慮すべき要素について示された事例

平4(オ)1694号

475 H6.9.13

遺産分割協議により、他の相続人に代償金を交付して単独で相続した不動産を売却した場合の譲渡所得の計算において、相続財産の取得費に、交付した代償金及び代償金支払いのための銀行借入金の利息相当額は、算入することはできないとされた事例

平6(行ツ)78号

476 H6.9.8

地方公共団体が、買主として、使用目的を定めないで農地の売買契約を締結した後に、当該農地を学校の敷地に供することを確定したときは、その時点において、売買は農地法所定の都道府県知事の許可を経ないで効力を生ずると解された事例

平3(オ)1817号

477 H6.7.18

保険契約において保険契約者が死亡保険金の受取人を被保険者の「相続人」と指定した場合は、特段の事情のない限り、右指定には相続人が保険金を受け取るべき権利の割合を相続分の割合によるとする旨の指定も含まれ、各保険金受取人の有する権利の割合は相続分の割合になるとされた事例

平3(オ)1993号

478 H6.7.18

土地の賃貸借契約において、適法な転貸借関係が存在する場合に、賃貸人が賃借人の賃料の不払を理由に契約を解除するに場合において、特段の事情のない限り、転借人に通知等をして賃料の代払の機会を与える必要はないとされた事例

平4(オ)1598号

479 H6.7.14

工場抵当法三条に規定する物件につき抵当権の効力を第三者に対抗するには、同物件が同条の目録に記載されていることを要するとした事例

平3(オ)1762号

480 H6.6.24

押印のない自筆証書遺言の有効性が争われた事案において、遺言書本文の入れられた封筒の封じ目にされた押印をもって民法968条1項の押印の要件に欠けるところはないとして、同遺言書の有効性を認めた原判決を是認した事例

平6(オ)83号

481 H6.6.21

仮差押えによる時効中断の効力は、仮差押解放金の供託により仮差押えの執行が取り消された場合においても、なお継続するとされた事例

平2(オ)1211号

482 H6.6.7

借地人所有建物の賃借人が、土地を所有者から底地価格で買い受け、現に建物及び土地の使用収益自体に支障がないのに対し、借地権を相続した借地人が、相続税支払に充てるため借地権譲渡の許可を求める借地非訟事件の申立てをしたなどの事実関係の下においては、土地賃貸人の借地契約の更新拒絶には正当の事由は認められないとした事例

平3(オ)1948号

483 H6.5.31

入会権者である村落住民が入会団体を形成し、それが権利能力のない社団に当たる場合には、右入会団体は、構成員全員の総有に属する不動産についての総有権確認請求訴訟の原告適格を有するとされた事例

平3(オ)1724号

484 H6.5.31

条件の成就によって利益を受ける当事者が故意に条件を成就させたときは、民法130条の類推適用により、相手方は条件が成就していないものとみなすことができるとされた事例

平2(オ)295号

485 H6.5.12

甲建物について滅失の事実がないのに滅失登記がされ、別の乙建物として表示登記及び所有権保存登記がされた場合、甲建物の根抵当権者は、乙建物の所有名義人に対し乙建物の表示登記及び所有権保存登記の抹消登記手続を、甲建物の所有名義人であった者に対し甲建物の滅失の登記の抹消登記手続を請求できるとした事例

平2(オ)1474号

486 H6.4.22

都市計画法14条の4の規定に基づく地区計画の決定については抗告訴訟の対象とならないとしてその請求を棄却した事例

平5(行ツ)48号

487 H6.4.21

当事者が損害賠償の額を予定した場合においても、債務不履行に関し債権者に過失があったときは、特段の事情のない限り、裁判所は、損害賠償の責任及びその金額を定めるにつき、これを斟酌すべきであるとした事例

平2(オ)1456号

488 H6.4.21

地方税法73条の21第1項ただし書にいう「当該固定資産の価格により難いとき」とは、当該不動産につき、固定資産税の賦課期日後に増築、改築、損壊、地目の変換その他特別の事情が生じ、その結果、登録価格が当該不動産の適正な時価を示しているものということができないため、登録価格を不動産取得税の課税標準としての不動産の価格とすることが適当でなくなった場合をいうとした事例

平4(行ツ)196号

489 H6.4.19

社会福祉法人の理事が、その退任登記後に法人の代表者として第三者とした取引は、客観的な障害のため第三者が登記簿を閲覧することが不可能ないし著しく困難であるような特段の事情がない限り、民法112条の規定は適用されないとされた事例

平3(オ)1233号

490 H6.4.7

土地及び建物が甲・乙の共有に属する場合において、土地についての甲の持分が強制競売により売却され、丙がその持分を取得しても、民事執行法81条の規定による法定地上権は成立しないとした事例

平4(オ)98号

491 H6.3.24

工場騒音等により被害を受けているとした近隣住民の操業の差止及び慰謝料請求を認容した原審の判断に、違法があるとされた事例

平元(オ)1682号

492 H6.3.22

売主が手付倍額償還による売買契約の解除をする際には、買主がその受領をあらかじめ拒絶している場合であっても口頭の提供では足りず、現実の提供をする必要があるとした事例

平4(オ)1929号

493 H6.2.22

雇用者の安全配慮義務違反によりじん肺にかかったことを理由とする損害賠償請求権の消滅時効は、じん肺法所定の管理区分についての最終の行政上の決定を受けた時から進行するとされた事例

平元(オ)1667号

494 H6.2.22

譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保を設定した債務者は、譲受人がいわゆる背信的悪意者に当たるときであると否とにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができないとした事例

平元(オ)23号

495 H6.2.8

他人の土地上の建物の所有権を取得した者が自らの意思に基づいて所有権取得の登記を経由した場合には、たとい建物を他に譲渡したとしても、引き続き登記名義を保有する限り、土地所有者に対し、譲渡による建物所有権の喪失を主張して建物収去・土地明渡しの義務を免れることはできないとした事例

平4(オ)602号

496 H6.1.25

固有必要的共同訴訟における共同被告の一部に対する訴えの取下げは、効力を生じないとされた事例

平5(オ)641号

497 H6.1.25

甲、乙二棟の建物が、その間の隔壁を除去する等の工事により一棟の丙建物となった場合においても、これをもって、甲建物あるいは乙建物を目的として設定されていた抵当権が消滅することはなく、抵当権は、丙建物のうちの甲建物又は乙建物の価格の割合に応じた持分を目的とするものとして存続するとした事例

平3(オ)2024号

498 H5.12.17

同一所有者の数筆の土地が、担保権の実行により別々の所有者となり袋地となった場合において、当該袋地には民法213条2項の囲繞地通行権があるとされた事例

平5(オ)860号

499 H5.12.16

特定の土地の分割方法を定めた遺言の存在を知らずになされた遺産分割協議の意思表示について、要素の錯誤がないとはいえないとされた事例

平2(オ)1828号

500 H5.11.26

建築基準法42条2項の道路に指定されているが、現実に道路として開設されておらず、通行されていなかった土地の上に設置されたブロック塀について、同道路指定土地に隣接する土地の地上建物の所有者に、本件ブロック塀の撤去を求める私法上の権利はないとされた事案

平元(オ)1792号

501 H5.11.25

ホテル火災において、ホテルを経営する会社の代表取締役に業務上過失致死傷罪が成立するとされた事例

平2(あ)946号

502 H5.10.19

建物建築工事の注文者と元請負人との間に、請負契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合には、元請負人から一括して当該工事を請け負った下請負人が自ら材料を提供して出来形部分を築造したとしても、注文者と下請負人との間に格別の合意があるなど特段の事情のない限り、契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属するとした事例

平元(オ)274号

503 H5.10.19

・カーボン複写の方法で記載された自筆の遺言は、民法968条1項の自書の要件に欠けるものではなく有効とされた事例
・遺言書が二人の遺言書の用紙を合綴したもので、両者が容易に切り離すことができるものは、民法975条により禁止の共同遺言には当たらないとされた事例

平4(オ)818号

504 H5.9.24

隣接地に下水管を敷設する工事の承諾及び当該工事の妨害禁止請求が、建築基準法に違反する建物建築の場合においては権利の濫用にあたるとされた事例

平3(オ)694号

505 H5.9.10

宅地開発の隣接地の住民らが、開発行為の許可の取消し等を求めた事案において、開発行為に関する工事が完了し、当該工事の検査済証の交付がされた後においては、開発許可の取消しを求める訴えの利益は失われるとした事例

平3(行ツ)46号

506 H5.7.19

遺言により法定相続分を下回る相続分を指定された共同相続人の一人が、不動産に法定相続分に応じた共同相続登記がなされたことを利用して、その共有持分権を第三者に譲渡し、法定相続分の持分の移転登記をしたとしても、第三者はその相続人の指定相続分に応じた持分を取得するにとどまるとした事例

平元(オ)714号

507 H5.5.28

相続税法55条本文にいう「相続分」には、共同相続人間の譲渡に係る相続分が含まれるとされた事例

平元(行ツ)162号

508 H5.4.23

不動産の買主が、敷地の二重使用により建築確認が遅延したとして、売主及び仲介業者に損害賠償を請求した事案において、敷地の二重使用状態を自ら作出し買主の購入目的を知る売主は、信義則上その事実及び建築確認手続遅延の可能性につき説明義務があるとした事例

平3(オ)1386号

509 H5.3.30

幼児が公の営造物を設置管理者の通常予測し得ない異常な方法で使用して生じた事故につき、設置管理者が損害賠償責任を負わないとされた事例

昭61(オ)315号

510 H5.3.30

火災保険の目的である建物の譲渡につき、保険者に対する通知義務を怠ったときには保険金の支払が免責される旨の普通保険約款の条項は、譲渡後遅滞なく通知を怠っている間に保険事故が発生した場合に保険者が免責されることを定めたものであるとして、建物譲渡2日後の火災事故による被災において、当特約により保険者が免責されるものではないとした事例

昭63(オ)1735号

511 H5.3.16

売主が居宅買替えのため決済日を契約後1年9か月先とした事情のある不動産売買契約において、買主による履行期1年以上前における土地の測量及び代金の提供は「履行の着手」にはあたらないとして、売主の手付倍返しによる解除が認められた事例

平元(オ)1004号

RETIO 29-017

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512 H5.2.26

・譲渡担保権者及び譲渡担保設定者は、いずれも譲渡担保の目的不動産について被保険利益を有するとした事例
・譲渡担保権者と譲渡担保設定者が別個に譲渡担保の目的不動産について損害保険契約を締結し、その保険金額の合計額が保険価額を超過している場合には、特段の約定のない限り、各損害保険契約の保険金額の割合によって各保険者の負担額を決定すべきとした事例

平元(オ)1351号

513 H5.2.18

借地人の供託した賃料額が、借地法12条2項の相当賃料と認められた一事例

平2(オ)1444号

514 H5.2.18

マンション事業者に対し市が建築指導要綱に基づき教育施設負担金の寄付を求めた行為が、違法な公権力の行使に当たるとされた事例

昭63(オ)890号

515 H5.2.12

構造上の独立性はあるが利用上の独立性がないマンションの管理人室について、建物区分所有に関する法律にいう専有部分に当たらないとされた事例

平2(オ)1369号

516 H5.1.21

無権代理人が本人を他の相続人と共に共同相続した場合においては、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理行為が有効となるものではないとした事例

平4(オ)87号

517 H5.1.21

無権代理人が本人を共同相続した場合には、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理人の相続分に相当する部分においても、無権代理行為が当然に有効となるものではないとされた事例

昭63(オ)1733号

518 H5.1.19

受遺者の選定を遺言執行者に委託する旨の遺言は、遺産の利用目的が公益目的に限定されているため、目的を達成することができる被選定者の範囲が国又は地方公共団体等に限定されているものと解されるときは、有効であるとされた事例

昭63(オ)192号

519 H4.12.10

・親権者が子を代理する権限を濫用して法律行為をした場合において、その行為の相手方が権限濫用の事実を知り又は知り得べかりしときは、民法93条但書の規定の類推適用により、その行為の効果は子には及ばないとした事例
・親権者が子を代理してその所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為は、親権者に子を代理する権限を授与した法の趣旨に著しく反すると認められる特段の事情が存しない限り、代理権の濫用には当たらないとした事例

平元(オ)759号

520 H4.11.26

都市再開発法51条1項、54条1項に基づき地方公共団体により定められ公告された第二種市街地再開発事業の事業計画の決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとされた事例

昭63(行ツ)170号

521 H4.11.16

法人に対する土地の遺贈について、遺留分権利者による減殺の請求がされた場合であっても、これに対して民法1041条1項の価額による弁償が行われたときは、その遺贈は所得税法59条1項1号の遺贈に当たるとされた事例

平3(行ツ)84号

522 H4.11.6

抵当権の被担保債権が弁済によって消滅した後に譲渡され、債務者が異議をとどめないで債権譲渡を承諾した場合であっても、弁済前の第三取得者に対する関係において、抵当権は復活しないとされた事例

平3(オ)324号

523 H4.11.6

共同抵当権の目的たる甲・乙不動産が同一の物上保証人の所有に属する場合において、甲不動産の代価のみを配当するときは、甲不動産の後順位抵当権者は、民法392条2項後段の規定に基づき、先順位の共同抵当権者に代位して乙不動産に対する抵当権を行使することができるとされた事例

平元(オ)1688号

524 H4.10.20

・民法566条3項にいう一年の期間は、除斥期間であるとした事例
・瑕疵担保による損害賠償請求権を保存するには、請求権の除斥期間内に、売主の担保責任を問う意思を裁判外で明確に告げることをもって足り、裁判上の権利行使をするまでの必要はないとした事例

昭63(オ)1543号

RETIO 128-114

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525 H4.4.10

相続人は、遺産の分割までの間は、相続開始時に存した金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払を求めることはできないとされた事例

平元(オ)433号

526 H4.3.19

売買予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記のされた不動産の第三取得者は、予約完結権の消滅によって直接利益を受ける者に当たり、その消滅時効を援用することができるとした事例

平2(オ)742号

527 H4.3.13

保険金受取人の死亡時以後保険金の支払理由が発生するまでに受取人の変更がないときは、受取人は死亡した受取人の死亡時の法定相続人に変更されたものとするとの定めは、死亡した保険金受取人の法定相続人で保険金の支払理由が発生した当時の生存者を受取人とすることにあるとした事例

昭63(オ)1748号

528 H4.2.27

共同抵当の目的とされた数個の不動産の全部又は一部の売買契約が詐害行為に該当する場合において、当該詐害行為の後に弁済によって抵当権が消滅したときは、売買の目的とされた不動産の価額から不動産が負担すべき抵当権の被担保債権の額を控除した残額の限度で売買契約を取り消し、その価格による賠償を命ずるべきであり、一部の不動産自体の回復を認めるべきものではないとした事例

平元(オ)1668号

529 H4.2.6

鉄道高架を屋根とし周壁を有する施設は借地借家法にいう建物に該当するとして、鉄道高架下施設の貸主よりの賃貸借契約解除請求を棄却した事例

平元(オ)1378号

530 H4.1.24

町営の土地改良事業の工事等が完了して原状回復が社会通念上不可能となった場合であっても、右事業の施行の認可の取消しを求める訴えの利益は消滅しないとされた事例

平2(行ツ)153号

531 H4.1.24

民法258条による共有不動産の分割請求において、請求者が多数である場合においては、被請求者の持分の限度で現物を分割し、その余は請求物らの共有として残す方法によることも許されるとされた事例

平元(オ)867号

532 H3.11.29

借家法7条1項の規定に基づく賃料増額請求権を行使するには、現行の賃料が定められた時から一定の期間を経過していることを要しないとした事例

平3(オ)269号

533 H3.11.14

デパートの火災事故につき、防火管理上の注意義務を負うのは一般には会社の業務執行権限を有する代表取締役であるとして、会社の取締役人事部長及び建物防火管理責任者には業務上過失致死傷罪が成立しないとされた事例

昭63(あ)1064号

534 H3.10.17

建物賃貸人の失火による火災で焼失した、衣料品類販売業を営む賃借人の衣料等の損害について、賃貸人の債務不履行による損害賠償責任を認めた事例

昭62(オ)1408号

535 H3.10.1

民法388条による競売の結果、建物所有を目的とする法定地上権が成立した場合において、法定地上権の成立後に建物の所有権を取得した者は、建物所有権取得後の地代支払の義務を負担するが、前建物所有者の未払地代については、債務の引受けをした場合でない限り、これを当然には負担しないとした事例

平3(オ)35号

536 H3.9.17

土地の賃貸借契約において、賃借人が所有する建物を第三者に賃貸して地代の支払をゆだね、その事を賃貸人に通知することなく転居し所在を明らかにしないまま8年以上を経過したこと等が賃貸借関係の信頼破壊に当たるとして、賃貸人の無催告解除が認められた事例

平2(オ)1735号

537 H3.9.13

抵当権の実行に基づく土地の買受人が当該土地の短期賃貸借の賃借人に対してした将来の明渡しを求める訴えが適法とされた事例

平3(オ)353号

538 H3.9.3

債務者所有の甲不動産と第三者所有の乙不動産とが共同抵当の関係にある場合において、債権者が甲不動産に設定された抵当権を放棄するなど故意又は懈怠によりその担保を喪失又は減少したときは、その後の乙不動産の譲受人も債権者に対して民法504条に規定する免責の効果を主張することができるとされた事例

昭61(オ)1194号

539 H3.7.18

同一の建物に二重の表示登記がされた場合において、先行の表示登記に基づく所有権保存登記の名義人等が、その地位に基づいて、後行の表示登記ないしその登記に基づく所有権保存登記の抹消を求めることはできないとされた事例

平元(オ)1489号

540 H3.7.16

宅地造成工事の請負人は、造成工事の完了した宅地部分を注文者に引き渡した場合でも、特段の事情がない限り、債権の全部の弁済を受けるまでは残余の土地について留置権を行使することができるとされた事例

昭63(オ)1572号

541 H3.5.10

連帯債務者の一部の者に対する債権が転付命令によって第三者に移転したとしても、その余の連帯債務者に対する債権は移転しないとした事例

平2(オ)1330号

542 H3.4.19

特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言は、遺言書の記載から、その趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特段の事情のない限り、当該遺産を当該相続人をして単独で相続させる遺産分割の方法が指定されたものと解されるとされた事例

平元(オ)174号

543 H3.4.19

道路位置指定処分がされていても、現実に道路として開設されていない土地は自由に通行できるものではないことから、自由に通行し得ることを前提としたその土地上に設置の工作物の撤去請求は認められないとした事例

昭62(オ)741号

544 H3.4.2

購入した借地権付建物につき、土地の擁壁が崩落する危険がある等の欠陥があったことから売主に対し契約解除等を請求した事案において、土地欠缺は土地貸主に修繕請求等すべきものであり、借地権の権利の瑕疵ではないとしてその請求を棄却した事例

昭62(オ)526号

RETIO 20-024

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545 H3.3.22

建物の賃貸人が解約の申入れをした場合における正当事由の判断において、建物の賃貸人が解約申入れ後に提供又は増額を申し出た立退料等の金員を斟酌して当該解約申入れの正当事由を判断することができるとした事例

平2(オ)216号

546 H3.3.19

国土調査法17条2項に基づく申出は、国土調査を行った者に対し調査上の誤り等を指摘し、地図等の修正の職権の発動を促すものにすぎず、国土調査を行った者は申出者に対し応答をする法令上の義務はないとして、筆界線表示の修正の申し立てに対する市の申し入れを容れない旨の回答の無効確認の訴えについて、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたらないとし訴えを不適法とした事例

平2(行ツ)202号

547 H2.11.29

デパート火災事故において、デパートの管理課長、及びビル内のキャバレーの代表取締役、支配人に、業務上過失致死傷罪が成立するとされた事例

昭62(あ)1480号

548 H2.11.26

区分所有法47条2項の管理組合法人の規約において、「理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者又は一親等の親族に限り、その理事を代理して理事会に出席させることができる」旨を定めた条項は違法でないとした事例

平2(オ)701号

549 H2.11.20

共有物の分割又は土地の一部譲渡により公路に通じない袋地を生じた場合、袋地の所有者はこれを囲繞する土地のうち、他の分割者の所有地又は土地の一部の譲渡人若しくは譲受人の所有地についてのみ通行権を有するが、囲繞地通行権は、これら残余地について特定承継が生じた場合にも消滅するものではなく、袋地所有者は残余地以外の囲繞地の通行はできないとされた事例

昭61(オ)181号

550 H2.11.16

ホテルの火災事故において、ホテルの経営者に業務上過失致死傷罪が成立するとされた事例

昭62(あ)519号

551 H2.10.25

道路法施行法5条1項に基づく使用貸借による権利は、地方自治法238条1項4号にいう「地上権、地役権、鉱業権その他これらに準ずる権利」に当たらないとした事例

平2(行ツ)130号

552 H2.10.18

公営住宅の入居者が死亡した場合に、その相続人は、公営住宅を使用する権利を当然に承継するものではないとした事例

平2(オ)27号

553 H2.9.27

共同相続人は、既に成立している遺産分割協議につき、その全部又は一部を全員の合意により解除した上、改めて分割協議を成立させることができるとした事例

昭63(オ)115号

554 H2.6.22

公営住宅法に基づく公営住宅の賃貸借についても、借家法が一般法として適用されるとし、東京都営住宅条例(昭和26年東京都条例第112号)20条1項6号は適用されないものとしたうえ、借家法1条ノ2に規定の正当事由による解約申入を認めた事例

昭62(オ)143号

555 H2.6.5

売買予約に基づく所有権移転請求権保全仮登記の経由された不動産につき抵当権の設定を受け、その登記を経由した者は、予約完結権の消滅によって直接利益を受ける者に当たり、その消滅時効を援用することができるとした事例

昭63(オ)357号

556 H2.4.19

ガソリンスタンドの店舗用建物に設定された抵当権の効力が、その設定当時建物の従物であった地下タンク、ノンスペース型計量器、洗車機などの諸施設に及ぶとされた事例

昭62(オ)524号

557 H2.1.22

土地を目的とする一番抵当権設定当時、土地と地上建物の所有者が異なり、法定地上権成立の要件が充足されていなかつた場合には、土地と建物が同一人の所有に帰した後に後順位抵当権が設定されたとしても、抵当権の実行により一番抵当権が消滅するときは、法定地上権は成立しないとした事例

昭62(オ)452号

558 H2.1.18

固定資産評価審査委員会が土地の登録価格の不服審査を口頭審理手続きによって行う場合において審査申出人に対し評価の根拠等として知らせる措置を講ずべき事項の範囲

昭61(行ツ)138号

559 H1.12.22

民法187条1項(占有の承継)は、権利能力なき社団等の占有する不動産を、法人格を取得した以後当該法人が引き継いで占有している場合にも適用されるとした事例

平元(オ)1382号

560 H1.11.24

共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その共有持分は他の相続財産とともに特別縁故者に対する財産分与の対象となり、その財産分与がされず、当該共有持分が承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときにはじめて、民法255条により他の共有者に帰属することになるとした事例

昭63(行ツ)40号

561 H1.11.24

宅地建物取引業者に対する知事等による免許の付与ないし更新は、法所定の免許基準に適合しない場合であっても、当該業者との個々の取引関係者に対する関係において直ちに国家賠償法一条一項にいう違法な行為に当たるものではないとした事例

昭61(オ)1152号

RETIO 118-055

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562 H1.11.8

市の宅地開発指導要綱を順守させるための圧力手段として、水道事業者の給水の権限を用い給水契約の締結を拒むことは許されないとされた事例

昭60(あ)1265号

563 H1.10.27

傘をさしながら二匹の犬を連れた歩行者が、自転車の追い抜きにより犬が驚いたため転倒し障害を負ったとして、自転車運転者に対し損害賠償を請求した事案において、犬の性癖等は様々であり、犬が驚き歩行者が転倒する予見は困難であった等として、自転車運転者に不法行為法上の注意義務違反はないとした事例

昭62(オ)209号

564 H1.10.27

抵当権の目的不動産が賃貸された場合においては、抵当権者は、民法372条、304条の規定の趣旨に従い、目的不動産の賃借人が供託した賃料の還付請求権についても抵当権を行使することができるとした事例

昭60(オ)1270号

565 H1.10.13

不動産強制競売手続において催告を受けた抵当権者がする債権の届出は、その届出に係る債権に関する裁判上の請求、破産手続参加又はこれらに準ずる時効中断事由に該当しないとされた事例

平元(オ)653号

566 H1.9.21

・商法266条ノ3第1項前段所定の損害賠償債務は、履行の請求を受けた時に履行遅滞となるとした事例
・商法266条ノ3第1項前段所定の損害賠償債務の遅延損害金の利率は、年5分であるとした事例

昭59(オ)15号

567 H1.9.19

境界線より50cmの距離を置かないで建物建築を始めた隣地所有者に対して、境界線50cm以内に存する建物の収去を求めた事案において、建築基準法65条所定の建築物の建築には民法234条1項は適用されないとしてその請求が棄却された事例

昭58(オ)1413号

RETIO 14-029

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568 H1.9.14

協議離婚に伴う財産分与としての土地建物の譲渡において、譲渡人に多額の譲渡所得税が課税されることを知らなかった錯誤があり無効であるとして、譲受人に所有権移転登記の抹消登記手続を求めた事案において、本件財産分与契約において、譲渡人は自己に課税されないという動機を黙示的に表示していたとして、動機の表示がないことを理由に錯誤の主張を排斥した原判決を破棄し差し戻した事例

昭63(オ)385号

569 H1.7.4

土地所有者による、河川管理者が当該土地が河川法にいう河川区域でないこと等の確認を求める訴えにおいて、同法75条に基づく監督処分等をまってこれに関する訴訟等を事後的に争ったのでは回復しがたい重大な損害を被るおそれがある等の特段の事情がないとして、訴えの利益を欠き不適法であるとした事例

昭63(行ツ)92号

570 H1.6.23

自筆遺言証書における押印は、指印をもって足りるとした事例

昭62(オ)1180号

571 H1.6.20

民法968条の自筆証書遺言における押印としては、遺言者が印章に代えて拇指その他の指頭に墨、朱肉等をつけて押捺すること(指印)をもって足りるとした事例

昭63(オ)955号

572 H1.3.28

共同相続人間における遺産確認の訴えは、固有必要的共同訴訟と解すべきとされた事例

昭60(オ)727号

573 H1.3.28

消防署職員の消火活動が不十分なため再燃して火災が発生した場合において、失火ノ責任ニ関スル法律を適用し同職員の責任を否定した事例

昭63(オ)591号

574 H1.3.28

乙の土地所有権に基づく甲が占有する部分の明渡し請求が境界確定訴訟と併合審理されており、判決において、甲占有部分の乙の所有権が否定され、甲に対する明渡請求が棄却されたときは、たとえ、これと同時に乙主張とおりの土地の境界が確定されたとしても、占有部分については所有権に関する取得時効中断の効力は生じないとされた事例

昭58(オ)216号

575 H1.3.28

居住していた家屋より転居した後、相続によりその家屋の所有者となり譲渡をした場合、租税特別措置法35条の居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例を受けるための適用要件に該当しないとされた事例

昭61(行ツ)7号

576 H1.2.16

自筆遺言証書における押印は、指印をもって足りるとした事例

昭62(オ)1137号

577 H1.2.9

遺産分割協議が成立した場合、相続人の一人が同協議による負担債務を履行しないときであっても、その債権を有する相続人は、民法541条(履行遅滞等による解除権)による同協議の解除はできないとされた事例

昭59(オ)717号

578 H1.2.7

借地上の建物につき代物弁済を原因とする所有権移転登記がされた場合、その登記が債権担保の趣旨でされた場合であっても、その後土地を取得した第三者に対し土地賃借権を対抗することができないとした事例

昭60(オ)1496号

579 S63.12.1

先に登記を経由した抵当権者に対抗することができないために競売手続において抹消された所有権に関する仮登記の権利者は、仮登記の後に登記を経由した抵当権者に対して、不当利得を理由として、その者が交付を受けた代価の返還を請求することはできないとした事例

昭61(オ)532号

580 S63.11.25

不動産売買契約が解除された場合の損害賠償額の予定に関する約定は、賠償額算定の争いを避けるためにされたものであり、解除の有無によって買主の請求しうる額に差異がない等判示の事情のもとにおいては、買主が契約を解除することなく本来の給付に代わる填補賠償を請求する場合にも適用されるとした事例

昭58(オ)548号

RETIO 12-022

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581 S63.11.17

土地改良法53条1項2号の照応関係は、土地改良事業の目的に照らし、従前の土地に所有権及び地役権以外の権利又は処分の制限がある場合でない限り、同一所有者に対する従前の土地全体と換地全体とを総合的にみて、その間に認められれば足りるとされた事例

昭63(行ツ)60号

582 S63.10.6

民事執行法による不動産競売事件における引渡命令は、公開の法廷における口頭弁論を経ないで引渡命令及びこれに対する執行抗告を棄却する決定をしても、これをもって憲法32条又は82条に違反するものではないとした事例

昭63(ク)304号

583 S63.9.8

土地賃貸人の借地権無断譲渡を理由とした借地契約の解除請求に対し、借地人が買主との売買契約は、借地権譲渡について土地所有者の承諾が得られることを停止条件としており借地権譲渡の効力は生じていないと主張した事案において、本件契約と同時に買主に建物が引き渡されているなどの事情などから、売買契約と同時に借地権譲渡がなされたものと判断された事例

昭59(オ)147号

584 S63.7.19

抵当権の設定されている不動産について当該抵当権者以外の者との間にされた代物弁済予約及び譲渡担保契約が詐害行為に該当する場合において、不動産が不可分のものであり、詐害行為の後に弁済等によって抵当権設定登記が抹消されたときは、その取消による原状回復は、不動産の価額から抵当権の被担保債権額を控除した残額の限度で価格賠償の方法によるとされた事例

昭61(オ)495号

585 S63.7.1

借地上の建物の賃借人は、その敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有するとして、借地人の地代不払い前になした建物賃借人の土地所有者に対する地代弁済の提供を有効と認めた事例

昭62(オ)1577号

586 S63.7.1

債権者が第三者所有の不動産の上に設定を受けた抵当権が不存在であるにもかかわらず、抵当権の実行により第三者が不動産の所有権を喪失したときは、第三者は、売却代金から弁済金の交付を受けた債権者に対し不当利得返還請求権を有するとした事例

昭62(オ)1057号

587 S63.7.1

被用者と第三者との共同不法行為により他人に損害を加えた場合において、第三者が自己と被用者との過失割合に従って定められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは、第三者は、被用者の負担部分について使用者に対し求償することができるとした事例

昭60(オ)1145号

588 S63.5.20

共有者の一部の者から共有物を占有使用することを承認された第三者に対して、その余の共有者は、当然には、共有物の明渡しを請求することはできないとされた事例

昭62(オ)53号

589 S63.4.8

物上保証人からされた被担保債権の将来の弁済を原因とする抵当権設定登記又はいわゆる仮登記担保権の仮登記の抹消登記手続を求める請求は、将来物上保証人が被担保債権を弁済することを条件としても、認容することができるとした事例

昭59(オ)594号

590 S63.3.31

共有者の一人が共有物を他に賃貸して得る収益につきその持分割合を超える部分の不当利得返還を求める他の共有者の請求のうち事実審の口頭弁論終結時後に係る請求部分は、将来の給付の訴えを提起することのできる請求としての適格を有しないとされた事例

昭59(オ)1293号

591 S63.3.1

無権代理人を本人とともに相続した者が、その後更に本人を相続した場合においては、本人が自ら法律行為をしたと同様の法律上の地位ないし効果を生ずるとされた事例

昭58(オ)1362号

592 S63.2.25

不動産の引渡命令の発付を受けた買受人が当該不動産を第三者に譲渡したとしても、引渡命令の相手方は、買受人に対して提起する引渡命令に対する請求異議の訴えにおいて、譲渡の事実をもって異議の事由とすることはできないとされた事例

昭62(オ)491号

593 S63.1.21

河川改修工事による収容ないし占用許可の取消しに関し、輪中堤(堤防)の文化財的価値が損失補償の対象になるかがあらそわれた事例において、同輪中堤は歴史的、社会的、学術的価値を内包するが、それ以上に不動産としての市場価値を有するものではないとして、損失補償の対象とはならないとされた事例

昭58(行ツ)91号

594 S63.1.18

共有の性質を有しない入会地上の天然の樹木の所有権について、事実関係の判断により、土地の所有者にあるとされた事例

昭59(オ)1447号

595 S62.12.18

不動産競売手続における配当金が同一担保権者の有する数個の被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合には、弁済充当の指定に関する特約があっても、その配当金は、民法489条ないし491条の規定に従って数個の債権に充当されるとした事例

昭62(オ)893号

596 S62.11.26

請負人が破産宣告を受けた場合には、当該請負契約の目的である仕事が請負人以外の者において完成することのできない性質のものでない限り、当該請負契約について破産法59条が適用されるとした事例

昭59(オ)521号

597 S62.11.24

里道の用途廃止により生活に著しい支障が生ずるという特段の事情は認められないとして、近くに居住する者の里道の用途廃止処分取消しの訴えにつき原告適格を有しないとされた事例

昭62(行ツ)49号

598 S62.11.13

未登記建物を買い受けた者が、所有権を証する書面として、同人を建物の建築主とする真実と符合しない記載内容の建築工事完了引渡証明書を添付し建物の表示の登記の申請をした場合には、その登記申請は、不動産登記法49条8号、10号により却下されるとされた事例

昭58(オ)1178号

599 S62.11.12

不動産が譲渡担保の目的とされ、設定者甲から譲渡担保権者乙への所有権移転登記が経由された場合において、被担保債務の弁済等により譲渡担保権が消滅した後に乙から目的不動産を譲り受けた丙は、民法177条にいう第三者に当たるとした事例

昭59(オ)691号

600 S62.10.8

運筆について他人の添え手による補助を受けてされた自筆証書遺言と民法968条1項にいう「自書」の要件について示された事例

昭58(オ)733号

601 S62.10.8

無断転貸を理由とする土地賃貸借契約の解除権の消滅時効は、転借人が転貸借契約に基づき当該土地の使用収益を開始した時から進行し、債権に準ずるものとして民法167条1項により10年を経過したときに消滅するととした事例

昭58(オ)457号

602 S62.9.4

遺産相続により相続人の共有となつた財産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家事審判法の定めるところに従い、家庭裁判所が審判によつてこれを定めるべきものであり、通常裁判所が判決手続で判定すべきものではないとした事例

昭59(オ)569号

603 S62.9.3

物上保証人が債権者に対し被担保債権の存在を承認しても、右承認によっては、債権者と物上保証人との相対的関係においても、被担保債権について時効中断の効力は生じないとされた事例

昭58(オ)45号

604 S62.7.17

・区分所有建物の暴力団関係者の使用につき、契約解除及び専有部分の引渡し請求が認められた事例
・区分所有建物の専有部分の占有者に対する引渡し請求をするための集会決議においては、あらかじめ当該占有者に対して弁明する機会を与えれば足り、当該占有者に使用収益させている区分所有者に対して弁明する機会を与えることを要しないとした事例

昭62(オ)444号

605 S62.7.9

土地区画整理法77条に基づき従前地上の建物を仮換地上に移築するため解体した場合、同解体は不動産登記法(昭和58年法律第51号による改正前のもの)93条ノ6第1項にいう建物の「滅失」に当たるとされた事例

昭56(行ツ)142号

606 S62.7.7

・民法117条2項(無権代理人の責任)にいう「過失」は、重大な過失に限定されるものではないとした事例
・無権代理人の責任の要件と表見代理の要件がともに存在する場合、相手方において表見代理を主張するか否かは自由であり、直ちに無権代理人に対し民法117条の責任を問うこともできるとした事例

昭60(オ)289号

607 S62.6.5

無権限者から土地を賃借し、平穏公然に土地を継続使用し賃料を支払ってきた土地の賃借人について、使用開始後20年の経過により、土地所有者に対する土地の賃借権の取得時効が成立したとされた事例

昭60(オ)615号

608 S62.4.23

・不動産の受遺者は、遺言執行者があるときでも、所有権に基づき、不動産に対する無効な抵当権に基づく競売手続の排除を求めることができるとした事例
・遺言執行者がある場合には、相続人が遺贈の目的物についてした処分行為は無効であるとされた事例
・遺言執行者として指定された者が就職を承諾する前であっても、民法1013条にいう「遺言執行者がある場合」に当たるとした事例

昭61(オ)264号

609 S62.4.22

・森林法186条は憲法29条2項に違反するとした事例
・民法258条により共有物の現物分割をする場合において、持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせて過不足を調整する価格賠償の方法によることも許されるとした事例

昭59(オ)805号

610 S62.4.17

土地改良事業により土地改良区から換地処分を受けた者が、換地処分は照応の原則に違反し無効であると主張しこれを争おうとするときは、換地処分の無効確認を求める訴えを提起することができるとした事例

昭57(行ツ)97号

611 S62.3.24

土地の無断転貸がなされるも背信行為と認めるに足りない事情があり、賃貸人が賃貸借契約を解除できない場合において、当該契約が合意解除されたとしても、それが賃料不払い等による法定解除権の行使が許されるものである等の事情のない限り、賃貸人は賃借人(転貸人)との合意解除の効果をもって転借人に対抗できないとされた事例

昭59(オ)1178号

612 S62.2.26

土地区画整理事業において、公簿地積を基準地積としてなされた換地処分は、特に希望する者に限り実測地積により得る途が開いてあれば、憲法29条に違反しないとされた事例

昭60(行ツ)116号

613 S62.2.13

売買代金債務を目的とする準消費貸借契約が締結された場合であつても、売主が自己の所有権移転登記手続債務につき売買契約に基づいて有していた同時履行の抗弁権を失わないとされた事例

昭61(オ)1036号

614 S62.2.13

公営住宅の建替事業に伴い、公営住宅法(昭和55年法律第27号による改正前のもの)23条の6に基づき入居者に対して明渡請求をする場合には、借家法1条の2所定の要件を具備することを要しないとした事例

昭61(オ)996号

615 S62.2.12

帰属清算型の譲渡担保において、債権者の支払うべき清算金の有無及びその額は、債権者が債務者に対し清算金の支払若しくはその提供をした時若しくは目的不動産の適正評価額が債務額を上回らない旨の通知をした時、又は債権者において目的不動産を第三者に売却等をした時を基準として確定されるとした事例

昭60(オ)568号

616 S62.1.22

相続土地の共有持分の取得が相続人らにおいて第一回遺産分割協議を合意解除し改めて第二回遺産分割協議をしたことに伴うものである場合には、右取得は地方税法73条の7第1号にいう「相続に因る不動産の取得」に該当するとされた事例

昭59(行ツ)299号

617 S61.12.16

海は、いわゆる公共用物であって、国の直接の公法的支配管理に服し、特定人による排他的支配の許されないものであり、過去において国が一定範囲を区画してこれを私人の所有に帰属させた場合を除き、所有権の客体たる土地に当たらないとした事例

昭55(行ツ)147号

618 S61.12.11

固定資産評価基準(昭和38年12月25日自治省告示第158号)は、前年中に取得された償却資産の評価については、いわゆる半年分償却法のみを認め、いわゆる月割償却法はこれを認めない趣旨と解するとした事例

昭58(行ツ)55号

619 S61.12.5

農地の売買契約締結後、農地法3条許可前に相続となった場合の課税財産は、売買契約に基づき買主が売主に対して取得した所有権移転請求権等の債権的権利であり、その課税評価額は当該農地の取得価額に相当するとされた事例

昭57(行ツ)18号

620 S61.11.20

クラブのホステスが顧客の飲食代金債務についてした保証契約が公序良俗に反するものとはいえないとされた事例

昭60(オ)356号

621 S61.11.20

不倫な関係にある女性に対する包括遺贈が公序良俗に反しないとされた事例

昭61(オ)946号

622 S61.11.20

融資の担保の目的で、債務者が自己の第三債務者に対する請負代金債権の代理受領を債権者に委任し、第三債務者が債権者に委任契約の内容を了承し、請負代金を直接支払うことを約束しながら、これを債務者に支払ったときは、債権者は第三債務者に対し、代理受領による貸金の回収という財産上の利益が害されたことを損害として、不法行為に基づく損害賠償請求権を行使することができるとした事例

昭59(オ)286号

623 S61.11.18

登記上の所有者を真実の所有者と信じて抵当権を設定し、その後競売にて自ら競落したXが、真実の所有者Aより建物を賃借していたYに対し賃借権の不存在等を求めた事案において、Xが建物の真実の所有者がAであること及びA・Y間の賃貸借契約締結の事実を知らなかったとしても、Yは賃借権をもってXに対抗することができ、Yに対する関係で民法94条2項を適用ないし類推適用する余地はないとした事例

昭59(オ)1367号

624 S61.9.11

農地法19条(農地又は採草放牧地の賃貸借の存続期間) は、地上権に適用又は準用されないとした事例

昭61(オ)508号

625 S61.7.17

従前の土地の所有者は、仮換地の不法占拠者に対し、将来の賃料相当損害金の請求を認容する確定判決を得た場合においても、その事実審口頭弁論終結後に、公租公課の増大、土地の価格の高騰等により、認容額が不相当となったときは、新訴により、認容額と適正賃料額との差額に相当する損害金の支払を求めることができるとした事例

昭56(オ)756号

626 S61.7.15

譲渡担保権者が設定された先順位の抵当権又は根抵当権の被担保債権を代位弁済したことにより取得する求償債権は、譲渡担保設定契約に特段の定めのない限り、譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲に含まれないとされた事例

昭58(オ)1110号

627 S61.7.10

区分所有建物の保存改修工事により共用部分である部屋の壁面に設置された出窓風の飾り物が、専有部分の所有権を侵害しているとして、専有部分の所有者が管理組合等に対し撤去等を求めた事案において、管理組合は被告適格を有するとしたが、事実関係のもとにおいては管理組合等に撤去義務はないとして、専有部分所有者の請求を棄却した事例

昭58(オ)582号

628 S61.6.19

建築基準法46条1項に基づく壁面線の指定は、特定の街区を対象として行う対物的な処分であり、特定の個人又は団体を名あて人として行うものではないから、その指定については行政不服審査法57条1項の適用はない(利害関係人は、同条2項により教示を求めることができるものとされている)とされた事例

昭60(行ツ)207号

629 S61.5.29

町村の境界を確定するに当たっては、まず、江戸時代における関係町村の当該係争地域に対する支配・管理・利用等の状況を調べ、そのおおよその区分線を知り得る場合には、これを基準として境界を確定すべきとした事例(筑波山山頂付近における隣接両町の境界を確定した事例)

昭57(行ツ)163号

630 S61.4.25

区分所有建物における共用設備のある倉庫が、建物の専有部分として区分所有権の目的となるとされた事例

昭57(オ)861号

631 S61.4.11

仮登記担保権者は、仮登記担保契約に関する法律2条1項所定の債務者又は第三者に対する通知をし、その到達の日から2月の清算期間を経過したのちであっても、同法5条1項所定の通知をしていない後順位担保権者に対しては仮登記に基づく本登記の承諾請求をすることはできないとした事例

昭58(オ)1202号

632 S61.4.11

債務の弁済と当該債務の担保のために経由された仮登記担保権設定の仮登記の抹消登記手続ないし抹消登記手続に代わる移転登記手続とは、前者が後者に対し先履行の関係にあるものであって、同時履行の関係に立つものではないとした事例

昭55(オ)488号

633 S61.3.20

民法921条3号にいう相続財産には相続債務も含まれるとした事例

昭57(オ)274号

634 S61.3.17

・時効による債権消滅の効果は、時効期間の経過とともに確定的に生ずるものではなく、時効が援用されたときにはじめて確定的に生ずるとした事例
・農地売買において、売主が県知事に対する許可申請協力請求権の消滅時効の援用をするまでの間に当該農地が非農地化したときには、その時点にて農地の売買契約は当然に効力を生じ買主にその所有権が移転するとした事例

昭59(オ)211号

635 S61.2.27

一筆の土地が現地においてA部分とB部分とに明確に区分され、A部分は甲に、B部分は乙にそれぞれ賃貸された後において、甲が売買の目的物を一筆の土地と表示して契約を締結したとしても、B部分を含める旨の明示的な合意がされている等の特段の事情のない限り、一筆の土地全部が売買の対象とされたものと認めることは経験則に反するとされた事例

昭59(オ)675号

636 S60.12.20

債務者が代物弁済に供した不動産をその登記未了の間に第三者に譲渡したがその後代物弁済契約が遡って失効した場合において、債権者に対する不法行為責任がないとされた事例

昭58(オ)706号

637 S60.12.17

宅地建物取引業法47条1号に違反した宅建業者の代表取締役について、同法84条により、同法80条の罪の行為者として処罰されるとした事例

昭60(あ)1255号

638 S60.12.17

将来換地となることが予想される土地に対して換地計画を定めないでした仮換地指定処分が、土地区画整理法98条1項前段にいう工事のため必要がある場合に当たるとして、適法とされた事例

昭57(行ツ)128号

639 S60.11.29

・障害物の除去時期が確定できないため、使用収益開始の日を追って定める旨通知してなされた仮換地指定につき違法とはいえないとされた事例
・使用収益開始の日を追って定める旨通知されたため、仮換地を使用収益することができないことをもって、当該仮換地指定が照応の原則に反するとはいえないとされた事例

昭55(行ツ)88号

640 S60.11.29

・水産業協同組合法45条準用の民法54条にいう「善意」とは、理事の代表権に制限を加える定款の規定又は総会の決議の存在を知らないことをいうとされた事例
・前記の「善意」の主張・立証責任は第三者にあるとされた事例
・第三者において、前述にいう「善意」とはいえない場合であっても、同組合の理事が同組合を代表する権限を有するものと信じ、かつ、正当の理由があるときは、民法110条を類推適用があるとされた事例

昭57(オ)1392号

641 S60.11.29

甲から不動産を取得した乙がこれを丙に贈与した場合において、乙が、司法書士に依頼し甲に差し出した、不動産を丙に譲渡したので甲から直接丙に所有権移転登記をするよう求める旨の内容証明郵便が、民法550条にいう書面に当たるとされた事例

昭57(オ)942号

642 S60.11.26

仮登記担保権が設定された不動産の譲渡を受けた第三者は、当該仮登記担保権の被担保債権の消滅時効を援用することができるとした事例

昭57(オ)578号

643 S60.11.14

建築基準法48条1項但書により、特定行政庁が第一種低層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した建築物につき、当該敷地の隣接居住者が当該許可の取消しを求める原告適格を有しないとされた事例

昭58(行ツ)12号

644 S60.7.16

建築主と付近住民との紛争につき建築主に行政指導が行われていることのみを理由として建築確認申請に対する処分を留保することは、国家賠償法一条一項所定の違法な行為となるとされた事例

昭55(オ)309号

645 S60.5.17

請負契約が請負人の責に帰すべき事由により中途で終了した場合において、注文者が残工事の施工に要した費用として請負人に賠償請求できるのは、残工事に要した費用のうち、未施工部分に相当する請負代金額を超える部分に限られるとされた事例

昭59(オ)543号

646 S60.3.28

残代金を約定期限までに支払わないときは契約は当然に解除されたものとする旨の解除条件が付された土地の売買契約において、代金の一部を支払わなかった買主が、契約時より民法162条の自主占有があったとした20年の取得時効の主張が認められた事例

昭56(オ)292号

647 S60.3.26

宅地建物取引業法49条にいう「帳簿」とは、本人の意思、形式、記載内容、保管状況から判断して、宅地建物取引業者がその業務に関し同条所定の事項を記載することを予定して備え付けたと認められる帳簿をいうとされた事例

昭59(あ)567号

RETIO 02-008

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648 S59.12.21

新築されたマンションに隣接する家屋の所有者の、現在は発生していないが将来ビル風による被害が生ずる恐れがあるとしてその予防に要した工事費用は、特段の事情のない限り民法717条の損害には該当しないとした事例

昭53(オ)1470号

649 S59.12.20

他人名義で根抵当権設定登記を有する債権者は、抵当不動産の譲渡後に開始された不動産競売事件において配当を受けることはできないとされた事例

昭58(オ)1044号

650 S59.12.13

公営住宅の入居者が、公営住宅法22条1項所定の明渡請求事由に該当する行為をした場合であっても、賃貸人である事業主体との間の信頼関係を破壊するとは認め難い特段の事情があるときは、事業主体の長がした明渡請求は効力を生じないとした事例

昭57(オ)1011号

651 S59.12.7

新築の家屋は、一連の新築工事が完了した時に、固定資産税の課税客体となるとした事例

昭58(行ツ)19号

652 S59.11.22

借主及びその家族の居住を目的とする建物の使用貸借契約について、建物の占用使用開始より約32年4か月の長年月の経過により、目的に従い使用収益をなすに足るべき期間は既に経過しているとして、使用貸借契約の解除を認めた事例

昭58(オ)170号

653 S59.11.6

路線の認定及び道路区域の決定の手続を経ずに行われた道路用地の任意取得は、違法ではないとされた事例

昭56(行ツ)146号

654 S59.10.26

建築基準法6条1項による確認を受けた建築物の建築等の工事が完了したときは、確認の取消を求める訴えの利益は失われるとした事例

昭58(行ツ)35号

655 S59.9.20

売買に基づく所有権移転登記手続請求権を被保全権利とする処分禁止の仮処分が、その後完成した取得時効に基づく所有権移転登記手続請求権について効力を有するとされた事例

昭53(オ)1119号

656 S59.9.18

買受希望者の希望により設計変更等を行ったが、買受希望者の一方的事情により売買が不成立になったとした、マンション売主の買受希望者に対する契約準備段階における信義則上の注意義務違反を理由とした損害賠償請求が認められた事例

昭59(オ)152号

657 S59.9.6

施行者が仮換地を指定するに際し、あらかじめ土地区画整理審議会の意見を聞く手続をとらなかったとしても、それだけで仮換地の指定が当然に無効となるものではないとした事例

昭59(オ)366号

658 S59.5.25

農地の譲受人が、当該譲渡について必要な農地調整法(昭和24年法律第215号による改正前のもの)4条1項所定の知事の許可を受けていないときは、特段の事情のない限り、農地を占有するに当たってこれを自己の所有と信じても、無過失であったとはいえないとされた事例

昭58(オ)1064号

659 S59.5.17

建物収去土地明渡請求及び賃料相当損害金請求訴訟の係属中に借主が破産宣告を受けた場合において、破産宣告日前日までの賃料相当損害金の請求に係る訴訟は、破産法246条の破産債権の確定を求める訴訟となるべきであり、その受継は同法246条、244条2項、247条によりすることを要するとされた事例

昭58(オ)333号

660 S59.4.24

動産執行による金銭債権の消滅時効中断の効力は、債権者が執行官に対しその執行の申立をした時に生ずるとされた事例

昭57(オ)727号

661 S59.4.24

共有不動産につき、共有者の一部の者が勝手に自己名義で所有権移転登記又は所有権移転請求権仮登記をした場合に、他の共有者がその共有持分に対する妨害排除として登記名義人に対し請求することができるのは、自己の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続に限られるとした事例

昭56(オ)817号

662 S59.4.20

建物の所有を目的とする土地の賃貸借において、契約期間満了にあたり調停で決定した更新料を賃借人が支払わなかったことを理由とする賃貸人の賃貸借契約の解除が認められた事例

昭58(オ)1289号

663 S59.4.5

建物所有を目的とする地上権設定登記は、借地法7条による地上権の存続期間が延長された場合においても、これを表示するものとして効力を有するとした事例

昭58(オ)1363号

664 S59.3.9

不動産の仮差押による時効中断の効力は、第三者の申立による強制競売により不動産が競落されて仮差押の登記が抹消されても失われず、その抹消の時まで中断事由が存続したとされた事例

昭58(オ)824号

665 S59.3.6

不動産競売についての予納金及び登録免許税の納付による支出は、所得税法上の必要経費にあたらないとされた事例

昭57(あ)166号

666 S59.2.16

公簿上相隣接する二筆の土地の中間に第三者所有の土地が介在する場合、二筆の土地の所有名義人間の境界確定を訴えにより求めることはできないとした事例

昭57(オ)875号

667 S59.2.14

順位を異にする複数の抵当権が設定されている不動産について後順位の抵当権の実行がされた場合において、最先順位の抵当権設定後、後順位抵当権設定前に不動産を賃借した者は、最先順位の抵当権設定当時存在していた賃借権が競売手続中に消滅したときであっても、賃借権をもって不動産の競落人に対抗することができないとした事例

昭58(オ)793号

668 S59.1.31

数人が共同して行う土地改良事業の認可の申請に同意した者は、既に換地を行うことが予定されているのを了知して同意をしたときであっても、換地計画に同意する義務を負うものではないとした事例

昭56(オ)184号

669 S59.1.27

借地人所有の建物の壁面に取り付けられた第三者所有の広告用看板について、同看板の所有をもって当該建物の壁面についての客観的外部的な事実支配があるとは認められないとして、建物収去土地明渡請求事件の判決に基づきなされた敷地明渡しの強制執行の効力は、同看板にも及ぶとされた事例

昭56(オ)583号

670 S59.1.19

不動産について、贈与を登記原因とした所有権移転登記の抹消手続を求める前訴を提起して敗訴した者が、贈与の不履行を理由に贈与契約を解除したとして、所有権移転登記手続を求める後訴を提起した場合において、後訴の提起は信義則に反するものではないとした事例

昭57(オ)1026号

671 S58.12.8

旧日本住宅公団と賃借人との間の公団住宅賃貸借契約については、借家法7条1項の規定の適用があるとして、旧日本住宅公団の家賃改定を容認した事例

昭58(オ)715号

672 S58.12.6

市の道路用地買収において、市が買収済の特定の残地を他に優先者のない限り払い下げる旨の説明を受け買収に応じた道路買収協力者の、当該残地が払い下げられたことを理由とする市に対する不法行為に基づく損害賠償請求が棄却された事例

昭53(オ)1436号

673 S58.11.15

農地の賃貸借について、農地法による知事の許可なく賃貸借契約が合意解除された後、宅地造成が行われ宅地化された場合において、農地の賃貸借契約の合意解除が知事の許可なしに効力を生じたとされた事例

昭58(オ)758号

674 S58.10.28

土地区画整理法100条の2の規定により、施行者が管理する土地について、第三者が権原なく同土地を不法に占有する場合には、施行者はこれに対し物権的支配権に基づき土地の明渡を求めることができるとした事例

昭58(オ)583号

675 S58.10.20

予見可能性の有無はその公務員の通常有すべき知識経験を基準として判定すべきであるとした事例

昭54(オ)1309号

676 S58.10.18

隣接する甲乙両地各所有者間の境界確定訴訟において、甲地のうち境界の一部に接続する部分につき乙地所有者の時効取得が認められても、甲地の所有者はその境界部分についても境界確定を求めることができるとした事例

昭57(オ)97号

677 S58.9.20

委任契約たる税理士顧問契約は、受任者の利益をも目的として締結された場合でない限り、委任者がいつでも、かつ、なんらその理由を告知せずに、解除することができるとした事例

昭56(オ)47号

678 S58.9.9

自動車学校建築のため木造家屋の敷地に使用する目的でされた土地の賃貸借について、契約当事者は単に自動車運転教習コースのみならず、自動車学校経営に必要な建物所有をも主たる目的として本件賃貸借契約を締結したことが明らかであるなどとして、土地全体について借地法の適用を認めた事例

昭57(オ)361号

679 S58.9.8

土地収用法133条1項所定の期間経過後に損失の補償に関する訴えが予備的に追加された場合において、事実関係等より主位的請求が損失補償額自体を争う趣旨を含むとみることはできないとして、予備的請求の訴えを出訴期間を徒過して提起されたものとして棄却した事例

昭54(行ツ)129

680 S58.9.6

農地法五条所定の許可がされた農地に隣接する農地の所有者が当該許可の取消しを求める原告適格を有しないとされた事例

昭57(行ツ)83号

681 S58.7.5

第一売買の買主より不動産を購入し中間省略登記によって仮登記を受けた第二売買の買主に対して、第一売買の売主が、第一売買の合意解除による仮登記の抹消を請求した事案において、第二売買の買主は民法545条1項但書にいう「第三者」に該当しないとしてその請求が認められた事例

昭57(オ)452号

682 S58.6.30

敷金返還請求権に質権が設定された事案において、指名債権に対する質権設定を第三者に対抗しうる要件としての第三債務者に対する通知又はその承諾は、具体的に特定された者に対する質権設定についてされることを要するとされた事例

昭56(オ)304号

683 S58.4.19

土地の売却交渉において、売買条件の全てを諒承し、売買契約公正証書の作成の日まで取り決めながら、契約締結に応じないで土地を他に売却した売主につき、契約締結上の過失に基づく債務不履行責任を認めた事例

昭55(オ)148号

684 S58.4.14

建物の登記名義人が不実である場合、真実の建物所有者がその登記名義人の共同相続人であるとしても、同登記をもって建物保護に関する法律1条による法定地上権の対抗力は得られないとした事例

昭56(オ)1202号

685 S58.4.8

ビラ貼りのための建物立入りが建造物侵入罪にあたるとされた例

昭55(あ)906号

686 S58.4.1

自転車に乗っていた7歳の児童が、飼主の手を離れ道路に走り出してきた犬を避けようとして、誤って道路から転落し負傷した事故について、犬の飼主に民法718条の責任を認め、足のとどかない自転車に乗っていた児童の治療費について90パーセントの過失相殺を認めた事例

昭57(オ)993号

687 S58.3.31

代物弁済予約のなされた不動産につき、清算金の支払いがなされないまま第三者が仮登記担保権者から不動産の所有権を取得した場合、債務者は第三者からの不動産の明渡請求に対し、仮登記担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができるとした事例

昭55(オ)211号

688 S58.3.25

民法576条但書の「売主が相当の担保を供したとき」とは、売主が買主との合意に基づいて担保物権を設定したか、又は保証契約を締結したなどの場合をいい、担保の提供について買主の承諾を伴わない場合はこれにあたらないとした事例

昭55(オ)1023号

689 S58.3.24

民法186条1項の所有の意思の推定は、占有者がその性質上所有の意思のないものとされる権原に基づき占有を取得した事実が証明されるか、又は、占有中真の所有者であれば通常はとらない態度を示し、若しくは所有者であれば当然とるべき行動に出なかつたなど、外形的客観的に占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったと解される事情が証明されるときは、覆されるとされた事例

昭57(オ)548号

690 S58.3.24

朽廃に近い建物を取得した土地転借権の無断譲受人が、土地の賃借人兼転貸人の承諾を得ず、また異議の申し入れ、裁判所の仮処分決定を無視して、建物の大改造の工事を行い完成させた場合において、無断譲受人が借地法10条に基づく建物の買取請求権を行使することは、信義則に反し許されないとした事例

昭57(オ)996号

691 S58.3.18

遺言の解釈にあたっては、遺言書の文言を形式的に判断するだけでなく、遺言者の真意を探究すべきものであり、遺言書の特定条項の解釈においても、当該条項と遺言書の全記載との関連、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などを考慮して当該条項の趣旨を確定すべきであるとされた事例

昭55(オ)973号

692 S58.2.18

道路法70条1項(道路の新設又は改築に伴う損失の補償)による補償の対象は、道路工事施工による土地の形状変更を直接の原因として生じた障害除去のため、やむを得ず行った工事に起因する損失に限られ、警察規制等による法規制上の障害に基づく損失は含まれないとした事例

昭54(行ツ)155号

693 S58.2.8

入会団体に個別的に加入を認められたと主張する者が入会権者に対し入会権を有することの確認を請求する場合には、主張者が各自単独で訴えを提起することができるとした事例

昭55(オ)936号

694 S58.1.24

土地の死因贈与につき、事実関係のもとでは取消ができないとされた事例

昭57(オ)194号

695 S58.1.20

建物所有を目的とする借地契約の更新拒絶に正当の事由があるかどうかを判断するにあたっては、借地契約が当初から建物賃借人の存在を容認したものであるか又は実質上建物賃借人と借地人とを同一視することができるなどの特段の事情の存在する場合のほかは、建物賃借人の事情を借地人側の事情として斟酌することは許されないとした事例

昭54(オ)1398号

696 S57.12.17

連帯債務者の一人が弁済その他の免責の行為をするに先立ち、他の連帯債務者に対し民法443条1項の通知をすることを怠った場合は、既に弁済その他により共同の免責を得ていた他の連帯債務者に対し、同条2項の規定により自己の免責行為を有効であるとみなすことはできないとされた事例

昭56(オ)477号

697 S57.12.2

所有権に基づく土地明渡訴訟の係争中に提起された境界の確定を求める訴えは、境界の確定が土地所有権に基づく土地明渡訴訟の先決関係に立つ法律関係にあたるものと解することはできないことから、中間確認の訴えとしては不適法であるとされた事例

昭57(オ)539号

698 S57.11.18

民法826条1項(利益相反行為)の規定に基づいて選任された特別代理人と、未成年者との利益が相反する行為については、特別代理人は、選任の審判によって付与された権限を行使することができないとされた事例

昭56(オ)586号

699 S57.10.19

民法724条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)所定の3年の時効期間の計算においては、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時が午前零時でない限り、時効期間の初日を算入すべきではないとされた事例

昭56(オ)767号

700 S57.10.19

土地所有者が、土地賃借人との土地賃貸借契約を合意解除し、不法占有となった者の所有する地上建物を自力救済により違法に取り壊した場合において、土地所有者は土地の不法占有を理由とする建物所有者に対する損害賠償請求ができるとされた事例

昭56(オ)729号

701 S57.9.28

土地所有者の建物収去土地明渡請求に対し、建物所有者が「土地所有者は、譲渡担保設定による所有権移転登記により、明渡請求の基礎となる土地所有権を喪失した」と主張した事案において、土地所有者の譲渡担保設定における所有権移転の効力は、債権担保の目的を達するのに必要な範囲内に限られるとして、その主張を否定した事例

昭56(オ)1209号

702 S57.9.9

宅地建物取引業法13条における名義貸しとは、自己の名義をもつて他人に宅地建物取引業を営ませる行為につき、その相手方が宅地建物取引業を営む免許を受けていると否とにかかわりなく、一律にこれを禁止、処罰する趣旨であるとした事例

昭55(あ)1803号

703 S57.9.7

闘犬の襲撃による幼児の死亡事故につき、飼主に飼育場所を提供しかつ日常飼育に協力していた者に対して、闘犬の保管において危険発生を防止すべき高度の注意義務があり民法709条の不法行為責任を負うとされた事例

昭55(オ)978号

704 S57.7.15

約束手形の裏書人が振出人の手形金支払義務の時効による消滅に伴い、自己の所持人に対する償還義務も消滅したとしてその履行を免れようとすることが信義則に反し許されないとされた事例

昭53(オ)728号

705 S57.7.1

・入会部落の構成員が有する使用収益権の確認又はこれに基づく妨害排除の請求については、構成員各自に当事者適格があるとされた事例
・入会部落の構成員は、自己の有する使用収益権を根拠としては、入会地について経由された地上権設定仮登記の抹消登記手続を請求することができないとされた事例

昭51(オ)424号

706 S57.7.1

競売手続中の他人所有の不動産を目的物とする売買につき、買主が売主の履行遅滞による売買契約の解除及び損害賠償の請求を求めた事案において、売主の履行遅滞は競落許可決定に対し即時抗告の申立がされたこと等の売主の責に帰することのできない事由によるものとして、その請求を棄却した事例

昭57(オ)328号

707 S57.6.17

公有水面を埋め立てるため投入された土砂は、その投入によって直ちに公有水面の地盤に附合して国の所有となることはなく、原則として、埋立工事の竣功認可の時に埋立権者の取得する埋立地に附合するものであって、その時までは、独立した動産としての存在を失わないとした事例

昭54(オ)736号

708 S57.6.17

・一筆の土地の一部分の売買契約において、対象土地部分が具体的に特定していないとされた事例
・多数持分権者との間の売買契約に基づいて共有地の一部分の引渡を受けた者に対する少数持分権者からの返還請求ができないとされた事例

昭56(オ)742号

709 S57.6.17

農地の売買において、買主が約定の履行期後売主に対し再三にわたり売買契約の履行を催告し、その間常に残代金の支払の準備をし、農地法3条所定の認可がされ次第残代金の支払いができる状態にあったときは、現実に残代金を提供しなくても、民法557条1項の「契約の履行に着手」したものと認められた事例

昭55(オ)469号

710 S57.6.8

土地の仮装譲受人が土地上に建物を建築してこれを他人に賃貸した場合、建物賃借人は、仮装譲渡された土地については法律上の利害関係を有するものとは認められないから、民法94条2項所定の第三者にはあたらないとして、土地所有者(仮想譲渡人)の建物賃借人に対する建物明渡請求が認められた事例

昭56(オ)988号

711 S57.6.4

不動産を目的とする代物弁済契約の意思表示がされたときは、これにより当該不動産の所有権移転の効果が生ずるとした事例

昭57(オ)111号

712 S57.4.30

負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与の受贈者が負担の全部又はこれに類する程度の履行をした場合、特段の事情がない限り、民法1022条、1023条の規定は準用されないとされた事例

昭56(オ)487号

713 S57.4.22

都市計画区域内における高度地区指定の決定は、抗告訴訟の対象にならないとされた事例

昭54(行ツ)7号

714 S57.4.22

都市計画法8条1項1号の規定に基づく工業地域指定の決定は、抗告訴訟の対象にならないとした事例

昭53(行ツ)62号

715 S57.4.9

後順位担保権者の申し立てによる不動産競売手続が開始されている場合において、仮登記担保権者によって提起された仮登記に基づく本登記手続の承諾請求及び本登記を条件とする不動産の明渡請求が認められた事例

昭56(オ)473号

716 S57.3.30

占有補助者による占有の侵奪を否定した判断に、民法200条(占有回収の訴え)違背の違法があるとされた事例

昭54(オ)616号

717 S57.3.25

所有権移転請求権保全の仮登記の名義人は、登記上利害関係を有する第三者の承諾書等がないため、仮登記とは無関係に所有権移転登記を経由した場合であっても、特段の事情のない限り、仮登記義務者に対して仮登記の本登記手続を請求する権利を失わず、右仮登記の本登記を承諾すべき第三者の義務も消滅しないとした事例

昭55(オ)1140号

718 S57.3.12

工場抵当法2条の規定により工場に属する土地又は建物とともに抵当権の目的とされた動産が、抵当権者の同意を得ないで、備え付けられた工場から搬出された場合、第三者において即時取得をしない限りは、抵当権者は搬出された目的動産をもとの備付場所である工場に戻すことを求めることができるとした事例

昭56(オ)811号

719 S57.3.9

・共有物分割の訴えは、分割方法を具体的指定の必要はなく、単に共有物の分割を求める旨の申し立てで足りるとした事例
・共有物の現物での分割が不可能、もしくは著しく価格を損するおそれがあるときには、裁判所は当事者が申し立てた分割方法にかかわらず、共有物を競売に付しその売得金を共有者の持分の割合に応じて分割することを命ずることができるとした事例

昭53(オ)927号

720 S57.2.18

未登記不動産にも民法177条の適用があり、時効取得者は登記を備えなければ、時効完成後に不動産を取得し登記を備えた第三者に対し対抗できないとした事例

昭56(オ)986号

721 S57.2.5

鉱業権設定後、採掘予定の鉱区内に学校が建設されたため、その周囲50mの範囲で採掘ができなくなったとして、鉱業者が学校の建設者に損害賠償を請求した事案において、鉱業法64条の規定により鉱業権の行使が制限されても、その損失につき憲法29条3項を根拠としてその補償を請求することはできないとした事例

昭55(オ)1185号

722 S57.2.4

借地期間が20年に1日足りない非堅固建物の所有を目的とする借地契約については、その形式、文言にかかわらず、借地権の存続期間を20年と定める趣旨のものと認めるのが相当とした事例

昭56(オ)1190号

723 S57.1.29

執行力のある債務名義又は終局判決を有しない破産債権者の届出債権に対する債権調査期日における破産管財人又は他の債権者の異議は、破産債権届出の時効中断の効力に影響を及ぼすものではないとされた事例

昭55(オ)666号

724 S57.1.22

山林原野が村有財産として管理処分され、部落による共同体的統制の存在が認められない場合において、共有の性質を有する入会権及び共有の性質を有しない入会権ともに認められないとされた事例

昭53(オ)861号

725 S57.1.22

譲渡担保を設定した債務者の受戻の請求において、債務の弁済と弁済に伴う目的不動産の返還請求権とを合体して、一個の形成権たる受戻権であるとの法律構成をする余地はなく、これに民法167条2項(消滅時効)の規定を適用することはできないとした事例

昭55(オ)153号

726 S57.1.21

土地の売買契約において、土地の面積が表示された場合でも、その表示が代金額決定の基礎とされたにとどまり契約の目的を達成する上で特段の意味を持つものでないときは、当該土地が表示どおりの面積を有したとすれば買主が得たであろう利益について、売主は損害賠償責任を負わないとした事例

昭54(オ)1244号

727 S57.1.19

固定資産の土地名寄帳及び家屋名寄帳は、市町村が固定資産税の課税上の必要に基づき作成する資料であり、その記載が固定資産税の納税義務者の権利義務に影響を及ぼすものではないから、固定資産の所有者であっても、法律上市町村に対し名寄帳の閲覧を請求する権利はないとした事例

昭56(オ)952号

728 S57.1.19

抵当債務は、抵当権設定登記の抹消登記手続より先に履行すべきもので、後者とは同時履行の関係に立たないとした事例

昭56(オ)890号

729 S56.12.18

自筆証書遺言における証書の記載自体からみて明らかな誤記の訂正については、民法968条2項所定の方式の違背があっても、その違背は遺言の効力に影響を及ぼさないとされた事例

昭56(オ)360号

730 S56.12.17

譲渡担保権者は、特段の事情がないかぎり、譲渡担保権者たる地位に基づいて目的物件に対し譲渡担保権設定者の一般債権者がした強制執行の排除を求めることができるとした事例

昭53(オ)1463号

731 S56.12.4

仮換地について、賃借権の目的となるべき土地の指定を受けていない賃借人に対する、賃貸人の明渡請求が権利の濫用にあたるとされた事例

昭55(オ)904号

732 S56.11.24

不動産につき取得時効が完成したときは、同不動産についての取得時効期間の進行中に締結され、所有権移転請求権仮登記により保全された売買予約上の買主の地位は消滅し、時効取得者は、その所有権の取得を登記なくして仮登記権利者に対抗することができるとした事例

昭56(オ)782号

733 S56.11.5

檻から出した飼犬が公道に飛び出し、進行中の原動機付自転車に接触して転倒させ、運転者を負傷させた事故について、犬の飼主に民法718条(動物の占有者等の責任)による損害賠償責任を認めた事例

昭56(オ)523号

734 S56.10.30

共有不動産につき、単独相続したとして登記を得て売買した売主が、当該不動産につき自己が取得した持分をこえる部分の所有権が無効であると主張して、買主および買主よりの転取得者に対し、所有権移転の無効及び抹消(更正)登記手続を請求することは信義則に照らして許されないとした事例

昭56(オ)73号

735 S56.10.30

将来発生する求償債権を既発生の貸金債権と表示してされた抵当権設定仮登記について、その効力が認められた事例

昭55(オ)1006号

736 S56.10.16

日本国内に営業所を有する外国法人に対する損害賠償請求訴訟については、右法人にわが国の裁判権が及ぶものと解するのが相当とされた事例

昭55(オ)130号

737 S56.10.13

民法467条1項所定の通知又は承諾は、債権の譲受人が債務者に対して債権を行使するための積極的な要件ではなく、債務者において通知又は承諾の欠けていることを主張して譲受人の債権行使を阻止することができるにすぎないとして、貸主の地位を承継した建物賃貸人の、賃借人に対する前貸主との未払賃料、損害金等の請求を容認した事例

昭56(オ)483号

738 S56.10.8

書面によらない土地の贈与者が受贈者に土地の占有及び登記名義を移転することができない場合において、事実関係により贈与の履行が終了したものとして民法550条に基づく取消の効力が否定された事例

昭56(オ)434号

739 S56.10.1

農地の受贈者の贈与者に対して有する知事に対する所有権移転許可申請協力請求権は、民法167条1項の債権にあたり、請求権は贈与契約成立の日から10年の経過により時効によって消滅するとした事例

昭56(オ)575号

740 S56.9.18

庭園等に使用する各種花木を幼木から栽培している土地が、農地法2条1項にいう農地にあたらないとはいえないとされた事例

昭55(オ)1069号

741 S56.9.11

・遺言無効確認訴訟における確認の利益の存否判断にあたっては、原則として、原告の相続分が被相続人から受けた生前贈与等によりなくなるか否かを考慮すべきものではないとされた事例
・単に相続分及び遺産分割の方法を指定したにすぎない遺言の無効確認を求める訴は、固有必要的共同訴訟にあたらないとされた事例
・同一の証書に二人の遺言が記載されている場合、そのうちの一方につき氏名を自書しない方式の違背があるときでも、遺言は、民法975条により禁止された共同遺言にあたるとされた事例

昭54(オ)1208号

742 S56.9.8

宅地造成を目的とした山林の売買において、保安林指定があったことにつき、売主の瑕疵担保責任を認めた事例

昭55(オ)235号

743 S56.7.17

共用設備が設置されている車庫について、認定した事実により、建物の区分所有等に関する法律にいう専有部分にあたるとされた事例

昭55(オ)554号

744 S56.7.16

給水装置新設工事申込の受理の事実上の拒絶につき、建築基準法違反の状態にある建物の状況を是正し建築確認を受けたうえ申込をするよう一応の勧告をしたものにすぎないとして、不法行為による損害賠償責任を否定した事例

昭53(オ)1386号

745 S56.7.3

・所有権に基づく登記請求を認容した確定判決は、その理由において所有権の存否を確認している場合であっても、所有権の存否について既判力を有しないとした事例
・所有権に基づく登記請求を認容した確定判決は、その理由において所有権の存否を確認している場合であつても、所有権の存否についての既判力に類似する効力を有するものではないとした事例

昭53(オ)1061号

746 S56.7.3

土地区画整理法103条の規定に基づく換地処分について被処分者がする審査請求の請求期間の起算日は、同人が換地処分の通知を受けてその処分があったことを知った日の翌日であるとした事例

昭55(行ツ)61号

747 S56.6.26

負担付贈与がされた場合における贈与税の課税価格は、贈与に係る財産の時価から当該負担額を控除した価格であるとされた事例

昭54(行ツ)136号

748 S56.6.18

共用設備が設置されている倉庫について、共用設備の利用管理によって倉庫の排他的使用に格別の制限ないし障害を生じないときは、倉庫は建物の区分所有等に関する法律にいう専有部分にあたるとされた事例

昭53(オ)1374号

749 S56.6.18

建物の区分所有等に関する法律1条にいう構造上区分された建物部分とは、建物の構成部分である隔壁、階層等により独立した物的支配に適する程度に他の部分と遮断されており、その範囲が明確な建物部分をいい、必ずしも周囲すべてが完全に遮蔽されていることを要しないとした事例

昭53(オ)1373号

750 S56.6.16

土地の売買予約契約の成立後、売主買主双方が予想せずその責に帰することのできない事情により価額が高騰した後になされた、買主の予約完結権の行使が信義則に反しないとされた事例

昭54(オ)332号

751 S56.6.16

長期間継続した地代不払を一括して一個の解除原因とする賃貸借契約の解除権の消滅時効は、最後の地代の支払期日が経過した時から進行するとした事例

昭53(オ)790号

752 S56.6.16

建物所有を目的とする土地賃貸借契約の更新拒絶に正当事由があるかどうかを判断する場合において、第三者である建物賃借人の事情は斟酌すべき事情とはならないとした事例

昭52(オ)336号

753 S56.6.4

・一区画の仮換地の一部を所有の意思をもって所要の期間継続して占有した者は、従前の土地につき当該占有部分に対応する部分が特定されていないときは、時効により従前の土地に対する共有持分権を取得するとともに、当該占有部分につき、共有持分権者の一人が現に排他的な使用収益権能を取得している場合と同様の使用収益権能を取得するとした事例
・所有の意思をもって甲土地に対する仮換地の占有を継続した者がこれを乙土地に対する仮換地と誤信していた場合であっても、その者による甲土地についての時効取得が成立するとした事例

昭53(オ)204号

754 S56.4.20

借地契約において、将来の賃料は当事者が協議して定める旨の約定がされた場合でも、当事者が賃料増減の意思表示前にあらかじめ協議を経ず、また、意思表示後の協議が当事者相互の事情により進まないため更にその協議を尽くさなかったからといって、賃料増減の意思表示が無効となるものではないとした事例

昭54(オ)593号

755 S56.4.14

いわゆる政令指定都市の区長が弁護士法23条の2に基づく照会に応じて前科及び犯罪経歴を報告したことが過失による公権力の違法な行使にあたるとされた事例

昭52(オ)323号

756 S56.4.3

被相続人の遺言書又はこれになされている訂正が方式を欠き無効である場合に、相続人が方式を具備させ有効な遺言書又はその訂正としての外形を作出する行為は、遺言書の偽造又は変造(民法891条5号)にあたるが、それが遺言者の意思実現のため、その法形式を整える趣旨でされたにすぎないときは、同相続人は相続欠格者にあたらないとされた事例

昭55(オ)596号

757 S56.3.20

土地所有者が地代の受領を拒絶し又はこれを受領しない意思が明確であるため地上権者において提供をするまでもなく債務不履行の責を免れる事情にある場合、土地所有者は自己の受領遅滞を解消させる措置を講じたのちでなければ、地上権消滅請求の意思表示をすることができないとした事例

昭53(オ)400号

758 S56.3.13

土地の賃貸借契約の期間満了を理由とする土地明渡請求訴訟において、期間満了の時期が賃貸人の主張する時期より後であった場合でも、それが訴訟の係属中であるときは、異議は期間満了後の土地使用継続に対しても黙示的に述べられていると解されるとした事例

昭55(オ)669号

759 S56.2.24

債務者が甲であるのに、誤って債務者が乙であるとして、乙所有の不動産になされた抵当権設定登記の効力があらそわれた事案において、債務者の表示の不一致は更正登記により訂正することができ、抵当権設定登記は有効であるされた事例

昭55(オ)864号

760 S56.2.17

建物等の工事が未完成の間に、注文者が請負人の債務不履行により契約を解除する場合において、工事内容が可分であり、しかも当事者が既施工部分の給付に関し利益を有するときは、特段の事情のない限り、未施工部分についての契約の一部解除はできるが、既施工部分についての契約解除はできないとされた事例

昭52(オ)630号

761 S56.2.5

別荘地の買主と分譲業者との間の土地管理契約について、同契約に基づかなければ分譲業者の水道等の諸施設の利用できず、分譲業者も管理費により別荘地の維持、管理の経費をまかなっている等の事実関係のもとにおいては、受託者である分譲業者から一方的に管理契約を解約することができないとされた事例

昭55(オ)781号

762 S56.1.30

土地付分譲マンション付属の駐車場専用使用権分譲特約が、公序良俗違反として無効とはいえないとされた事例

昭55(オ)747号

763 S56.1.27

土地の買主が売買契約に基づいて目的土地の占有を取得した場合には、他人物売買であるため土地の所有権を直ちに取得するものでないことを買主が知っているときであっても、特段の事情のない限り、買主の占有は所有の意思をもってするものとすべきであるとされた事例

昭53(オ)1350号

764 S56.1.19

建物管理契約において、委任者が委任契約の解除権自体を放棄したものとは解されない事情がある場合は、委任者はやむをえない事由がなくても、民法651条により契約を解除することができるとされた事例

昭54(オ)353号

765 S55.12.11

賃借権の譲渡を承諾しない賃貸人は、無断譲渡を理由とする賃貸借契約の解除権が時効消滅した場合であっても、所有権に基づき、賃借権の無断譲受人に対し目的物の明渡を求めることができるとした事例

昭53(オ)1440号

766 S55.12.4

盲人は、公正証書遺言に立ち会う証人としての適格を有するとした事例

昭52(オ)558号

767 S55.10.28

建物賃借人は、その賃借権を保全するために、債権者代位権に基づき建物賃貸人に代位して、借地法10条の建物買取請求権を行使することは許されないとした事例

昭55(オ)301号

768 S55.10.23

売買を請求原因とする所有権確認訴訟において、当事者が詐欺による取消権を行使できたのに行使せず判決が確定したのちは、後訴において詐欺による取消権を行使して所有権の存否を争うことは許されないとした事例

昭55(オ)589号

769 S55.9.30

土地の一部を目的物とする売買契約において、分筆の催告に売主が応じなかったため、買主が測量により目的物を定め売主に通知した事案において、民法406条以下の規定により売買の範囲が特定し、その所有権が売買契約の効力発生時に遡って買主に帰属したとされた事例

昭55(オ)606号

770 S55.9.11

登記申請権者の申請に基づかないで不実の商業登記がされた場合には、登記を登記申請権者の申請に基づく登記と同視するのを相当とするような特段の事情がない限り、商法14条は適用されないとされた事例

昭53(オ)1400号

771 S55.9.11

民法94条2項所定の第3者の善意の存否は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至った時期を基準として決すべきであるとした事例

昭53(オ)1213号

772 S55.7.15

建築基準法6条1項に基づく確認申請の審査の対象には、当該建築計画の民法234条1項の規定への適合性(隣地より50cm)は含まれないとされた事例

昭54(行ツ)103号

773 S55.7.10

土地区画整理組合が、原則として公簿地積を基準地積とし例外的に実測地積による方法で土地区画整理事業を施行する場合において、定款には単に原則的な基準のみを記載し、例外的な措置の詳細については、別に定款の委任により執行機関の制定する執行細則等における定めにこれを委ねることも許されるとした事例

昭53(行ツ)169号

774 S55.7.1

相続税法34条1項の規定による連帯納付義務は、相続人又は受遺者の固有の相続税の納税義務の確定という事実に照応して法律上当然に確定するとされた事例

昭53(行ツ)86号

775 S55.6.5

宅地造成を目的とする山林の売買において、登記簿上に保安林の表示がなく現地にも保安林の標識がなかったとしても、媒介を行う宅地建物取引業者には、目的たる山林について保安林指定の有無を調査すべき注意義務があるとされた事例

昭54(オ)1252号

776 S55.5.30

約束手形の所持人と裏書人との間において裏書人の手形上の債務につき支払猶予の特約がされた場合には、所持人の裏書人に対する手形上の請求権の消滅時効は、同猶予期間が満了した時から進行するとされた事例

昭54(オ)1104号

777 S55.5.30

日本住宅公団法施行規則15条1項にいう「特別の必要がある場合」において、日本住宅公団は賃貸住宅を他に譲渡し、これに伴って賃貸人の地位をその譲受人に承継させてはならない義務を賃借人に対して負うものではないとした事例

昭53(オ)1409号

778 S55.4.18

土地収用法旧71条及び74条(昭和42年法律第74号による改正前のもの)のもとにおいて、当該事業の施行が残地の価格に及ぼす影響のうち利益と損失とを明確に区別することができない場合に、それらを総合的に勘案することは、同法90条の相殺禁止規定に抵触しないとされた事例

昭53(オ)615号

779 S55.3.6

土地区画整理事業施行地内の土地の売買につき、従前地につきそれが別の特定の土地に換地されることを前提として締結された売買契約は、換地処分等に無効などの瑕疵があるとしても、予定通りの換地がされないことが確定しない限り効力を有するとした事例

昭54(オ)835号

780 S55.3.6

土地賃借権の譲渡の承諾に付帯して約された、土地の一部の土地賃貸人への返却を、借地権譲受人が履行しなかったことを理由とする、土地賃貸人の土地全体についての土地賃貸借契約の解除が認められた事例

昭53(オ)893号

781 S55.2.29

農地の売買における買主の売主に対する許可申請協力請求権の消滅時効は、売主が他人から当該農地の所有権を取得した時から進行し、10年の経過により消滅するとした事例

昭54(オ)528号

782 S55.1.25

宅地建物取引業法65条2項に基づきなされた業務停止処分の取消しを求める訴えにおいて、原告が主張する「法律生活上の利益」は、行政事件訴訟法9条にいう「処分の取消しによって回復すべき法律上の利益」にはあたらないとされた事例

昭53(行ツ)170号

783 S55.1.24

不動産物権の譲渡行為が債権者の債権成立前にされた場合には、その登記が債権成立後に経由されたときであつても、詐害行為取消権は成立しないとされた事例

昭54(オ)730号

784 S55.1.22

市街化区域内農地の宅地並み課税により固定資産税等が著しく上昇したとしても、小作料の最高額の統制を定める農地法改正法(昭和45年法律第56号)附則8項は、財産権を保障する憲法29条に違反するものではないとした事例

昭52(オ)773号

785 S54.12.14

被相続人が生存中に無権代理にて不動産を第三者に譲渡した共同相続人が、違産分割の結果当該不動産を取得しないこととなった場合について、民法909条但書の適用がなく、第三者は同共同相続人の法定相続分に応じた共有持分権を取得しないとした事例

昭54(オ)801号

786 S54.12.14

無権代理行為の追認には、取り消しうべき行為についての法定追認を定めた民法125条は類推適用されないとした事例

昭54(オ)778号

787 S54.11.30

建物明渡の確定判決がなされたが建物の明渡に応じなかった医療法人の建物の不法占拠につき、医療法人の理事らに対する不法行為による損害賠償責任を認めた事例

昭54(オ)413号

788 S54.11.16

控訴審において全部勝訴の判決を得た当事者は、第1審において自己の請求の一部を棄却され、控訴審においてこれに対する控訴も附帯控訴もしないまま相手方の控訴棄却判決がなされた場合に、第1審判決にて棄却された請求の認容を求める目的であっても、附帯上告を提起することは許されないとされた事例

昭54(オ)578号

789 S54.11.1

土地の所有権が被告にないとする確認の訴は、隣接地を所有する原告が同土地を道路として使用することを所有権を主張する被告によって妨げられており、かつ、被告が同土地を時効取得することを防止するため必要があると主張するだけでは、確認の利益があるとはいえないとした事例

昭54(オ)562号

790 S54.9.27

未登記建物につき書面によらないで贈与契約がされた場合に、贈与者の意思に基づき直接受贈者名義に保存登記がされたときには、贈与契約の履行が終ったものとして、贈与契約を取り消すことはできないとされた事例

昭53(オ)1060号

791 S54.9.21

借地法10条による建物買取請求権について、当該土地明渡請求訴訟における訴状送達の時から10年の経過により時効消滅しているとされた事例

昭54(オ)462号

792 S54.9.11

所有権移転仮登記に後れて目的物件につき権原を取得し占有を開始した第三者は、仮登記権利者あるいは仮登記に基づき本登記を行った所有権者に対し、本登記がなされる以前の物件占有について、不法占有者としての損害賠償責任は負わないとした事例

昭52(オ)589号

793 S54.9.7

土地改良法に基づく農用地の交換分合の前後を通じ、特定の所有者の失うべき土地と取得すべき土地とについて自主占有が継続しているときは、取得時効の成否に関しては両土地の占有期間を通算することができるとされた事例

昭54(オ)24

794 S54.9.6

手形の裏書人が金額1500万円の手形を、金額150万円の手形と誤信し同金額の手形債務を負担する意思のもとに裏書をした場合に、悪意の取得者に対して錯誤を理由に償還義務の履行を拒むことができるのは、同手形金のうち150万円を超える部分についてだけであって、その全部についてではないとされた事例

昭53(オ)1281号

795 S54.9.6

違約手付金の約定が契約関係を清算する趣旨でなされた場合、手付金の受領者は、相手方に違約があったときは、契約解除の手続を経ることなく手付金流しとしてこれを自己に帰属させることができるとともに、相手方に対しその旨を告知したときは、これによって契約関係も当然に終了するとした事例

昭53(オ)1075号

796 S54.7.31

占有者の占有が自主占有にあたらないことを理由に取得時効の成立を争う者は、占有が他主占有にあたることについての立証責任を負うとした事例

昭54(オ)19号

797 S54.5.31

自筆遺言証書の日付として「昭和四拾壱年七月吉日」と記載された証書は、民法968条1項にいう日付の記載を欠くものとして無効であるとした事例

昭54(オ)83号

798 S54.5.29

借地上の数棟の建物のうち一部の建物の譲渡にともなう借地の一部無断転貸を理由として土地賃貸借契約全体が解除された場合には、そのほかの建物について所有者である借地人は建物買取請求権を有しないとした事例

昭54(オ)68号

799 S54.3.20

仕事の目的物に瑕疵がある場合には、注文者は、瑕疵の修補が可能なときであっても、修補を請求することなく直ちに修補に代る損害賠償を請求することができるとした事例

昭53(オ)826号

800 S54.3.15

土地地積更正登記につき、当該土地の隣接地の所有者は、その取消を求める法律上の利益を有しないとした事例

昭53(行ツ)123号

801 S54.3.1

土地区画整理事業の施行区域内の特定土地につき、所有権その他権利を有する者全員が他の土地の換地に影響を及ぼさない限度内において、特定土地に対する換地の位置、範囲に関し合意し、換地を求める申し出があったときは、事業施行者は、公益に反せず事業施行上支障を生じない限り、土地区画整理法89条1項所定の基準によることなく、合意に従って各土地の換地を定めることができるとした事例

昭52(オ)198号

802 S54.2.22

仮登記担保関係において、債権者が履行遅滞を理由に目的不動産につき、予め交付を受けていた登記手続に必要な書類を利用して所有権移転登記を完了したとしても、仮登記担保権行使による所有権の取得に清算金の支払いが必要な場合においては、債権者が債務者に対し清算金の提供をするまでは、債務者は債務を弁済して仮登記担保関係を消滅させることができるとした事例

昭52(オ)1057号

803 S54.2.22

共同相続人全員の合意によって遺産分割前に遺産を構成する特定不動産を売却した場合の売却代金は、特別の事情のない限り、相続財産には加えられず、共同相続人が各持分に応じて個々にこれを分割取得するとした事例

昭50(オ)736号

804 S54.2.20

請負人が第三者に損害を与えた場合において、注文者に注文又は指図について過失があるとした事例

昭53(オ)1012号

805 S54.2.2

請負契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償請求をした場合の損害額の算定時点は、請求時を基準として行われるとし、後に物価の高騰により修補費用が増加したとしても、注文主は請負人に対しその増加額を求めることはできないとした事例

昭53(オ)924号

806 S54.1.30

所有権保存登記抹消登記手続請求訴訟において勝訴の確定判決を得た原告が、被告の口頭弁論終結後の承継人に対し真正な登記名義の回復のための所有権移転登記手続を求める訴は、前訴の判決の存在によって当然に訴えの利益を欠くことにはならないとした事例

昭53(オ)528号

807 S54.1.25

譲渡担保契約が抵当権者への詐害行為に該当する場合において、譲渡担保権者が当該抵当権者以外の債権者であり、土地の価額から抵当権の被担保債権の額を控除した額が詐害行為取消権の債権額を下回っているときは、譲渡担保契約の全部を取り消し土地自体の原状回復をすることが認められるとした事例

昭53(オ)809号

808 S54.1.25

建築途中の未だ独立の不動産に至らない建前に第三者が材料を供して工事を施し、独立の不動産である建物に仕上げた場合における建物所有権の帰属は、民法243条の規定によるのではなく、同法246条2項の規定に基づいて決定すべきとした事例

昭53(オ)872号

809 S54.1.25

破産宣告当時、破産者所有の不動産につき対抗力ある賃借権の負担が存在する場合において、破産宣告後に不動産が転貸されたとしても、特段の事情のない限り、転借人の転借権取得は破産法54条1項所定の破産者の法律行為によらない権利の取得には該当しないとした事例

昭53(オ)662号

810 S54.1.19

賃借人が複数の共同賃借人であるときにおいて、賃貸人が借地法12条に基づく賃料増額の請求をする場合は、賃借人全員に対し増額の意思表示をする必要があり、その意思表示が賃借人の一部に対してされたにすぎないときは、これを受けた者との関係においてもその効力を生じないとされた事例

昭53(オ)666号

811 S53.12.22

土地賃借権が賃貸人の承諾を得て旧賃借人から新賃借人に移転された場合であっても、敷金に関する敷金交付者の権利義務関係は、特段の事情のない限り、新賃借人に承継されないとした事例

昭52(オ)844号

812 S53.12.22

債務の弁済供託により譲渡担保権が消滅した場合にも、民法496条2項が類推適用され、譲渡担保権が被担保債権の弁済供託により消滅した場合は、弁済者は供託物を取り戻すことができず、また、供託物を取り戻したときであっても譲渡担保権は復活しないとした事例

昭51(オ)521号

813 S53.12.20

共同相続人の一人によって相続権を侵害された共同相続人のその侵害の排除を求める請求には民法884条の適用があるとされた事例

昭48(オ)854号

814 S53.12.14

土地賃借権の無断譲受人による土地の使用が賃借意思に基づくものではないとして、賃借権の時効取得が否定された事例

昭53(オ)719号

815 S53.12.5

土地の賃貸人が、一括して賃貸した土地の一部につき賃貸借契約を解除し、賃借人に対し同部分については損害金として残余の部分については賃料として金員の支払を求め、賃借人が土地の全部につき全額を賃料として弁済のため供託した場合には、その供託は賃料部分に関しては有効な弁済供託であるとした事例

昭53(オ)73号

816 S53.11.30

注文者の請負人に対する目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とし請負人の注文者に対する工事代金債権を受働債権とする相殺が当事者間の特約により許されないとされた事例

昭53(オ)765号

817 S53.10.5

不動産の引渡請求権者は、目的不動産についてされた債務者の処分行為を詐害行為として取り消す場合に、直接自己に対する所有権移転登記手続を請求することはできないとされた事例

昭51(オ)1215号

818 S53.9.29

土地及びその地上建物の所有者が建物につき抵当権を設定したときは、土地の所有権移転登記を経由していなくても、法定地上権の成立を妨げないとした事例

昭53(オ)533号

819 S53.9.21

請負人の注文者に対する報酬債権と注文者の請負人に対する目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権とは、両債権額が異なる場合であっても相殺できるとされた事例

昭52(オ)1306号

820 S53.9.7

第三者が賃借土地の上に存する建物の所有権を取得した場合において、賃貸借契約が賃借権の無断譲渡を理由として解除されたときは、その後に賃料相当損害金の不払が生じても、借地法10条に基づく建物買取請求権は消滅しないとした事例

昭52(オ)1399号

821 S53.9.7

農地につき売買契約が二重に締結され、各買主が所有権移転の仮登記を経由した後、第二買主が農地法の手続を行い売買契約の効力を発生させた上農地を宅地としたときは、売主と第一の買主間の売買契約はその効力を生じ、第一の買主は第二の買主に対し仮登記に基づく本登記の承諾を求めることができるとした事例

昭52(オ)732号

822 S53.7.17

相殺の計算をするにあたっては、民法506条の規定に則り、双方の債権が相殺適状となった時期を標準として双方の債権額を定め、その対当額において差引計算をすべきであるとされた事例

昭53(オ)255号

823 S53.7.17

建物の社会的残存耐用年数が約10年、建物価格が702万円余の鑑定評価書がある場合において、特段の理由なく建物を取引上無価値と認め、借地法10条の建物買取請求権の成立を否定するのは違法であるとされた事例

昭53(オ)55号

824 S53.7.13

共同相続人の1人が遺産を構成する特定の不動産について、同人の有する共有持分権を第三者に譲り渡した場合については、民法905条の規定を適用又は類推適用することはできないとされた事例

昭52(オ)1171号

825 S53.7.10

登記権利者及び登記義務者双方から登記手続の委託を受けた司法書士が登記義務者から登記手続に必要な書類の返還を求められた場合でも、登記権利者に対する関係ではその返還を拒むべき委任契約上の義務があるとした事例

昭51(オ)102号

826 S53.7.4

債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として順位を異にする数個の抵当権が設定されている場合において、物上保証人所有の不動産について先に競売がされ、その競落代金の交付により一番抵当権者が弁済を受けたときは、後順位抵当権者は、物上保証人に移転した債務者所有の不動産に対する一番抵当権から優先して弁済を受けることができるとされた事例

昭50(オ)196号

827 S53.7.4

営造物の通常の用法に即しない行動の結果事故が生じた場合において、その営造物として本来具有すべき安全性に欠けるところがなく、右行動が設置管理者において通常予測することのできないものであるときは、右事故が営造物の設置又は管理の瑕疵によるものであるということはできないとされた事例

昭53(オ)76号

828 S53.6.29

賃貸中の不動産に対する競売開始決定の差押の効力発生後賃貸人のした賃借権譲渡の承諾は、特段の事情のない限り、右差押の効力によつて禁止される処分行為にあたらず、譲受人は、賃借権の取得をもって競落人に対抗することができるとされた事例

昭52(オ)1111号

829 S53.5.25

自称代理人が目的不動産の登記済権利証、所有者の白紙委任状、印鑑証明書等を所持し行った譲渡担保契約の締結及び金銭の借入につき、その取引の相手方が、自称代理人の代理権の有無について直接所有者に問い合わせるなどの調査をせず代理権限があると信じたことが、民法110条の「正当な理由」に該当しないとされた事例

昭51(オ)51号

830 S53.4.11

共有不動産の分割により他の共有者の有していた持分を取得することは、地方税法73条の2第1項にいう「不動産の取得」にあたり、不動産取得税の課税対象となるとした事例

昭51(行ツ)55号

831 S53.3.6

不動産の占有主体に変更があって承継された二個以上の占有が併せて主張された場合、民法162条2項にいう占有者の善意・無過失は、その主張にかかる最初の占有者につきその占有開始の時点において判定すれば足りるとされた事例

昭52(オ)658号

832 S53.2.24

共同相続人の一人が他の共同相続人の全部又は一部の者の後見をしている場合において、後見人が被後見人全員を代理してする相続の放棄は、後見人みずからが相続の放棄をしたのちにされたか、又はこれと同時にされたときは利益相反行為にあたらないとされた事例

昭50(オ)354号

833 S53.2.24

・賃料増額請求が争われた場合における増額分の賃料は、原則として、その債権の存在を認める裁判が確定した日の属する年分の所得の計算上、収入金額に算入されるとした事例
・賃料増額請求にかかる増額分の賃料の支払を命じた仮執行宣言付判決に基づき支払を受けた金員は、その受領の日の属する年分の所得の計算上、収入金額に算入されるとした事例

昭50(行ツ)123号

834 S53.2.16

農地法の不在地主による小作地の所有禁止の規定は、憲法29条に違反しないとされた事例

昭51(オ)1260号

835 S53.2.16

夫婦の一方の特有財産である資産を財産分与として他方に譲渡することは、所得税法33条1項にいう「資産の譲渡」にあたり、譲渡所得を生ずるとした事例

昭51(行ツ)27号

836 S52.12.23

整地請負契約の解除の認定において、一部解除の認定は相当でなく、契約全部を解除する旨の意思表示をしたと認定するのが相当であるとされた事例

昭52(オ)583号

837 S52.12.23

建物収去土地明渡の確定判決の基礎となった事実審口頭弁論の終結後に債務者から建物の所有権を取得した者は、その終結前に経由していた所有権移転仮登記に基づく本登記を経由した場合であっても、仮登記時にさかのぼって被告適格を承継するものではなく、口頭弁論終結後の承継人にあたるとした事例

昭50(オ)203号

838 S52.12.19

建物所有目的の土地の賃貸借契約において、賃借人が借地期間の経過と同時に地上建物を賃貸人に贈与する旨の特約は、同特約によって賃借人が受ける不利益が補償される特段の事情がないときは、借地法11条により無効であるとされた事例

昭51(オ)166号

839 S52.12.8

民法上の組合所有の不動産を理事名義に登記することを承諾した組合員が、組合から不動産を譲り受けた後も理事名義のままにしていたが、その後理事より第三者が譲渡を受け所有権移転登記を経由した場合、組合員は理事の所有権取得の無効をもって善意無過失の第三者に対抗することができないとされた事例

昭51(オ)858号

840 S52.10.11

土地及びその地上の非堅固建物の所有者が土地につき抵当権を設定したのち地上建物を取り壊して堅固建物を建築した場合に、堅固建物の所有を目的とする法定地上権が成立するとされた事例

昭52(オ)287号

841 S52.9.29

土地の管理権を与えられ他に賃貸する権限を有していると称する者との間で締結された賃貸借契約に基づき、賃借人が平穏公然に土地の継続的な用益をしていた事案において、賃借人の土地賃借権の時効取得を認めた事例

昭51(オ)996号

842 S52.9.27

土地の賃借人は、所有建物につき債権担保のため債権者名義に所有権移転登記をした場合、その後に土地の所有権を譲り受けた第三者に対し、建物保護に関する法律第1条による土地賃借権を対抗することができないとした事例

昭52(オ)680号

843 S52.6.20

借地上の建物の譲受人は、地主から提起された建物収去土地明渡請求訴訟の事実審口頭弁論終結後においても、建物買取請求権を行使することができるとされた事例

昭52(オ)268号

844 S52.6.14

遺言者が、公正証書による遺言をするにあたり、公証人があらかじめ筆記した遺言内容を読み聞かせたのに対し、遺言者が単にうなづくのみであって、立会証人の一人が遺言者の真意を十分に確認することができなかったときは、民法969条2号にいう口授があったものとはいえないとされた事例

昭52(オ)185号

845 S52.5.2

建物賃貸において賃貸人が受領した保証金のうち、特約により返還を要しないとした部分は、賃貸人の受領した年の不動産所得の収入金額であるとされた事例

昭52(行ツ)18号(裁判所HP未登載)

846 S52.4.28

道路について、黙示的に公用が廃止されたものとして取得時効の成立が認められた事例

昭52(オ)135号

847 S52.4.15

書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束しないとされた事例

昭51(オ)1174号

848 S52.4.4

農地の売買契約について、知事の許可を受ける前であつても、買主が残代金全額を支払いのため提供したときは、契約の履行の着手があったと解されるとした事例

昭51(オ)1287号

849 S52.3.31

履行不能における債務者の責に帰すべからざる事由とは、債務者に故意・過失がないか、又は債務者に債務不履行の責任を負わせることが信義則上酷に失すると認められるような事由をいうとされた事案

昭49(オ)598号

850 S52.3.15

賃貸人が地上の建物の不存在を理由に、借地人の借地法4条1項に基づく借地権の更新請求権がないと主張することが信義則上許されないとされた事例

昭51(オ)920号

851 S52.3.11

土地の賃借人が地上に所有する建物に抵当権を設定しその登記を経たのちに賃貸人の承諾を得て賃借人から土地の賃借権のみを譲り受けた者は、抵当権の実行により競落人が建物の所有権とともに土地の賃借権を取得したときに競落人との関係において賃借権を失い、競落人が右賃借権の取得につき賃貸人の承諾を得たときに賃貸人との関係においても賃借人の地位を失うとした事例

昭48(オ)118号

852 S52.3.3

農地の賃借人が所有者から農地を買い受けたときは、農地調整法4条所定の都道府県知事の許可又は市町村農地委員会の承認を得なかったとしても、買主は、売買契約が締結されその代金が支払われた時に、民法185条にいう新権原により所有の意思をもって農地の占有を始めたものというべきであるとされた事例

昭51(オ)1060号

853 S52.2.22

請負契約において仕事が完成しない間に注文者の責に帰すべき事由によりその完成が不能となった場合には、請負人は自己の残債務を免れるが、民法536条2項により、注文者に請負代金全額を請求することができ、ただ、自己の債務を免れたことにより得た利益を注文者に償還すべきであるとされた事例

昭51(オ)611号

854 S52.2.17

農地を目的とする売買契約締結後に買主が農地を宅地化した事案において、売買契約が知事の許可なしに効力を生ずるとされた事例

昭48(オ)899号

855 S52.1.20

土地区画整理法による換地処分がされた場合、従前の土地に存在した未登記賃借権は、これについて同法85条のいわゆる権利申告がされていないときでも、換地上に移行して存続するとした事例

昭51(オ)219号

856 S51.12.24

公共用財産が、長年事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失した場合には、公共用財産について黙示的に公用が廃止されたものとして、その物を平穏かつ公然に占有した者の取得時効の成立を認めた事例

昭51(オ)46号

857 S51.12.20

仲介人に売主への本件土地建物の引渡し等の催告を依頼し、また所有権移転登記手続請求の訴訟を提起するとともに、売主に代金の受け取りを求めたこと等により、買主の契約の履行の著手を認めた事例

昭51(オ)811号

858 S51.12.20

農地の買主が農地法5条の許可申請手続に協力しない場合でも、売買代金が完済されているときは、特段の事情のない限り、売主は買主が協力をしないことを理由に売買契約を解除することはできない

昭51(オ)982号

859 S51.12.17

賃借人が賃料の支払を1か月分でも怠ったときは建物賃貸借契約は当然解除となる旨の訴訟上の和解条項に基づき、賃貸人が賃借人の賃料1か月分の賃料延滞により契約解除を求めた事案において、延滞事情の考慮等から信頼関係が賃貸借契約の当然解除を相当とする程度にまで破壊されたといえないとして、その請求を棄却した事例

昭51(オ)633号

860 S51.12.14

賃貸人が賃料延滞を理由として土地賃貸借契約を解除するには、賃借人に対して催告すれば足り、地上建物の借家人に対して延滞賃料の支払の機会を与えなければならないものではないとした事例

昭51(オ)805号

861 S51.12.2

所有者の無権代理人から農地を買い受けた小作人が、新権原による自主占有を開始したものとされ占有の始め過失がないとされた事例

昭51(オ)117号

862 S51.12.2

双務契約の当事者の一方が、相手方の債務と同時履行の関係にある自らの反対給付の提供をすることなしに、相手方の履行遅滞を理由としてした契約解除は、相手方の履行遅滞があれば催告を要することなく契約を解除しうる旨の特約がある場合においても、その効力を生じないとされた事例

昭51(オ)291号

863 S51.11.5

不動産の譲渡による所有権移転登記請求権は、譲渡によって生じた所有権移転の事実が存する限り独立して消滅時効にかからないとした事例

昭51(オ)727号

864 S51.10.12

不動産取得税の5年の消滅時効の起算日は、登記又は申告等の日を基準とすべきでなく、実際に取得した日であるとした事例

昭51(行ツ)13号

865 S51.10.8

民法388条により抵当権設定者が法定地上権を設定したとみなされるためには、抵当権設定当時に土地とその地上建物が同一の所有者に属することを要し、これらが別個の所有者に属するときには法定地上権を設定したとみなすことはできず、この理は両所有者の間に親子・夫婦の関係があるときでも同様であるとした事例

昭51(オ)576号

866 S51.10.1

借地契約の法定更新に際し、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商慣習又は事実たる慣習は存在しないとした事例

昭51(オ)657号

867 S51.9.21

譲渡担保の目的不動産に先順位根抵当権が設定された場合には、特別の事情がない限り、目的不動産の適正な評価額から根抵当権の極度額を控除した残余価額と当該譲渡担保の被担保債権額とを比較して、清算金債務の有無及び数額を確定すべきとされた事例

昭49(オ)813号

868 S51.9.21

譲渡担保の目的とされた借地上の建物を債権者が帰属清算の方法により取得する場合において、土地賃借権の譲渡につき賃貸人の承諾が不可能又は著しく困難と認められるときは、債権者は建物買取請求権を行使する場合の対価をもって、当該建物の適正評価額として清算金額を算定することができるとした事例

昭49(オ)333号

869 S51.9.7

共有にかかる土地が不法に占有されたことを理由として、共有者の全員又はその一部の者から不法占有者に対してその損害賠償を求める場合には、共有者は、それぞれその共有持分の割合に応じて請求をすべきものであり、その割合を超えて請求をすることは許されないとした事例

昭50(オ)1072号

870 S51.8.30

遺留分権利者が受贈者又は受遺者に対し民法1041条1項の価額弁償を請求する訴訟における贈与又は遺贈の目的物の価額算定の基準時は、訴訟の事実審口頭弁論終結の時であるとされた事例

昭50(オ)920号

871 S51.8.30

山林「a」の仮換地「A」について仮換地自体に着目して売買契約が締結されたのち、仮換地の指定の変更により、山林「a」の一部である山林「a’」につき仮換地「A」と同一性のある仮換地「A’」が、山林「a」の残部である山林「b」につき仮換地「B」が各指定され、次いで仮換地がそのまま換地「A”」、換地「B’」と定められた場合には、買主は換地「A”」の所有権を取得するにすぎず換地「B’」の所有権を取得するものではないとされた事例

昭49(オ)868号

872 S51.7.19

相続人が遺言の執行としてされた遺贈による所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴については、遺言執行者がある場合でも、受遺者が被告となるとされた事例

昭51(オ)17号

873 S51.7.8

使用者がその事業の執行につき、被用者の惹起した自動車事故により損害を被った場合において、信義則上被用者に対し、右損害の一部についてのみ賠償及び求償の請求が許されるにすぎないとされた事例

昭49(オ)1073号

874 S51.6.25

電気器具の販売会社が継続的商取引上の債権担保のため、保証人本人の実印の押してある本人名義の契約書と本人の印鑑証明書とを持参した代理人との間で連帯根保証契約を締結した場合に、民法110条の正当理由があるとはいえないとされた事例

昭50(オ)978号

875 S51.6.21

転貸借の目的となっている土地の賃借権の譲渡を受けた者は、賃借権の譲渡人から転借人に対する譲渡の通知又は譲渡についての転借人の承諾がない以上、転借人に対し、その転貸人としての地位を主張することができないとされた事例

昭51(オ)226号

876 S51.6.17

農地買収・売渡処分が買収計画取消判決の確定により失効した場合、被売渡人から土地を買い受けた者が、土地返還請求訴訟提起後に買収処分の無効に帰すべきことを疑わずに有益費を支出したとしても、有益費償還請求権に基づく土地留置権を行使することはできないとした事例

昭50(オ)1148号

877 S51.6.3

増改築禁止の特約がある建物所有を目的とする土地賃貸借契約において、建物の増改築を理由とする解除権の行使が信義則上許されないとされた事例

昭47(オ)90号

878 S51.5.25

消滅時効の援用が権利濫用にあたるとされた事例

昭50(オ)1051号

879 S51.4.23

財団法人が寄附行為の目的の範囲外の事業を行うためにした不動産の売却につき、本件売買の時から7年10か月余を経た後に訴を提起し、売買の無効を主張して売買物件の返還又は返還に代わる損害賠償を請求することは、信義則上許されないとした事例

昭46(オ)198号

880 S51.4.9

復代理人が委任事務を処理するにあたり受領した物を代理人に引き渡したときは、特別の事情がない限り、復代理人の本人に対する受領物引渡義務は消滅するとされた事例

昭49(オ)1026号

881 S51.4.8

先順位受附の登記申請人が、後順位受附の登記申請に基づき不動産登記法48条に違反してされた登記につき、同条違反だけを理由にその抹消登記手続を求めることは許されないとされた事例

昭50(オ)932号

882 S51.3.26

不動産取得税の納税者が同税の賦課処分の取消訴訟において、固定資産課税台帳に登録された当該不動産の価格が客観的に適正な価格と異なると主張して課税標準たる価格を争うことはできないとされた事例

昭46(行ツ)9号

883 S51.3.19

同一不動産を目的とする後順位仮登記担保権者は、債務者のために先順位仮登記担保権者の被担保債権を弁済するにつき民法500条(法定代位)にいう「正当の利益」を有するとされた事例

昭50(オ)1125号

884 S51.3.18

相続人が被相続人から贈与された金銭を、いわゆる特別受益として遺留分算定の基礎となる財産の価額に加える場合には、贈与の時の金額を相続開始の時の貨幣価値に換算した価額をもって評価すべきとされた事例

昭49(オ)1134号

885 S51.3.4

建造物侵入罪の客体となるいわゆる囲繞地にあたるとされた事例

昭49(あ)736号

886 S51.3.4

建物の貸室の賃貸借契約に際し賃借人から建物所有者である賃貸人に差し入れられた保証金がいわゆる建設協力金であり、他に敷金も差し入れられているなどの判示の事実関係のもとでは、建物の所有権を譲り受けた新賃貸人は、旧賃貸人の保証金返還債務を承継しないとした事例

昭47(オ)1289号

887 S51.2.27

土地に対する抵当権設定当時、その地上に建物が存在しなかったときは、たとえ抵当権者において建物の築造をあらかじめ承認した事実があっても、民法388条(法定地上権)の適用がないとされた事例

昭50(オ)1039号

888 S51.2.17

不動産の強制競売において、競落許可決定が確定して競落人がその代金を全額支払い競落不動産の所有権を取得したときは、その後、執行債権が消滅したことを理由に強制競売手続開始決定が取り消され、競売申立が却下されても、競落の効果に影響を及ぼさないとされた事例

昭50(オ)807号

889 S51.2.13

売買契約に基づき目的物の引渡を受けていた買主は、民法561条(他人の権利の売買における売主の担保責任)により契約を解除した場合でも、原状回復義務の内容として、解除までの間目的物を使用したことによる利益を売主に返還しなければならないとされた事例

昭49(オ)1152号

890 S51.2.6

借地契約上の借主の権利を被保全権利とする処分禁止仮処分命令に違反してされた貸主の処分行為による第三者の権利取得は、借主との関係において全面的に否定されるものではなく、第三者は権利取得を理由として、借主の契約上の権利の実現を妨げることが許されないものにすぎないとした事例

昭46(オ)1092号

891 S50.12.26

売主又は買主の一方から仲介の委託を受けた宅地建物取引業者が、委託を受けない当事者に対して報酬請求権を取得するためには、客観的にみて、当該業者が相手方当事者のためにする意思をもつて仲介行為をしたものと認められることを要するとした事例

昭46(オ)22号

RETIO 113-098

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892 S50.12.25

土地区画整理法による土地区画整理のための換地予定地を不法に占有する者がある場合、従前の土地所有者は、これに対し所有権に基づく物上請求権と同様の権利を行使することができるとされた事例

昭50(オ)940号

893 S50.12.23

甲から所有権を譲り受けてその登記を経由した乙は、登記簿滅失による回復登記申請期間を徒過しても、乙の登記後甲から所有権を譲り受けた丙に対し、自己の所有権取得を対抗できるとされた事例

昭50(オ)684号

894 S50.12.18

地方税法73条の21第1項にいう「固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産」とは、不動産を取縛した日の属する年の1月1日における当該不動産の価格が固定資産課税台帳に登録されている不動産を指すとされた事例

昭45(行ツ)82号

895 S50.12.1

不動産の譲渡が詐害行為であるとして取り消され、受益者が現物返還に代わる価格賠償をすべきときの価格は、特別の事情がないかぎり、当該詐害行為取消訴訟の事実審口頭弁論終結時を基準として算定されるとした事例

昭49(オ)480号

896 S50.11.28

土地賃借人が建物保護に関する法律1条によりその賃借権を第三者に対抗しうるためには、賃借人が借地上に自己名義で登記した建物を所有していることが必要であり、自己の子名義で登記をした建物を所有していても、その賃借権を第三者に対抗しえないとした事例

昭50(オ)268号

897 S50.11.28

仮登記担保権者が、目的不動産を自己の所有とすると意思表示をしただけで清算をせず、仮登記のまま目的不動産を第三者に譲渡し、第三者が本登記を経た場合において、本登記が債務者の意思に基づかずにされたときは、債務者は第三者に対して本登記の抹消登記手続を請求することができるとした事例

昭49(オ)1087号

898 S50.11.21

物上保証人に対する抵当権の実行により、競売裁判所が競売開始決定をし、これを債務者に告知した場合には、被担保債権についての消滅時効は中断するとされた事例

昭47(オ)723号

899 S50.11.21

宅地建物取引業法(昭和46年法律第110号による改正前のもの)11条の2第2項にいう「その者が、みずから主として業務に従事する事務所」とは、当該事務所の業務を主として取引業者みずから行う事務所であることを要するにとどまらず、当該取引業者が取引業務を自己の主たる業務として行う事務所であることを要するとした事例

昭48(行ツ)108号

900 S50.11.7

共同相続人の一部から遺産を構成する特定不動産の共有持分権を譲り受けた第三者が当該共有関係の解消のためにとるべき裁判手続は、遺産分割審判ではなく、共有物分割訴訟であるとされた事例

昭47(オ)121号

901 S50.10.28

建物新築による不動産工事の先取特権保存の登記につき、建物所在地番の更正が許されないとされた事例

昭49(行ツ)89号

902 S50.10.14

第三者の売買予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記が存在する建物の競落人は、後日売買予約の完結により仮登記の本登記がなされ、目的物件の所有権を喪失した場合には、当該建物の売買(競落)を解除することができるとした事例

昭47(オ)746号

903 S50.10.2

バッティング練習場として使用する目的の土地の賃貸借契約について、承諾を受けて建築する建物も仮設のバラック式のものに限られていた等の事実関係のもとでは、同契約は借地法1条にいう建物の所有を目的とする賃貸借には当たらないとした事例

昭50(オ)115号

904 S50.9.25

時効による農地所有権の取得については、農地法三条の適用はないとされた事例

昭49(オ)398号

905 S50.9.11

借地人が、地上建物を改築するにあたり、旧建物を一時に全部取り毀さず、新建物の建築工事と並行してその進行状況に応じて順次取り毀し、新建物完成の時に全部取り毀したときでも、旧建物の取毀しは、借地法7条にいう建物の滅失にあたるとした事例

昭48(オ)411号

906 S50.9.9

仮登記担保権者は、目的不動産につき後順位権利者があるときは、債務者に対する被担保債権以外の金銭債権をもって自己の負担する清算金支払債務と相殺することができないとされた事例

昭45(オ)1156 号

907 S50.7.17

仮登記担保権を有する債権者が予約完結権を行使した場合において、債権者が清算金を支払う必要があり、債務者はその支払があるまで目的不動産の本登記手続の履行を拒みうるときは、目的不動産の所有権は、予約完結権の行使により直ちに債権者に移転するものではないとした事例

昭45(オ)310号

908 S50.7.14

建物につき改造が施され、物理的変化が生じた場合、新旧の建物の同一性が失われたか否かは、新旧の建物の材料、構造、規模等の異同に基づき社会観念に照らして判断すべきであり、建物の物理的変化の程度によつては、新旧の建物の同一性が失われることもあり得るとした事例

昭44(オ)798号

909 S50.7.10

借地上建物の賃借人の敷地利用が敷地の使用収益権の範囲を逸脱したものとして、土地所有者より建物賃借人に対する建物の築造その他工作物を設置することの禁止及び本件土地上に設置した物件の収去請求が認められた事例

昭49(オ)454号

910 S50.6.27

売買契約の買主が口頭で代金の受領を求める旨の催告を売主の同居する家族で通常人の理解能力を有する者に対してした場合には、右催告は、売主本人に到達したものと解すべきであるとされた事例

昭50(オ)228号

911 S50.6.26

道路工事中であった県道の工事標識板や赤色灯が、直前に通過した車両により倒され灯りが消され状態であったために引き起こされた事故について、道路管理に瑕疵はなかったとして国賠法に基づく請求が棄却された事例

昭46(オ)887号

912 S50.5.27

財産分与としてされた不動産の譲渡は、譲渡所得課税の対象となるとされた事例

昭47(行ツ)4号

913 S50.5.27

それぞれ登記がされている隣接する二棟の建物につき、2階の隔壁の一部を除去し連絡したという事実のみで、両建物がそれぞれの建物としての独立性を失い一棟の建物になつたものと判断することはできないとした事例

昭45(行ツ)100号

914 S50.4.25

民法94条2項にいう第三者とは、虚偽表示の当事者又はその一般承継人以外の者であって、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至った者をいい、甲乙間における虚偽表示の相手方乙との間で表示の目的につき直接取引関係に立った丙が悪意があっても、丙からの転得者丁が善意であるときは、丁は同条項にいう善意の第三者にあたるとした事例

昭49(オ)513号

915 S50.4.25

土地又は建物の賃借人は、賃借物に対する権利に基づき自己に対して明渡を請求することができる第三者からその明渡を求められた場合には、それ以後、賃料の支払を拒絶することができるとした事例

昭49(オ)161号

916 S50.4.22

賃借地の一部に属するものと信じて賃貸人以外の第三者所有の隣地を占有していた者が、国に物納された右賃借地の払下を受け、以後所有の意思をもって第三者の所有地を占有するに至ったというだけでは、これを自己の所有と信ずるにつき過失がなかったとはいえないとされた事例

昭49(オ)528号

917 S50.4.18

土地賃借人が借地上に所有する建物につき、第三者名義で保存登記をし、あるいは第三者に所有権移転登記をした場合でも、それが登記上の名義のみであって建物所有権の帰属に変動がないときは、敷地賃借権について民法612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)所定の譲渡又は転貸はないとした事例

昭49(オ)1118号

918 S50.4.11

農地の買主が売主に対して有する知事に対する所有権移転許可申請協力請求権の消滅時効は、10年であるとした事例

昭49(オ)1164号

919 S50.4.11

文化財保護法が、史跡名勝天然記念物に関する現状変更行為禁止の代償として補償規定を定めなかったことをもって、違憲無効ということはできないとした事例

昭50(行ツ)2号

920 S50.4.10

いわゆる仮登記担保契約は、被担保債権額と目的不動産の価額との間に著しい較差がある場合であっても、特段の事情のないかぎり、暴利行為として公序良俗に反するものということはできないとした事例

昭48(オ)889号

921 S50.4.10

分譲住宅において、共有物であるバルコニーの改築禁止の建築協定は公序良俗に反しないとして、団地住宅管理組合の、分譲住宅購入者が行ったバルコニー温室工事に対する原状回復請求を認めた事例

昭47(オ)957号

922 S50.4.8

養子とする意図で他人の子を嫡出子として出生届をしても、出生届をもって養子縁組届とみなし、有効に養子縁組が成立したものとすることはできないとされた事例

昭49(オ)861号

923 S50.4.4

宅地建物取引業者が行った法律事務の取扱いについて、商法503条により商行為となるが、それが一回限りであり、かつ、反復の意思をもってなされたものでないとして、弁護士法72条に触れないとした事例

昭47(オ)751号

924 S50.3.6

土地の売主の共同相続人の一部の者が登記手続義務の履行を拒絶しているため、買主が代金支払いを拒絶している場合に、他の相続人は履行を拒絶している相続人に対し、買主に代位して買主の所有権移転登記手続請求権を行使することができるとした事例

昭48(オ)369号

925 S50.2.28

経年などにより、骨組みである丸太の損傷が激しく、特に土と接している根元部分は腐触しいつ倒壊するかわからない危険な状態となっていた簡素な作業場兼資材置場用の建物について、借地法2条1項にいう建物の朽廃に当たるとされた事例

昭47(オ)248号

926 S50.2.25

いわゆる仮登記担保権者は、目的不動産の換価処分前においては、自己が不動産を使用収益することができる旨の約定がある等特段の事情のないかぎり、仮登記に遅れて不動産を賃借し占有する第三者に対し、賃料相当の損害金の賠償を請求することができないとされた事例

昭46(オ)653号

927 S50.2.20

大型ショッピングセンター内の建物賃貸借において、借主の賃貸借契約の特約違反のみならず信頼関係の破壊があったとして、貸主の契約解除を認めた事例

昭49(オ)904号

928 S50.2.13

借地人が借地上に自己を所有者と記載した表示の登記のある建物を所有する場合は、建物保護に関する法律一条にいう登記したる建物を有するときにあたるとした事例

昭47(オ)1008号

929 S50.1.31

農地について締結された賃貸借契約に確定期限が付されている場合において賃借権設定許可申請手続がされないままその期限が到来したときは、賃貸人の賃借人に対する許可申請手続義務は消滅するとされた事例

昭48(オ)1078号

930 S50.1.31

第三者の不法行為又は債務不履行により家屋が焼失した場合、その損害につき火災保険契約に基づいて家屋所有者に給付される保険金は、第三者が負担すべき損害賠償額から損益相殺として控除されるべき利益にはあたらないとした事例

昭49(オ)531号

931 S49.12.24

債権担保のため、債務者の不動産に所有権移転の仮登記に代えて、他の債権者の所有権移転の仮登記が被担保債権の消滅にかかわらず残存しているのを利用して新債権者への請求権移転の附記登記をした場合、附記登記後に不動産につき利害関係を有するに至った第三者は、流用による登記の無効を主張することができないとされた事例

昭47(オ)620号

932 S49.12.24

約1年9ヶ月前に日本に帰化した遺言者の、署名は存するが押印を欠く英文の自筆遺言証書について有効とされた事例

昭48(オ)1074号

933 S49.12.20

準禁治産者である権利者が保佐人の同意を得られないため訴を提起できない場合でも、その権利についての消滅時効の進行は妨げられないとされた事例

昭48(オ)647号

934 S49.12.20

不動産競売手続において再競売が実施された場合には、再競売の競落期日の終りに至るまで配当要求をすることができるとされた事例

昭49(オ)824号

935 S49.12.20

所有権又は賃貸権限を有しない者から不動産を賃借した者が同一物について真の権利者とさらに賃貸借契約を締結したときは、はじめの賃貸借は賃貸人の使用収益させる義務の履行不能によって終了するとした事例

昭47(オ)496号

936 S49.12.17

転用目的の農地の売主は、特別の事情がないかぎり、買主に対し、農業委員会が農地法五条の許可の判断資料として事実上提出を求めた隣接農地所有者の承諾を取得すべき義務を負うものではないとされた事例

昭48(オ)651号

937 S49.12.17

商法266条の3第1項前段所定の第三者の取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は10年と解すべきとした事例

昭49(オ)768号

938 S49.12.16

宅地建物取引業法12条1項にいう「宅地建物取引業を営む」とは、営利の目的で反復継続して行う意思のもとに宅地建物取引業法2条2号所定の行為をなすことをいうとした事例

昭48(あ)970号

939 S49.12.6

抵当権の実行による不動産競売手続において配当表が作成された場合、配当期日に出頭した債務者又は抵当不動産の所有者が債権者の債権に対し異議を申し立て期日に異議が完結しなかつたときは、債務者又は所有者は、配当表に対する異議の訴を提起することができるとした事例

昭49(オ)19号

940 S49.11.22

建物が売買により順次占有が承継され、当初建物占有者の占有開始から20年の経過により、現建物所有者につき取得時効が完成した旨の主張は、仮にその占有の間に占有承継人として別の者が介在することが証拠上認められるならば、その者の占有を取得時効の期間として主張する趣旨を含むと解されるとした事例

昭49(オ)660号

941 S49.11.14

特定の事項について共同代表取締役の意思が合致した場合において、代表取締役のある者が他の代表取締役に意思を外部に表示することにつき代表権の行使を委任することは、共同代表の定めに反しないとされた事例

昭46(オ)90号

942 S49.11.5

信用保証協会が債務者及び保証人と、協会の代位弁済による求償債権の損害金につき法定利息と異なる約定をしても、協会は約定を第三者に対抗することはできないとされた事例

昭47(オ)897号

943 S49.10.24

借地法6条(法定更新)の規定は、その要件を満たす事実が存在するかぎりこれに適用され、その適用回数についてなんら制限はないとされた事例

昭49(オ)552号

944 S49.10.24

土地所有権に基づく物上請求権の訴訟においては、現実に家屋を所有してその土地を占拠し、土地所有権を侵害している者を相手方とすべきであるとし、家屋収去土地明渡請求の確定判決の効力は、事実審口頭弁論終結前に家屋を譲り受けた第三者に対し及ばないとされた事例

昭47(オ)590号

945 S49.10.23

金銭債権担保のため不動産について代物弁済予約又は売買予約等の形式をとる契約が締結され、所有権移転請求権保全等の仮登記がされた場合における右契約の性質及び内容

昭46(オ)503号

946 S49.9.26

借地法8条ノ2第2項の借地条件変更に関する裁判は、憲法32条、82条に違反しないとした事例

昭48(ク)105号

947 S49.9.26

甲を欺罔してその農地を買い受けた乙が、農地法五条の許可を条件とする所有権移転仮登記を得たうえ、売買契約上の権利を善意の丙に譲渡して仮登記移転の附記登記をした場合には、丙は民法96条3項にいう第三者にあたるとされた事例

昭45(オ)344号

948 S49.9.20

民法216条にいう工作物の破潰又は阻塞は、それが、自然力ないしは不可抗力によって生じた場合に限らず、工作物の所有者の故意過失によって生じた場合も含むとされた事例

昭48(オ)621号

949 S49.9.20

借地法4条1項但書の正当事由の有無の判断基準時を賃貸借期間終了の時とし、その後の事情を判断基準時の事実関係を認定するための資料とした原審の認定判断は正当であるとされた事例

昭48(オ)859号

950 S49.9.20

相続の放棄は、民法424条の詐害行為取消権行使の対象とならないとした事例

昭47(オ)1194号

951 S49.9.20

相続税の課税価格の算出上控除すべき弁済期未到来の金銭債務の評価方法

昭47(行ツ)69号

952 S49.9.4

他人の権利の売主が死亡し、その権利者において売主を相続した場合、権利者は相続により売主の売買契約上の義務ないし地位を承継するが、相続前と同様その権利の移転につき諾否の自由を保有し、特別の事情のないかぎり、売買契約上の売主としての履行義務を拒否することができるとした事例

昭44(オ)23号

953 S49.9.2

家屋の賃貸借終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務とは、特別の約定のないかぎり、同時履行の関係には立たないとした事例

昭48(オ)30号

954 S49.7.12

賃借人の債務不履行により契約が解除され、土地賃貸借が終了した場合には、借地法6条1項の法定更新は適用されないとした事例

昭49(オ)309号

955 S49.5.30

賃借家屋につき適法に転貸借がなされた場合であっても、賃貸人が賃借人の賃料延滞を理由として賃貸借契約を解除するには、賃借人に対して催告すれば足り、転借人に対して延滞賃料の支払の機会を与えなければならないものではないとした事例

昭49(オ)71号

956 S49.5.8

土地売却の仲介をした宅建業者が売主との契約により売却にかかる土地の再評価税を自己の負担において代納付した場合、その代納付金が当該土地の仲介手数料を得た年度の収入を得るために支出した費用であって、その金額も算定可能であったときは、代納付金は同年度の経費として計上すべきであるとした事例

昭45(あ)1579号

957 S49.4.26

土地賃貸借の合意解除が、土地賃借人と建物賃借人との関係等により建物賃借人に対抗できるとされた事例

昭48(オ)766号

958 S49.4.26

不動産賃貸借において、賃借人が約9年10月賃料を支払わず、その間、当該不動産を自己の所有と主張して賃貸借関係の存在を否定し続けた事情があるときは、賃貸人は、催告を要せず賃貸借を解除することができるとした事例

昭45(オ)603号

959 S49.4.26

相続財産の限度での支払を命ずる判決が確定した場合における判決の効力

昭46(オ)411号

960 S49.4.9

民法210条の囲繞地通行権の対象となる通路の幅員につき、建築基準法43条の規定基準を判断資料とすることができるとした事例

昭47(オ)264号

961 S49.3.19

賃貸中の宅地を譲り受けた者は、その所有権の移転につき登記を経由しないかぎり、賃貸人たる地位の取得を賃借人に対抗できないとした事例

昭47(オ)1121号

962 S49.3.8

雑所得として課税された金銭債権が後日貸倒れにより回収不能となった場合、当該課税処分そのものが取消又は変更されなくても、国は、同処分に基づいて先に徴収した所得税のうち貸倒額に対応する税額を不当利得として納税者に返還する義務を負うとした事例

昭43(オ)314号

963 S49.3.7

・指名債権が二重に譲渡された場合、譲受人相互の問の優劣は、確定日付ある通知が債務者に到達した日時又は確定日付ある債務者の承諾の日時の先後によって決するとした事例
・債権者が、債権譲渡証書に確定日付を受け、これを即日短時間内に債務者に交付したときは、民法467条2項所定の確定日付ある通知があったものとした事例

昭47(オ)596号

964 S49.2.7

不動産につき贈与を原因とする所有権移転仮登記が経由されているにとどまるときは、これにより仮登記権利者の所有権取得又は仮登記の当事者間における贈与契約の成立を推定することはできないとされた事例

昭48(オ)796号

965 S49.2.5

行政財産である土地について建物所有を目的とし期間の定めなくされた使用許可が当該行政財産本来の用途又は目的上の必要に基づき将来に向って取り消されたときは、使用権者は特別の事情のないかぎり、取消による土地使用権喪失についての補償を求めることはできないとした事例

昭44(オ)628号

966 S48.12.21

土地区画整理事業による換地処分確定後の換地につき、売買による所有権の移転があっても、換地に関する清算交付金請求権は、売買当事者間において清算交付金の帰属についての特段の合意がないかぎり、売買当事者の関係のみならず、整理事業施行者に対する関係でも、買主には移転しないとした事例

昭45(オ)1124号

967 S48.12.14

抵当不動産の譲渡を受けた第三者は、抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができるとした事例

昭45(オ)719号

968 S48.12.11

農地の売買契約締結後、その現況が宅地となった場合には、特段の事情のないかぎり、売買契約は知事の許可なしに効力を生ずるとされた事例

昭48(オ)725号

969 S48.12.7

従前地の一部の賃借人は、土地区画整理事業施行者から仮換地につき使用収益すべき部分の指定を受けなかったとしても、従前の土地所有者との間で、仮換地の特定部分について使用収益できる旨合意し、かつ、特定部分がそのまま本換地の一部となることを条件として換地処分終了後もこれを賃貸借する旨合意した場合には、従前の土地所有者との関係では特定部分について賃借権を主張することができるとした事例

昭44(オ)1207号

970 S48.11.22

破産者がした債務の弁済が破産管財人により否認され、その給付したものが破産財団に復帰したときは、さきにいったん消滅した連帯保証債務は、当然復活するとされた事例

昭48(オ)726号

971 S48.11.16

昭和36年法律第74号による改正前の地方税法のもとにおいても、譲渡担保による不動産の取得は、同法73条の2第1項にいう「不動産の取得」にあたるとして、不動産取得税の課税が容認された事例

昭43(行ツ)90号

972 S48.10.30

代理人がした商行為による債権につき本人が提起した債権請求訴訟の係属中に、相手方が商法504条但書に基づき債権者として代理人を選択したときは、本人の請求は、右訴訟が係属している間代理人の債権につき催告に準じた時効中断の効力を及ぼすとされた事例

昭44(オ)1135号

973 S48.10.30

・土地賃借人が破産しても、土地賃貸人の解約には正当な事由が必要であるとされた事例
・土地賃借人が破産しても、土地賃貸借が解約されない場合、破産宣告の日以後の賃料債権は、破産法47条7号の財団債権と解されるとした事例

昭47(オ)718号

974 S48.10.18

旧都市計画法(大正8年法律第36号)16条1項に基づき土地を収用する場合、被収用者に対し土地収用法72条(昭和42年法律第74号による改正前のもの)によって補償すべき相当な価格を定めるにあたっては、当該都市計画事業のため同土地に課せられた建築制限を斟酌してはならないとした事例

昭46(オ)146号

975 S48.10.12

農地売買につき、売主が買主と協力して農地法五条の許可申請をしたが手続上の不備で受理を拒まれたときは、許可申請をしたことをもって売主の買主に対する売買契約上の許可申請義務を果たしたとはいえないとされた事例

昭48(オ)394号

976 S48.10.12

賃貸借における期間の定めは、当事者において解約権留保の特約をした場合には、その留保をした当事者の利益のためになされたものということができるが、そうでない場合には、賃貸人、賃借人双方の利益のためになされたものというべきであって、期間の定めのある賃貸借については、解約権を留保していない当事者が期間内に一方的にした解約申入は無効であり、賃貸借はそれによって終了することはないとした事例

昭47(オ)367号

977 S48.10.12

土地賃借人の会社の代表者である賃貸人が、賃借人会社の自己破産を申し立て、これを理由に転賃貸権の消滅を主張することは信義則に反するとして、土地賃貸借契約は終了するとしても転借権は消滅しないとされた事例

昭48(オ)68号

978 S48.10.11

債権者は、金銭を目的とする債務の不履行による損害賠償として、債務者に対し弁護士費用その他の取立費用を請求できないとした事例

昭45(オ)851号

979 S48.10.9

権利能力のない社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属し、社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し個人的債務ないし責任を負わないとされた事例

昭45(オ)1038号

980 S48.10.5

入会部落の総有に属する土地の譲渡を受けた同部落の構成員は、譲渡前にこれを時効取得した者に対する関係において、民法177条にいう第三者にあたるとされた事例

昭47(オ)1188号

981 S48.10.5

抵当権の設定されている建物の買主は、抵当権の実行により建物が他に競落されたのち、不法占有中に建物に支出した費用に関し留置権を主張することはできないとした事例

昭48(オ)494号

982 S48.10.5

重量鋼造り組立式工場が、堅固な建物に該当しないとされた事例

昭46(オ)1160号

983 S48.10.4

根抵当権者は、後順位担保権者など配当をうけることのできる第三者がなく、競売代金に余剰が生じた場合においても、極度額を越える部分について、当該競売手続においては、その交付をうけることができないとされた事例

昭46(オ)954号

984 S48.9.18

土地およびその地上建物の所有者が建物の取得原因である譲受につき、所有権移転登記を経由しないまま土地に対し抵当権を設定した場合であっても、法定地上権は成立するとした事例

昭45(オ)989号

985 S48.9.7

手形債務を主たる債務として手形外の連帯保証契約が締結されている場合において、連帯保証人に対し裁判上の請求がされたときは、手形債務についても消滅時効が中断するとされた事例

昭46(オ)774号

986 S48.9.7

建物とともにその敷地の賃借権を譲り受けた者の有する借地法10条の建物買取請求権は、賃貸人が賃借人である譲渡人との間で賃貸借契約を合意解除しても、特段の事情がないかぎり消滅しないとした事例

昭46(オ)528号

987 S48.7.19

無断転貸を理由とする賃貸借契約解除の意思表示は、それ以外の理由によつては解除をしないことが明らかにされているなど特段の事情のないかぎり、同時に借家法1条の2の解約申入としての効力をも有するとした事例

昭47(オ)968号

988 S48.7.17

賃借人が賃借建物に附加した増・新築部分が、賃貸人に返還される以前に、賃貸人、賃借人いずれの責にも帰すべきでない事由により滅失したときは、特段の事情のない限り有益費償還請求権は消滅するとした事例

昭48(オ)128号

989 S48.7.12

抵当不動産の第三取得者が、民法391条にもとづく優先償還請求権を有しているにもかかわらず、抵当不動産の競売代金が抵当権者に交付されたため優先償還を受けられなかつたときは、第三取得者は、抵当権者に対し不当利得返還請求権を有するとされた事例

昭47(オ)807号

990 S48.7.12

数量の不足又は一部滅失の場合における売主の瑕疵担保責任の除斥期間は、善意の買主が、売買目的物の数量不足を知ったが、その責に帰さない事由により売主を知ることができなかった場合には、売主を知った時から起算されるとした事例

昭48(オ)157号

991 S48.7.7

営利の目的であることが宅地建物取引業法12条1項の規定に違反して宅地建物取引業を営んだと認めるための要件とされた事例

昭47(あ)1843号

992 S48.7.3

無権代理人を相続した本人は、無権代理人が民法117条により相手方に債務を負担していたときには、無権代理行為について追認を拒絶できる地位にあったことを理由として、債務を免れることができないとした事例

昭46(オ)138号

993 S48.6.28

未登記建物の所有者は、その建物が固定資産課税台帳上他人の所有名義で登録されていることを知りながら、これを明示または黙示に承認していた場合には、民法94条2項の類推適用により、名義人が所有権を有しないことを善意の第三者に対抗することができないとした事例

昭47(オ)1164号

994 S48.6.21

通謀による虚偽の登記名義を真正なものに回復するための所有権移転登記手続請求訴訟における被告敗訴の確定判決は、口頭弁論終結後被告から善意で当該不動産を譲り受けた第三者に対してその効力を有しないとされた事例

昭47(オ)198号

995 S48.5.25

農地法20条2項各号所定の事由は、都道府県知事が同条による許可を与えるについての要件であって、農地の賃貸借の解約権の発生ないし行使の実体的要件をなすものではないとされた事例

昭47(オ)1028号

996 S48.4.26

甲が所有土地につき、乙の同意のないままに乙への所有権移転登記を経由し乙名義で丙に売却した等の事情のある場合において、乙に譲渡所得があるとした課税処分は無効であるとした事例

昭42(行ツ)57号

997 S48.4.24

親権者が共同相続人である数人の子を代理してした遺産分割の協議は、民法826条2項の利益相反行為に当たるとして、追認のない限り無効であるとした事例

昭47(オ)603号

998 S48.4.13

建物所有を目的とする土地賃貸借契約の借地人が、無断増改築等禁止の特約に違反して行った建物改修工事が、賃貸人に対する信頼関係を破壊するものと認められた事例

昭47(オ)1261号

999 S48.4.13

土地に対する使用貸借上の借主の権利の時効取得が成立するためには、土地の継続的な使用収益という外形的事実が存在し、かつ、その使用収益が土地の借主としての権利の行使の意思に基づくものであることが客観的に表現されていることを必要とするとした事例

昭47(オ)1191号

1000 S48.4.6

入札売買において第三者が買受希望者に対し売主の処分権を否定する虚偽の表示をした場合において、その行為が第三者の権利保全の目的から出たもので、その表示事実を真実と信じ、、かつ、その表示が社会的に相当な方法でなされたときは、不法行為は成立しないとされた事例

昭46(オ)471号

1001 S48.3.13

・入会権確認訴訟において、入会権者が死亡した場合には、入会慣行に従って死亡者に代わり入会権を取得した者が、その訴訟手続を承継するとした事例
・従前入会権の対象となっていた土地が、明治初年の官民有区分処分により官有地に編入されたとしても、その入会権は、同処分によって当然には消滅しなかったものと解されるとした事例

昭42(オ)531号

1002 S48.2.2

・家屋賃貸借における敷金は、賃貸借終了後家屋明渡義務履行までに生ずる、賃貸人の賃借人に対する一切の債権を担保するものであり、敷金返還請求権は、賃貸借終了後家屋明渡完了の時において、それまでに生じた被担保債権を控除しなお残額がある場合に発生するとした事例
・家屋の賃貸借終了後明渡前にその所有権が他に移転された場合には、敷金に関する権利義務の関係は、旧所有者と新所有者との合意のみによっては、新所有者に承継されないとした事例
・家屋の賃貸借終了後であっても、その明渡前においては、敷金返還請求権を転付命令の対象とすることはできないとした事例

昭46(オ)357号

1003 S48.1.26

不動産の交換契約の当事者甲が、契約に基づき相手方乙の提供した不動産の占有を開始しても、甲が契約の締結に際し詐欺を行ない、そのため契約が乙の錯誤により無効と認められるときは、甲の占有は所有の意思をもって善意・無過失で開始されたと認めるべきではないとした事例

昭45(オ)55号

1004 S47.12.22

無権代理人に対する無権代理行為の追認は、その事実を相手方が知らなかったときは、これをもって相手方に対抗することはできないが、相手方において追認のあった事実を主張することは何ら妨げないとされた事例

昭47(オ)86号

1005 S47.12.19

契約の一部が要素の錯誤により無効であっても、他の部分の効力には影響がないとされた事例

昭46(オ)908号

1006 S47.12.14

従前地の一部につき、甲の賃借権を乙が譲り受けたが、別に賃借権を主張する者があったため、土地区画整理事業施行者が紛争の経緯を考慮して、甲に対し従前地に対する換地予定地につき賃借権の目的となる部分の指定通知をしたときは、乙は同部分につき使用収益権を取得するとした事例

昭43(オ)522号

1007 S47.12.7

建物の登記簿上の所有名義人にすぎない者は、たとえ、所有者との合意により名義人となった場合でも、建物の敷地所有者に対して建物収去義務を負わないとした事例

昭44(オ)1215号

1008 S47.11.28

甲が、乙と相通じ、仮装の所有権移転請求権保全の仮登記手続をする意思で、乙の提示した所有権移転登記手続に必要な書類に、これを仮登記手続に必要な書類と誤解して署名押印したところ、乙がほしいままに書類を用いて所有権移転登記手続をしたときは、甲は、乙の所有権取得の無効をもって善意・無過失の第三者に対抗することができないとされた事例

昭46(オ)803号

1009 S47.11.28

代金を5年間の分割払いとしてその完済後売主が所有権移転登記をするとし、その支払期間中の公租公課は買主が負担するとした土地売買契約において、買主の公租公課負担義務の不履行を理由とする売主の契約解除を認めた事例

昭46(オ)1158号

1010 S47.11.21

法人における民法192条(即時取得)の善意・無過失は、その法人の代表者について決するが、代理人が取引行為をしたときは、その代理人について決すべきであるとされた事例

昭45(オ)84号

1011 S47.11.16

甲の所有建物を買受けた乙が、売買代金を支払わないままこれを丙に譲渡した場合には、甲は、丙からの物の引渡請求に対して、末払代金債権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができるとした事例

昭45(オ)1055号

1012 S47.11.16

・賃貸借契約の当事者一方が、信義則上の義務に違反して信頼関係を破壊し、賃貸借関係の継続を著しく困離ならしめたときは、他方の当事者は催告なく賃貸借契約を解除することができるとした事例
・用法違反または信義則上の義務違反を理由とする賃貸借契約の解除が認められなかつた事例

昭45(オ)942号

1013 S47.11.9

民法936条1項の規定により相続財産管理人が選任された場合において、相続財産に関する訴訟については、相続人が当事者適格を有し、相続財産管理人は、相続人全員の法定代理人として訴訟に関与するものであって、相続財産管理人としての資格では当事者適格を有しないとされた事例

昭47(オ)585号

1014 S47.11.9

従前の土地につき賃借権を有する者は、仮換地につき、土地区画整理事業の施行者から仮にその権利の目的となる土地またはその部分の指定を受けないかぎり、当該仮換地を使用収益することができないとされた事例

昭45(オ)1003号

1015 S47.11.2

土地の抵当権設定当時その土地が更地であつた場合には、その後に地上に建物が建築されることを抵当権者が承認した事実があっても、土地の競売により建物のため法定地上権が成立するものではないとされた事例

昭47(オ)674号

1016 S47.10.26

代物弁済予約形式の債権担保契約を締結した債権者が、その担保目的を実現するにあたって、後順位債権者に優先して弁済を受けうる利息・損害金については、民法374条(抵当権の順位の変更)の規定は準用されないとされた事例

昭46(オ)467号

1017 S47.9.8

共同相続人の一人が相続財産につき単独所有者としての自主占有を取得したと認められた事例

昭45(オ)265号

1018 S47.9.7

売買契約が詐欺を理由として取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係にあるとした事例

昭46(オ)1127号

1019 S47.7.25

位置指定道路の廃止処分につき、敷地所有者の承諾はないものの、同所有者において道路が従前よりは狭くなる程度のことを承知のうえで廃止申請書添付の図面に押印したという判示の事情があるときは、特別の場合を除き、同道路の廃止処分を当然無効とすることはできないとした事例

昭41(行ツ)34号

1020 S47.7.18

・生前相続による不動産所有権の取得は、登記を経なければ第三者に対抗できないとされた事例
・夫婦間の土地利用関係が地上権の設定とは認められないとされた事例

昭46(オ)922号

1021 S47.7.18

借地上の建物の所有権が第三者に移転する場合には、それが任意売買・強制競売によるを問わず、特別の事情がないかぎり、その敷地の借地権は、建物の所有権とともに当然に第三者に移転するとした事例

昭46(オ)659号

1022 S47.7.13

土地の賃借人は、借地上に妻名義で保存登記を経由した建物を所有していても、その後その土地の所有権を取得した第三者に対し、建物保護に関する法律一条により、その土地の賃借権をもって対抗することができないとされた事例

昭46(オ)527号

1023 S47.7.6

登記簿上後順位の抵当権者または仮登記担保権者であった者でも、先順位の仮登記担保権者から本登記手続承諾請求を受けた当時、既に他にその登記につき附記登記による権利移転の登記を経由した者は、仮登記担保権者に対して清算金を受けるべき地位にあることを主張できないとされた事例

昭44(オ)486号

1024 S47.6.30

不動産の任意競売の申立人は、被担保債権につき、申立書に表示した債権の額に制限されないで、競売代金から配当を受けることができるとされた事例

昭41(オ)255号

1025 S47.6.27

隣接居宅の日照通風を妨害する建築基準法に違反した建物建築につき、不法行為の成立が認められた事例

昭43(オ)32号

1026 S47.6.23

土地賃貸借の期限付合意解約が借地法11条に該当しないとされた事例

昭46(オ)846号

1027 S47.6.22

土地の賃借人は、借地上に妻名義で保存登記を経由した建物を所有していても、その後その土地の所有権を取得した第三者に対し、建物保護に関する法律一条により、その土地の賃借権をもって対抗することができないとされた事例

昭44(オ)881号

1028 S47.6.15

賃貸家屋の一部の無断転貸を理由に賃貸借契約が解除された後、建物所有者より家屋を譲り受けた転借人の賃借人に対する明渡請求が、信義則違反または権利の濫用にあたるとして棄却された事例

昭46(オ)540号

1029 S47.6.2

権利能力なき社団の資産たる不動産については、社団の代表者が、社団の構成員全員の受託者たる地位において、個人の名義で所有権の登記をすることができるにすぎず、社団を権利者とする登記をし、または、社団の代表者である旨の肩書を付した代表者個人名義の登記をすることはできないとされた事例

昭45(オ)232号

1030 S47.5.30

伐採を目的とする山林立木の売買契約における売主の履行義務は、立木の引渡をもって完了するものではなく、売主は、立木の伐採、造材、搬出に必要な相当の期間、買主を山林敷地を使用させる義務を負うとされた事例

昭45(オ)76号

1031 S47.5.25

民法974条3号(証人及び立会人の欠格事由)にいう「配偶者」には、推定相続人の配偶者も含まれるとされた事例

昭44(オ)304号

1032 S47.5.25

死因贈与の取消については、民法1022条(遺言の撤回)がその方式に関する部分を除いて準用されるとされた事例

昭46(オ)1166号

1033 S47.5.23

借地法10条の建物買取請求における買取価格は、建物の存在する場所的環境を参酌すべきであり、建物自体の価格のほか、建物およびその敷地、その所在位置、周辺土地に関する諸般の事情を総合考察することにより、建物が現存する状態における買取価格を定めるべきとした事例

昭43(オ)341号

1034 S47.5.19

表示された動機が、民法95条にいう法律行為の要素には該当しないとされ、錯誤無効の主張が棄却された事例

昭45(オ)685号

1035 S47.4.25

建物所有を目的とする土地の賃借人が、賃借土地を賃借人の個人企業と実質を同じくする会社に使用させた場合において、背信行為と認めるに足りない特段の事情があるというべきとして、賃貸人の民法612条2項による賃貸借契約の解除を否定した事例

昭44(オ)754号

1036 S47.4.20

売買不動産の価格が売主の所有権移転義務の履行不能後も騰貴を続けており、かつ、履行不能の際に売主がその事情を知っていた等の特別な事情がある場合において、購入目的が自己使用である買主の売主に対する騰貴後の不動産の現在価格を基準とした損害賠償請求が認められた事例

昭44(オ)212号

1037 S47.4.20

不動産の貸借人が賃貸人から当該不動産を譲り受けたが所有権移転登記をしない間に、第三者が不動産を譲り受け所有権移転登記をしたため、賃借人が不動産の所有権取得を第三者に対抗できなくなった場合、いったん混同により消滅した賃借人の賃借権は、第三者が所有権を取得すると同時に、同人に対する関係では消滅しなかったことになるとした事例

昭44(オ)211号

1038 S47.4.14

袋地の所有権を取得した者は、所有権取得登記を経由していなくても、囲繞地の所有者ないし利用権者に対して、囲繞地通行権を主張することができるとした事例

昭46(オ)630号

1039 S47.4.13

詐害行為取消の消滅時効の進行時点である、取消権者が取消の原因を覚知した時とは、取消権者が詐害行為取消権発生の要件たる事実、すなわち、債務者が債権者を害することを知って当該法律行為をした事実を知ったことを意味し、単に取消権者が詐害の客観的事実を知っただけでは足りないとした事例

昭46(オ)1035号

1040 S47.4.7

仮差押登記がなされた土地上に存する土地所有者の所有建物について抵当権が設定された場合には、抵当権の実行による建物の競落人は、法定地上権を取得するが、仮差押が本執行に移行してなされた強制競売手続により土地を競落取得した者に対しては、法定地上権をもって対抗することはできないとされた事例

昭47(オ)35号

1041 S47.3.30

賃借建物の敷地の一部分について、これを賃貸人の請求あり次第明け渡す旨の特約は、当該敷地部分が賃借建物の使用収益に不可欠なものである場合には、借家法6条にいう賃借人に不利な特約にあたるとした事例

昭45(オ)598号

1042 S47.3.30

建物の従前の賃借人が、賃借中支出した費用の償還を請求するためその建物につき留置権を行使した場合には、賃借中と同一の態様をもって建物の占有・使用を継続することは、特段の事情のないかぎり、留置権に基づく適法な行為であるとされた事例

昭45(オ)1142号

1043 S47.3.24

建物の占有者は、他人に対する債務名義に基づく建物収去土地明渡の強制執行に対しては、占有の侵害を受忍すべき理由のないかぎり、対抗しうる本権の有無を問わず、占有権に基づき第三者異議の訴を提起し執行の不許を求めることができるとされた事例

昭46(オ)1076号

1044 S47.3.23

請負契約が請負人の債務不履行により、請負人が注文主に対し前払金返還債務を負担することを約した場合、特段の事情がない限り、保証人も約定の債務について賠償責任を負うとされた事例

昭46(オ)126号

1045 S47.3.21

債権者のする破産宣告の申立は、債権の消滅時効の中断事由たる裁判上の請求にあたるとした事例

昭46(オ)74号

1046 S47.3.17

危急時遺言の遺言書に遺言をした日附ないしその証書の作成日附を記載することは、遺言の有効要件ではなく、遺言書に作成の日として記載された日附が正確性を欠いていても、遺言は無効ではないとされた事例

昭46(オ)678号

1047 S47.3.9

借地上の建物売買契約を締結した場合、特別の事情のないかぎり、売主は買主に対しその敷地の賃借権をも譲渡したものであり、特約または慣行がなくても、建物の売主は買主に対しその敷地の賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務を負うとした事例

昭45(オ)803号

1048 S47.3.7

土地の賃貸人の地代未払による土地賃貸借の合意解約がなされた後に、地上建物の抵当権が実行されたとして、賃貸人は同解約をもって競落人に対抗することができるとされた事例

昭45(オ)631号

1049 S47.3.2

私人と国との間の土地売買契約において、目的土地の利用方法に関する特約は当事者にとって極めて重要な特約であるから、予算決算等に基づき契約書が作成された以上、かかる特約の趣旨は通常契約書に記載されるものであり、これに記載されていないときはかかる特約は存在しないとされた事例

昭43(オ)1294号

1050 S47.2.24

登記簿の記載から賃借権の消滅を信頼した建物の競落人について、民法94条2項(通謀虚偽表示)の類推適用がないとされた事例

昭46(オ)197号

1051 S47.2.22

借地権の消滅前に建物が滅失し、借地権者が建物を再築したのに対して、土地所有者が遅滞なく異議を述べた場合でも、借地契約が残存期間の満了に伴い借地法6条により更新されたときは、更新後の借地権は、その後滅失建物の朽廃すべかりし時期が到来しても消滅しないとした事例

昭45(オ)1018号

1052 S47.2.18

未成年者の無権代理人が後見人となった場合において、先になされた無権代理行為の効果が未成年者に及ぶとされた事例

昭45(オ)1081号

1053 S47.2.18

建物の賃借人がその責に帰すべき事由によつて賃借建物に火災を発生させ、これを焼失させた場合には、賃貸人は、特段の事情のないかぎり、催告を経ないで賃貸借契約を解除することができるとした事例

昭46(オ)179号

1054 S47.2.10

土地賃貸借契約が、一時使用のための借地権を設定したものと認められた事例

昭44(オ)1017号

1055 S47.1.25

不動産の所有者でない者が、登記簿上その所有者として登記されているため、不動産に対する固定資産税を課せられ納付した場合には、所有名義人は真の所有者に対し、不当利得として納付税額相当額の返還を請求できるとした事例

昭46(オ)766号

1056 S46.12.21

建物の共有者の一人がその敷地を所有する場合において、土地に設定された抵当権が実行され、第三者がこれを競落したときは、土地につき建物共有者全員のために法定地上権が成立するとされた事例

昭46(オ)844号

1057 S46.12.16

不動産の二重売買において、所有権移転登記未了の間に、他の買主のために売買予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記がなされたというだけでは、売買契約上の義務が履行不能になったとして違約解除することはできないとした事例

昭41(オ)802号

1058 S46.12.9

隣接する土地の一方または双方が共有に属する場合の境界確定の訴えは、固有必要的共同訴訟と解すべきであるとした事例

昭44(オ)279号

1059 S46.12.7

賃貸家屋の明渡訴訟において、当事者の明示の申立額(500万円)を超える立退料(1000万円)の支払と引換えに明渡請求を認容することを相当と認めた事例

昭43(オ)689号

1060 S46.12.3

貸家の譲受人は、所有権移転登記を経由していないときは、賃借人に対し賃貸人の地位承継を主張できないが、賃借人がこの事実を認め、譲受人に対して承継後の賃料を支払う場合には、その支払が仮に承認前に遡つて賃料を支払う場合においても、債権者に対する弁済として有効であり、譲渡人は賃借人に対し賃料の支払を妨げることができないとした事例

昭46(オ)734号

1061 S46.11.30

・土地区画整理事業の施行者が仮換地上の建物の移転除却を怠った不作為につき、土地所有者に対する損害賠償責任が認められた事例
・国家賠償法に基づく普通地方公共団体に対する損害賠償請求権の消滅時効については、民法145条の適用があるとされた事例

昭42(オ)668号

1062 S46.11.30

相続人が、被相続人の死亡により、相続財産の占有を承継したばかりでなく、新たに相続財産を事実上支配し、所有の意思を持って占有を開始した場合においては、被相続人の占有が所有の意思のないものであったときでも、相続人は民法185条にいう「新権原」により所有の意思をもって占有を始めたものであるとした事例

昭44(オ)1270号

1063 S46.11.30

甲乙丙三者間において中間省略登記の合意が成立した場合においても、中間者乙は、当然には甲に対する移転登記請求権を失うものではないとした事例

昭43(行ツ)68号

1064 S46.11.26

換地予定地の指定通知が従前の土地の所有者に対してなされた後においては、当該換地予定地を占有するのでなければ、従前の土地を占有したからといって、その従前の土地の所有権地上権または賃借権を時効によつて取得することはできないとされた事例

昭43(オ)795号

1065 S46.11.26

地上権の時効取得が成立するためには、土地の継続的な使用という外形的事実が存在するほかに、その使用が地上権行使の意思に基づくものであることが客観的に表現されていることを要するとした事例

昭45(オ)788号

1066 S46.11.25

借家法1条の2に基づく解約を理由とする店舗の明渡訴訟において、当事者の申立額(300万円)をこえる立退料(500万円)の支払いと引換えに明渡請求を認めた事例

昭41(オ)1005号

1067 S46.11.25

不動産の売主が売買契約の効力の発生を争うとともに仮定的にその取得時効を援用した場合に、売買契約の効力につき判断することなく、売主のため取得時効の完成を認めることを妨げないとした事例

昭42(オ)1055号

1068 S46.11.25

土地所有権の取得時効の要件として無過失と認められた事例

昭46(オ)808号

1069 S46.11.16

被相続人が、生前不動産をある相続人に贈与するとともに、他の相続人にもこれを遺贈した後、相続の開始があった場合、贈与および遺贈による物権変動の優劣は、対抗要件たる登記の具備の有無をもって決するとされた事例

昭43(オ)1027号

1070 S46.11.11

民法162条2項の10年の取得時効を主張するものは、その不動産を自己の所有と信じたことにつき無過失であったことの立証責任を負うとした事例

昭46(オ)660号

1071 S46.11.9

知事の許可のない使用貸借契約に基づいて引き渡された農地の返還請求が、その権利の行使において信義誠実の原則に従ったものとはいえず排斥を免れないとされた事例

昭45(オ)908号

1072 S46.11.5

不動産の二重譲渡において、登記未経由のまま占有していた買主が時効取得を主張する場合の起算点は、占有開始の時点であるとした事例

昭42(オ)468号

1073 S46.11.4

建物の賃貸人が賃借人の無断転貸を理由に賃貸借契約の解除を求めた事案において、転借人は賃借人らにより税務対策上設立された有限会社である等の事情により、信頼関係を破壊すると認めるに足りない特段の事由があるとしてその請求が棄却された事例

昭46(オ)640号

1074 S46.10.28

不法の原因により既登記建物を贈与した場合、その引渡しをしただけでは、民法708条にいう不法原因給付があったとはいえないとされた事例

昭45(オ)10号

1075 S46.10.14

賃貸人の賃料増額の意思表示に対し、賃借人が書面をもって応じない旨を回答し、賃料についても従前の額に従って供託している等の事情があるときは、賃貸人と賃借人との間において借賃の増額協議が調わなかった場合にあたるとされた事例

昭46(オ)185号

1076 S46.10.14

所有権と賃借権とが同一人に帰属した場合であっても、その賃借権が対抗要件を具備し、かつ、その対抗要件を具備した後に土地に抵当権が設定されていたときは民法179条1項但書(混同)の準用により、賃借権は消滅しないとされた事例

昭46(オ)582号

1077 S46.10.14

建物の賃貸借契約が営業利益分配契約的要素を具有するもので、その賃料額が営業売上金額に一定の歩合率を乗じて算出される場合であっても、借家法7条本文所定の要件を充足するときは、当事者は、その賃料の増減額を請求することができるとした事例

昭46(オ)254号

1078 S46.7.16

建物の賃借人が、債務不履行により賃貸借契約を解除された後、権原のないことを知りながら建物を不法に占有する間に有益費を支出しても、民法295条2項の類推適用により、費用の償還請求権に基づいて建物に留置権を行使することはできないとされた事例

昭42(オ)1341号

1079 S46.7.14

弁護士法72条は、弁護士でない者が、報酬を得る目的で、業として同条本文所定の法律事務を取り扱いまたはこれらの周旋をすることを禁止する規定であるとした事例

昭44(あ)1124号

1080 S46.7.1

建物借主の家屋の無断築造につき、約3坪の既存の居宅兼物置を取り壊し、それと面積、位置がほぼ同様の簡単な構造の作業場を新築したにすぎない場合は、借主に賃借家屋及び敷地の使用収益権の範囲の逸脱、保管義務違反があるとはいえないとした事例

昭44(オ)508号

1081 S46.6.22

土地賃借人の借地権の一部の無断譲渡について、従来の事情から賃貸人の承諾を得られるものと思い、名義書換料相当の金員の支払いを予定していたなどの事情から、賃貸人に対する背信行為と認められない特段の事情があるとされた事例

昭42(オ)657号

1082 S46.6.18

不動産の共有物分割訴訟においては、共有者間に持分の譲渡があっても、その登記が存しないため、譲受人が持分の取得をもって他の共有者に対抗することができないときは、共有者全員に対する関係において、持分がなお譲渡人に帰属するものとして共有物分割を命ずべきであるとした事例

昭46(オ)160号

1083 S46.6.17

借家の賃貸人の賃借人に対する立退料の提供の申し出は、賃貸借契約解約申入れの正当事由の補完事由になるとされた事例

昭43(オ)683号

1084 S46.6.17

宅地建物取引業法2条1号にいう宅地とは、現に建物の敷地に供せられている土地に限らず、広く建物の敷地に供する目的で取引の対象とされた土地を指称し、その地目、現況のいかんを問わないものであるとした事例

昭45(あ)1889号

1085 S46.6.11

農地の売主と買主の地位の譲受人との間における知事の許可申請手続等に関する合意が有効とされた事例

昭46(オ)213号

1086 S46.6.3

本人より登記申請を委任され必要な権限を与えられた者が、権限をこえて第三者と取引行為をした場合において、その申請が本人の私法上の契約による義務の履行のためになされるものであるときは、その権限を基本代理権として、第三者との間の行為につき表見代理の成立を認めることができるとした事例

昭45(オ)305号

1087 S46.5.25

売買一方の予約において予約完結権を行使するには、買戻の場合と異なり、代金を提供する必要はないとした事例

昭45(オ)1229号

1088 S46.5.20

停止条件付代物弁済契約において、債権につき清算がされていない場合でも、債権者が代物弁済を受け目的物の所有権を取得したとして、善意の第三者に譲渡し所有権移転登記がされた後は、債務者は第三者から目的物を取り戻すことはできず、債権者に対して清算金を請求するほかに方法がないとした事例

昭41(オ)605号

1089 S46.4.23

工作物が本来備えるべき安全性を欠く場合には、工作物の設置又は保存に瑕疵があるものとして、民法717条(工作物責任)所定の帰責原因となるとされた事例

昭40(オ)536号

1090 S46.4.23

土地の賃貸借契約における賃貸人の地位の譲渡において、新所有者が旧所有者の賃貸人としての権利義務を承継するには、特段の事情のないかぎり賃借人の承諾を必要とせず、旧所有者と新所有者間の契約をもってこれをなすことができるとした事例

昭45(オ)46号

1091 S46.4.21

仮登記名義人が本登記を申請する場合、第三者の承諾書またはこれに対抗しうべき裁判の謄本の添付を要するとした不動産登記法105条1項は、憲法29条に違反しないとされた事例

昭40(オ)1078号

1092 S46.4.20

第三者の金銭債務について、親権者が連帯保証をするとともに、子の代理人として、同一債務につき連帯保証をし、親権者と子が共有する不動産について抵当権を設定する行為は、民法826条の利益相反行為にあたるとした事例

昭45(オ)1150号

1093 S46.4.9

賭博の債務履行のために第三者振出の小切手の交付を受けた所持人が、振出人との間で小切手金支払に関し和解契約を締結した場合、振出人の所持人に対する金銭支払の約定は公序良俗に違反し無効であるとされた事例

昭46(オ)134号

1094 S46.4.8

不動産が甲から乙丙丁と順次譲渡され所有権移転登記は、甲が同意しないのに甲から直接丁に対し経由された場合において甲が登記を無効としてその抹消を求めることが許されないとされた事例

昭44(オ)1091号

1095 S46.4.6

農地の買主が目的農地を転売した場合に、転買人が当初の売主に対して直接農地法五条所定の知事に対する許可申請手続を求めることは許されないとした事例

昭45(オ)1201号

1096 S46.3.30

不動産の競買手続開始前に締結され対抗要件を経由した建物の賃借権であっても、これに優先する抵当権に対抗しえない場合には、競落により抵当権とともに消滅するとされた事例

昭44(オ)1211号

1097 S46.3.25

不動産譲渡担保による金銭賃貸借契約において、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合においては、債権者は目的不動産を換価処分し、またはこれを適正に評価した価額から、債権額を差し引き、なお残額があるときは、これに相当する金銭を清算金として債務者に支払うことを要するとした事例

昭42(オ)1279号

1098 S46.3.9

購入土地の一部につき、買受人が農業委員会作成の図面または法務局備付の図面を閲覧し、実地調査をすれば、当該土地が売買に含まないことを容易に知り得たにもかかわらず、この調査をせず自己の所有に属するとして開始した占有には、自己の所有と信じたことに過失があるとされた事例

昭45(オ)740号

1099 S46.3.5

請負人が材料全部を提供して建築した建物が、完成と同時に注文者の所有に帰したものと認められた事例

昭45(オ)1117号

1100 S46.2.25

競売開始決定が所有者に対して送達されていなかった競売手続の瑕疵を理由とする競落許可決定の無効主張は許されないとした事例

昭45(オ)890号

1101 S46.2.23

地積更正登記は土地の表示に関する登記(不動産登記法78条)であって、権利に関する登記ではないから、これについては、不動産登記法66条、56条の適用はないとした事例

昭45(オ)918号

1102 S46.2.19

建物の賃借人が有益費を支出した後、建物の所有権譲渡により賃貸人が交替したときは、特段の事情のないかぎり、新賃貸人が有益費の償還義務を承継し旧賃貸人は償還義務を負わないとされた事例

昭42(オ)779号

1103 S45.12.24

無権代理人甲が乙の代理人と称して丙と締結した抵当権設定契約を乙が追認したのち、甲が乙の代理人と称して丁と抵当権設定契約を締結した場合において、丁が甲に乙を代理して抵当権設定契約をする権限があると信ずべき正当の事由を有するときは、乙は民法110条および112条の類推適用により、甲の抵当権設定契約につき責任を負うとされた事例

昭42(オ)1391号

1104 S45.12.24

土地賃貸借が賃借人の債務不履行により解除されたとしても、借地上の建物の賃貸借はただちに終了するものではなく、土地賃貸人と建物賃借人との間で建物敷地の明渡義務が確定されるなど、建物の使用収益が現実に妨げられる事情が客観的に明らかになり、または建物賃借人が現実の明渡を余儀なくされたときに、はじめて、賃貸人の債務の履行不能により終了するとされた事例

昭45(オ)536号

1105 S45.12.24

清算型代物弁済予約の予約権者が、登記上利害関係を有する後順位債権者に本登記の承諾を求める場合においては、予約権者は、清算金をそれらの者に対し、その債権額および優先順位に応じて交付すべきであり、後順位債権者とは、その支払と引換えにのみ承諾義務の履行をすべき旨を主張しうるとした事例

昭45(オ)731号

1106 S45.12.22

家屋の塀における器物毀棄罪につき、被害物件の所有者の妻に告訴権を認めた事例

昭44(あ)1590号

1107 S45.12.18

仮換地の指定後に、従前の土地を所有する意思をもって当該仮換地の占有を始めた者は、換地処分の公告の日までに民法162条所定の要件を満たしたときは、取得により従前の土地の所有権を取得するとされた事例

昭43(オ)925号

1108 S45.12.15

不動産の賃借人は、賃借権に基づいて、賃貸人に代位し、賃借不動産について権原なく所有権取得登記を有する第三者に対し、賃貸人の物上請求権を代位行使し、その登記の抹消手続を求めることはできないとした事例

昭45(オ)597号

1109 S45.12.15

寺院境内地についての土地賃借権の時効取得が認められた事例

昭41(オ)1176号

1110 S45.12.15

民法109条、商法262条は、会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるにあたっては適用されないとした事例

昭45(オ)112号

1111 S45.12.15

無権代理人が、無権代理による契約後にその目的物の共有持分を譲り受けた場合においても、契約の相手方が民法117条にいう履行を選択した事実がないときは、持分に対する部分につき、契約が有効となるものではないとした事例

昭45(オ)587号

1112 S45.12.11

土地賃借権の無断譲渡が背信行為にあたらない場合、譲受人のみが賃借人となり、譲渡人たる前賃借人は、賃貸借契約関係から離脱し、賃貸人に対して契約上の債務を負わないとされた事例

昭43(オ)1172号

1113 S45.12.10

乙が甲から所有権移転登記を経た不動産について、甲より登記原因の無効を理由とする予告登記がなされた後、乙より丙に所有権移転登記がされ、ついで甲勝訴の判決が確定した場合において、甲の丙に対する所有権移転登記抹消請求の訴えを排訴することは、予告登記の効力により妨げられるものではないとされた事例

昭45(オ)712号

1114 S45.11.26

農地の売買契約において、本件土地が宅地化されるに至った原因およびその経緯に鑑み、宅地化により本件各売買契約は、農地法所定の許可を経ることなくその効力を生ずるに至ったとされた事例

昭45(オ)735号

1115 S45.11.24

地主の承諾を得て土地賃借権の譲渡を受け、土地上の所有建物につき登記を経由して第三者に対する対抗力を備えた者は、土地の一部についての賃借権の二重譲渡を受け、これに建物を建てその占有をなす者に対し、直接その建物の収去明渡請求をすることができるとされた事例

昭45(オ)342号

1116 S45.11.19

不動産の買主が、売主に対する貸金を債権とした抵当権設定登記および所有権移転請求権保全の仮登記を経た場合において、売主より不動産を買い受け所有権登記を経た善意の第三者に対して、買主は自己の登記が実体上の権利関係と相違し仮登記を経由した所有権者であると主張することはできないとした事例

昭43(オ)732号

1117 S45.11.6

数個の共有建物が一筆の土地上にあり外形上一団の建物とみられる場合に、民法258条により建物につき現物分割をするには、建物を一括して分割の対象とし、共有者がそれぞれ各個の建物の単独所有権を取得する方法によることも許されるとした事例

昭41(オ)648号

1118 S45.11.5

売買代金に関し宅地のみの価額は別に定めず行われた土地建物の売買契約において、宅地につきいわゆる数量指示売買に該当しないとされた事例

昭45(オ)556号

1119 S45.10.29

占有における所有の意思の有無は、占有取得の原因たる事実によって客観的に定められるべきものであるから、所有権譲受を内容とする交換契約に基づき開始した占有は、所有の意思をもってする占有であるとされた事例

昭45(オ)357号

1120 S45.10.23

借地権の設定に際し土地所有者が受け取る権利金は、長期の存続期間を定め、かつ、借地権の譲渡性を認める等、所有者が当該土地の使用収益権を半永久的に手離す結果となる場合に、その価額が更地価格の極めて高い割合の金額であるなど、明らかに所有権の権能の一部を譲渡した対価であるものでないかぎり、譲渡所得にはあたらないとされた事例

昭41(行ツ)44号

1121 S45.10.22

間もなく買受契約が成立に至る状態にあったのに、土地等の買受人が依頼していた宅地建物取引業者を排除して直接売買契約を締結した事案において、宅地建物取引業者の報酬請求権が認められた事例

昭45(オ)637号

RETIO 125-110

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1122 S45.10.21

不法の原因により未登記建物を贈与した場合、1)その引渡は民法708条にいう給付にあたる、2)贈与者は所有権を理由とする建物返還請求はすることができない、3)贈与者が給付物の返還請求ができない反射的効果として、建物所有権は受贈者に帰属する、4)建物所有権が受贈者に帰属した場合、贈与者が建物の所有権保存登記を経由しても、受贈者は贈与者に対し同保存登記につき抹消登記手続を請求できる、とした事例

昭41(オ)436号

1123 S45.10.16

礼拝堂の建築所有を目的とする土地の使用貸借が相当の期間の経過により終了した旨の判断に審理不尽・理由不備の違法があるとされた事例

昭44(オ)375号

1124 S45.10.13

賃貸人の賃借人に対する賃貸物を使用収益させる義務につき、民法492条(弁済の提供の効果)を適用し、賃貸人が債務不履行の責めを負わないとした事例

昭45(オ)548号

1125 S45.9.24

数個の不動産上に代物弁済予約形式の債権担保契約を締結し、これを原因とする所有権移転請求権保全の仮登記を経由した債権者は、債務者が弁済期に債務の弁済をしないため予約完結権を行使して担保目的の実現をはかるため同一訴訟手続で本登記手続を求めた場合に、債務者が清算金の支払と引換えに履行する旨の主張をしたときは、特段の事情のないかぎり、各不動産の価額に準じて債権者の有する債権額を按分したうえで、債務者への清算金の額を算定して、その清算金の支払と引換えに右請求を認容すべきであるとされた事例

昭43(オ)371号

1126 S45.9.22

不実の所有権移転登記が所有者の承認のもとに存続せしめられていたものとして、民法94条2項を類推適用すべきものとされた事例

昭43(オ)91号

1127 S45.9.18

賃貸借契約において敷金が差し入れられていても、貸主は賃料延滞を理由として契約を解除することができるとした事例

昭45(オ)433号

1128 S45.8.20

・国道への落石の事故につき道路の管理に瑕疵があると認められた事例
・国家賠償法2条1項の営造物の設置または管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい、これに基づく国および公共団体の賠償責任については、その過失の存在を必要としないとした事例

昭42(オ)921号

1129 S45.8.20

建物の賃貸人が現実に提供された賃料の受領を拒絶した場合、その後における賃料不払を理由とする契約解除をするためには、単に賃料の支払催告だけでは足りず、受領拒絶の態度を改め賃料の提供あれば受領する旨を表示する等の措置を講じる必要があるとした事例

昭42(オ)803号

1130 S45.8.20

代物弁済予約形式の債権担保契約における債権者の清算義務と後順位抵当権者および第三取得者の地位

昭44(オ)175号

1131 S45.7.28

白紙委任状、名宛人白地の売渡証書などの登記関係書類を転交付を受けた者が行った行為について、民法109条と110条による表見代理の成立を認めた事例

昭44(オ)174号

1132 S45.7.24

・不動産の所有者甲が、乙にその意思がないのに乙の名義を承諾なく使用し他からの所有権移転登記を受けた事案において、民法94条2項の類推適用により、甲は、乙が不動産の所有権を取得しなかったことをもって、善意の第三者に対抗できないとした事例
・民法94条2項にいう第三者は、虚偽表示の当事者またはその一般承継人以外の者で、その表示の目的につき法律上利害関係を有する者をいい、甲乙間の虚偽表示の相手方乙との間で表示の目的につき直接取引関係に立った丙が悪意の場合でも、丙からの転得者丁が善意であるときは、丁は善意の第三者にあたるとした事例

昭40(オ)204号

1133 S45.7.21

借地法9条にいう一時使用の賃貸借というためには、その期間は少なくとも借地法自体が定める借地権の存続期間より相当短いものであることを要するとして、裁判上の和解により成立した期間20年の土地賃貸借につき一時使用の賃貸借に該当しないとされた事例

昭44(オ)1141号

1134 S45.7.16

抵当権者が被担保債権を被保全債権として抵当不動産の仮差押をした場合において、仮差押債務者が仮差押解放金を供託して仮差押執行の取消を得たときには、抵当権の効力は、物上代位の規定の趣旨により、仮差押解放金の取戻請求権に及ぶとされた事例

昭42(オ)342号

1135 S45.7.16

土地に対する抵当権の設定当時地上建物が存在しなかった場合、抵当権と同一債権の担保を目的として重ねて土地に停止条件付代物弁済契約が結ばれた当時には地上に債務者所有の建物が存在したときでも、代物弁済契約の条件成就後の法律関係につき、法定地上権の成立を認めることはできないとした事例

昭41(オ)647号

1136 S45.7.16

不動産譲渡担保契約において、債権者が予約完結権を行使し不動産を譲り受け、登記上利害関係を有する第三者にその承諾を求める場合、債権者は目的不動産の適正な評価額のうち、自己の債権額超過部分の金銭を第三者に支払うことを要し、第三者は金銭の支払と引換えにのみ承諾義務の履行をなすべき旨を主張できるとした事例

昭42(オ)1200号

1137 S45.7.16

現存する建物の所有者が、その建物の所在地上に以前存在していた旧建物の所有名義人に対し、旧建物の滅失登記手続を訴求する利益はないとされた事例

昭44(オ)183号

1138 S45.7.15

弁済供託における供託金取戻請求権の消滅時効は、供託の基礎となった債務について紛争の解決などによってその不存在が確定するなど、供託者が免責の効果を受ける必要が消滅した時から進行し、10年をもって完成するとされた事例

昭40(行ツ)100号

1139 S45.6.18

占有における所有の意思の有無は、占有取得の原因たる事実によって外形的客観的に定められるべきものであるから、賃貸借が法律上効力を生じない場合にあっても、賃貸借により取得した占有は他主占有というべきであるとされた事例

昭45(オ)315号

1140 S45.6.16

期間の定めのない建物所有を目的とする土地の賃貸借は、民法395条により抵当権者に対抗しうべき賃貸借に当たらないとされた事例

昭45(オ)207号

1141 S45.6.4

借家法7条に基づく賃料増額の請求がされたときは、その意思表示が賃借人に到達した日に増額の効果が生ずるとされた事例

昭45(オ)262号

1142 S45.6.2

甲が融資を受けるため、乙と通謀して不動産の売買を仮装して乙に所有権移転登記をし、乙がさらに丙に融資の斡旋を依頼して不動産の登記手続に必要な登記済証等を預け、丙がこれらの書類により乙よりの所有権移転登記を経たときは、甲は丙の所有権取得の無効をもって善意無過失の第三者に対抗できないとした事例

昭44(オ)1009号

1143 S45.5.29

抵当権設定契約が錯誤により無効であっても、これを締結する前提として同時に約定された準消費貸借契約に要素の錯誤がないとされた事例

昭44(オ)829号

1144 S45.5.28

地上権の時効取得が成立するためには、土地の継続的な使用という外形的事実が存在するほかに、その使用が地上権行使の意思に基づくものであることが、客観的に表現されていることを要するとされた事例

昭45(オ)60号

1145 S45.5.22

後見人が未成年者を代理して、後見人の内縁の夫に対し未成年者所有の土地を無償譲渡する行為は、旧民法915条4号にいう「後見人と被後見人との利益相反する行為」にあたるとした事例

昭42(オ)473号

1146 S45.5.22

不動産の賃借人が賃貸人の相続人に対して賃借権の確認を求める訴訟は、相続人が数人あるときでも、必要的共同訴訟ではないとした事例

昭45(オ)64号

1147 S45.5.21

債務者が、消滅時効の完成後に、債権者に対し当該債務を承認した場合においても、以後ふたたび時効は進行し、債務者は、再度完成した消滅時効を援用することができるとされた事例

昭44(オ)1131号

1148 S45.5.19

・借地条件変更の裁判をする裁判所は、その前提となる借地権の存否につき当事者間に争いがあるときでも、その手続において、借地権の存否を判断したうえで、裁判をすることができるとした事例
・借地条件変更の裁判において、借地権の存否を判断しても、憲法32条、82条に違反しないとした事例

昭44(ク)419号

1149 S45.5.19

家屋の賃借人が破産したことを理由として賃貸借契約の解約を申し入れる場合には、借家法1条の2の適用はないとした事例

昭45(オ)210号

1150 S45.4.21

証人または当事者本人として真実を陳述することに対する対価として金員を支払う旨の契約が公序良俗に反するとされた事例

昭44(オ)752号

1151 S45.4.16

未登記建物の所有者が、その建物につき家屋台帳上他人の所有名義で登録されていることを知りながら、これを明示または黙示に承認した場合には、その所有者は台帳上の名義人から権利の設定を受けた善意の第三者に対し、民法94条2項の類推適用により対抗することができないとされた事例

昭42(オ)1209号

1152 S45.4.10

・仮換地の土地一部分の売買契約において、売主は所有権移転登記に関し、仮換地全体に対する目的土地の地積に応じた従前地の持分権の移転登記手続を履行する義務を負い、買主が売主に対し仮換地指定変更申請に協力しないことが、同義務に影響を及ぼすものではないとした事例
・民法の定める売主の担保責任は強行規定ではなく、担保責任を加重する特約は有効であるとした事例

昭43(オ)1071号

1153 S45.3.26

契約を解除した当事者が第三者の登記の欠缺を主張することが信義則上許されないとされた事例

昭43(オ)717号

1154 S45.3.26

・詐欺罪の成立と財産的処分行為の要否
・被欺罔者と財産上の被害者が同一人でない場合の詐欺罪の成立事件
・いわゆる訴訟詐欺の事案につき詐欺罪が成立しないとされた事例

昭42(あ)1235号

1155 S45.3.26

建物の登記が所在地番の表示において実際と多少相違する事案において、建物保護に関スル法律1条1項の「登記したる建物を有する」に当たるとされた事例

昭44(オ)1030号

1156 S45.3.26

土地について締結された停止条件付代物弁済契約につき、公序良俗違反による無効が主張された事案において、債権者において清算義務を負担する担保契約であり、また、契約締結時に先順位の担保権者が存在するなどの事情を検討し公序良俗違反とはいえないと判断された事例

昭44(オ)1047号

1157 S45.3.24

期間を10年と定めた普通建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約につき、借地法2条により期間が30年であると認められた事例

昭44(オ)342号

1158 S45.3.17

建物収去土地明渡の判決においては、土地の地積および建物の床面積を、計量法所定の計量単位によらないで、尺貫法による計量単位によって表示しても違法ではないとされた事例

昭43(オ)1309号

1159 S45.3.12

借地法9条所定の一時使用のための借地権に当たるとされた事例

昭44(オ)800号

1160 S45.2.27

賃貸人が、借地上の賃借人所有の建物に対し占有移転禁止等の仮処分を執行したことにより、賃借人の借地の使用収益を妨げたとしても、そのために借地法12条に基づく賃料増額請求が許されなくなるものではないとした事例

昭44(オ)1165号

1161 S45.2.26

宅地建物取引業法17条1項および2項は、宅地建物取引の媒介の報酬契約のうち建設大臣の定めた額をこえる部分の効力を否定する趣旨であり、報酬契約のうち同額をこえる部分は無効であるとした事例

昭44(オ)364号

1162 S45.2.26

一個の売買に関し宅地建物取引業者である媒介者が数人ある場合、媒介者らの報酬の合計額は、法定の最高報酬額を超えることができないとした事例

昭44(オ)363号

1163 S45.2.24

登記の欠缺を主張することができない、いわゆる背信的悪意者にあたるとされた事例

昭44(オ)1012号

1164 S45.2.12

下請負人の被用者の加害行為につき元請負人の使用者責任が認められた事例

昭44(オ)1153号

1165 S45.1.23

不動産の二重譲渡において双方の買主がそれぞれ売主に対して処分禁止の仮処分を執行した後、第一次仮処分債権者が本案の勝訴判決に基づいて所有権移転登記を経由した場合、その買主は第二次仮処分債権者に対し自己の所有権を対抗できるとした事例

昭43(オ)282号

1166 S44.12.23

建物保護に関する法律1条は、登記した建物をもって土地賃借権の登記に代用する趣旨であり、当該建物の登記に所在の地番として記載されている土地についてのみ、同条による賃借権の対抗力を生ずるとした事例

昭44(オ)317号

1167 S44.12.19

不動産の買主が売主に対して処分禁止の仮処分をした場合に、不動産の他の買主が同一不動産について第二次の処分禁止の仮処分をすることは妨げられないが、第一次仮処分の債権者が、被保全権利の実現として、売買契約に基づく所有権移転登記を経由したときは、第二次仮処分の債権者は、自己の仮処分の効力を主張して所有権の取得を否定することはできないとした事例

昭41(オ)1234号

1168 S44.12.19

譲渡担保の設定が詐害行為にならないとされた事例

昭43(オ)275号

1169 S44.12.19

代理人が直接本人の名において権限外の行為をした場合において、相手方がその行為を本人自身の行為と信じたときは、そのように信じたことについて正当な理由があるかぎり、民法110条の規定を類推して、本人はその責に任ずるとされた事例

昭44(オ)843号

1170 S44.12.18

特定の土地の引渡を求める訴訟の判決に添付された目的土地の特定のための実測図に基点が脱落していても、測量図によれば基点の所在が明らかで、判決添付図面を作成する際、基点の記載を脱落したにすぎないときは、更正決定をすれば足り、主文不特定の違法はないとした事例

昭44(オ)940号

1171 S44.12.18

・民法761条は、夫婦が相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有することをも規定しているものと解すべきとした事例
・夫婦間であっても、不動産の売却について表見代理は成立しないとされた事例

昭43(オ)971号

1172 S44.12.18

不動産を買い受け所有権に基づいてこれを占有する買主は、売主との関係においても、自己の占有を理由として不動産につき時効による所有権の取得を主張することができるとした事例

昭40(オ)353号

1173 S44.12.11

所有権に基づいて不動産を占有するものについて、所有権の取得時効の適用があるとした事例

昭44(オ)147号

1174 S44.12.11

抵当権設定後競売開始決定までの間に設定された短期賃貸借は、民法602条所定の期間後は当然に効力を失い法定更新されないとした事例

昭44(オ)932号

1175 S44.12.4

道路法の道路について、その後所有権を取得し登記した第三者は、道路管理者に対し対抗要件の欠缺を主張できる場合であっても、道路管理者の不法占有を理由とする損害賠償請求は許されないとされた事例

昭41(オ)211号

1176 S44.11.27

債務者兼抵当権設定者が債務の不存在を理由として提起した抵当権設定登記抹消登記手続請求訴訟において、債権者兼抵当権者が請求棄却の判決を求め被担保債権の存在を主張したときは、その主張は裁判上の請求に準ずるものとして、被担保債権につき消滅時効中断の効力を生ずるとした事例

昭44(オ)491号

1177 S44.11.26

普通建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において期間を3年と定めた場合には、存続期間の約定は、借地法11条により定めのなかったものとみなされ、賃貸借の存続期間は同法2条1項本文により契約の時から30年と解されるとした事例

昭41(オ)1356号

1178 S44.11.26

・取締役の悪意又は重過失による任務懈怠と第三者の損害との間に相当因果関係があるかぎり、これにより会社が損害を被り、ひいて第三者に損害が生じた場合であると、直接第三者が損害を被った場合であるとを問わず、当該取締役は直接第三者に対し損害賠償責任を負うとした事例
・代表取締役が、他の代表取締役その他の者に会社業務の一切を任せきりにし、それらの者の不正行為ないし任務懈怠を看過した場合には、自らもまた悪意又は重過失により任務を怠ったものと解すべきとした事例

昭39(オ)1175号

1179 S44.11.21

被用者の取引行為を職務権限内の行為と信じた相手方に重大な過失がないとされた事例

昭43(オ)1332号

1180 S44.11.21

建物賃貸借の賃料増額請求をめぐる紛争に際し、賃借人が自発的に一定額の増額をした賃料を供託した等の事情のもとにおいては、本件賃料債務の不履行については、未だこれを賃貸借契約の解除原因としての背信行為と認めるに足りない特段の事情があるとされた事例

昭44(オ)728号

1181 S44.11.21

土地の買受人が、地上に自己の親族が賃借人として建物を所有し営業していることを知って、賃借権付評価額以下の価額で土地を取得しながら、賃借権の対抗力の欠如を奇貨として、賃借人に対しその損失を意に介さず建物収去土地明渡請求をすることは権利の濫用にあたるとした事例

昭44(オ)818号

1182 S44.11.20

無効な二重保存登記を基礎として設定登記がされている抵当権について競売手続がされても、これに基づく競落はその効力を生ぜず、これによって有効な保存登記を基礎として設定登記がされている抵当権が当然消滅するいわれはないとした事例

昭41(オ)830号

1183 S44.11.18

住宅建設・販売事業を営む事業者の被用者との間で、土地・建物の購入契約をし代金を支払ったが、被用者にその権限がなかった事案において、権限がないことを知らなかったことに重大な過失はなかったとして、買受人の事業者に対する使用者責任に基づく損害賠償請求が認められた事例

昭44(オ)654号

1184 S44.11.13

賃貸人の承諾を得ないでした家屋の転貸について民法612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)2項に基づく解除が許されない場合、賃貸人は転借人に対し明渡請求をすることはできないとした事例

昭44(オ)797号

1185 S44.11.13

土地(地番A)の賃借人が、賃借地上の所有建物を、自己所有地(地番B)上の所有建物に合併登記したところ、建物所在地が地番B番とのみ表示され、地番Aの表示がされない場合であっても、合併登記をもって賃借人は賃借地(地番A)上に建物保護法1条にいう登記した建物を所有するとされた事例

昭42(オ)630号

1186 S44.11.13

公道に面する一筆の土地所有者が、公道に面しない部分を他に賃貸しその残余地を自ら使用している場合には、別段の特約がなくとも所有者は賃貸借契約に基づく義務として、賃借人に残余地を契約目的に応じて通行させる義務があり、したがってその賃借地につき民法210条1項は適用されないとした事例

昭和43(オ)1275号

1187 S44.11.13

土地の賃貸借契約の期間が、口頭弁論終結後約6年半後に満了する場合において、貸主がその期間満了による土地の返還を求める将来の給付請求は、その請求の基礎となる権利関係を確定することのできない請求権を訴訟物とするものであって不適法であるとした事例

昭44(オ)915号

1188 S44.11.6

借地上の家屋に関する費用償還請求権は、その家屋の敷地自体に関して生じた債権でもなければ、その敷地の所有者に対して取得した債権でもないから、請求権を有する者であっても、その家屋の敷地を留置する権利は有しないとした事例

昭44(オ)413号

1189 S44.11.6

不特定物の売買においては、特段の事情のないかぎり、その目的物が特定すると同時に、当然にその目的物の所有権は売主から買主に移転するとした事例

昭44(オ)768号

1190 S44.11.4

従前の土地の所有者の所有する仮換地上の建物が抵当権の実行により競落されたときは、従前の土地について法定地上権が成立し、競落人は、法定地上権に基づいて仮換地の使用収益が許されるとされた事例

昭41(オ)529号

1191 S44.10.31

農地を目的とする売買契約締結後に、買主がこれに地盛りをし売主の承諾のもと建物を建築するなどしたため、土地が完全に宅地に変じた場合には、売買契約は知事の許可なしに効力を生ずるとした事例

昭44(オ)498号

1192 S44.10.30

土地を占有していた被相続人が死亡し相続が開始した場合には、特別の事情のないかぎり、被相続人の土地に対する占有は相続人によつて相続されるとした事例

昭44(オ)265号

1193 S44.10.28

乙所有の土地(乙地)を借り受け、同士地上に保存登記を経由した建物を所有する者が、甲所有の隣接土地(甲地)を建物の庭として使用するため借り受けた場合においては、甲地が乙地と一体として建物所有を目的として賃借されているものであるか否かにかかわらず、賃借権の対抗力は甲地に及ばないとした事例

昭44(オ)423号

1194 S44.10.16

不動産に関する代物弁済の予約につき請求権保全の仮登記が経由されている場合においては、不動産の所有権が第三者に移転したときであっても、代物弁済予約権者は、予約の相手方に対して予約完結の意思表示をすべきであるとした事例

昭43(オ)489号

1195 S44.10.7

二年間同一町内において相手方と同一業種であるパチンコ店営業をしない旨の契約は、特段の事情のないかぎり、公序良俗に違反するものではないとした事例

昭44(オ)250号

1196 S44.10.7

同一町内でパチンコ店が開店した時は賃貸借契約を終了させる特約につき、判示の事実関係のもとにおいては、借家法6条所定の賃借人に不利な特約に当たらないとした事例

昭44(オ)249号

1197 S44.9.25

日本住宅公団を借主とする住宅団地敷地の借地契約について、地主のした賃料増額請求による相当地代額の算定に違法があるとした事例

昭43(オ)439号

1198 S44.9.12

請負契約に基づき建築された建物所有権が原始的に注文者に帰属するとした事例

昭44(オ)538号

1199 S44.9.11

賃借権存在確認の訴において、原告が確定を求めていない賃料額、存続期間または契約の成立年月日を主文に掲記することは必要でないとした事例

昭44(オ)500号

1200 S44.9.11

会社の代表取締役が不動産を買い受けた場合において、これが代表取締役個人のためにした売買契約であるとした事実認定に経験則違背の違法があるとされた事例

昭43(オ)280号

1201 S44.9.2

共有不動産につき、共有者の一人が単独所有権として登記を経由した場合において、他の共有者は、単独所有権の取得登記を共同所有権の取得登記に更正登記手続を求めることができるとされた事例

昭44(オ)454号

1202 S44.8.29

商人間の土地の売買において、当事者の意思表示により、一定の日時または一定の期間内に履行をなさなければ、契約をした目的を達することができないときは、その売買は確定期売買であるとされた事例

昭44(オ)330号

1203 S44.7.31

一時使用のため借地権を設定したことが明らかな場合と認めることができるとした事例

昭43(オ)2号

1204 S44.7.25

建物の賃借人が承諾を得て二階部分を増築した場合に、区分所有権が成立しないとされた事例

昭44(オ)120号

1205 S44.7.25

民法112条の表見代理が成立するためには、相手方が、代理権の消滅する前に代理人と取引をしたことがあることを要するものではなく、かような事実は、同条所定の相手方の善意無過失に関する認定のための一資料にとどまるとされた事例

昭42(オ)209号

1206 S44.7.24

賃貸借契約終了または所有権に基づく家屋明渡請求権を共同相続した者の賃借権者または不法占有者に対する家屋明渡請求訴訟は、必要的共同訴訟ではないとされた事例

昭43(オ)781号

1207 S44.7.24

家屋の賃貸借契約の成否につき争いがある事案において、家屋の所有者が家賃の弁済として供託された金員の還付を受けた事実をもって、家屋の賃貸を承認したものとはいえないとされた事例

昭44(オ)497号

1208 S44.7.24

一筆の土地の一部の賃借人が賃借地を含む土地に対する仮換地の指定に際し賃借権の届出をしたが土地区画整理事業施行者から使用収益すべき部分の指定がない場合、賃借人は仮換地につき現実に使用収益をする権能を有しないとした事例

昭44(オ)332号

1209 S44.7.17

建物賃貸借契約において、当該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があった場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、未払賃料債務があればこれに当然充当され、残額についてのみその権利義務関係が新賃貸人に承継されるとした事例

昭43(オ)483号

1210 S44.7.15

建物賃借人は、建物賃貸人による敷地所有権の取得時効を援用することはできないとされた事例

昭42(オ)1398号

1211 S44.7.8

建物の所有者がその敷地を占有する権原のない場合に、建物の所有者を代表者とする会社がその建物を借り受け占有しているときは、同会社は敷地の所有者に対し敷地の不法占有による損害賠償責任を負うとした事例

昭43(オ)191号

1212 S44.7.8

他人の土地の用益がその他人の承諾のない転貸借に基づくものである場合において、土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、その用益が賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現されているときは、その土地の賃借権ないし転借権を時効により取得することができる

昭41(オ)991号

1213 S44.7.3

甲乙不動産の先順位共同抵当権者が、甲不動産に次順位の抵当権が設定されているのに、乙不動産の抵当権を放棄し、甲不動産の抵当権を実行した場合であっても、乙不動産が物上保証人の所有であるときは、先順位抵当権者は、甲不動産の代価から自己の債権の全額について満足を受けることができるとした事例

昭41(オ)1284号

1214 S44.6.26

・法人格のない財団として設立中の財団法人に訴訟上の当事者能力が認められた事例
・遺言による寄附行為の寄附財産について遺言執行者のした処分が有効とされた事例

昭40(オ)907号

1215 S44.6.26

宅地建物取引業者は、売主からの委託を受けず、また、売主のためにする意思を有しないでなした売買の媒介については、売主に対し報酬請求権を有しないとした事例

昭43(オ)17号

1216 S44.6.24

所有権に基づく登記請求を認容した確定判決は、その理由において所有権の存否を確認している場合であっても、所有権の存否について既判力およびこれに類似する効力(いわゆる争点効)を有するものではないとされた事例

昭43(オ)1210号

1217 S44.6.24

民法110条にいう「正当な理由があるとき」とは、無権代理行為がされた当時存した諸般の事情を客観的に観察して、通常人においてその行為が代理権に基づいてされたと信ずるのがもっともだと思われる場合、すなわち、第三者が代理権があると信じたことが無過失である場合をいい、その諸般の事情には本人の言動を含むと解されるとした事例

昭40(オ)488号

1218 S44.6.19

建物保護に関する法律1条2項(昭和41年法律第93号による削除前のもの)は、建物の朽廃以外の滅失の場合にも適用があるとされた事例

昭43(オ)1345号

1219 S44.6.17

建物の一部の賃借人が、賃貸人の承諾を得ず賃貸目的以外の部分を改造し使用している行為が、著しい不信行為であるとして、無催告の賃貸借契約の解除を許容した事例

昭44(オ)78号

1220 S44.6.17

甲所有の従前地につき換地処分がされたときは、換地処分公告の翌日から従前地とみなされる換地につき甲は所有権を取得し、当該換地部分につき乙が所有権を有していたとしても、これに対しなんらの換地処分等がされないときは、公告の翌日以後は当該換地部分につき乙の所有権を認めることはできないとした事例

昭43(オ)1147号

1221 S44.6.12

特定地域の土地が、甲乙間において、甲所有の丙地に含まれるか、乙所有の丁地に含まれるかが争われている場合には、甲がその主張の丙地について所有権取得登記を経由していなくても、乙はこの一事によつて甲の土地に対する土地所有権取得を否定することはできないとされた事例

昭44(オ)56号

1222 S44.6.12

・敷金の授受があったときでも、延滞賃料支払の催告は延滞賃料全額についてすることができるとした事例
・敷金の授受があったときでも、約2ヵ月半の賃料の賃料延滞を理由とする土地賃貸契約解除の意思表示は、信義則違反または権利濫用にはあたらないとした事例

昭44(オ)102号

1223 S44.6.3

賃貸建物につき売買契約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記が経由された後に、仮登記義務者が賃料債権を第三者に譲渡しても、賃料債権譲渡は仮登記に基づく所有権移転の本登記が経由されたことによって、その効力を否定されるものではないとされた事例

昭44(オ)190号

1224 S44.5.30

従来母屋に接続する簡単なバラック建付属建物であった部分を拡げて店舗に改造し、母屋との間に板壁による間仕切りをし、母屋と全く別個に使用できるようにした場合においては、柱および板壁を共通とし、建物が屋根続きで外観上は一体の建物の観を呈していても、改造部分につき区分所有権が成立するとした事例

昭42(オ)550号

1225 S44.5.29

共有者の一人の単独名義に所有権登記されている場合、その登記が保存登記で、かつ、第三者のための登記が存在しないときでも、他の共有者はその所有権登記につき、自己の持分についてのみ一部抹消(更正)登記手続を求めることはできるが、その全部の抹消登記手続を求めることはできないとされた事例

昭42(オ)316号

1226 S44.5.27

甲が乙の承諾のもとに乙名義で不動産を競落し、丙が善意で乙からこれを譲り受けた場合において、甲は丙に対し登記の欠缺を主張して不動産の所有権の取得を否定することはできないとした事例

昭42(オ)99号

1227 S44.5.27

農地の二重売買につき、第一の買主が売主の履行不能を理由とする損害賠償を求めた事案において、第二買主の所有権移転請求権保全の仮登記を経由をもって売主の履行不能が確定したとはいえないし、同仮登記により農地法の許可が得られない証拠もないとして、その請求を棄却した事案

昭44(オ)180号

1228 S44.5.22

都市計画において公園とされている市有地について、民法162条による取得時効の成立が認められた事例

昭43(オ)924号

1229 S44.5.20

土地賃貸借の期限付合意解約は、合意に際し賃借人が真実解約の意思を有すると認められる合理的客観的理由があり、かつ、他に合意を不当とする事情が認められないかぎり、借地法11条に該当しないとした事例

昭43(オ)1118号

1230 S44.5.2

中間省略登記が中間取得者の同意なしにされた場合においても、中間取得者でない者は、登記の無効を主張してその抹消登記手続を求めることはできないとされた事例

昭42(オ)205号

1231 S44.4.24

所有権移転登記申請手続が登記義務者の意思に基づいてなされたものである以上、代理人による登記申請書に適式の代理委任状その他代理権限を証する書面が添付されなかった一事によって、登記の効力が生じないと解すべきものではないとした事例

昭43(オ)115号

1232 S44.4.24

土地賃借人の夫が借地上の建物の所有者である妻に、離婚に伴い、賃貸人の譲渡承諾を得ず借地権を譲渡したことにつき、賃貸人に対する背信行為とは認められない特別の事情があるとされた事例

昭43(オ)1091号

1233 S44.4.22

甲所有不動産について、乙のためにされた抵当権設定登記および所有権移転請求権保全の仮登記につき、それぞれ丙に権利移転の附記登記が経由された場合において、甲が、抵当債務の弁済、代物弁済契約の無効を理由に登記の抹消請求をするには、丙のみを被告とすれば足り、乙を被告とすることを要しないとした事例

昭42(オ)738号

1234 S44.4.22

従前の土地の一部の賃借人は、特段の事情のないかぎり、土地区画整理事業の施行者から、使用収益部分の指定を受けることによって、はじめてその部分について現実に使用収益をすることができるとした事例

昭44(オ)26号

1235 S44.4.17

不動産について、被相続人との間に締結された契約上の義務の履行として、所有権移転登記手続を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではないとした事例

昭41(オ)488号

1236 S44.4.15

建物所有を目的とする借地契約においては、その借地上の建物に対し通常の域をこえる大修繕をした場合には、その借地契約は、建物が現実に朽廃していなくても、その修繕前の建物が朽廃すべかりし時期に終了するものと解すべきであるとした事例

昭43(オ)637号

1237 S44.4.15

借家法7条による賃料値上請求に基づき値上賃料支払請求訴訟を提起中、値上を相当とする事由が生じた場合、新たに値上の請求をしない限り、先にした請求の範囲内においてさらに値上の効力を生ずるものではないとした事例

昭43(オ)1270号

1238 S44.4.15

社宅の利用関係につき、鉱員たる資格の存在をその使用関係存続の前提とする社宅に関する特殊な契約関係であって、借家法の適用はないとされた事例

昭43(オ)1327号

1239 S44.3.28

宅地に対する抵当権の効力は、特段の事情のないかぎり、抵当権設定当時宅地の従物であつた石灯篭および庭石にも及び、抵当権の設定登記による対抗力は従物についても生ずるとした事例

昭43(オ)1250号

1240 S44.3.27

共有不動産につき共有者の一人が持分権を放棄した場合、他の共有者は放棄にかかる持分権の移転登記手続を求めるべきであって、放棄者の持分権取得登記の抹消登記手続を求めることは許されないとされた事例

昭43(オ)602号

1241 S44.3.25

改築後の新建物が旧建物と同じく木造平屋建一棟の居宅であって、旧建物を支えていた柱も相当数のものが残って新建物の支柱となり、旧建物の残存部分が新建物の主たる構成部分をなしているなどの事実関係のもとにおいては、新・旧両建物は社会通念上同一性を有するとした事例

昭43(オ)1127号

1242 S44.3.20

主債務の消滅時効完成後に、主債務者が当該債務を承認し、保証人が、主債務者の債務承認を知って、保証債務を承認した場合には、保証人がその後主債務の消滅時効を援用することは信義則に照らして許されないとした事例

昭43(オ)297号

1243 S44.3.4

所有権移転請求権保全の仮登記が登記原因たる実体上の権利を欠き無効であるとされた事例

昭41(オ)649号

1244 S44.2.27

土地に抵当権を設定した当時、土地上に建物がなく、その後建物が土地上に建築された場合においては、土地建物が同一の所有者に属するときでも、民法388条(法定地上権)の規定は適用されないとした事例

昭43(オ)1213号

1245 S44.2.18

賃貸人の承諾を得ない賃借権の譲受または転借が賃貸人に対抗できる場合、その主張・立証責任は譲受人または転借人が負うとした事例

昭41(オ)429号

1246 S44.2.14

抵当権設定当時土地および建物の所有者が異なる場合においては、その土地または建物に対する抵当権の実行による競落の際、土地および建物が同一人の所有に帰していても、法定地上権は適用または準用されないとした事例

昭43(オ)846号

1247 S44.2.13

賃借権譲渡に賃貸人の承諾を要する特約に反して賃借人が賃借権を譲渡した場合において、特約の趣旨その他諸般の事情に照らし、譲渡が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情が存する事を賃借人が立証したときは、特約に基づく賃貸借の解除は許されないとした事例

昭42(オ)1382号

1248 S44.2.13

・民法21条の「詐術を用いたとき」とは、積極的術策を用いた場合に限るものではなく、無能力者が、ふつうに人を欺くに足りる言動を用いて相手方の誤信を誘起し、または誤信を強めた場合も含むとした事例
・無能力者であることの黙秘が、他の言動等と相俟って相手方を誤信させ、または誤信を強めたと認められるときは詐術に当たるが、単に無能力者であることを黙秘していた事は詐術に当たらないとした事例

昭42(オ)607号

1249 S44.1.31

・借地契約において無断譲渡、無断転貸等を禁ずる特約が付されていても、特段の事情があるときは、賃貸人は同特約に基づく借地契約の解除はできないとした事例
・借地契約において無断増築を禁ずる特約が付されていても、その建物が土地の通常利用相当であり、賃貸人との信頼関係破壊が認められない場合、賃貸人は同特約に基づく借地契約の解除はできないとした事例

昭43(オ)749号

1250 S44.1.31

他人の財産権を贈与の目的物とする贈与契約も有効に成立するとした事例

昭43(オ)821号

1251 S44.1.28

土地改良区の土地改良事業の施行にあたり、一時利用地の指定を受けながらこれに対応する換地を交付されなかった者は、一時利用地を他人の換地とした処分の無効確認を求める利益を有しないとされた事例

昭39(行ツ)24号

1252 S44.1.28

遺留分権利者が受遺者に対して行なう減殺請求権は形成権であり、必ずしも裁判上の請求による必要はなく、いったんその意思表示がされた以上、法律上当然に減殺の効力を生ずるとした事例

昭42(オ)1465号

1253 S43.12.24

民法162条2項の占有者の善意・無過失とは、自己に所有権があるものと信じ、かつ、そのように信ずるにつき過失のないことをいい、占有者において、占有の目的不動産に抵当権が設定されていることを知り、または、不注意により知らなかった場合でも、善意・無過失の占有者ということを妨げないとした事例

昭41(オ)837号

1254 S43.12.24

仮換地の指定後、従前の土地が分割譲渡され所有者を異にする二筆以上の土地となった場合、施行者により各筆に対する仮換地を特定した変更指定処分がされないかぎり、各所有者は仮換地全体につき、従前の土地に対する各自の所有地積の割合に応じ使用収益権を共同して行使すべきいわゆる準共有関係にあるものとされた事例

昭42(オ)744号

1255 S43.12.24

宅地建物取引業者の報酬について、法定の最高額をもつて相当額と認めた原審の判断に、審理不尽・理由不備の違法があるとされた事例

昭40(オ)173号

1256 S43.12.24

請負人が第三者に損害を与えた場合において、注文者に注文または指図について過失があるとされた事例

昭43(オ)26号

1257 S43.12.24

弁護士でない者に、自己の法律事件の示談解決を依頼し、これに報酬を与えもしくは与えることを約束しても、弁護士法第72条違反の罪の教唆犯は成立しないとされた事例

昭42(あ)1988号

1258 S43.12.24

不動産所有権譲渡をもって代物弁済をする旨の契約は、債務の弁済が代物弁済による所有権移転の意思表示の後にされても、その所有権移転登記手続の完了前にされたときは、その意思表示は弁済による既存債務の消滅によってその効力を失うとした事例

昭43(オ)256号

1259 S43.12.20

建物の土台の一部が低下し、柱の一部も土台との接合部において腐蝕し、このため建物が傾斜している場合であっても、通常の補修を加えれば、倒壊の危険を免れ、なお相当期間建物の効用を果たすことができるときは、建物の朽廃によりその賃貸借契約が終了したと認めることはできないとされた事例

昭43(オ)812号

1260 S43.12.20

民法1013条(遺言の執行の妨害行為の禁止)の規定が適用される場合においても、取引の安全をはかる見地から設けられた民法478条(債権の準占有者に対する弁済)の規定は排除されないとした事例

昭43(オ)883号

1261 S43.12.20

民法第565条にいういわゆる数量指示売買とは、当事者において目的物の実際に有する数量を確保するため、その一定の面積・容積・重量・員数または尺度のあることを売主が契約において表示し、かつ、この数量を基礎として代金額が定められた売買を指称するものであるとされた事例

昭43(オ)1035号

1262 S43.12.4

仮登記が仮登記権利者不知の間に不法に抹消された場合には、登記上利害の関係を有する第三者は、その善意、悪意または回復登記により受ける損害の有無、程度にかかわらず、仮登記権利者の回復登記手続に必要な承諾を与えなければならないとされた事例

昭40(オ)573号

1263 S43.11.28

不動産の賃貸人が特約に基づき賃借権設定登記をする義務を負っていても、賃料支払義務と同時履行の関係とする特約がなく、かつ、登記がないと契約目的を達することができないという特段の事情もない場合には、賃借人は登記義務の履行がないことを理由に賃料の支払を拒むことはできないとした事例

昭43(オ)199号

1264 S43.11.27

・河川附近地制限令第4条第2号、第10条は、憲法第29条第3項に違反しないとした事例
・財産上の犠牲が単に一般的に当然に受認すべきものとされる制限の範囲をこえ、特別の犠牲を課したものである場合には、これについて損失補償に関する規定がなくても、直接憲法第29条第3項を根拠にして、補償請求をする余地がないではないとした事例

昭37(あ)2922号

1265 S43.11.26

土地所有権に基づく同土地上に存する水道用配水管設備等の撤去請求が、権利の濫用とされた事例

昭40(オ)449号

1266 S43.11.21

家屋賃貸借契約において、1カ月分の賃料遅滞を理由に無催告で契約解除ができる旨の特約条項は、賃料遅滞を理由とする契約解除において、催告をしなくても不合理とは認められない事情が存する場合には、効力を有するとした事例

昭42(オ)1104号

1267 S43.11.21

建物の賃借人が差押を受けまたは破産宣告の申立を受けたときは、賃貸人はただちに賃貸借契約を解除することができる旨の特約は、借家法第6条により無効であるとした事例

昭42(オ)919号

1268 S43.11.21

不動産の二重売買において、第二の買主の所有権移転登記がされた場合、第一の買主は、第二の買主の明渡請求に対し、売買契約不履行に基づく損害賠償債権をもって、留置権を主張することはできないとされた事例

昭43(オ)586号

1269 S43.11.19

不動産の譲受人が登記を経ないうちに、不動産について、第三者から譲渡人を仮処分債務者とする処分禁止の仮処分が執行された場合においても、譲受人が登記なく仮処分債権者に権利取得を対抗しうる地位にあったときは、譲受人は仮処分執行後も仮処分債権者に対し所有権の取得を対抗できるとした事例

昭42(オ)491号

1270 S43.11.19

不動産所有権の譲渡をもって代物弁済をする場合に、債権者が不動産の所有権移転登記手続に必要な一切の書類を債務者から受領しただけで直ちに代物弁済による債務消滅の効力が生ずる特約が存するときには、債権者が債務者から書類を受領した時に代物弁済による債務消滅の効力が生ずるとした事例

昭43(オ)822号

1271 S43.11.19

一時使用の目的で賃借した土地上に建築された仮設建物を譲り受けた者と、土地所有者との間で締結された10年の賃貸借契約について、土地賃貸借契約締結の経緯等から、一時使用のための土地の賃貸借に該当するとされた事例

昭43(オ)52号

1272 S43.11.15

甲の乙に対する山林の贈与に関し、立会人として示談交渉に関与した丙につき、いわゆる背信的悪意者として、乙の所有権登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者にあたらないとされた事例

昭43(オ)294号

1273 S43.11.15

部落民全員が、その総有に属する土地について、入会権者として登記の必要に迫られ、単に登記の便宜から、部落民の一部の者のために売買による所有権移転登記を経由した場合には、民法94条2項の適用または類推適用がないとした事例

昭42(オ)524号

1274 S43.11.13

所有権に基づく登記手続請求の訴訟において、被告が自己に所有権があることを主張して請求棄却の判決を求めることは、原告のための取得時効を中断する効力を生ずるとした事例

昭41(オ)984

1275 S43.11.7

借家法に基づく増額請求により賃料が増額された後における賃借人の賃料債務の不履行が賃貸借の基礎たる信頼関係を破壊するものとして賃貸借契約の解除が認められた事例

昭43(オ)410号

1276 S43.11.5

「数量指示売買」とは目的物が実際に有する数量を確保するため、その一定の面積、容積、重量、員数または尺度あることを売主が契約において表示し、かつ、この数量を基礎として代金額が定められた売買をいうとした事例

昭43(オ)308号

1277 S43.10.31

賃借権の譲渡転貸許容の特約がされその旨の登記がされている土地賃貸借において、賃借権の消滅を第三者に対抗するためにはその旨の登記を経由する必要があるとした事例

昭40(オ)28号

1278 S43.10.29

借地法10条に基づく買取請求権の行使により、借地上建物の所有権が移転した場合においても、建物の賃借人は借家法1条によつて賃借権を対抗できるとした事例

昭41(オ)312号

1279 S43.10.18

譲渡担保が暴利行為により公序良俗に違反するかどうかの判断に当っては、その契約により担保される債権の額とその譲渡担保の対象となつた全物件の価格を比較すべきであるとした事例

昭41(オ)975号

1280 S43.10.17

不動産の売買予約を仮装して所有権移転請求権保全の仮登記手続をした場合において、外観上の仮登記権利者が仮登記に基づき所有権移転の本登記手続をしたときは、外観上の仮登記義務者は本登記の無効をもって善意無過失の第三者に対抗できないとした事例

昭41(オ)238号

1281 S43.10.17

主たる債務者の債務の短期消滅時効期間が民法174条ノ2の規定によつて10年に延長される場合には、これに応じて保証人の債務の消滅時効期間も同じく10年に変ずるものと解されるとした事例

昭43(オ)519号

1282 S43.10.8

土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、土地賃借権を時効により取得することができるとした事例

昭42(オ)954号

1283 S43.10.8

・抵当権の設定契約が無効のときには、その抵当権に基づく競売により、抵当物件が競落されても、競落人はその所有権を取得することができないとした事例
・民法826条の利益相反行為にあたるとされた事例

昭43(オ)783号

1284 S43.10.8

予告登記の存することの一事から、これに後行して係争不動産につき物権の得喪変更に関する法律行為をなした第三者が当該登記原因の瑕疵につき悪意と推定されるべきではないとされた事例

昭43(オ)446号

1285 S43.9.27

家屋の共同賃借人の一人がなした貸主に対する暴行行為およびガレージの無断築造が、賃貸借契約の即時解除の原因となるとした事例

昭43(オ)555号

1286 S43.9.26

・物上保証人は、被担保債権の消滅時効を援用することができるとした事例
・債権者は、自己の債権保全に必要な限度で、債務者に代位して、他の債権者に対する債務の消滅時効を援用できるとした事例

昭41(オ)77号

1287 S43.9.20

・売買代金の支払時期について不確定な期限を定めたものと認められた事例
・売買契約は成立したが未だ買主に目的不動産の所有権は移転していない時機において、売買を原因とする買主のための所有権移転仮登記は有効であるとした事例

昭43(オ)356号

1288 S43.9.17

個人が土地を賃借し、建物はその個人企業が所有し使用している事案において、個人企業を会社組織に改め、土地をその会社に使用させたことにつき、背信行為と認められない特段の事情があるとして、土地賃貸人の民法612条2項による契約解除を否定した事案

昭41(オ)818号

1289 S43.9.12

家屋の所有権を贈与により取得したとした者の、贈与者の相続人らに対する所有権移転登記請求訴訟において、裁判所が贈与の主張は死因贈与の主張を包含するものと解し、死因贈与による所有権移転を認定することは、当事者の主張しない事実を認定したものとはいえないとした事例

昭42(オ)246号

1290 S43.9.12

家屋の賃貸借契約が無断転貸禁止条項を含む調停によるものであり、賃貸人が解除前転借人に対し無断転借は承認できない旨を告知している等の事情のもとでの賃借人の家屋の一部無断転貸は、賃貸人に対する背信行為であるとして賃貸人の契約解除を認めた事例

昭43(オ)362号

1291 S43.9.6

・買収農地の売渡を受けて農業用施設として占有している者は、その売渡処分が当然無効であっても、その占有の始めに善意・無過失というべきであるとした事例
・民法第162条の適用には、他人の所有に属することを必要としないとした事例

昭42(行ツ)1号

1292 S43.9.6

建物収去土地明渡の強制執行が権利の濫用にあたるとされた事例

昭41(オ)661号

1293 S43.9.3

・不動産売買の媒介契約は、報酬を支払う約定があっても、依頼者は民法第651条第1項に基づき契約を解除することができるとした事例
・民法第651条第2項の「不利なる時期」とは、その委任の内容である事務処理自体に関して受任者が不利益を被るべき時期と解され、事務処理と異なる報酬を喪失するにすぎない場合を含まないとした事例

昭42(オ)1384号

1294 S43.9.3

対抗力を具備しない土地賃借権者に対し建物収去土地明渡を求めることが権利濫用となる場合においても、土地所有権の取得者が賃借権者に対し、違法に土地を占有するものであることを理由に損害の賠償を請求することは許されるとした事例

昭39(オ)868号

1295 S43.9.3

建物を所有し営業している土地の賃借人が存する土地につき、著しく低廉な賃借権付評価額で取得した土地の買受人が、賃借権の対抗力の欠如を奇貨とし、不当の利益を収めようとして、賃借人に対し行った建物収去土地明渡請求が権利の濫用として許されないとした事例

昭39(オ)869号

1296 S43.8.20

・数量指示売買とは、当事者において目的物の実際に有する数量を確保するため、その一定の面積、容積、重量、員数または尺度あることを売主が契約において表示し、かつ、この数量を基礎として代金額が定められた売買をいうとした事例
・目的たる土地を登記簿記載地積をもって表示した宅地の売買契約につき、数量指示売買ではないとされた事例

昭41(オ)770号

1297 S43.8.20

宅地建物取引業者の報酬額に関する規則は、業者が不当に多額の報酬を受領することを抑止する目的で最高額を定めたものであり、この最高額が授受されることが通常であるとか、慣行があるということはできないとされた事例

昭40(オ)228号

1298 S43.8.2

甲から山林を購入した乙が23年間これを占有していたところ、丙がその事実を知りながら、乙の未登記に乗じて乙に高値で売却する目的で、甲から当該山林を購入し登記を経たという事情の下では、丙は、いわゆる背信的悪意者として、乙の登記がないことを主張する正当の利益を有する第三者に当たらないとされた事例

昭42(オ)564号

1299 S43.7.18

建物保護法による対抗力を有しない賃借人の土地賃借権が、賃貸人の土地譲渡により消滅に帰したとしても、賃貸人の賃借人に対する不法行為が成立するものではないとした事例

昭41(オ)124号

1300 S43.7.16

一筆の土地を賃借し二棟の建物を所有する借地人が、各一棟を養女とその夫にそれぞれ贈与しその後死亡した事情のもとでの、土地賃貸人の借地権無断譲渡を理由とする各建物を受贈した養女およびその夫それぞれに対する土地明渡し請求は権利濫用に当たるとした事例

昭42(オ)203号

1301 S43.7.9

民事訴訟法の剰余の見込なき場合の競売取消等の規定に違反してされた競売につき、債務者から同法の不遵守を理由に損害賠償の請求をすることはできないとした事例

昭41(オ)700号

1302 S43.7.5

借地法第12条の賃料増額請求において、裁判所は同条所定の諸契機を考量し、具体的事実関係に即し、相当賃料を確定すべきであり、その際、底地価格に利子率を乗ずる算定方法(土地価格の利廻り算定方式)は一つの合理的尺度となるものであるが、他の算定方式に比べ本則であるとまで解すべきものではないとした事例

昭42(オ)1010号

1303 S43.6.28

境界標を損壊しても、いまだ境界が不明にならない場合には、境界毀損罪は成立しないとした事例

昭42(あ)2891号

1304 S43.6.27

地代増額請求権の行使によって適正額の増額の効果が生ずるのは、増額請求の意思表示が相手方に到達した時であるとした事例

昭42(オ)851号

1305 S43.6.27

期間の定のない店舗の賃貸借において、場所的利益の対価としての性質を有する権利金名義の金員が賃借人から賃貸人に交付されていた場合には、賃貸借が2年9カ月で合意解除されたとしても、賃借人はそれだけの理由で賃貸人に対しその金員の返還請求をすることはできないとした事例

昭42(オ)1445号

1306 S43.6.21

土地所有者が地代不払を理由に借地契約の解除を請求した事案において、借地人が地代不払に至った事情には土地所有者にも原因があるなどの事情から、地代不払の一事をもって賃貸借の基礎たる信頼関係の破壊があるとまではいえないとしてその請求を棄却した事例

昭43(オ)34号

1307 S43.6.21

私文書の作成名義人の印影が名義人の印章によつて顕出されたことが認められたときは、反証のないかぎり同印影は、名義人の意思に基づいて顕出されたものと推定され、その私文書は真正に成立したものと推定されるとした事例

昭42(オ)555号

1308 S43.6.21

売主および買主が連署のうえ農地法5条による許可申請書を知事あてに提出したときは、特約その他特別の事情のないかぎり、民法557条1項にいう「契約の履行に著手」したと解されるとした事例

昭42(オ)1415号

1309 S43.6.13

建物の附合の成否について、新築部分の構造、利用方法を考察し、従前の建物に接して築造され、構造上建物としての独立性を欠き、一体となって利用され取引されるべき状態にあるときは、附合したものと解すべきであるとした事例

昭42(オ)585号

1310 S43.5.30

売買代金を分割払いとする土地の売買において、買主が所有権を取得し引渡しを受けた後に、売主が、買主不知の間に、第三者のため売買土地に根抵当権・地上権の設定登記を行った事情のもと、売主催告の残代金を買主が支払わなかったことを理由とする契約解除は、信義則に反し無効であるとした事例

昭43(オ)186号

1311 S43.5.28

無断転貸を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りないものとした特段の事情が解消された場合は、また、その時点において別途判断すれば足りるとした事例

昭42(オ)1362号

1312 S43.5.28

土地所有者がその所有権にもとづいて地上の建物の共同相続人を相手方として建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではないとされた事例

昭39(オ)1161号

1313 S43.5.23

従前の土地の一部について賃借権を有する者は、土地区画整理事業の施行者から、権利の目的となるべき土地としての指定通知を受けないかぎり、たとえ施行者からの通知により賃借地上の建物を解体移転したとしても、当然には仮換地について現実に使用収益をすることができないとした事例

昭42(オ)1029号

1314 S43.4.16

土地の一部につき無断転貸などの違反行為があったにすぎない場合でも、建物と土地とが一個の賃貸借の目的となっているときには、賃貸借全部を解除することができるとした事例

昭42(オ)1356号

1315 S43.4.4

共有者の一人が、権限なく、共有物を自己の単独所有に属するものとして他に売り渡した場合でも、売買契約は有効に成立し、自己の持分をこえる部分については、他人の権利の売買としての法律関係を生ずるとともに、自己の持分の範囲内においては、約旨に従った履行義務を負うとした事例

昭42(オ)30号

1316 S43.4.2

・仲介業者が、不動産の売買契約成立のため、買主の現場案内、売買代金の価格合意、契約立会い、目的物の受渡し、代金授受に関与した等の事情のもとにおいて、買主との間に明示の媒介契約がなくとも、黙示の媒介契約がなされていたとして、商法第512条による媒介報酬請求を認めた事例
・不動産売買の媒介依頼を受けた仲介人が数人あるときは、各仲介人は特段の事情のないかぎり、尽力した度合に応じて、報酬額を按分して買主に請求することができるとした事例

昭41(オ)1007号

1317 S43.3.29

賃借権の無断譲渡が賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない旨の特段の事情の存在と主張・立証責任は、賃借人にあるとした事例

昭42(オ)1369号

1318 S43.3.28

土地の賃借人は賃借権を保全するため、賃貸人たる土地所有者に代位して土地の不法占拠者に対し建物収去及び土地明渡を請求することができ、かつその場合、直接自己に対して収去明渡をなすべきことを請求できるとした事例

昭42(オ)1469号

1319 S43.3.28

裁判上の和解により成立した土地賃貸借についても、土地の利用目的、地上建物の種類、設備、構造、賃貸期間等諸般の事情から、賃貸借当事者間に短期間にかぎり賃貸借を存続させる合意が成立したと認められる場合には、借地法第9条にいう一時使用の賃貸借に該当し、同法第11条の適用は受けないとした事例

昭42(オ)666号

1320 S43.3.28

一筆の土地Aよりその一部土地Bを分筆し譲渡した結果、土地Bが公路に通じないこととなっても、譲受人が土地Bと隣接し公路に通ずる土地Cを所有している場合には、譲受人は土地Bのため民法213条の囲繞地通行権を有しないとした事例

昭42(オ)1175号

1321 S43.3.15

土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではないとした事例

昭41(オ)162号

1322 S43.3.8

弁護士が登記申請の双方代理をしても、その弁護士の行為は、特段の事由のないかぎり、弁護士法第25条第1号に違反しないとした事例

昭42(オ)901号

1323 S43.3.8

工場備付の機械を目的物とする処分清算型の譲渡担保権者が、優先弁済権の実行のため目的物を工場から搬出する行為は、同人の権利を実行するための必須の行為であって不法行為とはいえないとした事例

昭42(オ)767号

1324 S43.3.7

甲不動産につき抵当権設定契約および代物弁済予約形式の合意がされるとともに乙不動産につき同一債権の担保を目的とする所有名義移転の合意がされた場合において、債権者は両不動産を換価処分して得た金員から元利金の弁済を受けることができるにとどまるとされた事例

昭41(オ)602号

1325 S43.3.1

相続人が登記簿に基づき実地に調査すれば、相続した土地の範囲に甲地を含まないことを容易に知ることができたにもかかわらず、この調査をしなかったために、甲地が相続した土地に含まれると信じて占有をはじめたときは、相続人は占有のはじめにおいて無過失ではないとした事例

昭42(オ)597号

1326 S43.3.1

一筆の従前地全部を賃借する者が適法な賃借権の届出をした場合であっても、施行者から通知がない以上、賃借人は換地予定地について使用収益権を有しないとされた事例

昭42(オ)326 号

1327 S43.2.29

抵当権の設定と同時に代物弁済予約が締結された不動産において、抵当権の実行による競売手続が開始したときは、競売手続が競売申立の取下その他の事由により終了しないかぎり、債権者が代物弁済の予約の完結権を行使することは許されないとした事例

昭40(オ)1110号

1328 S43.2.23

法定地上権の地代確定訴訟の係属中、法定地上権が譲渡され、その後訴訟の判決が確定した場合、その譲受人は、判決によって譲渡人と地主との間で確定された譲受当時の地代を譲受の時に遡って支払う義務を負うとした事例

昭42(オ)1075号

1329 S43.2.23

土地の売買契約において、所有権移転登記手続は代金完済と同時とし、代金完済までは買主は土地の上に建物等を築造しない旨の付随的約款に違反したとした、契約解除が認められた事例

昭40(オ)1439号

1330 S43.2.22

取得時効の成否は、境界確定の訴えにおける境界確定とは関係がないとした事例

昭42(オ)718号

1331 S43.2.16

抵当権の設定契約が無効であるときは、抵当権が実行され不動産が競落されても、競落人は不動産の所有権を取得することができないとした事例

昭42(オ)1118号

1332 S43.2.1

「推認」の語は、証拠によって認定された間接事実を総合し、経験則を適用して主要事実を認定する場合に用いられる用語法であって、証明度において劣る趣旨を示すものではないとした事例

昭42(オ)146号

1333 S43.1.30

甲所有不動産につき、売買予約に基づく乙の所有権移転仮登記がされた後、所有権が乙へ、さらに丙へ移転したが、丙に対し売買予約の権利譲渡を原因として、仮登記につき所有権移転請求権移転の附記登記がされた場合、丙が甲に対して仮登記の附記登記に基づく所有権移転登記手続を請求することは許されないとした事例

昭39(オ)423号

1334 S43.1.25

賃貸借を5年とする店舗の賃貸借契約が、一時使用のための賃貸借と認められた事例

昭42(オ)179号

1335 S43.1.25

賃貸借契約書記載の「入居後の大小修繕は賃借人がする」旨の条項は、単に賃貸人が民法606条1項所定の修繕義務を負わないとの趣旨にすぎず、賃借人が家屋の使用中に生ずる一切の汚損、破損個所を賃借人の費用で修繕し、家屋を賃借当初と同一状態で維持すべき義務がある趣旨ではないとした事例

昭42(オ)820号

1336 S42.12.26

隣接土地所有者間に境界についての合意が成立したことのみによって、合意のとおりの境界を確定することは許されないとされた事例

昭41(オ)118号

1337 S42.12.14

賃貸家屋の所有権および未払賃料債権の譲受人が所有権の取得登記前にした賃料の支払の催告について、賃貸借契約の解除の前提としての催告の効力を認めた事例

昭42(オ)380号

1338 S42.12.8

土地の賃貸借において、土地44.7坪のうち23.7坪を無断転貸した賃借人の行為は賃貸人に対する背信行為であるとして、賃貸土地全部につき契約解除を認めた事例

昭42(オ)785号

1339 S42.12.5

ゴルフ練習場としての使用を目的とする土地の賃貸借につき、借地人が当初から土地上にゴルフ練習場経営に必要な事務所用等の建物を築造・所有することを計画していたとしても、特段の事情がない限りその土地の賃貸借は、借地法第1条にいう「建物の所有を目的とする」賃貸借に該当しないとした事例

昭42(オ)293号

1340 S42.11.24

借主(子)が建物を所有して会社を経営し、そこから得る収益により貸主(親)を扶養する等の内容を目的とした、親子間の期間の定めのない土地の使用貸借において、借主が貸主の扶養をやめるなどの当事者間の信頼関係の破壊があったとして、民法第597条第2項但書の類推適用により、貸主の使用貸借契約の解約を認めた事例

昭42(オ)821号

1341 S42.11.17

調停にて建物の収去土地明渡しに合意した土地賃借人が、借地法上は無効の賃貸借期間を5年とした定めにつき法律上有効と思った錯誤があるとして、調停の無効を主張した事案において、当該錯誤は調停の合意の縁由についての誤りにすぎず、要素の錯誤にあたらないとして調停は有効とされた事例

昭42(オ)748号

1342 S42.11.10

農地法第3条または第5条にもとづく知事の許可は、農地法の立法目的に照らして、所有権の移転等につきその権利の取得者が農地法上の適格性を有するか否かの点のみを判断して決定すべきであり、私法上の効力やそれによる犯罪の成否等についてまで判断をなすべきものではないとされた事例

昭42(オ)495号

1343 S42.11.2

板塀で囲み上部をトタン板で覆った土地につき、所有者の黙認のもと、建築資材置場として使用していた者が、台風による囲いの倒壊後、所有者が工事中止の申し入れにもかかわらず、土地にブロツク塀を構築し、その上をトタン板で覆い、建築資材などを置く倉庫として使用した行為は、不動産侵奪罪に該当するとした事例

昭42(あ)1480号

1344 S42.11.1

不法行為による慰謝料請求権は、財産上の損害賠償請求権と同様単純な金銭債権であり、被害者が生前に請求の意思を表明しなくても相続の対象となるとされた事例

昭38(オ)1408号

1345 S42.10.31

甲が乙に不動産を仮装譲渡し、丙が善意で乙からこれを譲り受けた場合であっても、丙が所有権取得登記をする前に、甲からの譲受人丁が乙を債務者とし不動産について処分禁止の仮処分登記を経ていたときは、丙はその所有権取得を丁に対抗することができないとした事例

昭41(オ)1438号

1346 S42.10.31

乙ほか5名共有の土地が一方甲に譲渡され、他方丙を経て乙に譲渡された場合、乙が所有権取得登記を経由しても、甲は登記なくして乙に対し土地の所有権取得を対抗することができるとした事例

昭41(オ)666号

1347 S42.10.31

土地区画整理による仮換地の指定により、従前の土地上の建物を仮換地上に移転する場合において、移転が可能であるときは、移転費用に相当金額を要するのに対し建物が朽廃に近く残存価値が少ない等特段の事情のないかぎり、従前の建物の賃貸人は賃借人に対し、建物を移転し賃貸借を継続する義務を負うとした事例

昭41(オ)216号

1348 S42.10.27

農地を目的とする売買契約締結後に、売主が目的物上に土盛りをし、その上に建物が建築され、そのため農地が恒久的に宅地となった等買主の責に帰すべからざる事情により農地でなくなった場合には、売買契約は知事の許可なしに効力を生ずるとした事例

昭42(オ)429号

1349 S42.10.27

・他人の債務のため自己の所有物をいわゆる弱い譲渡担保に供した者は、右債務の消滅時効を援用することができるとされた事例
・債務者の時効の利益の放棄は、当該債務のため自己の所有物をいわゆる弱い譲渡担保に供した者に影響を及ぼさないとされた事例

昭39(オ)523号

1350 S42.10.24

貸主が家屋の賃貸借契約の解約を申入れした後に、貸主が正当事由を具備しその後6月を経過したときは、当該6月の経過により賃貸借契約は終了したとされた事例

昭40(オ)108号

1351 S42.9.29

・借地権及び建物の譲受人が、土地賃貸人の借地権譲受の承諾が得られぬまま、建物に増築等を行ったときは、譲受当時の原状に回復した上でなければ、買取請求権を行使できないとされた事例
・所有者が異なる数筆の土地に跨って存在する建物についての建物買取請求権は、賃貸人の所有地に存する建物部分が区分所有権の対象となる場合に限り、その部分についてのみ認められるとされた事例

昭41(オ)680号

1352 S42.9.21

無断増改築禁止特約に違反し、借地上の居宅(実測15.5坪)中9.5坪をバー店舗に改築した場合に、土地賃貸借関係の継続を著しく困難にする不信行為として、借地契約を即時解除することができるとした事例

昭40(オ)1169号

1353 S42.9.21

借地上の建物に通常の修繕の域をこえた大修繕がされた場合に、借地契約が修繕前の建物が朽廃すべかりし時期に終了するものとされた事例

昭41(オ)300号

1354 S42.9.19

地上権の譲受人は、地上権について登記を有しなくても、地上建物について所有権移転登記を経由した以上、建物保護に関する法律第1条第1項により、地上権の承継を土地所有者に対抗できるとした事例

昭42(オ)528号

1355 S42.9.1

抵当権者から委任をうけた者の過誤による申請によって、抵当権設定登記が抹消された場合、抵当権の対抗力は消滅するとした事例

昭41(オ)997号

1356 S42.8.25

売主の支払停止前になされた農地の売買について、知事の許可がなかったため、買主は支払停止後破産申立前に所有権移転請求権保全の仮登記を経たが、破産宣告が仮登記後1年を超えてなされたときは、仮登記についてもはや破産法第74条第1項による否認をしえなくなり、買主は仮登記に基づき破産管財人に対し、知事の許可を条件とする本登記を求めることができるとした事例

昭40(オ)1226号

1357 S42.8.25

使用貸借契約の終了を原因とする家屋明渡請求権は、性質上の不可分給付を求める権利と解すべきであって、貸主が数名あるときは、各貸主は総貸主のため家屋全部の明渡を請求することができるとした事例

昭42(オ)208号

1358 S42.8.25

共有物分割の結果、不動産の一部について単独所有権を取得した場合には、分筆登記を経由したうえで、権利の一部移転の登記手続をすべきとした事例

昭40(行ツ)53号

1359 S42.8.24

建物所有を目的とする借地権の設定後、地上建物の保存登記前にその土地の所有権移転請求権保全の仮登記がされた場合、借地権者は仮登記に基づいて本登記をした者に対し借地権を対抗することができないとした事例

昭40(オ)1377号

1360 S42.7.21

不動産の取得時効完成前に原所有者から所有権を取得し時効完成後に移転登記を経由した者に対し、時効取得者は、登記なくして所有権を対抗することができるとした事例

昭41(オ)629号

1361 S42.7.21

耕地整理施行中の未登記の残地を買い受けた者が、耕地整理組合について調査することなく、売主の所有地であるとの言を信じてその占有を始めたとしても、売主が真の所有者の実父でこれを管理していた等の事実の下においては、買主がその所有権を取得したと信じたことにつき過失がないとされた事例

昭40(オ)766号

1362 S42.7.21

所有権に基づいて不動産を占有する者についても、民法162条(取得時効)の適用があるとした事例

昭40(オ)1265号

1363 S42.7.20

借地法10条による建物買取請求権の消滅時効の期間が10年と解された事例

昭41(オ)1362号

1364 S42.7.13

土地賃借人の賃料債務の履行の提供ないし供託が、約定の範囲を越えた土地の賃貸を履行の受領により招来させるためのもので債務の本旨に従ったものではないとして、履行の提供に当たらないとされた事例

昭42(オ)439号

1365 S42.7.6

建物とともに敷地の賃借権が転々譲渡され、賃借権の各譲渡について賃貸人の承諾のない場合であっても、賃借権存続期間中に譲りうけた最後の譲受人は、建物買取請求権を有するとした事例

昭41(オ)1406号

1366 S42.6.30

被用者が重大な過失により失火したときは、使用者は、被用者の選任または監督について重大な過失がなくても、民法第715条第1項によって賠償責任を負うとした事例

昭42(オ)281号

1367 S42.6.29

民法第94条第2項(通謀虚偽表示)にいわゆる第三者とは、虚偽の意思表示の当事者またはその一般承継人以外の者であって、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至った者をいうとした事例

昭41(オ)1231号

1368 S42.6.29

従前の宅地の所有者は仮換地自体について、その本換地として確定する以前にこれを使用収益しうべき旨の地上権を設定することはできないとした事例

昭39(オ)751号

1369 S42.6.22

火災により、賃借建物の屋根等がほとんど焼け落ち、倒壊の危険もあり、完全修復には多額の費用を要し、建物全部を取り壊して新築する方が経済的である等の事実関係のもとにおいて、当該建物は火災により滅失し建物賃貸借契約は終了したとされた事例

昭41(オ)687号

1370 S42.6.20

津波によって土地が流出した後に住宅適地造成組合によって造成された土地の所有権の取得時効につき、相続による占有者が土地登記簿を調査しなかったことをもって占有のはじめに過失があったとはいえないとした事例

昭39(オ)720号

1371 S42.6.6

不動産の所有権が順次甲、乙、丙と譲渡された場合に、甲が乙に対し所有権移転登記をする意思で、登記申請書類を交付していたときは、丙が同書類を利用して甲から丙に直接所有権移転登記をしても同登記は無効になるものではないとした事例

昭41(オ)1097号

1372 S42.6.2

建物の一部であっても、障壁等によって他の部分と区画され、独占的排他的支配が可能な構造・規模を有するものは、借家法第1条にいう「建物」にあたるとした事例

昭41(オ)1426号

1373 S42.5.30

法人の代表者は、現実に被用者の選任・監督を担当していた場合に限り、民法715条2項の代理監督者に当たるとされた事例

昭39(オ)368号

1374 S42.5.2

甲から乙へ家屋の所有権が譲渡移転された後、甲から家屋を賃借して引渡を受けた丙は、その後に所有権移転登記を受けた乙に対し、賃借権をもって対抗することができるとした事例

昭40(オ)272号

1375 S42.4.28

家屋賃借人が死亡し、唯一の相続人も行先不明で生死も判然とない場合において、家屋賃借人の内縁の夫が家屋賃借人の賃借権の援用により家屋に居住できるとした事例

昭39(オ)1036号

1376 S42.4.20

代理人が自己または第三者の利益をはかるため権限内の行為をしたときは、相手方が代理人の意図を知りまたは知りうべきであった場合にかぎり、民法93条(心裡留保)但書の規定を類推適用し本人はその行為についての責を負わないとされた事例

昭39(オ)1025号

1377 S42.4.7

甲が、共同相続により持分を取得した不動産につき、単独相続したとして所有権登記を経由し、乙と不動産について抵当権設定契約を締結し登記を経由したときは、甲は、乙に対し、自己の持分を超える部分について抵当権が無効であると主張しその抹消(更正)登記手続を請求することは、信義則に照らし許されないとした事例

昭40(オ)720号

1378 S42.4.6

宅地転用を目的とした農地の売買契約がなされた場合において、売主が知事に対する許可申請手続に必要な書類を買主に交付したのに、買主が特段の事情もなく許可申請手続をしないときには、売主はこれを理由に売買契約を解除することができるとした事例

昭39(オ)1051号

1379 S42.3.31

借地権の無断譲渡が賃貸人に対する賃借人の背信行為となるのは、賃貸人が譲受人の賃料の支払能力、態度に不安を感じる場合に限られるものではないとして、借地上に三棟の建物を所有しうち一棟を他に譲渡した借地人に対する土地所有者の土地全部についての賃貸借契約の解除を認めた事例

昭41(オ)1285号

1380 S42.3.30

長期にわたる賃料の不払は、それ自体賃貸借契約の継続を困難ならしめる背信行為にあたり、催告なしに契約の解除をすることができるとした事例

昭41(オ)1265号

1381 S42.3.17

地役の性質を有する入会権が解体消滅したと認められた事例

昭37(オ)1365号

1382 S42.2.24

贈与税課税権の消滅時効の起算日は、贈与によって財産を取得した年の翌年の3月1日であるとした事例

昭39(行ツ)75号

1383 S42.2.23

土地の一部を目的とする賃貸借について、当該契約の趣旨に適した場所が相当数あるときは、その賃借部分を特定して引き渡す賃貸人の債務は、選択債務にあたるとした事例

昭40(オ)278号

1384 S42.2.21

家屋賃借人の内縁の妻は、賃借人が死亡した場合には、相続人の賃借権を援用して賃貸人に対し当該家屋に居住する権利を主張することができるが、相続人とともに共同賃借人となるものではないとした事例

昭40(オ)1435号

1385 S42.1.20

県知事の許可がないかぎり、農地の買戻は効力を発生しないから、売戻人の目的物の明渡義務も発生しないとした事例

昭41(オ)859号

1386 S42.1.20

相続人が、相続の放棄をした場合には相続開始時にさかのぼって相続開始がなかったと同じ地位に立ち、当該相続放棄の効力は、登記等の有無を問わず、何人に対してもその効力を生ずるとされた事例

昭41(オ)457号

1387 S42.1.20

建物賃借人は、建物賃貸借契約解除後占有中の当該建物を修繕しても、その修繕費償還請求権をもって当該建物につき留置権を行使することはできないとした事例

昭39(オ)626号

1388 S42.1.17

土地の賃貸人が調停の合意により賃借権の譲渡承諾義務を負う場合において、賃借人が承諾を求める手続をしたとき、賃貸人の現実の承諾がなくても、賃借権譲受人は賃借権の譲受をもって賃貸人に対抗することができるとされた事例

昭40(オ)537号

1389 S41.12.23

甲の所有地上に乙が家屋を建て、当該家屋を乙が一年間使用したら甲に所有権を移転し、以後甲・乙間で相当賃料で賃貸する契約をしたところ、家屋が完成直後に火事で焼失し乙が火災保険金を受取った事案において、代償請求として、甲の乙に対する乙の受取った火災保険金の引渡請求が認められた事例

昭38(オ)1030号

1390 S41.12.22

第三者が民法94条2項(通謀虚偽表示)の保護をうけるためには、自己が善意であつたことを立証しなければならないとした事例

昭40(オ)969号

1391 S41.12.1

賃料の催告と、賃料不払による賃貸借契約解除の意思表示との間に約14年の隔たりがあっても、相手方において催告に基づく解除権の行使はないと信ずべき正当な事由が生じたといえない事情のもとでは、意思表示のときまで解除権は有効に存続しているとした事例

昭41(オ)660号

1392 S41.11.24

家賃が26倍に値上げされた場合であっても、当該値上額が第一審判決によって正当と判断された後、賃借人が値上額の家賃の支払催告に応じなかったときは、それを理由とする賃貸人の契約解除は有効であるとした事例

昭40(オ)1133号

1393 S41.11.22

不動産の時効取得者は、取得時効の進行中に原権利者から当該不動産の譲渡を受けその旨の移転登記を経由した者に対しては、登記がなくても、時効による所有権の取得を主張することができるとした事例

昭38(オ)516号

1394 S41.11.18

・登記申請行為自体には、表見代理に関する民法の規定の適用はないとされた事例
・偽造された申請書により登記がされたとしても、登記の記載が実体的法律関係に符合し、かつ、登記義務者に登記申請を拒む特段の事情がなく、登記権利者に当該登記申請が適法と信ずる正当の事由があるときは、登記義務者は登記の無効を主張することができないとした事例

昭39(オ)77号

1395 S41.11.10

・建物の賃貸人が賃貸借契約の解約申入に基づく建物の明渡請求訴訟を継続しているときは、解約申入の意思表示が黙示的・継続的にされているものと解されるとした事例
・建物の賃貸借契約の解約に基づく明渡請求訴訟において、解約申入当時に正当事由が存在しなくても、訴訟の係属中に正当事由が具備された場合は、その時から6カ月の経過により賃貸借は終了するとした事例

昭40(オ)1497号

1396 S41.10.27

建物の借主が当該建物を含む貸主所有の不動産に賦課された固定資産税等の公租公課の支払を負担する等の事実があるとしても、その負担が建物の使用収益に対する対価の意味を持つと認める特段の事情のないかぎり、当該貸借関係は使用貸借であるとされた事例

昭41(オ)527号

1397 S41.10.27

「近い将来賃貸人が本件家屋から通勤しうる地に転勤してくるまで」との意味で期間を二年と定め、その後「更新」が続けられ結局解約申入まで約六年半以上を経過した家屋の賃貸借について、一時使用のための賃貸借と認められた事例

昭39(オ)143号

1398 S41.10.21

賃貸借契約が解除されていない場合でも、賃貸人は、賃借人から賃料の支払を受けた等特別の事情のないかぎり、賃借権の無断譲受人たる目的物の占有者に対し賃料相当の損害賠償請求ができるとした事例

昭41(オ)792号

1399 S41.10.7

15才位に達した者は、特段の事情のないかぎり、不動産について、所有権の取得時効の要件である自主占有をすることができるとした事例

昭41(オ)2号

1400 S41.10.7

書面によらない農地の贈与契約は、農地法第3条第1項による知事の許可を受けるまでは、農地の引渡があった後でも、取り消すことができるとした事例

昭40(オ)1066号

1401 S41.9.22

町が付近住民の要望により、私道に所有者の承諾を得ることなく埋設した排水管について、私道所有者が当該排水管の撤去を求めた事案において、当該排水管撤去請求は、権利の濫用として許されないとした事例

昭39(オ)1002号

1402 S41.9.8

他人の権利を目的とする売買の売主が、当該権利を取得してこれを買主に移転することができない場合、買主は売主に対し、民法第561条但書により担保責任の損害賠償の請求ができないときでも、なお債務不履行一般の規定に従って損害賠償を請求することができるとした事例

昭40(オ)210号

1403 S41.7.15

借地権付建物を会社名義で買受け、賃貸人との土地賃貸借契約を会社の代表者個人名義で締結したことが背信行為にあたるとして、賃貸人が賃貸借契約の解除を求めた事案において、賃貸人に対する背信行為にあたらない特別の事由があるとしてその請求を棄却した事例

昭41(オ)100号

1404 S41.7.14

遺留分権利者の減殺請求権は形成権であるとされた事例

昭40(オ)1084号

1405 S41.7.1

賃貸借契約中の賃借人のする転貸等については賃貸人の書面による承諾を要する旨の特約は、合理的な目的をもってされた法律行為の方式の制限についてのものとして、有効であるとした事例

昭41(オ)483号

1406 S41.6.9

民法第192条(即時取得)により動産の上に行使する権利を取得したことを主張する占有者は、同条にいう「過失なき」ことを立証する責任を負わないとした事例

昭39(オ)550号

1407 S41.6.2

不動産の買主甲が売主乙に対し、所有権移転登記手続履行の請求訴訟を起こし勝訴判決得た場合において、乙から同一不動産の二重譲渡を受けた丙が、訴の事実審の口頭弁論終結後にその所有権移転登記を経たとしても、丙は前示確定判決について、民訴法第201条第1項の承継人にあたらないとした事例

昭38(オ)1319号

1408 S41.5.31

農地法第4条第1項違反の罪は、宅地化の目的でなされる場合、家屋の建築工事に着手し、あるいは完全に宅地としての外観を整えるまでに至らなくとも、農地の肥培管理を不能もしくは著しく困難にして、耕作の目的に供される土地とはいいがたい状態にしたときに成立し、その時から時効が進行するとした事例

昭39(あ)1111号

1409 S41.5.27

債務者が、被担保債権額以下の実価を有する抵当不動産を相当な価格で売却し、その代金を当該債務の弁済に充てて抵当権の消滅をはかる場合には、同不動産売却行為は詐害行為にはあたらないとした事例

昭40(オ)1498号

1410 S41.5.19

共有物の持分の価格が過半数をこえる者は、共有物を単独で占有する他の共有者に対し、当然には、その占有する共有物の明渡を請求することができないとした事例

昭38(オ)1021号

1411 S41.5.19

賃料不払による土地賃貸借契約解除に基づく建物収去土地明渡の訴の係属中成立した判示裁判上の和解において、賃貸借契約の合意解約がなされた等判示のような特別の事情があるときは、土地賃貸人は、当該合意解約をもって同土地上の建物の賃借人に対抗することができるとした事例

昭40(オ)1152号

1412 S41.4.27

土地賃借人は、土地上に自己と同居する未成年の長男名義で保存登記をした建物を所有していても、その後当該土地の所有権を取得した第三者に対し、「建物保護ニ関スル法律」第1条により、土地の賃借権をもって対抗することができないとした事例

昭37(オ)18号

1413 S41.4.26

甲が乙の無権代理人として乙所有の不動産を丙に売り渡す契約を締結した後、甲が乙から不動産の譲渡を受けその所有権を取得するに至った場合において、丙が民法第117条にいう履行を選択したときは、前記売買契約は甲と丙との間に成立したと同様の効果を生ずるとした事例

昭38(オ)1041号

1414 S41.4.22

借地権者が従前土地上に登記ある建物を所有している場合でも、借地権の申告に基づいて施行者が仮換地上に使用収益部分の指定をしなければ、仮換地上に使用収益権は生じないとした事例

昭37(オ)445号

1415 S41.4.22

民法109条の代理権授与表示者が、代理行為の相手方の悪意または過失を主張・立証した場合には、同条所定の責任を免れることができるとした事例

昭39(オ)264号

1416 S41.4.21

借地契約において増改築禁止特約に反し土地賃借人が増改築を行った場合において、当該増改築が借地人の土地の通常の利用上相当であり、土地賃貸人に対する信頼関係を破壊する恐れが認められないときは、土地賃貸人は建物の増改築を理由とする解除権を行使することはできないとされた事例

昭39(オ)1450号

1417 S41.4.20

・消滅時効完成後に債務の承認をした場合において、そのことのみによって、同承認はその時効が完成したことを知ってしたものであると推定することはできないとされた事例
・債務者が、消滅時効完成後に債権者に対し当該債務の承認をした場合には、時効完成の事実を知らなかったときでも、その後その時効の援用をすることは許されないとされた事例

昭37(オ)1316号

1418 S41.4.15

民法第162条第2項にいう平穏の占有とは、占有の取得・保持について、暴行強迫などの違法な行為を用いていない占有をいい、不動産所有者その他占有の不法を主張する者から異議をうけ、不動産の返還、占有者名義の所有権移転登記の抹消請求があっても、その占有が平穏でなくなるものではないとした事例

昭40(オ)944号

1419 S41.4.14

住宅建築を目的とした土地売買において、土地の8割にあたる部分が十数年前に公示された都市計画街路内に存することが、民法570条の売買の目的物に隠れたる瑕疵にあたるとした、買主の契約解除が認められた事例

昭40(オ)690号

1420 S41.4.12

仲介業者に情報提供をした事実はあるが、その仲介行為と成立した売買契約との間に因果関係がないとして、仲介業者の買主に対する報酬請求を棄却した事例

昭40(オ)764号

1421 S41.3.29

履行遅滞にある債務者がした弁済提供、供託につき、不足はあるがその額が僅少である場合には、債権者がその不足に名をかりて債務の本旨に従つた履行がないものとしてその受領を拒絶することは信義則上許されないとした事例

昭39(オ)1318号

1422 S41.3.22

双務契約の当事者の一方が自己の債務の履行をしない意思を明確にした場合には、相手方が自己の債務の弁済の提供をしなくても、当事者の一方は、自己の債務不履行について、同時履行の抗弁権を主張することはできないとした事例

昭38(オ)322号

1423 S41.3.18

未登記の建物の所有者甲が、所有権を移転する意思がないのに、建物について、乙の承諾を得て乙名義の所有権保存登記を経由したときは、民法第94条第2項を類推適用して、甲は、乙が建物の所有権を有していないことをもって善意の第三者に対抗することができないとした事例

昭38(オ)157号

1424 S41.3.3

建物の売買契約解除後、不法に建物を占有する買主が、同建物につき必要費有益費を支出したとしても、買主は民法第295条第2項の類推適用により、当該費用の償還請求権に基づく建物の留置権は主張できないとした事例

昭39(オ)654号

1425 S41.3.3

共有物に対する不法行為による損害賠償請求権は、各共有者が自己の持分に応じてのみこれを行使しうるとした事例

昭39(オ)1179号

1426 S41.3.1

抵当権の設定登記後に当該不動産について所有権移転請求権保全の仮登記を経由した者は、その後に登記された抵当権の実行による競落人に対し、その権利を対抗することができないとされた事例

昭40(オ)1083号

1427 S41.2.8

技術士国家試験の合格、不合格の判定は、司法審査の対象とならないとした事例

昭39(行ツ)61号

1428 S41.1.27

賃借地の無断転貸を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りないとする特段の事情は、その存在を賃借人において主張・立証すべきであるとした事例

昭40(オ)163号

1429 S41.1.21

所有権移転請求権保全の仮登記のなされた土地の仮換地の上に存する土地所有者の所有建物について抵当権が設定された場合には、建物の競落人は、法定地上権を取得するが、仮登記に基づいて所有権移転の本登記を経た者に対しては、法定地上権をもって対抗することができないとした事例

昭38(オ)1099号

1430 S41.1.21

履行期の約定がある場合であっても、当事者が債務の履行期前には履行に着手しない旨合意している等格別の事情のないかぎり、履行期前に民法557条1項にいう履行の着手が生じ得ないものではないとした事例

昭39(オ)694号

1431 S41.1.20

同一所有者に属する土地およびその地上建物のうち、建物のみが譲渡された事案において、使用借権とする敷地の使用権設定があったと判断された事例

昭39(オ)489号

1432 S41.1.13

不動産の贈与を予定して、登記権利者たる受贈者の関与なく不動産の所有権取得登記がなされた場合でも、後日不動産の贈与が行われたときは、受贈者は不動産所有権の取得をもって第三者に対抗することができるとした事例

昭38(オ)1180号

1433 S40.12.21

不動産の賃借人が賃貸人から不動産を譲り受けたが、不動産を二重に譲り受けた第三者が先に所有権移転登記をしたため、賃借人が不動産の所有権を第三者に対抗できなくなった事案において、いったん混同により消滅した賃借権が、第三者の所有権取得により同人に対する関係では消滅しなかったことになるとされた事例

昭37(オ)904号

1434 S40.12.17

賃借地上の建物が買戻特約売買により第三者に売り渡されたのは無断譲渡にあたるとして、土地賃貸人が契約解除を求めた事案において、建物の敷地について賃借権の譲渡または転貸はなされなかったとして、その請求を棄却した事例

昭39(オ)422号

1435 S40.12.10

賃料増額請求がされた場合、従前の賃料額と適正増額賃料額との差が僅少である等、信義則上債務の本旨に従った履行提供がなされたとみられる事情があるときのほかは、債務者は従前の賃料額をもって相当であると考えたとしても、従前の賃料額を提供しただけでは、履行遅滞の責を免れないとした事例

昭38(オ)1365号

1436 S40.12.7

使用貸借の終了した敷地上に建築された仮店舗の周囲に、敷地所有者(終了前の敷地使用貸主)が仮店舗所有者(終了前の敷地使用借主)の承諾を得ないで板囲を設置した場合に、仮店舗所有者が板囲を実力をもって撤去することが私力行使の許される限界を超えるとされた事例

昭38(オ)1236号

1437 S40.12.3

代物弁済の予約をした債権者が、その妻名義で所有権移転請求権保全の仮登記をした事案において、その仮登記は実体関係に符合しないことから第三者に対して順位保全の効力を有しないとした事例

昭39(オ)1368号

1438 S40.11.30

借地法12条による賃料増額請求において、相当な賃料が何程かは、同条所定の諸契機を考量して裁判所が合理的に判定すべきものであって、従来の賃料にその後における地価高騰率を乗じてのみ算出しなければならないものではないとした事例

昭40(オ)254号

1439 S40.11.24

・民法557条1項にいう履行の着手とは、債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指すものとした事例
・自らが履行に着手した場合でも、相手方が履行に着手するまでは、手付解除することができるとした事例

昭37(オ)760号

1440 S40.11.19

売主が第三者所有の特定物を売り渡した後、物件の所有権を取得した場合には、買主への所有権移転の時期・方法について特段の約定がないかぎり、物件の所有権はなんらの意思表示がなくても、売主の所有権取得と同時に買主に移転するとした事例

昭40(オ)614号

1441 S40.10.8

売主が、その兄の買主に対する借金債務を引き受け、これと売買代金の一部とを相殺することを目的として、その旨特約して不動産売買契約を締結したが、買主が既に第三者に債権を譲渡していた場合において、当該売買契約の要素につき売主に錯誤があったというべきであるとした事例

昭39(オ)964号

1442 S40.9.28

貸室の賃貸借における貸主の賃料及び電気代等立替金の合算額の支払請求に対し、立替金は貸主負担の約束であり過当な請求であるとして借主が全体の支払いを拒んだ事案において、賃借人の賃料未払を理由とする賃貸人の賃貸借契約の解除を認めた事例

昭38(オ)1460号

1443 S40.9.24

第三者の債務の担保に供された抵当不動産が競売に付せられ競落代金が納付された場合には、求償権が事実上取立不能であっても譲渡所得は成立するとした事例

昭39(行ツ)111号

1444 S40.9.21

宅地の賃借人が借地上に所有する建物を同居の孫に贈与したのに伴い借地権を譲渡した場合において、賃貸人が賃借人の娘むこである等のような事情があるときは、譲渡について賃貸人の承諾がなくても、賃貸人に対する信頼関係を破壊するに足りない特別の事情があるとされた事例

昭39(オ)767号

1445 S40.9.21

不動産の所有権が甲乙丙と順次移転したのに、登記名義は依然として甲にある場合には、丙が甲に対し直接自己に移転登記を請求することは、甲および乙の同意がないかぎり許されないとした事例

昭39(オ)985号

1446 S40.9.17

不動産所有権の移転行為を詐害行為としてその取消を請求する場合に、債務者より受益者への所有権移転登記の抹消に代えて、受益者より債務者への所有権移転登記手続を求めることが許されるとした事例

昭38(オ)596号

1447 S40.9.10

民法第545条第2項の利息債務は、実質は不当利得返還の法理より生ずるもので、同法第546条第533条所定の同時履行の抗弁権にかかわりなく発生し、ただその債務の履行が抗弁権の作用をこうむるにすぎないとされた事例

昭40(オ)60号

1448 S40.9.10

表意者自身において要素の錯誤による意思表示の無効を主張する意思がない場合には、原則として、第三者が意思表示の無効を主張することは許されないとした事例

昭38(オ)1349号

1449 S40.9.8

・売買代金債権は、法律上これを行使することができるようになったときに、所得税法第10条第1項後段にいう「収入すべき金額」となるとした事例
・いわゆる解約手附として受領した金額は、そのままでは「収入すべき金額」に当らないとした事例

昭39(あ)2614号

1450 S40.8.2

建物の一部の賃借人が他の部分を不法に占拠して賃借部分と併用している行為が著しい不信行為であるとして、無催告の賃貸借契約の解除が許容された事例

昭39(オ)822号

1451 S40.7.23

一筆の土地全部を賃借した者でも、賃借土地の仮換地を現実に使用収益するためには、土地区画整理事業の施行者から土地区画整理法第98条第1項所定の権利の目的となるべき土地としての指定通知を受けることを要するとされた事例

昭37(オ)382号

1452 S40.7.2

土地賃借人が賃料の支払を延滞したときは土地賃貸人は催告を要せず土地賃貸借契約を解除できる旨の特約は、借地法第11条の特約にはあたらないとした事例

昭39(オ)1180号

1453 S40.6.30

特定物の売買契約における売主のための保証人は、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても、保証責任を負うとした事例

昭38(オ)1294号

1454 S40.6.29

土地の賃貸人が、賃借人において賃借土地の一部を転貸している事実を知りながら、3年余にわたり特段の異議を述べず賃借人から賃料を収受していたときは、転貸について黙示の承諾をしたものと認められるとした事例

昭38(オ)476号

1455 S40.6.29

隣接土地上に存在する居宅の庭として使用することを目的とする土地賃借権が「建物保護に関する法律」第1条所定の対抗力を有しないとされた事例

昭38(オ)372号

1456 S40.6.25

代物弁済契約の目的物の価値について、要素の錯誤があるとされた事例

昭39(オ)1482号

1457 S40.6.18

無権代理人が本人を相続し、本人と代理人との資格が同一人に帰した場合には、本人がみずから法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたものと解されるとした事例

昭39(オ)1267号

1458 S40.6.18

宅地の賃借人が、借地上に同居の家族に建物を建築させ、これにその敷地を転貸した場合につき、転貸につき賃貸人の承諾がなくても、賃貸人に対する信頼関係を破壊するに足りない特段の事情があるとした事例

昭39(オ)144号

1459 S40.6.4

民法95条(錯誤)但書により表意者みずから無効を主張しえない場合は、相手方および第三者も無効を主張することができないとした事例

昭39(オ)609号

1460 S40.5.27

相続放棄につき民法95条(錯誤)の適用があるとした事例

昭36(オ)201号

1461 S40.5.25

建築材料の一切を請負人において支給し請負代金の前渡もなされていない請負契約においては、特別の意思表示のないかぎり、契約に基づき建築された建物の所有権は、建物が請負人から注文者に引渡された時に注文者に移転するとされた事例

昭39(オ)1209号

1462 S40.5.20

土地の共有者は、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、各自単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認を訴求することができるとした事例

昭39(オ)764号

1463 S40.5.4

土地賃借人が土地上の所有建物について抵当権を設定した場合には、抵当権の効力は当該土地の賃借権に及び、建物の競落人と賃借人との関係においては、建物の所有権とともに土地の賃借権も競落人に移転するとした事例

昭39(オ)1033号

1464 S40.5.4

滅失建物の登記を、その跡地に新築された建物の所有権保存登記に流用することは許されないとした事例

昭38(オ)1112号

1465 S40.4.30

不動産所有権の譲渡をもって代物弁済をする場合の債務消滅の効力は、原則として、単に所有権移転の意思表示のみでは足らず、所有権移転登記手続の完了によって生ずるとした事例

昭39(オ)665号

1466 S40.4.20

売主の本件物件の第三者への売却により、仲介業者の売主及び買主との媒介契約が解除された後、売主と買主が直接交渉し本件物件の売買契約を成立させた事案において、売主・買主間の売買契約は仲介業者の報酬支払を免れる目的でなされたものではないとして仲介業者の報酬請求を棄却した事例

昭38(オ)1075号

1467 S40.4.16

農地法第5条の規定に基づく知事の許可は、当該農地についての私法上の行為の取消または解除によってその効力を失うものではないとした事例

昭39(行ツ)36号

1468 S40.4.6

土地を目的とする代物弁済予約に基づく完結権を行使しうる時から約15年後に完結の意思表示がなされた場合でも、予約による所有権移転請求権保全の仮登記が経由されているときは、いわゆる権利失効の原則により権利が失われることなく、完結権の行使は有効であるとした事例

昭38(オ)1108号

1469 S40.4.2

土地の賃借人は、登記した建物を有しないかぎり、当該土地賃借権の存在を知って土地所有権を取得した第三者に対しても、土地賃借権を主張することができないとした事例

昭39(オ)842号

1470 S40.3.26

不動産の贈与契約に基づいて、不動産の所有権移転登記がなされたときは、その引渡しの有無をとわず、民法550条にいう贈与の履行が終ったものと解されるとした事例

昭39(オ)370号

1471 S40.3.19

法定地上権の地代確定訴訟における第一審判決の言渡後、その確定前にその地代債権に対して発せられた転付命令は、第一審判決において認められた地代の額の範囲内においては無効とはいえないとした事例

昭39(オ)218号

1472 S40.3.17

地上権ないし賃借権の設定された土地上の建物についてなされた登記が、錯誤または遺漏により、建物所在地番の表示において実際と多少相違していても、当該建物の同一性を認識できる程度の軽微な相違である場合には、「建物保護に関する法律」第1条第1項にいう「登記したる建物を有する」場合にあたるとした事例

昭36(オ)1104号

1473 S40.3.11

不動産を目的とする代物弁済の予約完結の意思表示がなされたときは、これにより当該不動産の所有権移転の効果が生ずるとされた事例

昭39(オ)919号

1474 S40.3.10

従前の土地の一部を賃借する者は、土地区画整理法第85条の定める権利申告の手続をして土地区画整理事業の施行者から仮に使用収益しうべき部分の指定を受けないかぎり、仮換地につき現実に使用収益をすることができないとされた事例

昭34(オ)842号

1475 S40.3.9

賃貸借終了を原因とする賃貸物件明渡等の請求書面に、予備的に、賃貸借が存続しているとすれば所定の期限までに賃料の支払を催告する趣旨が含まれている場合には、同催告は債務者が賃料を提供しても債権者に受領する意思が認められないような特段の事情のないかぎり有効であるとした事例

昭38(オ)1026号

1476 S40.3.2

従前の土地の地積は土地台帳の地積による旨の土地区画整理施行規程の規定に基づき、土地台帳の地積によってした換地予定地指定処分は、憲法第29条に違反しないとした事例

昭38(オ)1000号

1477 S40.2.23

建物所有を目的とする土地賃貸借契約を締結するにあたって、賃料は当分無料とするが当事者において追って協議してその額を定める約定が成立した以上、同約定の成立をもって賃貸借契約が成立したと判断されるとした事例

昭39(オ)633号

1478 S40.2.23

処分禁止の仮処分の登記後に仮処分債務者から第三者に対し所有権の移転登記がされた場合において、仮処分債権者は債務者との訴訟にて実体法上の権利の確定をしないかぎり、第三者に対し権利を主張し、所有権の移転登記の抹消登記を請求することはできないとした事例

昭39(オ)231号

1479 S40.2.12

土地賃貸人の土地賃借人に対する建物収去土地明渡請求訴訟において、転借人に直接賃貸借契約をしてよいとの意向を示して同訴訟に協力させた事情のもとで、賃貸人が訴訟で勝訴した後、一転して転借人に土地明渡の請求をすることは権利の濫用にあたるとした事例

昭39(オ)24号

1480 S40.2.4

債権の一部を被保全債権として仮差押のなされた不動産の譲渡を受けた第三者は、仮差押が本差押に移行した場合においても、被保全債権の弁済をすることにより不動産の所有権を取得し、仮差押債権の不動産に対する強制執行は、債務者以外の第三者の所有物件についてなされたこととなり許されないとした事例

昭34(オ)1087号

1481 S39.12.25

抵当権設定登記をする前に被担保債権の一部が弁済されても、債権者はその債権全額について登記手続を請求することができるとした事例

昭37(オ)1355号

1482 S39.12.25

土地賃借人甲社が、乙社との合併前において、土地賃貸人に無断で建物を乙に売却した事案において、その後甲と乙とが合併した事情があったとしても、同無断譲渡について賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があったとはいえないとして、土地賃貸人の契約解除を認めた事例

昭37(オ)1384号

1483 S39.12.18

期間の定めのない継続的保証契約は、保証人の主債務者に対する信頼が害されるなど保証人の解約申入の相当の理由がある場合には、解約により債権者が信義則上看過できない損害を被るような特段の事情がある場合を除き、保証人から一方的に解約できるとした事例

昭38(オ)1173号

1484 S39.12.11

越権代理人が本人の実印を使用して約束手形を振り出した場合について、民法第110条にいう「権限ありと信ずべき正当の理由」がないとされた事例

昭39(オ)419号

1485 S39.12.11

借地上の建物を目的物とする仮装の売買契約が締結された場合には、特別の事情がないかぎり、同建物の所有権の譲渡とともに当該借地権の譲渡をも仮装したものと認めるべきであるとした事例

昭37(オ)765号

1486 S39.12.4

借地法10条の建物買取請求をした者が、買取代金の支払いまで建物の引渡を拒み敷地を占有する場合、この占有が専ら同時履行の抗弁権行使のみを目的とするときは格別、これを使用または賃貸等しているときは、敷地の賃料相当額を不当利得として返還すべき義務があるとした事例

昭39(オ)590号

1487 S39.11.27

催告および催告期限徒過を停止条件とする契約解除の意思表示が期限後に到達した場合に、催告および解除の意思表示が有効とされた事例

昭38(オ)1362号

1488 S39.11.26

代物弁済において、債務者のなす他の給付が不動産所有権の移転である場合には、その意思表示がなされただけでは足りず、登記その他の引渡行為が完了しなければ代物弁済は成立しないとされた事例

昭37(オ)1051号

1489 S39.11.20

土地賃借人の有する借地権が対抗要件を具備しており、かつ転貸借が適法に成立している以上、転借人は、賃借人(転貸人)がその借地権を対抗しうる第三者に対し、賃借人の借地権を援用して自己の転借権を主張しうるとした事例

昭38(オ)451号

1490 S39.11.19

賃借人が個人企業を会社組織に改め賃貸人の承諾なくして当該会社に賃借家屋を使用させている場合に、民法612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)による解除権が発生しないとされた事例

昭39(オ)696号

1491 S39.11.17

債務超過の債務者が、ある債権者だけに優先的に債権の満足を得させる意図のもと、通謀して重要な財産を右債権者に売却し、売買代金債権と右債権者の債権とを相殺する約定をした場合には、たとえ売買価格が適正価格であるとしても、右売却行為は詐害行為にあたるとされた事例

昭37(オ)107号

1492 S39.10.30

いわゆる法定条件についても、民法128条(条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止)が類推適用されるとした事例

昭36(オ)723号

1493 S39.10.27

家屋賃貸人が商人である賃借人に対し、5月1日に4年分の延滞賃料の支払催告をしたのち、5月5日に解除の意思表示をした場合において、5月2日が土曜日、5月3日および5日が休日であっても、その解除の意思表示は催告後相当の期間経過後のものとして有効であるとした事例

昭38(オ)307号

1494 S39.10.23

家屋賃借人の内緑の妻が賃借人死亡後も賃借権を有するとされ、選定家督相続人には右賃借権が相続されないと判断された事例

昭37(オ)480号

1495 S39.10.23

債務者が賃料を持参し債権者の代理人弁護士の事務所に赴いたが、当該弁護士が不在のため現金の呈示ができなかった場合において、弁護士の事務員に対しその受領の催告をしなくても、弁済のための現実の提供があったとされた事例

昭37(オ)806号

1496 S39.10.16

賃貸借契約の締結が遠い過去のため期間満了日が賃貸人賃借人双方にとって曖昧であったなど特段の事情により、結果的に土地賃貸借期間の満了日より1年半後に述べられた賃貸人の異議について、借地法第6条にいう遅滞なく述べた異議にあたるとされた事例

昭36(オ)494号

1497 S39.10.15

・法人に非ざる社団が成立するためには、団体としての組織をそなえ、多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを要するとした事例
・法人に非ざる社団がその名においてその代表者により取得した資産は、構成員に総有的に帰属するとした事例

昭35(オ)1029号

1498 S39.10.13

登記簿上表示された建物の一部である現存建物が、建物保護に関する法律1条にいう「登記したる建物」にあたるとされた事例

昭37(オ)250号

1499 S39.10.13

内縁の夫死亡後その所有家屋に居住する寡婦に対して、亡夫の相続人のした家屋明渡請求が権利の濫用にあたるとされた事例

昭37(オ)885号

1500 S39.10.8

家賃の支払いとその受取証書の交付とは同時履行の関係にあると解すべきであるが、借家人が受取証書の交付を受けないで異議なく家賃の支払いをした場合には、さきに支払つた家賃について受取証書の交付のないことを理由として、その後の家賃の支払いを拒絶することはできないとした事例

昭38(オ)679号

1501 S39.10.8

売買契約書上一筆の山林を表示しているが、契約締結当時の諸事情に照らして観察すれば、売買は山林を構成する地盤の一部を指定し、これを譲渡するという趣旨の契約にほかならないときは、所有権移転の効力は山林部分についてのみ生ずるとした事例

昭37(オ)1064号

1502 S39.9.8

民法第242条(不動産の附合)但書は、、附合した物がなおその不動産とは別個の存在を有する場合にのみ適用され、附合した物が不動産の一部と認められて全然独立の存在を失う場合には適用の余地がないとした事例

昭38(オ)489号

1503 S39.9.8

借地法第10条による買取請求権を行使できる者は、建物所有を目的とする土地賃借権者が借地上に所有する建物等土地の附属物件を、その賃借人から賃借権とともに譲り受けた者およびその者よりさらにその譲渡を受けた者に限られるとした事例

昭38(オ)1398号

1504 S39.9.8

建設業法第19条は、書面によらない建設契約を無効とする趣旨ではないとした事例

昭38(オ)461号

1505 S39.9.8

農地の買主は、その必要があるかぎり、売主に対し知事の許可を条件として、農地所有権移転登記手続請求をすることができるとした事例

昭38(オ)1272号

1506 S39.8.28

賃貸中の家屋の所有権を第三者に移転した場合には、特段の事情のないかぎり、賃貸人の地位もこれにともない第三者に移転するとした事例

昭35(オ)596号

1507 S39.7.28

賃料不払を理由とする家屋賃貸借契約の解除が、特段の事情により、信義則に反し許されないものとされた事例

昭37(オ)747号

1508 S39.7.24

甲の所有権保存登記がなされた甲所有の建物について、二重に乙名義の所有権保存登記がされ、次いで甲名義の登記が不法に抹消された後に、丙が乙名義の登記に基づき建物の所有権取得登記を経由した場合、丙は、甲名義の登記の抹消回復登記につき「登記上利害の関係を有する第三者」に当らないとした事例

昭38(オ)1154号

1509 S39.7.16

不動産売買の仲介依頼の合意解除後に当事者間にて直接不動産の売買契約が成立した場合において、業者の仲介と当該売買契約成立との間に因果関係がなく、仲介の合意解除も故意に業者を除外したものでなく、依頼に関する報酬の特約もなかったときには、媒介業者に報酬請求権はないとされた事例

昭36(オ)1232号

1510 S39.7.14

建物を所有して土地を権原なく占有する者が、建物居住者が建物を明け渡さないため土地の返還ができなかった場合にも、土地不法占有による損害賠償責任を負うとした事例

昭36(オ)1194号

1511 S39.6.30

賃貸人の土地賃借権の無断譲渡について、賃貸人に対する背信行為と認めるに足らない特段の事情がある場合にあたるとして、賃貸人は土地賃貸借契約を解除できないとし、この場合において、賃借権の譲受人は、賃貸人の承諾がなくても、借地権の譲受をもって賃貸人に対抗できるとした事例

昭39(オ)25号

1512 S39.6.26

賃貸人たる地主は、借地人に対し賃料請求権を有するとしても、いまだ借地人から賃料の支払を受けていないかぎり、借地権の無断譲受人に対し賃料相当の損害賠償請求ができるとした事例

昭38(オ)1462号

1513 S39.6.26

家屋賃貸借における賃料の取立債務の約定は、賃借人と前賃貸人との間の特殊事情に基づいて成立したものであっても、新所有者たる賃貸人に承継されるとした事例

昭38(オ)1071号

1514 S39.6.26

家屋賃借人において修繕義務を負う特約がある場合でも、大修繕は特別の事情のない限り賃借人において負担する義務がないと、一般的にいうことはできないとした事例

昭38(オ)191号

1515 S39.6.26

借地権の無断譲渡を理由として土地賃貸借契約が解除されたのち地上建物を取得した第三者は、建物の買取請求権を有しない

昭37(オ)294号

1516 S39.6.19

・二筆の土地を一括して賃借した場合に、一筆の土地についての用法違反によって二筆の土地全部の賃貸借契約を解除できるとされた事例
・堅固建物への改築が消防署の命による場合でも、借地の用方違反の違法性は阻却されないとされた事例

昭38(オ)48号

1517 S39.5.26

入院中の内縁の夫が、同棲に使用していたその所有家屋を妻に贈与するに際して、自己の実印を家屋を買受けたときの契約書とともに妻に交付した事案において、簡易の引渡による家屋の占有移転があったとして、これにより贈与の履行が終ったものとされた事例

昭38(オ)31号

1518 S39.5.23

不動産の処分に関する白紙委任状等の転得者がその書類を濫用した場合、民法第109条(代理権授与の表示による表見代理)の適用はないとした事例

昭38(オ)789号

1519 S39.5.12

私文書の作成名義人の印影が当該名義人の印章によって顕出されたものであるときは、反証のないかぎり、民事訴訟法326条により、当該文書が真正に成立したものと推定されるとした事例

昭39(オ)71号

1520 S39.5.1

公社住宅の不正入居者に対する明渡請求が、権利濫用に当らないとされた事例

昭38(オ)1169号

1521 S39.4.2

民法110条の表見代理が成立するために必要とされる基本代理権は、私法上の行為についての代理権であることを要するとした事例

昭37(オ)912号

1522 S39.3.31

借家人の債務不履行によつて家屋賃貸借が解除された場合には、借家法4条(転貸借の保護)を適用する余地はないとした事例

昭38(オ)198号

1523 S39.3.10

会社が従業員の福利厚生施設の一つとして、一般の建物賃貸借における賃料より低廉な使用料で、その従業員に限って使用させている事情がある社宅の使用については、たとえ、入居願書の提出や社宅規則がなくても、借家法の適用はないとした事例

昭37(オ)707号

1524 S39.2.27

甲の相続権を乙が侵害している場合、甲の相続人丙の乙に対する相続回復請求権の消滅時効の期間20年の起算点は、丙の相続開始の時ではなく、甲の相続開始の時とであるとした事例

昭37(オ)1258号

1525 S39.2.27

生垣やトタン塀が古くから存在していたからといって、必ずしもその線が土地境界線であるとは認められないとされた事例

昭37(オ)952号

1526 S39.2.25

共有物を目的とする貸借契約の解除は、共有者によってされる場合は、民法第252条本文にいう「共有物の管理に関する事項」に該当し、解除については、民法第544条第1項(解除権の不可分性)の規定は適用されないとした事例

昭36(オ)397号

1527 S39.2.20

時効消滅後の債権による相殺は、相殺適状にあった時点の債権額の限度でなしうるものであって、相殺の意思表示の時点における債権額につき対当額で相殺されると解すべきではないとした事例

昭37(オ)1005号

1528 S39.2.13

単に土地を譲渡した前所有者であるにすぎないものは、譲受人から権利を譲受けたた後者に対して登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する民法177条の第三者に該当しないとした事例

昭37(オ)579号

1529 S39.2.4

・借地法第10条に基づく建物買取請求権行使による売買についても民法第577条の適用があるとした事例
・借地法第10条に基づく買取請求の対象建物の時価は、抵当権の設定があっても減額されないとした事例

昭36(オ)1299号

1530 S39.1.30

甲乙両名が共同相続した不動産につき、乙が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに第三取得者丙が乙から移転登記をうけた場合、甲は乙丙に対し自己の持分を登記なくして対抗できるとした事例

昭36(オ)315号

1531 S39.1.23

山林の売却斡旋依頼とともに判示内容の停止条件付報酬契約がなされた場合において、委任者が受任者を介せず山林を他に売却したときは、受任者は条件が成就したものとみなして約定報酬の請求ができるとした事例

昭36(オ)1307号

1532 S39.1.16

・村民は、村道に対し他の村民の有する利益ないし自由を侵害しない程度において、自己の生活上必須の行動を自由に行いうべき使用の自由権を有するとした事例
・村民の村道使用権に対して継続的な妨害がなされた場合、当該村民は妨害排除請求ができるとした事例

昭35(オ)676号

1533 S39.1.16

土地の賃借人が所有建物を子との共有名義とするとともに土地の賃借権の持分を譲渡した場合において、賃借地の利用および賃料支払等の実質関係に変りがなければ、賃借権の持分の譲渡は賃貸人の承諾がなくても民法第612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)による解除事由とはならないとした事例

昭37(オ)322号

1534 S38.12.27

売主およびその相続人の共有不動産が売買の目的とされた場合、当該相続人は当該売買契約における売主の義務の履行を拒むことはできないとした事例

昭37(オ)810号

1535 S38.12.24

発起人が会社の成立を条件としてなした法律行為のうち、単純な債務引受は財産引受にあたらないが、積極消極両財産を含む営業財産を一括して譲り受ける契約は、財産引受にあたるとした事例

昭35(オ)675号

1536 S38.12.13

他人の所有する土地に権原によらずして自己所有の樹木を植え付け、その時から立木のみにつき所有の意思をもって平穏かつ公然に20年間占有した者は、時効により立木の所有権を取得するとした事例

昭36(オ)208号

1537 S38.11.28

賃貸家屋の修繕義務の不履行を理由に賃料支払を拒絶できないとされた事例

昭37(オ)347号

1538 S38.11.28

土地の賃借人が地上建物を他に仮装譲渡した場合、土地賃貸人はその譲渡につき民法第94条(虚偽表示)第2項のいわゆる第三者にあたらないとした事例

昭36(オ)183号

1539 S38.11.14

土地賃借人が借地に隣接する賃貸人所有地に越境建築したことが、借地自体の用方違反になるとして、賃貸人の契約解除が容認された事例

昭36(オ)361号

1540 S38.10.30

留置権の抗弁は、被担保債権の債務者が原告である訴訟において提出された場合には、当該債権について消滅時効中断の効力があり、かつ、その効力は抗弁の撤回されないかぎり、その訴訟係属中存続するとした事例

昭35(オ)362号

1541 S38.10.29

建物の賃借部分の改築により、借家人のため区分所有権が成立したとされた事例

昭35(オ)1419号

1542 S38.10.15

境界確定訴訟の控訴裁判所は、第一審判決の境界線を正当でないと認めたときは、第一審判決を変更して、正当と判断する境界を定めるものであり、その結果が実際上控訴人にとり不利であり、附帯控訴をしない被控訴人に有利である場合であっても、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はないとした事例

昭37(オ)938号

1543 S38.10.15

登記簿上の所有者名義人は、前所有名義人から不動産所有権を取得したと主張する場合には、前所有名義に対し登記の推定力を援用し得ないとした事例

昭35(オ)198号

1544 S38.10.15

僧侶個人所有の住居兼説教所用建物が宗教法人たる寺院の所有となった場合に、敷地の賃貸借につき民法612条による解除権が発生しないとされた事例

昭36(オ)1430号

1545 S38.10.10

売買一方の予約に基づいて売買本契約が成立した場合は、売買予約締結当時を基準として詐害行為の要件の具備の有無を判断すべきとした事例

昭36(オ)15号

1546 S38.10.8

建物所有権移転請求権保全の仮登記権利は、本登記をなすに必要な要件を具備した場合でも、本登記を経由しないかぎり、登記の欠缺を主張しうる第三者に対し建物の明渡を求めることは許されないとした事例

昭35(オ)1299号

1547 S38.10.4

共同相続した不動産につき、共同相続人の一人が勝手に単独の所有権登記を行い、この者から第三者が移転登記を受けた場合、他の共同相続人は第三者に対し自己の持分を登記なくして対抗できるとし事例

昭38(オ)280号

1548 S38.10.1

抵当権の設定されていない同一所有者に属する土地及びその地上建物のうち、土地のみを公売によって競落した場合、法定地上権は成立しないとした事例

昭35(オ)611号

1549 S38.10.1

農地の売買において、売主の相続人らが買主に対して負う、知事に対する許可申請手続協力義務は不可分債務であるとされた事例

昭36(オ)1405号

1550 S38.9.27

借家人の無断増築が著しい不信行為であるとして、無催告の賃貸借契約解除が有効とされた事例

昭37(オ)588号

1551 S38.9.26

賃貸借の目的たる家屋の所有権を取得して賃貸人となった者は、旧所有者と賃借人との間に存した転貸許容の特約をも承継するとした事例

昭35(オ)1251号

1552 S38.9.20

債務不履行により農地の売買契約を解除する場合には、農地法第3条の適用がないとした事例

昭38(オ)40号

1553 S38.9.18

建築主が建築主事の確認を受けないで、用途上不可分の関係の認められない1戸建住宅及び2戸建ないし5戸建長屋住宅合計38棟を建築したときは、38個の建築基準法違反罪が成立するとした事例

昭38(あ)975号

1554 S38.9.5

株式会社の代表取締役が自己の利益のため会社の代表者名義でなした法律行為は、相手方が代表取締役の真意を知り、または、知りうべきものであったときは、その効力を生じないとした事例

昭35(オ)1388号

1555 S38.9.5

違約手付の特約に契約関係清算のための損害賠償額の予定を含む場合においては、違約手付を交付した者が相手方の違約を理由として手付金倍額償還を請求するには、あらかじめ契約解除の手続を経ることを要しないとした事例

昭37(オ)880号

1556 S38.8.8

第三者の詐欺による売買により目的物件の所有権を喪失した売主は、買主に対し代金請求権を有していても、第三者に対する不法行為に基づく損害賠償請求権がないとはいえないとされた事例

昭35(オ)1485号

1557 S38.6.27

飼犬による傷害事件において、危害防止のため鎖でつないでいなかったことにつき犬の飼主に保管上の注意義務違反があるとした事例

昭37(オ)1287号

1558 S38.6.26

ため池の破損、決壊の原因となるため池の堤等の使用行為は、憲法、民法の保障する財産権の行使の埒外のものであるとして、ため池の堤等の所有権行使が著しく規制される「奈良県ため池の保全に関する条例」につき合憲性を認めた事例

昭36(あ)2623号

1559 S38.6.13

弁護士の資格有しない者の弁護士法72条本文前段および同77条に抵触する契約は、公序良俗違反により無効とされた事例

昭37(オ)1460号

1560 S38.6.7

通謀虚偽の売買契約における買主が、契約の目的物について第三者と売買予約を締結した場合、その目的物の物件取得の法律関係につき、予約権利者が民法第94条第2項にいう善意か否かは、その売買予約成立の時ではなく、当該予約完結権の行使により売買契約が成立する時を基準として定めるとした事例

昭35(オ)15号

1561 S38.5.31

主たる建物の登記部分のみが無効である場合は、その部分のみの抹消を許すべきであって、附属建物を含めた全部の登記の抹消を許すべきではないとした事例

昭35(オ)977号

1562 S38.5.24

対抗力を具備しない土地賃借権者に対する建物収去、土地明渡の請求が権利の濫用となるとされた事例

昭37(オ)93号

1563 S38.5.21

・借地法7条にいう建物の滅失した場合とは、建物滅失の原因が自然的であると人工的であると、借地権者の任意の取りこわしであると否とを問わず、建物が滅失した一切の場合を指すとした事例
・一箇の借地契約に基づいて借地上に建物が存在する場合には、その建物の敷地が当該借地の一少部分であつても、当該借地全体について借地法第7条が適用されるとした事例

昭35(オ)549号

1564 S38.4.23

借地上の建物の賃借人は、その賃借権を保全するために、建物賃貸人(借地人)に代位して、借地法第10条の規定による建物買収請求権を行使することはできないとした事例

昭35(オ)955号

1565 S38.4.12

賃借建物で鉄工場を経営していた賃借人が、その事業を自己が代表取締役となって会社組織にした結果その建物を会社に転貸するに至った場合においては、賃貸人は賃貸借の合意解除の効果を転借人に対抗できるとした事例

昭36(オ)1284号

1566 S38.3.28

・甲が登記簿上乙の所有名義となっている甲所有建物を丙に譲渡した後、丙の所有権登記前に、甲の債権者丁が建物になした、乙より甲への代位による所有権移転登記ならびに甲を債務者とする仮差押登記はいずれも有効であるとした事例
・仮差押登記後、丙の所有権取得登記がされても、丙は建物所有権取得をもって丁に対抗できないとした事例

昭33(オ)416号

1567 S38.3.1

家屋の賃貸人において借入金返済のため賃貸家屋を売却する必要があり、他方賃借人が理髪業者で他に適当な移転先がない事情がある場合において、移転料の提供により借家法第1条の2にいわゆる正当の事由を具備したと判断し、移転料と引換えに明渡を命ずる判決をしても違法ではないとした事例

昭37(オ)907号

1568 S38.2.22

・相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人及び同人から単独所有権移転の登記をうけた第三取得者に対し、他の共同相続人は自己の持分を登記なくとも対抗できるとした事例
・この場合において、他の共同相続人が各登記の名義人に対し請求し得るのは、自己の持分についての一部抹消更正の登記手続であって、これを超えて各登記の全部抹消を請求することはできないとした事例

昭35(オ)1197号

1569 S38.2.21

土地賃貸人と賃借人との間において土地賃貸借契約を合意解除しても、土地賃貸人は、特別の事情がないかぎり、その効果を地上建物の賃借人に対抗できないとした事例

昭35(オ)893号

1570 S38.2.12

宅地建物取引業者は、不動産の買受人より依頼を受け、売買の媒介を行い契約を成立させたときは、商法512条により買受人に対し報酬を請求しうるとした事例

昭35(オ)389号

1571 S38.1.18

係争地域が自己所有であるとの主張は前後変わることなく、ただ単に請求を境界確定から所有権確認に変更したにすぎない場合は、境界確定の訴え提起によって生じた時効中断の効力には影響がないとした事例

昭34(オ)1099号

1572 S38.1.18

譲渡担保契約に伴う代物弁済の約定部分を無効と解すべき場合でも、譲渡担保契約全体が無効となるとは限らないとされた事例

昭36(オ)1162号

1573 S38.1.18

建物の賃借人は、賃料前払の効果を賃借建物につき所有権を取得した新賃貸人に主張できるとした事例

昭36(オ)449号

1574 S37.12.26

土地区画整理中の土地の売買において、なんらの特約をしなかった場合、清算交付金は売主に帰属するとした事例

昭35(オ)613号

1575 S37.12.25

家屋賃借人の事実上の養子として待遇されていた者が、賃借人の死後も引き続き家屋に居住する場合、相続人らの賃借権を援用して賃貸人に対抗することができるとした事例

昭34(オ)692号

1576 S37.11.27

山林の売買契約において、売主が開通すると説明した北側道路が実際には存しなかった場合において、当該北側道路の存在は売買契約の要素であるとして、買主の錯誤による契約無効の主張を容認した事例

昭36(オ)379号

1577 S37.11.16

債務の履行不能後目的物の価格が値上りした場合に、 履行不能となった際債務者がその事情を知りまたは知りえたときは、債務者が口頭弁論終結時の価格まで値上りする以前に目的物を他に処分したであろうと予想された場合でないかぎり、債権者は終結時の価格による損害の賠償を請求しうるとした事例

昭36(オ)135号

1578 S37.11.9

継続的売買取引について、将来負担することあるべき債務についてした責任の限度額ならびに期間の定めのない連帯保証契約における保証人たる地位は、特段の事由のないかぎり、当事者その人と終始するものであって、保証人の死亡後生じた債務については、その相続人においてこれが保証債務を負担するものではないとした事例

昭36(オ)868号

1579 S37.11.8

電気工作物に瑕疵があるとされた事例

昭33(オ)510号

1580 S37.10.30

土地境界確定の訴えにおいては、判決主文において、係争土地相互の境界を表示すれば足り、土地の所有者が誰であるかを主文に表示することを要しないとした事例

昭35(オ)513号

1581 S37.10.30

土地の所有者が一筆の土地全部を同時に分筆譲渡したため袋地が生じた場合において、袋地の譲受人は分筆前一筆であった残余の土地についてのみ囲繞地通行権を有するとした事例

昭35(オ)1325号

1582 S37.10.24

宅地建物取引業法の一部を改正する法律(昭和32年法律第131号)により、既存の宅地建物取引業者に新たに営業保証金の供託義務を課していることは、憲法22条、13条に違反しないとした事例

昭36(オ)496号

1583 S37.10.12

債権者が受益者を相手どって詐害行為取消の訴えを提起しても、債権につき消滅時効中断の効力を生じないとした事例

昭35(オ)646号

1584 S37.10.4

弁護士でない者が報酬を得る目的で、債権者から債権取立の委任を受け、その取立のため請求、弁済の受領、債務の免除等の諸種の行為をすることは、弁護士法第72条の、「その他一般の法律事件」に関して、「その他の法律事務」を取り扱った場合に該当するとした事例

昭36(あ)2883号

1585 S37.10.2

親権者が自己の借入金債務につき、未成年の子の所有不動産に抵当権を設定する行為は、借入金を未成年の子の養育費にする意図であっても、民法第826条にいう「利益が相反する行為」にあたるとした事例

昭34(オ)1128号

1586 S37.9.21

金銭債務の弁済のため、銀行の自己宛振出小切手を提供したときは、特段の事情のないかぎり、債務の本旨に従った弁済の提供があったものとされた事例

昭35(オ)252号

1587 S37.9.14

民法第94条第2項(通謀虚偽表示)の類推適用を認めた事例

昭34(オ)726号

1588 S37.9.13

土地の地目変更の登記申請書に、農地法第4条第1項による都道府県知事の許可を証する書面を添付しない違法があっても、登記官吏において申請を受理して土地の地目変更の登記をしたときは、同登記はその違法により当然に無効となるものではないとした事例

昭35(オ)1365号

1589 S37.9.4

通行人の死亡による損害が、国道管理の瑕疵のため生じたものと認められた事例

昭34(オ)117号

1590 S37.8.3

賃料額の具体的約定はなされなくても、当事者間に社会通念上相当とされる対価を支払うべき合意があるときは、賃貸借契約が有効に成立するとした事例

昭37(オ)138号

1591 S37.7.20

・建物所有を目的とし、民法602条所定の存続期間をこえる土地の賃貸借契約は、宗教法人令11条にいう不動産の処分にあたるとした事例
・宗教法人令による法人のなした同令第11条第1項所定の主管者の承認をえない不動産長期賃貸借契約は、その後法人が宗教法人法による法人に組織変更され、宗教法人法上は処分につき制限がない場合でも、そのことにより当然に有効となるものではないとした事例

昭36(オ)186号

1592 S37.7.19

堅固の建物以外の建物の所有を目的とし、期間を20年とする借地権は、期間満了前は地上建物が朽廃しても消滅しないとした事例

昭34(オ)950号

1593 S37.6.26

第三者のためにする契約は、契約当時に存在していなくても将来出現するであろうと予期された者を第三者とした場合でも有効に成立するとした事例

昭33(オ)31号

1594 S37.6.8

仮処分命令により売買その他の処分行為を禁止された不動産の所有者は、絶対にその物件の処分権を失うものではなく、仮処分債権者に対する関係においてこれを処分することができないにすぎないとした事例

昭34(オ)18号

1595 S37.6.6

借地法第4条第1項は、憲法第29条に違反しないとした事例

昭34(オ)502号

1596 S37.5.31

家屋明渡しを求める調停の申立は、賃貸借解約の意思表示がなされたものと解されるとした事例

昭36(オ)73号

1597 S37.5.18

同一不動産について再度なされた売買契約の解釈は、、前の売買契約を確認し、その約定を附加訂正したものと解するのが相当であるとした事例

昭34(オ)1109号

1598 S37.4.5

滞納家賃が3カ月分以上に達したときは、賃貸人は賃借人に対し、催告等の手続を経ることなく、直ちに賃貸借契約を解除することができる旨の特約は、借家法第6条の特約には当らないとした事例

昭36(オ)167号

1599 S37.3.29

石油タンクは、旧地方税法八八条にいう不動産に該当しないとされた事例

昭33(オ)188号

1600 S37.3.29

適法な転貸借がある場合、賃貸人が賃料延滞を理由として賃貸借契約を解除するには、賃借人に対して催告すれば足り、転借人に対して延滞賃料の支払機会を与えなければならないものではないとした事例

昭33(オ)963号

1601 S37.3.15

期間を定めず、賃料が具体的には協定されていなかった建物所有を目的とする賃貸借について、賃料が具体的にきまらなくても、賃料額を客観的に確定し得べき基準につき合意があれば、賃貸借は有効に成立するとされた事例

昭35(オ)1274号

1602 S37.3.15

土地が路地状部分で公路に通じており、その路地状部分が東京都建築安全条例所定の幅員に欠けるため増築の建築確認が得られないという理由だけでは、民法210条の囲繞地通行権は成立しないとした事例

昭34(オ)1132号

1603 S37.2.27

・建物の善意占有者の居住による利得は、建物所有者に返還することを要しないとした事例
・建物の占有者の居住による利得は民法189条第1項にいう果実に当るとした事例

昭33(オ)454号

1604 S37.2.20

原審が6カ月の申入期間経過後に生じた事由をも加えて解約申入の正当事由があると判断した点に問題があっても、原審口頭弁論終結当時において正当事由が存し、かつその事由が存してから弁論終結までに6カ月を経過している事実が認められる以上、解約申入請求を認容した原判決は肯認できるとした事例

昭34(オ)192号

1605 S37.2.15

賃貸人、賃借人双方の事情の斟酌において、借家を生活上必要とする度合に優劣なしと認められた場合、賃貸人が所有者であることに着目して解約申入に正当の事由があるとした判断に、借家法の解釈上の誤りはないとした事例

昭35(オ)1236号

1606 S37.2.6

一時使用のための借地権とされた事例

昭35(オ)1066号

1607 S37.2.1

犬の飼主に保管上の過失を認めた事例

昭34(オ)1049号

1608 S37.2.1

賃貸人の承諾ある転貸借が存する場合、賃貸人と賃借人との合意解除につき、転借人に信義則違反があるなどの特段の事由がなければ、転借人の権利は消滅しないとした事例

昭34(オ)979号

1609 S37.1.23

登記名義人を異にする二重の保存登記の一方の登記名義人を登記義務者とする所有権移転登記の申請がある場合において、不動産登記法第49条第6号の規定によりこれを却下することは許されないとした事例

昭34(オ)120号

1610 S36.12.22

借主が死亡しその相続人が複数いる場合、貸主からの契約解除には相続人全員に対して解除の意思を表示することを要するとした事例

昭34(オ)378号

1611 S36.12.21

賃貸借の終了によって転貸借は当然にその効力を失うものではないが、賃借人の債務不履行により賃貸借が解除された場合には、その結果転貸人としての義務に履行不能を生じ、よって転貸借は賃貸借の終了と同時に終了するとした事例

昭34(オ)596号

1612 S36.12.15

不特定物の売買において、特段の事情が存しない限り、買主は、取替ないし追完の方法による完全履行の請求権を有し、また、その不完全な給付が売主の責に帰すべき事由に基づくときは、債務不履行の一場合として、損害賠償請求権および契約解除権をも有するとされた事例

昭32(オ)1222号

1613 S36.12.15

共同相続財産たる不動産の売却による売主らの所有権移転登記義務は、不可分債務に当たるとされた事例

昭33(オ)517号

1614 S36.12.12

仮換地の指定にあたってなさるべき従前の宅地との照応考慮は、原則として、土地区画整理事業開始の時における状況を基準としてなすべきとした事例

昭34(オ)392号

1615 S36.12.1

表見代理を信じる正当事由があるとはいえないとされた事例

昭32(オ)804号

1616 S36.11.30

事務管理者が本人の名でした法律行為の効果は、当然には本人におよぶものではないとした事例

昭36(オ)342号

1617 S36.11.28

連帯債務者の一人が死亡し、その相続人が数人ある場合に、相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となると解された事例

昭35(オ)571号

1618 S36.11.24

甲が乙から宅地を買受けその旨の所有権取得登記を経由したのち、乙の債務不履行を原因として売買契約が解除された場合、甲は乙に対し登記の抹消手続を求めることができるとした事例

昭33(オ)1128号

1619 S36.11.21

売買契約において、売買契約の目的達成に必須でない付随義務違反(租税債務負担)をもって、主たる契約である売買契約の解除することはできないとされた事例

昭35(オ)69号

1620 S36.11.7

家賃が増額されたその8カ月後になされた家賃の増額請求が、借家法7条に抵触しないとされた事例

昭35(オ)938号

1621 S36.10.10

借家法第8条のいわゆる一時使用のための賃貸借といえるためには、その期間が1年未満の場合でなければならないものではないとした事例

昭33(オ)208号

1622 S36.9.15

工場財団を組成する動産についても、民法192条(即時取得)の適用があるとした事例

昭33(オ)1073号

1623 S36.7.21

賃貸人が賃借人に対し賃貸物件を使用させない期間は、賃借人は賃料支払義務を負わないとした事例

昭34(オ)848号

1624 S36.7.21

建物の賃貸人が建物の無断増築を理由に契約解除を求めた事案において、一日で撤去できる程度の仮建築であるなどの事情により、賃借建物の無断増築が契約解除原因に当らないとされた事例

昭33(オ)719号

1625 S36.7.20

不動産の取得時効が完成しても登記を経なければ、その後に所有権登記を経由した第三者に対し時効による権利の取得を対抗できないが、第三者の登記後に占有者がなお引続き時効取得に要する期間占有を継続した場合には、その第三者に対し登記を経由しなくとも時効取得をもって対抗しうるとした事例

昭34(オ)779号

1626 S36.7.6

土地所有者が、仮設の建物により土地を不法占有する者との事態解決のため、期間を10年とした土地賃貸借契約について、借地法第9条にいう一時使用のための借地権に該当するとした事例

昭36(オ)43号

1627 S36.6.22

双務契約上の債務が同時履行の関係に立つ場合、契約を解除しようとする当事者の債務の履行の提供は、催告に指定された履行期日にこれをすれば足りるとした事例

昭35(オ)505号

1628 S36.5.30

買主が買戻の特約を登記した不動産を第三者に転売しその登記を経由した場合は、最初の売主は転得者に対し買戻権を行使すべきであるとした事例

昭32(オ)469号

1629 S36.5.26

・知事の許可を得ることを条件として農地の売買契約をしたとしても、いわゆる停止条件を附したものということはできないとした事例
・農地の売主が故意に知事の許可を得ることを妨げたとしても、買主は条件を成就したものとみなすことはできないとした事例

昭32(オ)923号

1630 S36.5.26

宅地建物取引業者は、直接の委託関係はなくても、業者の介入に信頼して取引するに至った第三者に対して、信義誠実を旨とし、権利者の真偽につき格別に注意する等の業務上の一般的注意義務があるとした事例

昭33(オ)265号

1631 S36.5.4

物件変動の対抗要件としての明認方法は、第三者が利害関係を取得した当時にも存在するものでなければ、これをもつて当該第三者に対抗することはできないとした事例

昭32(オ)355号

1632 S36.4.28

店舗の無断転貸につき、同転貸が賃借人との共同経営契約に基づくもので、転貸部分は家屋のごく一小部分に過ぎない等の賃貸人に対する背信行為と認めるに足らない特段の事情があるとして、賃貸人の契約解除が無効とされた事例

昭32(オ)1087号

1633 S36.4.28

不動産につき甲、乙、丙と順次所有権が移転したものとして順次所有権移転登記がなされた場合において、各所有権移転行為が無効であるとき、乙は丙に対し抹消登記請求権を有するとした事例

昭32(オ)1208号

1634 S36.4.20

会社に対する催告書につき、会社事務室に居合せた代表取締役の娘が受け取り、代表取締役の机の上の印により受取の捺印をし、同催告書を机の抽斗に入れていたという場合に、同人に催告書を受領する権限がなく、また社員にその旨を告げなかったとしても、催告書の到達があったと解されるとした事例

昭33(オ)315号

1635 S36.3.24

民法第213条(公道に至るための他の土地の通行権)の規定は、農地を賃借してその引渡を受けた者と土地の所有者との間において準用されるとした事例

昭31(オ)917号

1636 S36.3.16

建物が二重に譲渡された場合において、無効な登記を有するにすぎない譲受人は、建物所有者としてその建物を目的とする火災保険契約を締結するについて、被保険利益を有しないとした事例

昭32(オ)782号

1637 S36.3.7

従前の土地の一部について賃借権を有する者は、たとえその賃借部分が仮換地に含まれていても、賃借権について仮に権利の目的となるべき部分の指定を受けないかぎり、賃借部分の使用権を有しないとされた事例

昭34(オ)326号

1638 S36.2.28

土地賃貸人からの建物収去土地明渡の請求において、建物所有者が借地法第10条により買取請求権を行使した場合に、その建物に賃借人があるときは、収去明渡の請求には、建物の指図による占有移転を求める趣旨を包合するものと解されるとした事例

昭33(オ)989号

1639 S36.2.24

借家法第7条に基づく賃料増減の請求は形成的効力を有し、請求者の一方的意思表示が相手方に到達した時に同条所定の理由が存するときは、賃料は以後相当額に増減せられたものと解されるとした事例

昭32(オ)1146号

1640 S36.1.17

妻が別居中の夫の所有土地家屋を代理として売却した場合において、妻に代理権があると信じさせる事情が存するも、「夫が病気で別居し、仕送りがないので借金ができ、その整理のため売る」旨告げられながら、直接夫に確かめなかった買主に、民法第110条の正当な理由は認められないとされた事例

昭33(オ)251号

1641 S35.12.27

登記簿上自己が所有名義人となる預り保管中の不動産につき、所有権移転登記手続請求の訴を提起された場合に、不動産に対する不法領得意思の確定的発現として、訴訟において自己の所有権を主張・抗争する所為は、不動産の横領罪を構成するとした事例

昭34(あ)2368号

1642 S35.12.20

借地法第10条の買取請求における建物の時価は、建物を取り壊した場合の動産としての価格ではなく、建物が現存するままの状態における価格であって、敷地の借地権の価格は加算すべきでないが、その建物の存在する場所的環境は参酌して算定すべきであるとした事例

昭34(オ)730号

1643 S35.11.29

不動産売買契約に基づき買主に所有権移転登記がなされた後、契約解除により、不動産の所有権が売主に復帰した場合において、売主はその旨の登記をしなければ、契約解除後に買主から不動産を取得した第三者に対しては、第三者が善意であると否と、不動産に予告登記の有無にかかわらず、所有権の取得を対抗できないとした事例

昭33(オ)846号

1644 S35.11.29

隣地から竹の根(地下茎)が本件土地へ入ってきて、それから生えた竹である場合、同竹材は本件土地の果実であるとされた事例

昭33(オ)929号

1645 S35.11.29

杉立木の不法伐採による損害賠償額は、特別事情の認められない場合、伐採当時の時価相当額であるとされた事例

昭33(オ)785号

1646 S35.11.24

不動産売買予約上の権利を仮登記により保全した場合に、予約上の権利の譲渡を予約義務者その他の第三者に対抗するためには、仮登記に権利移転の附記登記をすれば足り、債権譲渡の対抗要件を具備する心要はないとした事例

昭33(オ)544号

1647 S35.11.1

契約解除に基づく原状回復義務の履行不能による損害賠償請求権の消滅時効は、契約解除の時から進行するとした事例

昭33(オ)599号

1648 S35.11.1

土地区画整理法99条2項は、換地予定地権利者の従前宅地と換地予定地との二重使用を禁止するとともに、換地予定地上に従前の権利者の建物などが存する場合に、その撤去または移転まで換地予定地権利者の換地予定地の使用を禁じた関係上、換地予定地権利者の従前の宅地使用を許容したものとした事例

昭34(オ)882号

1649 S35.10.27

・契約解除の前提としての催告が有効であるためには、少くとも催告と同時に相手方が遅滞に付されることを要するとした事例
・双務契約上の債務の受領遅滞にある者が契約解除の前提としての催告をするためには、受領遅滞を解消させた上でこれをしなければならないとした事例

昭31(オ)686号

1650 S35.10.18

実印の交付を受けた代理人につき、民法第110条の適用が認められた事例

昭33(オ)117号

1651 S35.10.14

賃貸中の家屋に対する強制競売開始決定が債務者に送達された後、債務者が賃借人と合理的理由なしに賃料を半額に減額する合意をしても、これをもって競落人に対抗できないとした事例

昭33(オ)903号

1652 S35.10.14

甲所有の土地を、処分権のない乙が丙に売り渡した場合であつても、甲が乙に対しその処分行為を追認したときは、丙に対し所有権移転の効力を生じるとした事例

昭32(オ)640号

1653 S35.10.4

土地および温泉使用権を療養所のための敷地および鉱泉として寄附するにあたり、将来用途を廃止したときは無償で返還を受ける旨の特約があった場合、療養所を廃止し国立病院のため使用されているときは、特約にいう用途廃止という条件は既に成就したものと認めるとした事例

昭33(オ)341号

1654 S35.10.4

民法208条所定の区分所有権は、その部分が独立の建物と同一の経済上の効力を全うすることを得る場合に限って成立し、その部分が他の部分と併合するのでなければ建物としての効力を生ずることができない場合には、民法242条により不動産の所有者は附合物の所有権を取得するとした事例

昭33(オ)352号

1655 S35.9.29

他人の不動産を占有する正権原があるとの主張については、その主張をする者に立証責任があるとした事例

昭35(オ)460号

1656 S35.9.20

借地法第10条の建物買取請求権が行使された後、建物取得者は買取代金の支払を受けるまで建物の引渡を拒むことができるが、これにより敷地も占有する限り、敷地占有に基く不当利得としてその賃料相当額の返還義務があるとした事例

昭33(オ)518号

1657 S35.9.2

民法160条(相続財産に関する時効の停止)は、相続財産の管理人の選任前、相続財産たる土地を、所有の意思をもって、平穏、公然、善意無過失で10年間占有した場合にもその適用があるとされた事例

昭35(オ)348号

1658 S35.7.27

時効期間は、時効の基礎たる事実の開始された時を起算点として計算すべきもので、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできないとした事例

昭32(オ)344号

1659 S35.7.8

農地の賃貸借が農地法19条により更新されたときは、以後期間の定めのない賃貸借として存続するものと解されるとした事例

昭32(オ)791号

1660 S35.6.28

債権及び根抵当権の譲渡が根抵当権者、譲受人及び債務者の合意によりなされたときは、債権及び根抵当権の譲渡ならびにこれに基いてなされた根抵当権取得登記を無効とすべき理由はないとした事例

昭33(オ)293号

1661 S35.6.24

不特定物の売買においては、特段の事情のないかぎり、目的物が特定した時に買主に所有権が移転するとした事例

昭31(オ)252号

1662 S35.6.23

賃貸人の地位と転借人の地位とが同一人に帰した場合であっても、転貸借は当事者間にこれを消滅させる合意が成立しないかぎり、消滅しないとした事例

昭33(オ)890号

1663 S35.6.21

賃借家屋を使用し家具の製造を業としている賃借人が住込で雇い入れた工員は、賃借家屋の使用については、賃借人の義務の履行補助者にあたるとした事例

昭33(オ)344号

1664 S35.6.17

仮処分申請に基づき、裁判所の嘱託により家屋所有権保存登記がなされている場合であっても、仮処分前に家屋を未登記のまま第三者に譲渡しその敷地を占拠していない保存登記名義人に対し、敷地所有者から敷地不法占有を理由として家屋収去請求をすることは許されないとした事例

昭31(オ)119号

1665 S35.6.2

代物弁済の予約が公序良俗に反するとはいえないとされた事例

昭33(オ)734号

1666 S35.5.19

甲が乙を雇傭している期間内に限り、乙が甲に対し家屋を賃貸する約定は、借家法第6条にいわゆる「賃借人に不利なるもの」とはいえないとした事例

昭33(オ)775号

1667 S35.5.6

商法520条にいう取引時間外に弁済がなされても、債権者が任意に弁済を受領し、それが弁済期日内であるときは、債務者は履行遅滞の責を負わないとした事例

昭35(オ)32号

1668 S35.4.26

・買戻特約の登記をしなかった場合、不動産買戻権は売主の地位と共にのみ譲渡ができるとした事例
・買戻特約の登記をしなかった場合における不動産買戻権の譲渡を買主に対抗するには、これに対する通知またはその承諾を必要とし、かつこれをもって足りるとした事例

昭33(オ)186号

1669 S35.4.26

賃貸家屋の朽廃の時期が迫った場合、これを大修繕するために賃貸借を終了させる必要があり、その必要が賃借人の利益と比べてこれにまさるときは、解約申入につき借家法1条の2にいわゆる正当の事由があるとされた事例

昭33(オ)728号

1670 S35.4.21

不動産の二重売買の場合において、売主の一方の買主に対する債務は、特段の事情のないかぎり、他の買主に対する所有権移転登記が完了した時に履行不能になるものと解されるとした事例

昭30(オ)720号

1671 S35.4.21

・二重売買における他買主に対する対抗力は、登記がいわゆる中間省略登記であっても、その効力に異なるものはないとした事例
・中間省略登記につき、その登記内容が実質上の権利者と一致している場合、当該登記につき中間権利者の同意がないことを理由とする登記抹消請求は認められないとされた事例

昭30(オ)981号

1672 S35.4.12

間借人の毎月1000円の支払いを賃料でなく謝礼であるとし、使用貸借の成立を認めた事例

昭33(オ)485号

1673 S35.4.7

他人の使用人として家屋に居住するにすぎない者に対しては、特段の事情のないかぎり、その不法占有を理由として家屋の明渡ならびに賃料相当の損害金の支払を請求することはできないとした事例

昭32(オ)1041号

1674 S35.3.22

数年来使用されないで取り壊された築後60余年を経過した倉庫用建物について、借地法第2条1項にいわゆる建物の朽廃の域に達していたと判断された事例

昭31(オ)508号

1675 S35.3.1

他人の不動産を占有する正権原があるとの主張については、その主張をする者に立証責任があるとした事例

昭33(オ)683号

1676 S35.3.1

地盤所有権の取得につき未登記のままその地盤上に植栽した立木の所有権を第三者に対抗するには、公示方法を必要とするとした事例

昭32(オ)325号

1677 S35.2.12

家屋明渡請求事件において、被告が正権原として、はじめ使用貸借の存在を主張し原告がこれを認めた後に、被告がその主張を撤回し家屋の前所有者との間に賃貸借が存し原告はこれを承継したものであると主張するに至ったとしても、これを自白の取消ということはできないとした事例

昭33(オ)133号

1678 S35.2.11

占有取得の方法が外観上の占有状態に変更を来たさない占有改定にとどまるときは、民法192条(即時取得)の適用はないとした事例

昭32(オ)1092号

1679 S35.2.11

建物の賃貸借が債務不履行により解除された場合、賃借人は造作買取請求権を有しないとした事例

昭33(オ)726号

1680 S35.2.9

借地人の債務不履行による土地賃貸借契約解除の場合には、借地人は借地法第4条第2項による建物等買取請求権を有しないとした事例

昭32(オ)840号

1681 S35.2.2

第三者が民法第94条第2項(虚偽表示)の保護をうけるためには、自己が善意であったことを主張立証しなければならないとした事例

昭32(オ)335号

1682 S35.1.22

乙名義で不動産を競落した甲から所有権を取得した丙は、乙に対して移転登記の請求をすることができるとした事例

昭30(オ)869号

1683 S34.12.5

弁護士法第72条にいわゆる「業とする」とは、反覆継続して行う意思のもとに同条列記の行為をなすことをいうものであって、具体的になされた行為の多少は問うところではないとした事例

昭34(あ)513号

1684 S34.12.4

賃借土地の使用に事実上の支障がある場合において、特段の事情があるとして借主の賃料支払義務を認めた事例

昭31(オ)393号

1685 S34.11.26

土地共有持分の一部の譲受人が、他の共有者との間において、その土地の一部を分割し譲受人の単独所有として使用しうること及び分筆登記が可能となったときは直ちにその登記をなすことを約した場合は、その後同土地につき共有持分の譲受人に対して契約上の債権を行うことができるとした事例

昭32(オ)729号

1686 S34.9.17

・賃借権の譲渡人は譲受人に対し、譲渡につき遅滞なく賃貸人の承諾をえる義務を負うものとされた事例
・債務が履行不能となったときは、債務者は履行不能が自己の責に帰すべからざる事由によって生じたことを証明するのでなければ、債務不履行の責を免れることはできないとした事例

昭32(オ)571号

1687 S34.8.7

立木の所有権を留保して地盤である土地のみの所有権を譲渡した場合は、立木について公示方法を講じなければ、その地盤である土地の権利を取得した第三者に対抗できないとした事例

昭30(オ)499号

1688 S34.7.24

民法第110条にいう「代理人」にあたらないとされた事例

昭31(オ)410号

1689 S34.7.17

賃貸土地約310坪のうち無断転貸された部分が30坪にすぎない場合でも、その30坪および賃借人所有建物の敷地12坪を除いた残余の部分が特段の用途に供されていないときは、賃貸人は無断転貸を理由として賃貸土地全部につき賃貸借契約を解除し得るとした事例

昭32(オ)816号

1690 S34.7.14

登記申請が登記義務者の意思に基づいてなされ、その登記が実体的権利関係に合致するときは、たとえ申請の際に添付された印鑑証明書の日附が変造されたものであっても、登記の効力を有するとした事例

昭32(オ)20号

1691 S34.6.25

家屋の所有者がその敷地を占有する権原のない場合に、所有者を代表者とする会社がその家屋の全部を借受けて占有しているときは、会社は敷地の所有者に対し、敷地の不法占有による損害賠償責任を負うとした事例

昭32(オ)366号

1692 S34.6.25

同時履行の関係にある反対給付の提供の有無につき審理不尽ありとされた事例

昭32(オ)809号

1693 S34.6.2

賃貸人が賃料の弁済を受領しない意思が明確な場合には、賃借人はその後の賃料につき口頭上の提供をしなくても債務不履行の責を負わないとした事例

昭32(オ)62号

1694 S34.4.15

建物は、その敷地を離れて存在し得ないのであるから、建物を占有使用する者は、これを通じてその敷地をも占有するものと解すべきであるとした事例

昭31(オ)532号

1695 S34.2.19

賃貸借解約申入に基づく家屋明渡訴訟の口頭弁論により、新たな解約申入をなしたものと認められた事例

昭30(オ)179号

1696 S34.2.12

真正なる不動産の所有者は、所有権に基き、登記簿上の所有名義人に対し、所有権移転登記を請求することができるとした事例

昭32(オ)880号

1697 S34.2.5

二階建アパートの一画の区分所有権者が、賃貸目的で改造するため取りこわし、柱および基礎工事等を残すだけの工作物とした上で、これを賃借人の負担で改造する約束で賃貸し、賃借人が建物として完成させた場合、賃借人の工事により附加された物の附合により、建物は工作物所有者の所有に帰したものとされた事例

昭31(オ)407号

1698 S34.2.5

民法110条(権限外の行為の表見代理)による本人の責任は、いわゆる正当の理由が本人の過失によって生じたことを要件とするものではないとした事例

昭32(オ)861号

1699 S34.1.30

家屋明渡しの調停申立てに解約申入れの効力を認めた事例

昭31(オ)1040号

1700 S34.1.8

登記簿上の所有名義人は、反証のない限り、不動産を所有するものと推定すべきとした事例

昭33(オ)214号

1701 S34.1.8

転借人を占有代理人として間接占有を有する賃借人が占有を奪われたとするには、占有代理人の所持が意思に反して第三者によって失わしめられた場合でなければならないとした事例

昭33(オ)449号

1702 S33.11.27

・一時使用のため借地権を設定したことが明らかな場合にあたるとされた事例
・一時使用のため借地権を設定したことが明らかな場合、借地権者は借地法第10条に定める建物等買取請求権を有しないとした事例

昭33(オ)273号

1703 S33.11.6

再売買の予約完結権の消滅時効は、権利の行使につき特に始期を定め、または停止条件を附したものでない限りは、予約完結権の成立した時から進行する

昭31(オ)368号

1704 S33.10.21

境界確定の判断において、縄延びの処理につき、不合理な処理がなされ衡平の観念に反するとして違法と判断された事例

昭30(オ)969号

1705 S33.10.17

木造建物が、その柱、桁、屋根の小屋組などの要部に多少の腐蝕個所がみられても、自らの力で屋根を支えて独立に地上に存立し、内部への出入に危険を感じさせることもないなどの状況にあるときは、建物は未だ借地法第17条第1項但書にいう朽廃の程度に達しないものと解されるとした事例

昭30(オ)750号

1706 S33.10.14

被相続人が不動産の譲渡をした場合、その相続人から同一不動産の譲渡を受けた者は、民法第177条にいう第三者に該当するとした事例

昭31(オ)1023号

1707 S33.10.14

外国人が日本式家屋の賃借にあたり監督官の許可を受けるため附加した設備で、建物の規模や一般日本人の生活の様式程度から考え、建物用の設備として客観的に利便をもたらすものと認められないものは、借家法第5条にいう造作にあたらないとした事例

昭31(オ)483号

1708 S33.9.18

借家法第1条による賃貸借の承継の場合、その承継につき、賃貸人から賃借人に承継の通知をすることは必要でないとした事例

昭32(オ)275号

1709 S33.8.28

時効により不動産の所有権を取得しても、その登記がないときは、時効完成後旧所有者から所有権を取得し登記を経た第三者に対し、その善意であると否とを問わず、所有権の取得を対抗できないとした事例

昭30(オ)15号

1710 S33.7.29

立木法の適用を受けない立木の買受人においてこれに明認方法を施さないうちに立木が伐採された場合、買受人は当然伐木の所有者となるけれども、立木当時既に明認方法の欠缺を主張し得べき正当の利益を有した第三者に対する関係においては、伐木所有権をもってこれに対抗し得ないとされた事例

昭32(オ)42号

1711 S33.7.20

・賃貸人の債務不履行による土地賃貸借解除に基づき、賃借人の賃貸人に対して請求する借地権喪失による損害賠償の範囲は、契約解除当時における借地権の価格によるとした事例
・土地賃貸借解除に基づく賃借人の賃貸人に対して請求する損害賠償額算定の基準としての借地権の評価につき、転貸禁止の特約の有無は影響しないとした事例

昭34(オ)113号

1712 S33.7.1

新規温泉の掘削後において既存の温泉井の温泉成分に変化は認められず、その水位・ゆう出量・温度について軽微な変化は認められるも、新規掘削がその主たる原因とは断定できない等の事情から、新規温泉の掘削が権利の濫用に該当しないとされた事例

昭32(オ)129号

1713 S33.7.1

・温泉法第4条は、温泉源の保護・利用の適正化の公益的見地から、とくに有害と認められる場合以外は、温泉の掘さくの許可を与えねばならないとの趣旨であって、新規掘さくが少しでも既存の温泉井に影響を及ぼす限り、掘さくを許可してはならないとの趣旨ではないとした事例
・温泉法第3条第2項にいう「掘さくに必要な土地を掘さくのために使用する権利」は、民法上の使用貸借に基く権利であつても差支えないとした事例

昭32(オ)128号

1714 S33.6.20

売主所有の特定物を目的とする売買においては、特にその所有権の移転が将来なされるべき約旨に出たものでないかぎり、買主に対し直ちに所有権移転の効力を生ずるものと解するを相当とするとした事例

昭31(オ)1084号

1715 S33.6.14

甲乙間になされた甲所有不動産の売買が契約時に遡って合意解除された場合、すでに乙からこれを買い受けていたが、未だ所有権移転登記を得ていなかった丙は、合意解除が信義則に反する等特段の事情がないかぎり、乙に代位して、甲に対し所有権移転登記を請求することはできないとした事例

昭31(オ)32号

1716 S33.6.14

契約の要素に錯誤があって無効であるときは、民法第570条の瑕疵担保の規定の適用は排除されるとされた事例

昭32(オ)1171号

1717 S33.6.6

・家屋収去土地明渡請求に対し家屋買取請求権の行使があった場合、明渡請求は家屋の引渡を求める申立を包含するとした事例
・物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容するときは、引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきであるとした事例

昭30(オ)993号

1718 S33.6.5

・知事の許可を停止条件として締結された農地の売買契約は、無効ではないとした事例
・土地の買主が約定の履行期後、売主にしばしばその履行を求め、土地の所有権移転登記と引き換えに残代金を何時でも支払えるよう準備をしていたときは、「契約の履行に著手」したものと認められるとした事例

昭30(オ)995号

1719 S33.4.9

都市計画法施行令(昭和30年3月政令第47号による改正前)11条の2による建築許可に附した無補償撤去等の条件が憲法29条に違反しないとした事例

昭29(オ)542号

1720 S33.3.25

賃借権に基づき土地の引渡を求める給付訴訟が係属しても、その基本たる賃借権の存否内容につき即時確定の利益の認められる限り、賃借権確認の訴えは許されるとされた事例

昭31(オ)259号

1721 S33.3.13

・借家法5条(造作買取請求)は、賃貸借が賃借人の債務不履行ないしその背信行為のため解除された場合には、その適用はないとされた事例
・物の引渡を求める訴訟において、被告の留置権の抗弁を認容する場合には、原告の請求を全面的に棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきであるとした事例

昭31(オ)966号

1722 S33.2.14

通行地役権の時効取得に関する「継続」の要件は、承役地たるべき他人所有の土地の上に通路の開設があっただけでは足りず、その開設は要役地所有者によってなされることを要するとした事例

昭31(オ)311号

1723 S33.1.30

不動産の登記名義人および同人から根抵当権設定登記を得た者を共同被告として所有権の確認を求める訴は、訴訟の目的が共同訴訟人の全員につき合一にのみ確定すべき場合にあたらないとした事例

昭31(オ)587号

1724 S33.1.23

正当事由による解約申入に基づいて賃貸家屋の明渡を命ずる判決が確定した後その正当事由が消滅しても、これによって従前の賃貸借が当然復活し、または明渡請求権が当然消滅するものではないとした事例

昭31(オ)977号

1725 S33.1.23

借地上の建物が滅失し借地権者が新たに非堅固建物を築造する場合において、残存期間を超えて存続すべき建物を建築しない旨の特約は借地法第11条により無効であるとされた事例

昭31(オ)664号

1726 S33.1.17

留置権者が留置物について必要費、有益費を支出しその償還請求権を有するときは、物の保存に必要な範囲を超えた使用に基く場合であったとしても、その償還請求権につき留置権の発生を妨げないとした事例

昭30(オ)452号

1727 S33.1.14

一ケ月に満たない転貸による家屋賃貸借の契約解除が、事情により認められた事例

昭31(オ)1103号

1728 S32.12.27

工場抵当法第3条の抵当物件目録を提出する場合、軽微な附属物と認められない機械等は、具体的に記載することを要し、概括的に記載することはできないとした事例

昭30(オ)287号

1729 S32.12.27

占有改定により占有を取得したに止まるときは、民法第192条(即時取得)の適用はないとした事例

昭30(オ)225号

1730 S32.12.27

建物賃貸借の更新拒絶について必要とされる正当事由の存否は、賃貸人および賃借人の双方の利害得失を比較考量して決するとした事例

昭32(オ)649号

1731 S32.12.24

買主が、売主の債務不履行を理由として土地売買契約の法定解除を主張し、民法545条(解除の効果)により前渡金の返還を請求した事案において、法定解除が認められなかった場合は、例え買主が否認する合意解除の事実が認められても、買主の前渡金返還請求は認められないとした事例

昭29(オ)902号

1732 S32.12.19

他に連帯保証人がある旨の債務者の言を誤信した結果、連帯保証をした場合は、縁由の錯誤であって当然には要素の錯誤ではないとした事例

昭31(オ)223号

1733 S32.12.17

業務上過失致死傷罪成立の要件について、判示された事例

昭30(あ)2822号

1734 S32.12.10

無断転貸により賃貸借契約の解除権が発生した場合、その転貸が終了した一事のみによっては、解除権の行使は妨げられないとした事例

昭31(オ)276号

1735 S32.12.6

不動産所有権確認の訴において原告の請求を棄却する旨の判決が確定しても、これによりその不動産が被告の所有であることを確定するものではないとした事例

昭31(オ)668号

1736 S32.12.3

建物が朽廃してその効用を失ったときは、その建物の賃貸借は当然終了するものと解されるとした事例

昭31(オ)225号

1737 S32.11.26

契約当事者以外の第三者も、その意思表示の要素に錯誤があることを理由として、契約の無効を主張することができるとした事例

昭30(オ)520号

1738 S32.11.15

調停にもとづく期間7年の土地の賃貸借が一時使用の賃貸借にあたるとされたi一事例

昭30(オ)698号

1739 S32.11.14

権利能力のない労働組合よりの脱退組合員は、その脱退が組合分裂に基づく場合であっても、当然には組合に対し財産分割請求権を有しないとした事例

昭27(オ)96号

1740 S32.11.12

一個の契約で二棟の建物を賃貸した場合、一棟の建物の無断転貸を理由として賃貸借全部を解除しうるものとした事例

昭31(オ)253号

1741 S32.9.27

処分禁止の仮処分登記の移記が遺脱されたまま、売買により甲に所有権移転登記がなされ、次いで甲より乙がが不動産を買受けた場合であったても、乙はその所有権の取得をもって仮処分債権者に対抗できないとされた事例

昭30(オ)382号

1742 S32.9.19

不動産の譲渡後登記前に同不動産につき処分禁止の仮処分があったことをもって、譲渡人の登記義務が履行不能になったとはいえないとした事例

昭27(オ)69号

1743 S32.9.12

賃貸人がいったん賃料の受領を拒絶した場合であっても、特段の事情がない限り、賃借人はその後支払うべき賃料につき弁済の提供をしない以上債務不履行の責を免れないとした事例

昭31(オ)143号

1744 S32.9.3

借家法7条に基づく賃料増減の請求は請求者の一方的意思表示をもって足り、それが相手方に到達したときその賃料は、同条所定の事由の存する限り、爾後相当額に増減せられたものと解すべきであるとした事例

昭30(オ)460号

1745 S32.7.30

土地所有者の病院建設計画実現までの間として、期間5年、建物は取り壊しに容易なバラック建と限定し、賃貸人が必要として事前の明渡要求があれば賃借人もこれに応ずる約束で賃貸した等の事情のある土地の賃貸借契約について、借地法第9条のいわゆる一時使用の賃貸借に当るとした事例

昭30(オ)546号

1746 S32.7.25

解約申入当時存在しなかった事実を斟酌して、解約申入の正当性を否定した判決は違法であるとした事例

昭26(オ)288号

1747 S32.7.23

居住の目的のため、一棟の建物の使用が必要あることを理由として、四棟の建物の賃貸借解約の申入れをしたときに、目的に足る一棟の建物が明け渡されれば、他の建物についての解約申入れの効果は失なわれたとした事例

昭30(オ)587号

1748 S32.7.9

「失火ノ責任ニ関スル法律」但書にいわゆる「重大ナル過失」とは、通常人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかの注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然これを見すごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指すものとされた事例

昭27(オ)884号

1749 S32.6.27

期間を定めて登記と引換に代金債務の履行を催告した場合に、債務者において催告期間の末日に代金を持参して登記所に出頭したときは、適法な弁済の提供をしたものと認められ、その提供に先立ちあらかじめその日時を債権者に通知することは必要ではないとした事例

昭30(オ)344号

1750 S32.6.18

仮登記のなされた不動産につき第三者のための所有権取得の登記がなされたときにおいても、仮登記権利者は本登記をなすに必要な要件を具備する場合は、仮登記義務者に対しては本登記、第三者に対しては抹消登記の請求をなし得るとした事例

昭30(オ)561号

1751 S32.6.7

甲所有の不動産につき、乙のため所有権移転請求権保全の仮登記がなされた後に、甲が不動産を丙に譲渡し移転登記をした場合に、乙は、丙の登記を抹消することなくして、甲に対し所有権移転登記を請求することができるとした事例

昭28(オ)178号

1752 S32.6.7

甲所有の不動産につき、一旦国税滞納処分による公売により落札者乙に所有権登記がなされた後、公売の取消処分があった結果、甲に所有権が復帰した場合であっても、その登記がないときは、甲は乙から公売取消後その不動産を譲り受けた丙に対し、所有権の復帰を対抗できないとした事例

昭30(オ)548号

1753 S32.6.7

賃借建物を転貸していた会社について、設立無効の判決が確定しても、これにより将来に向って賃貸借および転貸借関係が当然に失効するものではないとした事例

昭30(オ)956号

1754 S32.6.6

期間の定めのない家屋の賃貸借が存続する場合に、賃借人が賃貸人に対し特約を以て当該家屋を明渡すことを約束することは、借家法6条に違反するものではないとした事例

昭30(オ)955号

1755 S32.6.5

債権者が契約の存在を否定する等、弁済を受領しない意思が明確と認められるときは、債務者は言語上の提供をしなくても債務不履行の責を免れるとされた事例

昭29(オ)522号

1756 S32.5.30

不動産の所有権者でない者が所有権保存登記手続をして登記簿上所有名義人となったときは、真正の所有権者は、名義人に対し移転登記手続を求めることができるとした事例

昭27(オ)865号

1757 S32.5.21

死因贈与の方式については、遺贈に関する規定の準用はないとした事例

昭30(オ)392号

1758 S32.5.21

農地の贈与契約について、知事の許可により所有権の移転を生ずべき停止条件附贈与契約は有効であるとした事例

昭30(オ)657号

1759 S32.4.5

賃貸人により賃貸借契約の解除の意思表示がなされた後、賃借人が修繕費の相殺の意思表示をしたとしても、当該意思表示は賃貸借契約の解除に効力を及ぼさないとした事例

昭30(オ)530号

1760 S32.4.2

会社の従業員の寮の使用関係が、通常の賃貸借でなく従業員の身分に随伴する一種特別の契約関係に属するものと認定された事例

昭30(オ)624号

1761 S32.3.28

甲家屋の賃貸人が代りの乙家屋を提供して、した解約申入が正当事由を有するとして、賃貸人の家屋明渡の請求を認容する判決の主文において、賃貸人が乙家屋の賃貸および引渡の提供をすることを条件と定めて、賃借人に甲家屋の明渡を命じても違法ではないとした事例

昭29(オ)853号

1762 S32.3.26

山林に生立する立木の売買において、直接売主から指示を受けず、世話人の指示を信じたため、対象となる山林の範囲につき錯誤があったとして、買主が売買契約の無効を主張した事案につき、買主に重大な過失があったものとはいえないとして錯誤無効を認めた事例

昭30(オ)1022号

1763 S32.3.8

賃貸借契約が、賃料不払のため適法に解除された以上、たとえその後、賃借人の相殺の意思表示により賃料債務が遡って消滅しても、解除の効力に影響はないとされた事例

昭30(オ)332号

1764 S32.2.15

代物弁済の予約が、暴利行為および相手方の窮迫に乗じて締結されたものであるとして、公序良俗に反し無効とされた事例

昭30(オ)228号

1765 S32.2.7

一時使用のための借地権の一事例

昭30(オ)297号

1766 S32.1.31

賃借権存在の確認請求訴訟において、原告の主張する賃料より低廉な賃料の定めある賃借権の存在を確認しても、当事者の申立てない事項につき判決したものとはいえないとした事例

昭27(オ)581号

1767 S32.1.31

買主の債務不履行を理由とする契約解除を無効とした判断に、審理不尽・理由不備があるとされた一事例

昭26(オ)332号

1768 S32.1.24

乙が甲の賃借地を不法に占有して通行を妨害している場合、甲の賃借権の仮の地位を定める仮処分として、乙の占有を解き、通行妨害となる物件を撤去して適当の方法で保管し、現状不変更を条件として、土地の一部を甲の通路として使用せしむべき旨命じても、保全処分の限界を超えるものではなく適法であるとした事例

昭27(オ)481号

1769 S32.1.24

・造作買取代金債権は、建物に関して生じた債権ではないから、これにより建物につき留置権を行使してその明渡を拒むことはできないとした事例
・解約申入により有効に賃貸借が解除されたものとするためには、借家法にいう正当事由は、おそくとも解除されたとする時から6月前当時において存することを要するとした事例

昭27(オ)188号

1770 S32.1.22

土地賃貸人が土地を引き渡さないため、賃借人の建物建築により営業を行う計画が実行できなかった場合において、賃借人計画の営業により得べかりし利益の喪失による損害が生じたと推定されるとした事例

昭29(オ)708号

1771 S31.12.28

・山林の境界につき実測図の作成を命ぜられた鑑定人が、訴訟手続外で入手した図面を資料として作成した鑑定書を証拠に採用しても違法でないとした事例
・相隣者との間で境界を定めた事実があっても、これによって、その一筆の土地の固有の境界自体は変動するものではないとした事例

昭30(オ)688号

1772 S31.12.28

契約解除のような相手方ある単独行為についても、通謀による虚偽の意思表示は成立し得るとした事例

昭29(オ)490号

1773 S31.12.27

建物明渡請求訴訟の被告が、自己の占有を否定し使用人として建物に居住するにすぎないと主張する場合、使用主に建物占有の正権原がないことを理由として明渡を命じたときは、理由不備の違法があるとした事例

昭30(オ)821号

1774 S31.12.25

建物賃貸借の解約申入れの正当事由に関する主張責任は、賃貸人にあるとした事例

昭30(オ)239号

1775 S31.12.21

賃貸家屋につき、賃貸人の自己使用の必要理由が、賃貸人が第三者より賃借していた家屋につき債務不履行を理由に明渡すことになったためであっても、十分な防禦方法を尽したに拘らず敗訴したものであること、賃借人が近くその甥所有の家屋を使用する見込のあること等の事実がある場合には、借家法第1条の2にいう「正当の事由ある場合」にあたるとした事例

昭31(オ)628号

1776 S31.12.20

建物所有のための土地の賃貸借につき無断転貸を理由として契約解除の意思表示をした賃貸人が、土地の明渡しを受けてデパートを建設することを企図していた場合、賃借人および転借人の生活上の脅威等の事実があるだけでは、その解除権の行使を権利濫用とすることはできないとした事例

昭29(オ)466号

1777 S31.12.18

国が連合国占領軍の接収通知に応じ、建物をその所有者から賃借してこれを同軍の使用に供した場合には、国は、その建物の設置保存に関する瑕疵に基因する損害につき、民法717条にいう占有者としてその責に任ずべきであるとされた事例

昭29(オ)848号

1778 S31.12.6

債務者が履行の催告に応じない場合に、債権者が催告の時から相当期間を経過した後にした解除の意思表示は、催告期間が相当であったかどうかにかかわりなく有効であるとされた事例

昭30(オ)151号

1779 S31.11.27

賃貸人の甲家屋賃料の支払催告に対し、賃借人が、乙家屋と丙土地も賃貸借の目的物であるとこれを争い、甲家屋の賃料に乙家屋と丙土地の相当賃料額を合わせた金員を賃貸人が受領しなければ支払わないとした場合には、債務の本旨に従った履行の提供があったものとはいえないとした事例

昭30(オ)646号

1780 S31.11.27

・土地区画整理委員会の委見を聞かないでした換地処分も無効ではないとした事例
・従前の土地について所有権以外の未登記の権利を有する者が、特別都市計画法施行令第45条に従いその権利の届出をしない場合には、換地予定地の指定をしないで地上工作物の移転命令を出しても違法ではないとした事例

昭28(オ)347号

1781 S31.11.16

世間並みの家賃相当額を使用料として支払っている等の事情のある従業員専用の寮の使用関係において、賃貸借と判断することを妨げないとした事例

昭30(オ)137号

1782 S31.10.9

賃借人が一定期限に賃借家屋を明け渡す約束をした場合であっても、賃貸借の期限付合意解約と認められるときは、同約定をもって借家法第6条にいう賃借人に不利な特約にあたるものではないとした事例

昭30(オ)467号

1783 S31.10.5

賃借人の賃借権譲渡に対する賃貸人の承諾は、必ず譲渡人に対して行わなければならないものではなく、譲受人に対して行っても有効であるとした事例

昭29(オ)860号

1784 S31.10.4

遺言者の生前における遺言無効確認の訴えは不適法であるとした事例

昭30(オ)95号

1785 S31.9.28

売買により不動産の所有権登記を得た者、および、同人から抵当権設定登記と代物弁済契約による所有権移転請求権保全の仮登記を得た者を共同被告として、不動産の所有者として売買の不存在を主張する者からの登記抹消を求める訴は、必要的共同訴訟にあたらないとされた事例

昭28(オ)686号

1786 S31.9.18

本人の渡米不在中権限を踰越して土地を売却した代理人の代理行為について、本人の実印を所持していた事実、その他事情などから、民法110条の代理権ありと信ずべき正当の理由があると判断された事例

昭28(オ)1350号

1787 S31.8.30

・不動産質権は、質物を留置することをうる効力も、登記なき限り第三者に対抗できないとした事例
・金銭消費貸借が、不動産に質権を取得しこれを居住することを目的としてなされたというだけで、貸金がその物に関して生じた債権ということはできないとした事例

昭29(オ)474号

1788 S31.7.20

換地予定地指定の通知を受けた土地所有者は、従前の土地について賃借権を有する者として第三者に対してなされた換地予定地指定の通知の取消を求める法律上の利益を有するとした事例

昭29(オ)194号

1789 S31.7.20

木造瓦葺2階建工場(建坪12.22坪、二階同)が、工事により木造瓦葺2階建店舗(建坪11.78坪、二階同)、木造瓦葺平屋便所(建坪1坪)、木造亜鉛葺平屋居宅(2.94坪)となった事案において、建物の同一性は失われていないとされた事例

昭29(オ)462号

1790 S31.6.26

甲が所有不動産を第三者に売却したが、未だ所有権移転登記を了しない場合において、乙がその事情を知りながら甲に対する債権の代物弁済として不動産の所有権を取得しその旨の登記をしたとしても、乙は適法に所有権を取得したものであるから、甲の不動産横領罪の共犯とはならないとした事例

昭29(あ)1447号

1791 S31.6.26

賃貸借の継続中、当事者の一方に、その義務に違反し信頼関係を裏切って賃貸借関係の継続を著しく困難とならしめる不信行為があった場合には、相手方は民法第541条所定の催告を要せず賃貸借契約を解除できるとした事例

昭29(オ)642号

1792 S31.6.19

建物所有を目的とする土地賃貸借契約において、賃借人は賃借期間の経過とともに地上建物を賃貸人に贈与すべき旨特約した場合でも、特約が地上の賃貸人所有建物を取壊す代償としてなされたものであるときは、その特約は有効であるとされた事例

昭27(オ)28号

1793 S31.6.19

播かれた種から生育した苗の所有権は、播種が土地使用の権原のない者によってなされた場合は、土地所有者に属するとした事例

昭28(オ)1435号

1794 S31.6.5

未登記建物の譲受人は、判決を得て自己の所有権を証明し単独に保存登記をなすことを得るが、譲渡人に対し保存登記をした上で移転登記をすることを請求することもできるとした事例

昭29(オ)354号

1795 S31.6.1

本人の死亡を代理権消滅の原因とする民法第111条第1項第1号の規定は、これと異なる合意の効力を否定する趣旨ではないとした事例

昭29(オ)976号

1796 S31.5.25

代物弁済の予約成立後、物価の高騰した後になされた予約完結の意思表示が信義公平に反しないと認められた一事例

昭29(オ)854号

1797 S31.5.22

本人に無断でその長男が山林を買主に売却した場合において、買主につき長男に代理権ありと信ずべき正当の理由がないということはできないとされた事例

昭28(オ)362号

1798 S31.5.10

不動産共有者の一人は、その持分権に基づき、単独で当該不動産につき登記簿上所有名義を有する者に対しその登記の抹消を請求することができるとした事例

昭29(オ)4号

1799 S31.5.8

賃借人が賃貸人の承諾を得ないで賃借物の転貸をした場合であっても、賃借人の行為を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情のあるときは、賃貸人は民法第612条第2項による解除権を行使することはできないとした事例

昭29(オ)521号

1800 S31.4.6

鉱業権の売買契約において、買主が排水探鉱の結果品質良好と認めたときは代金を支払い、品質不良と認めたときは代金を支払わない旨を約しても、売買契約は民法134条にいわゆる条件が単に債務者の意思のみにかかる停止条件付法律行為とはいえないとした事例

昭28(オ)363号

1801 S31.4.6

借家法第5条(造作買取請求)は、賃借人の債務不履行ないしその背信行為のため賃貸借が解除された場合には、その適用はないとした事例

昭29(オ)637号

1802 S31.4.5

家屋の賃貸人が、家屋の一部の転貸借につき、近く予想される賃借人の家屋退去までの間に限って承諾したもので転借人もそのことを知っていたときは、その転借権は賃借人の家屋退去と同時に消滅するとした事例

昭30(オ)604号

1803 S31.4.3

賃借人が会社に使用させた場合は、賃借人が会社を設立し自己の事業を会社に移したにすぎない場合であっても、他に特段の事情がない限りその間に転貸借が成立するとされた事例

昭30(オ)567号

1804 S31.2.17

共同事業経営を目的として賃借家屋の一部を店舗に提供することは転貸であるとして、賃借人の無断転貸を理由とする賃貸人の契約解除が認められた事例

昭29(オ)675号

1805 S31.2.10

賃貸家屋の所有者が敷地の占有権原を有しない場合、敷地所有者の家屋賃借人に対する土地明渡請求訴訟中に、家屋賃借人が家屋所有者に対し取毀家屋としてその家屋を買受けたときは、家屋賃借人は借家法第1条第1項による保護をうけないとした事例

昭28(オ)1248号

1806 S31.1.27

書面によらない不動産の贈与において、所有権の移転があっただけでは履行を終ったものとすることは出来ず、その占有の移転があったときに履行を終ったものと解すべきであるとした事例

昭29(オ)195号

1807 S31.1.26

土地の賃借人が、賃貸人たる土地所有者に代位して、土地の不法占有者に対しその明渡を請求する場合には、直接自己に対し明渡しを求めることができるとした事例

昭30(オ)772号

1808 S30.12.26

家屋借主の退去を条件とする家屋の売買において、家屋引き渡しがあればいつでも支払えるよう買主が残金を用意し、売主が買主と建物借主に物明渡を求めたときは、買主、売主双方において契約の履行に著手したものであるとされた事例

昭29(オ)361号

1809 S30.12.26

通行地役権の時効取得については、いわゆる「継続」の要件として、承役地たるべき他人所有の土地の上に通路の開設を要し、その開設は要役地所有者によってなされることを要するとされた事例

昭28(オ)1178号

1810 S30.12.1

民法416条第2項に基く損害賠償請求がなされた場合に、債務者において、債権者と第三者が売買契約を締結し手付金を授受したことを知っていたときは、債務者の債務不履行により債権者と第三者間の契約が手付の倍額償還により解除されるかも知れぬことを予見していたものと解されるとした事例

昭29(オ)930号

1811 S30.11.25

国税徴収法に基づく滞納処分による差押登記の後になされた建物の賃貸借は、貸借人が建物の引渡を受けていても、公売処分により建物の所有権を取得した者に対抗できないとされた事例

昭29(オ)13号

1812 S30.11.11

隣地より越境された家屋玄関の軒先を、建物所有者の承諾を得ないで切り取った行為は、同建物が建築許可を受けない不法建築であり、また、同軒先の切除による建物所有者の損害に比しこれを放置することによる損害が甚大であったとしても建造物損壊罪に当たるとした事例

昭28(あ)5224号

1813 S30.10.28

・他人の借地契約上の債務について連帯保証契約をすることは、特段の反証のない限り会社の目的の範囲内の行為であるとされた事例。
・保証契約当時の賃料に比べ賃貸借契約終了時の賃料が12倍であったとしても、保証人は保証義務を負うとされた事例。

昭28(オ)1158号

1814 S30.10.4

土地及び家屋(店舗・附属工場)の売買を行ったが、後日土地(一筆全部で77.05坪)について測量をしたところ、売主の土蔵が存していたとして買主がその撤去を求めた事案において、取引の事情等から、同売買において、土蔵の敷地(20.42坪)は、売買の目的から除外する暗黙の意思表示があったとされた事例

昭27(オ)890号

1815 S30.9.23

一筆の土地全部の賃借人が地上に登記のある建物を所有した時は、その後土地が分筆され、建物の存在しない部分について所有権が移転された場合においても、移転された土地所有者に対し賃借権を対抗することができるとした事例

昭28(オ)875号

1816 S30.9.23

立木とその土地が同一所有者に属するときは、立木の所有権は土地の所有権に包含され一個の土地所有権となるものであるから、土地を立木とともに買い受けた者が、土地の所有権取得登記をしたときは、例えその後立木につき前所有者のため保存登記がなされても、この登記は無効であるとされた事例

昭28(オ)1367号

1817 S30.9.22

賃借人が賃貸人の承諾を得ないで賃借権の譲渡又は賃借物の転貸をした場合であっても、賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情のあるときは、賃貸人は民法612条2項の解除権を行使し得ないとされた事例

昭28(オ)1146号

1818 S30.9.9

農地の贈与についての知事の許可は、贈与の成立前になされることを要せず、許可のあったときから贈与は効力を生ずるものであり、許可当時贈与者が既に死亡していても、その効力の発生を妨げないとした事例

昭27(オ)653号

1819 S30.7.19

換地予定地の指定通知を受けた者は、指定された土地の上に、これを使用収益すべき権利を取得するが、従来の事実上の占有状態に変更のない限り、指定があっただけでは当然には占有権の変動移転を生ずるものではないとした事例

昭28(オ)1203号

1820 S30.7.15

無償使用の貸間契約が、公序良俗違反により無効と認められた事例

昭28(オ)1124号

1821 S30.7.5

不動産の登記簿上の所有名義人は真正の所有者に対しその所有権の公示に協力すべき義務を有するものであるから、真正の所有者は所有権に基き所有名義人に対し、所有権移転登記の請求ができるとした事例

昭28(オ)843号

1822 S30.6.28

不法な手段により抹消された所有権移転請求権保全の仮登記につき、その抹消登記を真実と信じ登記を得た善意無過失の第三者は、特段の事情がない限り、回復登記手続を承諾する義務はないとした事例

昭28(オ)254号

1823 S30.6.24

1筆の土地を区分した「土地の一部」を売買の目的とすることは可能であり、「土地の一部」が、売買の当事者間において具体的に特定している限りは、分筆手続未了前においても買主は売買によりその「土地の一部」につき所有権を取得することができるとした事例

昭28(オ)847号

1824 S30.6.7

・借家法1条の2により解約権を行使するには、建物の賃貸人たることと、正当事由の存することとの2要件が備われば足りるとした事例。
・正当事由の存否は、賃貸借承継の前後を問わず、あらゆる事情を参酌し、賃借人、賃貸人それぞれの自己使用の必要性と利害を実質的に比較考量し、正当と認める事由が存するかにより判断されるとした事例

昭29(オ)89号

1825 S30.5.31

相続財産の共有は、民法249条以下に規定する「共有」とその性質を異にするものではないとした事例

昭28(オ)163号

1826 S30.5.31

不動産の二重売買において、登記を受けた第二売買の買主は、第一売買について知っていたとしても、それだけで第一売買の買主に対する不法行為責任を負うものではないとされた事例

昭27(オ)1078号

1827 S30.5.13

社宅の使用関係について、借家法の適用はないとされた事例

昭28(オ)797号

1828 S30.5.13

家屋の賃貸借において、賃借人の賃借権譲渡につき賃貸人が一旦与えた承諾はこれを撤回することができないとされた事例

昭27(オ)1055号

1829 S30.4.19

家屋賃借人の妻の失火により、家屋が滅失したときは、賃借人の責に帰すべき事由により賃借物の返還義務が履行不能になったと解され、賃貸人は、契約を解除することなくして填補賠償の請求をすることができるとした事例

昭28(オ)848号

1830 S30.4.5

借地法10条による建物買取請求権の行使があるときは、これと同時に目的家屋の所有権は、当然土地賃貸人に移転するものと解されるとした事例

昭28(オ)759号

1831 S30.3.25

賃借人の失火により賃貸中の家屋が焼失した場合における、賃貸人から賃借人に対する賃貸借契約上の家屋返還義務の債務不履行については、「失火ノ責任ニ関スル法律」の適用はなく、借主は貸主に対し損害賠償責任を負うとした事例

昭29(オ)790号

1832 S30.3.23

4月1日に始まる年度の固定資産税につき、その納期において土地所有権を有するか否かにかかわらず、土地台帳もしくは土地補充課税台帳にその年の1月1日に所有者として登録されている者が納税義務を負う地方税法は、憲法に違反しないとした事例

昭28(オ)616号

1833 S30.2.18

デパート売り場のケース貸しにつき、借店人が貸店舗内の特定の場所の使用収益を請求できる独立の権利を有すると認められないときは、民法の賃貸借に関する規定及び借家法の規定は適用されないとした事例

昭28(オ)188号

1834 S29.12.24

相続が発生した不動産について、相続登記をせず相続後の日付にて、直接被相続人から買主宛に行われた所有権移転登記は有効であるとした事例

昭27(オ)1233号

1835 S29.12.23

共有土地につき、地上権を設定したものと看做すべき事由が単に土地共有者の一人だけについて発生した場合、このために他の共有者の持分が、その意思如何に拘わらず無視さるべきいわれはないことから、法定地上権は成立しないとした事例

昭26(オ)285号

1836 S29.12.21

債務者が履行遅滞に陥った時は、債権者が期間を定めずに催告した場合でも、その催告から相当の期間を経過すれば解除できるとした事例

昭27(オ)248号

1837 S29.12.21

家屋の構造変更禁止特約が付された建物賃貸借契約において、原状回復が簡単にできるというだけでは、当該特約違反でないとはいえず、賃借人が構造変更をした場合には、特段の事情がない限り、特約に基づく解除権が発生すると解されるとした事例

昭26(オ)782号

1838 S29.12.17

建物の所有を目的とする土地の賃借人は、その土地上に登記した建物を有する場合でも、賃貸人の承諾なく賃借権を第三者に譲渡したときは、その譲渡を賃貸人に対抗することはできないとした事例

昭28(オ)334号

1839 S29.12.14

借地権を有する会社の株式の譲渡につき、土地賃貸人が借地権の無断譲渡にあたるとして、借地契約の解除を求めた事案において、当該株式譲渡は借地権譲渡のための脱法手段としてなされたものではないなどとして、民法612条の類推適用を否定した事例

昭27(オ)910号

1840 S29.11.26

意思表示の動機に錯誤があっても、その動機が相手方に表示されなかったときは、法律行為の要素に錯誤があったものとはいえないとされた事例

昭27(オ)938号

1841 S29.11.18

賃借人がその義務に違反して賃借物に変更を加えた事案において、賃貸人に原状回復請求権はないとした事例

昭26(オ)357号

1842 S29.11.16

会社とその従業員との間における有料社宅の使用関係が賃貸借であるかその他の契約関係であるかは、画一的に決定できるものではなく、各場合における契約の趣旨いかんによるとした事例

昭27(オ)989号

1843 S29.9.24

建物の賃借人は、貸主たる建物所有者に代位して、建物の不法占拠者に対しその明渡しを請求する場合、直接自己に対して建物の明渡しをするよう請求することができるとした事例

昭28(オ)812号

1844 S29.9.10

民法951条の法人たる相続財産は、被相続人が生前になした不動産の贈与につき、登記の欠缺を主張できないとした事例

昭27(オ)519号

1845 S29.7.27

双方の給付が同時履行の関係にある場合、反対給付の提供をしないでした催告にもとづく契約解除は効力を生じないとした事例

昭27(オ)893号

1846 S29.7.22

借家法5条により造作の買取請求をした家屋の賃借人は、その代金の不払を理由として同家屋を留置し、または代金の提供がないことを理由として同時履行の抗弁により同家屋の明渡を拒むことはできないとした事例

昭27(オ)1069号

1847 S29.7.20

借地法9条の一時賃貸借については、買取請求権に関する同法10条の適用はないとした事例

昭28(オ)118号

1848 S29.7.9

倒壊の危険があるなどの事情による家屋解体の必要性は、建物賃貸借契約の解約申入につき借家法1条の2のいわゆる正当の事由に該当するとした事例

昭28(オ)1408号

1849 S29.6.17

土地の賃借契約の終了後、地上建物を取得したものは、借地法10条の買取請求権を有しないとした事例

昭27(オ)1162号

1850 S29.6.11

土地の賃貸借を合意解除した借地権者は、借地法4条の買取請求権を有しないとした事例

昭27(オ)424号(裁判所HP未登載)

1851 S29.4.30

著しく過大な賃料支払の催告は、賃貸人は約定賃料額の提供をうけても、これを受領する意思がないものと認められ当該催告は無効であるとされた事例

昭27(オ)78号

1852 S29.4.20

貸主が借主に借家契約の解除を求めた事案において、貸主に自己使用の理由があり、借主に転居先の斡旋等を行った事実があるも借家法1条の2の「正当の事由」がないと判断した原審判断につき、審理不尽又は理由不備があるとされた事例

昭25(オ)148号

1853 S29.3.26

賃貸借契約解除の前提としてなされた延滞賃料の催告金額が、実際の債務額を若干超えていたとしても、賃貸人が催告金額でなければ受領しないことが明らかでない限り、契約解除の前提たる催告としての効力を有するとした事例

昭28(オ)779号

1854 S29.3.26

賃貸人に自ら使用する必要があることを理由とした一個の賃貸家屋の一部の明渡を命ずる判決は、当事者が家屋において共同生活を営むことを絶対に不能とする特別の事情が認められない限り、違法ではないとした事例

昭27(オ)258号

1855 S29.3.12

共同相続人の一人が相続財産である家屋の使用借主である場合、他の共同相続人による使用貸借の解除は、民法252条本文の管理行為にあたるとした事例

昭27(オ)210号

1856 S29.3.11

・建物の賃借人が借家権及び造作代又は造作権利増金の名義で賃貸人に交付した金員につき、賃貸借終了後その返還を求めることはできないとされた事例
・借家法5条の造作とは、建物に付加された物件で賃借人の所有に属し、かつ建物の使用に客観的便益を与えるものをいい、建物を特殊の目的に使用するため、特に附加した設備を含まないとした事例

昭26(オ)146号

1857 S29.3.9

賃貸借契約の終了による建物明渡の請求訴訟において、賃貸人の解約申入当時に正当事由がなくても、賃貸人がその後明渡請求をするうちに事情が変わり正当事由を有することになり、かつその時から口頭弁論終結当時までに6月を経過したときは、裁判所は同請求を認容すべきであるとした事例

昭27(オ)1270号

1858 S29.2.12

いわゆる事情の変更により契約当事者に契約解除権を認めるためには、事情の変更が信義衡平上当事者を当該契約によって拘束することが著しく不当と認められる場合であることを要し、その事情の変更は客観的に観察されなければならないとした事例

昭27(オ)751号

1859 S29.2.2

・賃借人は賃貸人の承諾なく賃借家屋を改造した場合は、一般的には原状回復義務があるとした事例
・賃貸借の目的家屋を工場に改造して使用することが、特に賃貸借契約の内容となっているときは、特約のない限り、賃借人に改造家屋の原状回復義務はないとした事例

昭26(オ)727号

1860 S29.1.28

建物の売買契約の成立当時、売主は他に居住家屋を所有し、売買建物を必要としなかったところ、その後焼失によって居住のため本件建物を必要とするというだけでは、事情変更による解除権の発生は認められないとした事例

昭25(オ)106号

1861 S29.1.28

仮装の売買契約に基づき所有権移転登記を受けた者が、その後真実の売買契約により所有権を取得し、登記が現在の実体的権利状態と合致した時は、以後その所有権の取得を第三者に対抗することができるとした事例

昭26(オ)646号

1862 S29.1.22

借家法1条の正当の事由とは、賃貸借当事者双方の利害関係その他諸般の事情を考慮し、社会通念に照し妥当と認むべき理由をいい、賃貸人が自ら使用する必要性のみをもって正当の事由に該当すると解することはできないとした事例

昭27(オ)446号

1863 S29.1.21

売買の当事者間で手付が授受された場合においては、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めるいわゆる解約手付と認められるとした事例

昭25(オ)275号

1864 S28.12.28

夫の不在中、妻が無断で夫を代理して不動産売買契約を締結した場合、例え当時妻が夫の印章を保管しこれを使用していた事実があったとしても、買主において夫が不在中であることを知っていたときは、買主は妻に夫を代理する権限ありと信ずべき正当の理由があるとはいえないとされた事例

昭24(オ)348号

1865 S28.12.24

借地法にいわゆる建物とは、一般通念に従ってその意義を定めるべきとして、建築届、家屋台帳等の公の帳簿に記載されていない建物の期間5年の借地契約につき、借地法の適用があり期間の定めのない借地契約が存続しているとした事例

昭25(オ)293号

1866 S28.12.18

第三者に対抗できる借地権を有する者は、その土地に建物を建て使用する者に対し、直接その建物の収去、土地の明渡を請求することができるとした事例

昭27(オ)883号

1867 S28.12.3

民法第110条にいわゆる代理権ありと信ずべき正当な理由は、必ずしも常に本人の作為または不作為に基くものであることを要しないとされた事例

昭26(オ)769号

1868 S28.11.20

建物賃借人が賃貸人の承諾を得ないで営業共同契約に基づき賃借建物の一部を第三者に使用させることは、民法612条の賃借権の譲渡・転貸の制限の解除原因となるとした事例

昭26(オ)11号

1869 S28.11.12

抵当権設定契約とともになされた停止条件付代物弁済契約は、特段の事由がないかぎり、代物弁済の予約と解されるとした事例

昭26(オ)560号

1870 S28.10.9

商人の借地権の放棄に関する契約は、たとえ借地権がその営業所の敷地に関する場合であっても、商法509条の「その営業に属する契約」に該当しないとした事例

昭27(オ)604号

1871 S28.9.25

賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に賃借物の使用収益させた場合であっても、当該行為が賃借人の賃貸人に対する背信的行為と認められない場合は、賃貸人は民法612条2項による契約解除はできないとされた事例

昭25(オ)140号

1872 S28.9.17

賃借人の所有する未登記建物があることを知りながら土地を購入した者が、賃借人の土地賃借権を否認しても権利の濫用とはいえないとされた事例

昭26(オ)441号

1873 S28.7.23

正当事由に基づいて建物賃貸借契約の解約の申入れがなされ、解約の効果が発生した以上は、その後たとえ正当事由が消滅しても、解約は無効とはならないとされた事例

昭28(オ)54号

1874 S28.5.8

賃借家屋一部の臨時の間貸が、民法612条の転貸にあたるとされた事例

昭27(オ)1108号

1875 S28.5.7

賃貸人が、無断転貸を理由として家屋の賃貸借を解除した後、転借人に対し新たな賃貸契約を結び、引きつづきその家屋の使用を許しても、賃貸人と賃借人との賃貸借契約の解除の効力に影響はないとした事例

昭27(オ)354号

1876 S28.4.23

社宅の賃貸借の解約申入につ、借家法1条の2にいわゆる正当事由があると認められた事例

昭25(オ)155号

1877 S28.4.9

借家法1条の2の正当事由により賃貸借契約が解約された後は、その正当事由が解約後に変動しても、既にされた解約が正当性を失い無効となることはないとした事例

昭25(オ)120号

1878 S28.3.17

借家法により第三者に対抗し得る賃借権は、建物の競売公告に記載してなくても対抗力が消滅するものではないとした事例

昭25(オ)228号

1879 S28.3.6

期間の定めある建物の賃貸借が、借家法2条に基づき更新されたときは、期間の定めのない賃貸借となり、賃貸人は、その後正当の事由があるかぎり何時でも解約の申入をすることができるとした事例

昭26(オ)81号

1880 S28.1.30

無断間貸を理由とした家屋全部の賃貸借契約の解除が、権利の濫用にあたらないとされた一事例

昭26(オ)767号

1881 S28.1.23

民法242条は、不動産の付合物が、取引上当該不動産と別個の所有権の対象となるものであっても、当該不動産の所有権が当然付合物に及ぶことを規定するものであって、付合物に対する所有権が当該不動産の所有権の外に独立して存することまでを定めているものではないとした事例

昭25(オ)378号

1882 S27.12.25

住居の賃貸借において、賃貸人が移転先を提供しても、貸主の家族構成によるその家屋の必要状況、借主の仕事の状況との勘案において、貸主の解約申入に正当事由が認められないとされた事例

昭24(オ)274号

1883 S27.12.4

抵当権設定登記において、消費貸借契約成立日の年月日が、実際の成立日より前の年月日として登記されていた事案において、同一の消費貸借を表示するものである以上登記は有効であるとされた事例

昭25(オ)377号

1884 S27.11.20

金銭の貸主が借主の困窮に乗じて短期間の弁済期を定め、期限に弁済しないときは貸金額の数倍の価額を有する不動産を代物弁済とする代物弁済予約は、公序良俗に反し無効であるとした事例

昭24(オ)138号

1885 S27.10.7

閉鎖された旧小売市場を機械工場として使用する賃借人に対する、小売市場再開設を理由とする建物賃貸借契約の解除は、借家法1条の正当の事由に該当するされた事例

昭26(オ)315号

1886 S27.9.30

借地権及び建物の登記がなければ、土地を買い受けた第三者に対しては、たとえ第三者が買受当時借地権及び建物の存在を知っていたとしても、それだけでは借地権をもって対抗することはできないとした事例

昭26(オ)70号

1887 S27.5.9

建物賃貸借契約の解除請求において、貸主居住の必要性と借主居住の必要性の勘案から、建物の一部につき、契約解除の正当事由が認められた事例

昭26(オ)610号

1888 S27.4.25

賃貸借契約の当時者の一方に、信頼関係を破壊し賃貸借関係の継続を困難にする著しい不信行為があった場合、その相手方は、民法541条の履行遅滞等による解除権の催告を要せず、賃貸借を将来に向って解除することができるとした事例

昭24(オ)143号

1889 S27.3.18

建物賃貸借契約の解除において、「借金等を弁済するための建物の売却」が、正当事由として認められた事例

昭25(オ)108号

1890 S27.2.15

・会社の行為がその目的遂行に必要であるかどうかは、定款記載の目的自体から観察して、客観的に抽象的に必要であり得るかどうかの基準に従って決すべきであるとした事例
・会社がその所有家屋を売却する行為は、「不動産の保存、その他財産を保存してこれが運用利殖を計ること」という目的遂行に必要であり得るとした事例
・会社の目的自体に包含されない行為であっても、目的遂行に必要な行為は、目的の範囲内に属するとした事例

昭24(オ)64号

1891 S27.1.29

妻が夫に無断で代理人として、夫所有の士地建物の売買契約をした場合、妻が夫の実印の保管の事実があり、妻および仲介者等が買主に対し自ら代理権があると告げた事実があったとしても、それだけでは買主が妻の代理権限を持っていたと信ずべき正当の理由があったとはいえないとされた事例

昭24(オ)153号

1892 S27.1.18

期間の定めある建物の賃貸借が、更新拒絶の通知が効力なく、借家法第二条によつて前と同一条件をもつて更新された場合でも、賃貸人は、その後正当の事由あるかぎり、解約の申入をすることができるとした事例

昭24(オ)104号

1893 S26.12.21

賃貸人、賃借人それぞれの建物使用の必要性の考量により、賃貸人の建物賃貸借の更新拒絶について正当の事由があるとされた事例

昭26(オ)460号

1894 S26.12.21

「契約違反においては、手付金の没収もしくは倍額償還とし、本契約は当然解除せられたるものとする。」との文言は、違約者において、いつでも手付等解除が可能との趣旨ではないと解しても違法ではないとした事例

昭24(オ)272号

1895 S26.11.15

家屋の買主が、約定の明渡期限後売主にしばしば明渡しを求め、かつ、売主が明渡しをすればいつでも約定残代金の支払ができる状態にあったときは、現実の代金の提供をしなくても、「契約の履行に著手」したものと認められるとした事例

昭24(オ)189号

1896 S26.9.14

借家法1条の正当事由は、賃貸借の当事者双方の利害関係その他諸般の事情を考慮し、社会通念に照らし妥当と認められる理由をいい、特に賃借人側の利害のみを重視して判定すべきものではないとした事例

昭25(オ)68号

1897 S26.5.31

賃借権の無断譲渡又は無断転貸を承諾しない家屋の賃貸人は、賃貸借契約を解除せずに、譲受人又は転借人に対し明渡しを請求できるとした事例

昭25(オ)125号

1898 S26.4.27

土地所有者である賃貸人が、承諾をしていない転貸借によりこれを占有する転借人に対し、直接土地の返還を請求するに当たっては、賃借人との基本の賃貸借契約を解除するか否かに拘らず、また、賃借人の承諾を得るか否かに拘らず、直接転借人に返還請求をすることができるとした事例

昭25(オ)87号

1899 S26.4.24

・賃貸人と借家人の建物使用の必要性を勘案し、賃貸人の正当の事由を認めた事例
・借家人が存在しない売買を主張し、賃貸人の所有家屋を売買により取得したものとして奪取を目論む行為は、賃貸借関係の信頼破壊にあたるとした事例

昭24(オ)137号

1900 S26.4.19

土地の共有者が共同でその土地を使用することは共有土地の利用方法であって、民法667条の「共同の事業を営むこと」にあたらないとした事例

昭23(オ)61号

1901 S26.3.29

家屋使用の対価としてその家屋の留守管理をする旨の契約は、賃貸借契約とはいえないとされた事例

昭24(オ)63号

1902 S26.2.6

売主の履行遅滞中に売買の目的物の価格が著しく騰貴した場合において、売主は事情変更を理由として契約を解除することはできないとした事例

昭24(オ)310号

1903 S25.12.19

不動産の不法占有者は、民法177条にいう「第三者」に当たらないとした事例

昭24(オ)296号

1904 S25.10.26

他人物売買において、売主がその権利を取得してこれを買主に移転することができないときは、その履行の不能が、原始的であるか後発的であるかを問わず、また、売主の責に帰すべき事由によるものか否かを問わず、買主はただそれだけの事由に基づき契約の解除をすることができるとした事例

昭24(オ)306号

1905 S25.10.24

登記されない抵当権であつても、当事者間においては、権利実行の要件を備えるかぎり、競売法の規定するところに従い、抵当権の実行による競売手続を有効に行い得るとした事例

昭25(オ)104号

1906 S25.7.14

賃貸人の妻帯を理由とした自己使用を理由とする賃貸借契約の解除について、借家法1条の2の正当事由が認められた事例

昭24(オ)57号

1907 S25.6.16

借家法1条の正当の事由とは、賃貸借の当事者双方の利害関係その他諸般の事情を考慮し、社会通念に照し妥当と認むべき理由をいうとした事例

昭24(オ)203号

1908 S25.5.2

正当の事由を有する貸主の、建物賃貸借契約の終了につき「期間満了したら必ず家屋を明け渡してくれ」との表示は、借家法2条の更新拒絶の意思の表示と解されるとした事例

昭24(オ)72号

1909 S25.4.21

借地借家調停事件における調停、家屋明渡を命ずる裁判がなされた場合、憲法22条1(居住・移転の自由)は特別抗告の適法な理由とはならないとした事例

昭24(ク)54号

1910 S25.4.12

憲法25条(生存権・国の生存権保障義務)は、個人が自由なる意思に基づいて締結した契約により家屋明渡の債務を負担しその履行をしない場合に、裁判所がその履行としての家屋明渡を命ずることを禁ずるものではないとした事例

昭23(オ)76号

1911 S25.2.14

・借家法1条の「正当の事由」は、貸家人の事情だけでなく、借家人の事情の考慮が必要とした事例
・借家法3条による解約の申入は、当初から6月の猶予期間を付さなくても、解約申入後6月を経過すれば解約の効力を生ずるとした事例

昭23(オ)162号

1912 S24.10.4

売買契約書に「違約の場合は手付金を没収しまたは倍返しする」という条項があることだけで、手付金が民法557条の解除手付に該当しないということはできないとした事例

昭23(オ)119号

1913 S23.12.24

借地人が地代支払いのため、現金を土地所有者方に持参してその受領を催告すれば、現金を土地所有者の面前に提示しなくても、現実に弁済の提供をしたものとされるとした事例

昭23(オ)44号

1914 S23.2.10

取引の経緯により、売買契約書は作成されていなかったが、不動産の売買契約の成立が認められた事例

昭22(オ)3号

1915 S19.12.22

代理権消滅後、従前の代理人がなお代理人と称して従前の代理権の範囲に属しない行為をした場合において、代理権の消滅につき善意無過失の相手方が、当該行為につき代理人にその権限ありと信ずべき正当の理由を有していたときは、本人は当該行為につき相手方に対し責任を負うとされた事例

昭18(オ)759号(大審院)

1916 S18.9.2

競売により建物を取得した場合、建物の前所有者が敷地を占有すべき正当の権限を有しなかつたときには、その競落人は敷地を使用すべき権利を取得しないとした事例

昭18(オ)368号(大審院)

1917 S18.7.27

畳の修繕費は、民法608条の必要費に該当するとした事例

昭18(オ)62号(大審院)

1918 S18.7.6

賃貸人の承諾がない限り、必要費または有益費の償還請求ができないとした特約は有効であるとした事例

昭18(オ)255号(大審院)

1919 S18.3.31

指名債権をもって質権の目的としたときは、指名債権譲渡の場合と同様、第三債務者が異議なく承諾した以上は質権の目的たる債権が一部分不成立の点があってもこれをもって質権者に対抗できないとした事例

昭17(オ)1010号(大審院)

1920 S18.2.18

借地期間の満了による土地賃借権の消滅後、賃借人が地上建物の買取を請求し同時履行の抗弁をもって建物代金の支払いがあるまで建物の引渡を拒絶する場合にも、当該建物を自己のために利用する限り、その敷地の使用につき賃料相当の不当利得が成立するとした事例

昭17(オ)1009号(大審院)

1921 S17.11.13

土地の賃貸借において賃貸人より地代増額請求を受けた賃借人は、裁判による増額範囲の確定前と雖も、請求により客観的に定まる増額部分についても、その弁済期限経過の時より遅延利息を支払うべき義務があるとした事例

昭16(オ)1425号(大審院)

1922 S17.10.2

他人物売買において、売主が他人の権利を取得し買主に引き渡すことが可能であったにもかかわらず、買主自らが他人よりその権利を取得し売主の取得を不能とさせた場合においては、買主は民法561条の他人の権利の売買における売主の担保責任の解除権を有しないとした事例

昭17(オ)550号(大審院)

1923 S17.9.30

・売主が詐欺による売買取消しの意思表示をした後に、その詐欺による取消しの事実を知らないで買主より権利を取得した第三者は、民法96条第3項の善意の第三者に該当しないとした事例
・買主へ所有権移転登記済の不動産売買について、詐欺による取消しを第三者に対抗するためには、第三者の権利取得登記前に詐欺取消しによる抹消登記が必要とした事例

昭17(オ)4号(大審院)

1924 S17.5.20

民法第110条の規定は、親権を行う母が親族会の同意を得ないでした行為についても適用があるとした事例

昭15(オ)88号(大審院)

1925 S17.5.12

借地法4条の建物買取請求権の建物買取り価格は、買取請求当時の状態における建物としての価格であって、取り毀し家屋としての価格ではなく、また、借地の場所的経済価値等は含まないとした事例

昭16(オ)1214号(大審院)

1926 S16.8.30

相手方と通謀して所有権移転の意思があるように仮装し、登記簿上の所有権名義のみを変更した場合において、通謀虚偽表示に該当するとされた事例

昭16(オ)622号(大審院)

1927 S16.6.20

土地の賃借権が存続期間の満了により消滅した後において、地上建物を買い受けた者は、借地法4条又は同10条の規定による買取請求権を有しないとした事例

昭16(オ)249号(大審院)

1928 S15.11.27

買主が将来契約を解除すべき旨を予め売主に通知しても、現実に手付の倍額を提供して解除の意思表示をする前に、売主において契約の履行に着手したときは、買主は民法557条の解除権を失うとした事例

昭15(オ)694号(大審院)

1929 S15.11.27

露天造船用の目的で土地を賃借したときは、当該土地上に事務所等の附属の建物を建設したとしても、借地法1条に定める「建物の所有を目的とする賃貸借」に該当しないとした事例

昭15(オ)429号(大審院)

1930 S15.11.26

抵当権は後順位抵当権者及抵当物件の第三取得者に対しては被担保債権と離れ単独に20年の消滅時効に因り消滅するとされた事例

昭15(オ)750号(大審院)

1931 S15.9.18

地方慣習法により排他的支配権が認められる温泉使用権は、第三者がその権利の変動を明認できる公示方法を構じなければ、当該権利変動を第三者に対抗できないとした事例

昭14(オ)1701号(大審院)

1932 S15.5.10

民法715条の被用者がその事業の執行につき加えた損害とは、使用者の事業執行自体によつて第三者に加えた損害に限らず、事業と不離の関係にある被用者の行為、事業遂行を助長する性質に属する被用者の行為、および、外観上業務執行と同一の外形を有する被用者の行為により生じた損害を含むとした事例

昭14(オ)823号(大審院)

1933 S15.3.6

家屋の修繕は全て賃借人の負担とする特約は、特段の事情がない限り、当事者の予想される程度の家屋の破損に関する修繕に対する特約と解され、稀有の大天災による修繕をも含むとは解されないとした事例

昭14(オ)556号(大審院)

1934 S14.12.19

土地及び地上建物の所有者が土地のみを抵当とした時は、建物に保存登記がされていないとしても、競売の場合においてその競落人は法定地上権の設定を否定できないとした事例

昭14(オ)985号(大審院)

1935 S14.12.1

賃貸中の建物の所有権を譲受けて新たに賃貸人となった者が、敷金返還債務を引継がないものとにするには、賃借人と新旧賃貸人との三者間においてその旨の合意が必要であるとした事例

昭14(オ)1040号(大審院)

1936 S14.7.7

不動産売買契約により買主に所有権移転登記がなされた後に、当該契約が解除され原状に回復した場合においても、売主がその旨の登記をしなければ、契約解除後に買主から不動産所有権を取得した第三者に対して、自己の所有権を対抗することができないとした事例

昭13(オ)2179号(大審院)

1937 S14.4.28

賃借人が賃借家屋につき必要費または有益費を支出したときは、賃貸中の建物の所有権を譲受けた新たな賃貸人に返還する場合においても、民法608条の賃借人よる費用の償還請求により、賃借人は新たな賃貸人にその費用を請求でき、また留置権を有するとした事例

昭13(オ)1739号(大審院)

1938 S14.4.15

売主が買主に対し民法578条の売主による代金の供託の請求により、代金の供託を請求したにかかわらず買主がこれに応じないときは、買主は民法578条による代金の支払拒絶権を行使することはできないとした事例

昭13(オ)1758号(大審院)

1939 S14.3.10

道路としての使用を目的として賃借していた土地が、路線認定によって市道となったときは、賃貸借は履行不能となったとし、借主の賃料支払義務は消滅するとした事例

昭13(オ)1644号(大審院)

1940 S13.12.17

有益費償還請求権に基づく家屋の留置権は、家屋の保存に必要となる使用を認めるのにとどまり、積極的に利益を享有することはできず、賃料相当額は不当利得として所有者に返還しなければならないとした事例

昭13(オ)287号(大審院)

1941 S13.11.1

借地法12条の地代・借賃増減額請求権による、地代又は借賃の減額請求は、減額をしない特約があってもなすことができるとした事例

昭13(オ)1229号(大審院)

1942 S13.9.30

特約がないかぎり、附随的な義務の不履行によっては契約を解除することができないとした事例

昭13(オ)501号(大審院)

1943 S13.7.7

甲所有の一筆の土地の一部を買い受けた者が、当該土地の全部の移転登記を受け、更にその全部を自己の所有地として乙に売り渡し移転登記をしたとしても、乙は、甲より一筆の土地の他の一部を買い受けた丙に対し、その登記の欠缺を主張できる第三者に該当しないとされた事例

昭13(オ)485号(大審院)

1944 S13.6.29

賃貸人が賃貸家屋の雨漏破損等の修繕義務を怠ったとしても、賃借人の使用収益に著しい障害を与えない限り、賃借人は家賃全額の支払を拒むことはできないとした事例

昭13(オ)353号(大審院)

1945 S13.6.27

民法575条(果実の帰属及び代金の利息の支払)の律意は、当事者の錯雑なる関係を避けるため、引渡しされていない目的物から生じた果実は常に売主に属するものとし、代金の利息は目的物の引渡しの日より、ただし目的物の引渡しの日以降に代金の支払期限が到来する場合はその到来後において、買主に請求できるとしたものであるとした事例

昭13(オ)500号(大審院)

1946 S13.6.7

袋地の所有者は、公道に通ずる径路がある場合でも、自然の産出物を搬出することができない地勢においては、その搬出に必要な限度で囲繞地を通行することができるとした事例

昭13(オ)66号(大審院)

1947 S13.4.22

不動産の買戻特約付売買において、予約権利者の有する予約上の権利につき請求権保全の仮登記をした場合でも、売買完結の意思表示は転得者に対してするべきではなく、予約義務者に対してするべきであるとした事例

昭11(オ)2636号(大審院)

1948 S13.4.16

家屋の占有が正当な権限に基づかなければ直ちに不法行為になるというものではなく、留置権が否定されるには、正当な権限がないことを知っていたか、知らないことにつき過失があったことを要するとした事例

昭12(オ)1918号(大審院)

1949 S13.4.16

賃借人が賃貸人の承諾を得ず賃借権を第三者に譲渡しても、第三者に使用又は収益をさせていない場合は、民法612条による解除権は発生しないとした事例

昭12(オ)1678号(大審院)

1950 S13.3.1

・借家法5条の造作買取請求権は、建物の賃貸借が賃借人の債務不履行により解除された場合には適用されないとした事例
・賃借人が造作買取請求権をもって相殺するためには、賃貸人に対し造作を引渡すことを要するとした事例

昭12(オ)1562号(大審院)

1951 S13.2.4

・未成年者が法定代理人の同意を得ずした債務の承認は取り消すことができるとした事例
・民法439条(連帯債務者の一人についての時効の完成) の規定は連帯保証人と主たる債務者との関係においては適用されないとされた事例

昭12(オ)1810号(大審院)

1952 S13.1.31

賃借人の保証人は、賃借人の賃料延滞を理由とする契約解除においても、賃借人が賃借物の返還義務を履行しないことによる賃貸人の損害についても賠償責任を負うとした事例

昭12(オ)1581号(大審院)

1953 S12.11.19

隣地が所有地内に崩壊する危険性がある場合、土地の所有者は、その危険が隣地所有者によるものかどうか、また隣地所有者の故意過失の有無にかかわらず、隣地所有者に対し危険の防止に必要な措置を請求できるとした事例

昭12(オ)1065号(大審院)

1954 S12.11.16

民法608条の必要費とは、単に目的物の原状を維持し、または目的物の原状を回復する費用に限定されるものではなく、通常の用法に適する状態において目的物を保存するために支出した費用をも包含するとした事例

昭12(オ)847号(大審院)

1955 S12.8.10

民法94条2項の善意の第三者というためには、虚偽表示であることを知らないことについての過失の有無は問わないとした事例

昭12(オ)800号(大審院)

1956 S12.7.17

電気事業者が高圧電線を設置したところ、後に樹木が育成しそれに登った者が感電死した事案において、事業者に外部の状況の変化に対応した安全処置を尽くさなかった工作物責任があるとされた事例

昭11(オ)1489号(大審院)

1957 S12.6.30

民法第715条により使用者が負担する損害賠償義務の消滅時効と、被用者が第三者に対して負担する損害賠償義務の消滅時効とは、それぞれ別々に進行するとした事例

昭11(オ)844号(大審院)

1958 S12.6.15

賃借人の保証人は、賃借人が死亡しその相続人が賃貸借関係を承継した場合においても、承継後に生じた相続人の債務につき保証人たる責任を免かれないとした事例

昭10(オ)2737号(大審院)

1959 S12.5.7

賃貸借の目的土地の所有権を取得した者が、従来の賃貸借関係を承継するとともに、その承継前に生じた賃料債権を譲りうけたときは、その債務不履行を理由として賃貸借契約の解除をすることができるとした事例

昭11(オ)2538号(大審院)

1960 S12.4.19

賃貸借及び適法になされた転貸借がともに終了した場合に、転借人が転借物を直接に賃貸人から賃借したときは、賃借人に対しては返還義務を免れるとした事例

昭11(オ)2507号(大審院)

1961 S12.2.26

不動産売買における民法575条の果実収取権の移転時期は、登記時点ではなく不動産引渡し時点であるとされた事例

昭11(オ)1218号(大審院)

1962 S12.2.2

地主が借地人に対し借地契約を解除する旨を申込んでも、借地人が承諾しない限り、合意解除は成立せず、また、借地人が申込に対し異議を申し出ず、申込後地代を支払わなかったとしても、黙示の承諾の意思表示があったとはいえないと判断された事例

昭11(オ)2131号(大審院)

1963 S12.2.2

水道設備及び電灯引込線は、借家法5条のいわゆる造作に該当するとした事例

昭11(オ)2241号(大審院)

1964 S11.12.15

土地の所有者が土地に抵当権を設定した後に、建物を建築し更に建物のみに抵当権を設定した時は、建物の競落人は法定地上権を取得するが、土地の競落人に対して対抗できないとした事例

昭11(オ)1106号(大審院)

1965 S11.5.26

・建物譲受人が土地所有者に対し買取請求権を行使し、その代金につき同時履行の抗弁を主張して建物の引渡を拒み、かつこれを他に賃貸した場合、建物譲受人は、土地所有者に対し地代相当の不当利得返還の義務を負うとした事例
・借地法10条の買取請求の時価は、買取請求権行使の時を標準として定めるとした事例

昭10(オ)2670号(大審院)

1966 S11.3.14

延滞賃料の支払催告ならびに契約解除の意思表示は、記載した内容証明郵便が相手方宅に配達されるも、内縁の妻よりいつ帰宅するか不明としてその受領を拒まれた場合、相手方が不在勝ちで時々外泊をする程度の状況の場合は、配達された時点に相手方に到達し効力を生じたと解されるとした事例

昭10(オ)2017号(大審院)

1967 S11.2.14

第三者が賃借地上の建物を取得した場合に、賃貸人が賃借権の譲渡を承諾しない間に賃貸借が賃料不払のため解除されたときは、第三者の建物買取請求権はこれにより当然消滅するとした事例

昭10(オ)2252号(大審院)

1968 S10.11.9

売買した土地の一部が他人地であった場合の、買主の民法563条の権利の一部が他人に属する場合における売主の瑕疵担保責任による代金減額の請求は、裁判外で行っても有効であるとされた事例

昭10(オ)1858号(大審院)

1969 S10.10.5

土地所有権に対する侵害として、温泉引湯のため敷設され10年を経た樋管の撤去を求めた事案において、侵害の損害は微少ながらその撤去には莫大な費用がかかり、また請求の実体は不当な利益追求を目的としたものであることから、当該撤去請求は所有権をその手段とした権利の濫用であるとしてその請求を棄却した事例

昭9(オ)2644号(大審院)

1970 S10.10.1

住宅用建物にして屋根瓦を葺き荒壁を付け了りたるものは、未だ床及天井を備えていないとしても登記し得べき建物であるということを妨げないとした事例

昭10(オ)752号(大審院)

1971 S10.9.30

転貸借が終了する前に賃貸借が解除又は期間満了により終了したときは、転貸借は当然その効力を失うものではなく、賃貸人に対抗できないに過ぎないとした事例

昭10(オ)1411号(大審院)

1972 S9.11.6

賃貸借が終了した場合に、その目的物が転借人の占有にあるときは、賃貸人は所有権に基づき賃借人に対しその転借人に対して有する目的物返還請求権の譲渡を求めることができるとした事例

昭9(オ)931号(大審院)

1973 S9.10.15

借地法2条第1項但書の「建物の朽廃したるとき」とは、借地上の建物が通常なされる程度の修繕を重ねても自然の推移により朽廃すべかりし時期に達したときを指し、借地権者がその建物に大修繕を加えたため現在未だ朽廃していない場合でもこの条項が適用されるとした事例

昭9(オ)562号(大審院)

1974 S9.10.4

建物及び土地の賃借権の譲受人が、土地所有者の賃借権譲受不承諾を理由として建物買取請求をした場合において、譲渡人が当該不動産の譲渡前に土地所有者との間の裁判上の和解に基づく延滞賃料を支払わなかったため土地を返還すべき義務を負うに至ったときは、買取請求権は消滅するとした事例

昭9(ク)1236号(大審院)

1975 S9.9.15

定期預金の返還期が当事者双方のために定められている場合であっても、預り主は預け主が返還期の到来までに享くべき利益の喪失を填補するときは、期限の利益を放棄することができるとされた事例

昭8(オ)49号(大審院)

1976 S9.7.18

建物保護に関する法律1条により、土地賃借人が賃借権を第三者に対抗しうる場合において、賃貸人たる土地所有者がその土地を譲渡したときは、旧所有者と賃借人との間の賃貸借関係は、法律上当然に新所有者と賃借人間に移転し、新所有者は旧所有者の賃貸借契約上の地位を承継するとした事例

昭9(オ)20号(大審院)

1977 S9.6.15

建物譲受人が借地法10条の買取請求権を主張し土地の明渡しを拒んだときは、裁判所は買取代金を確定した上、その支払いを受けると同時に土地を明け渡す旨の判決をなすべきとした事例。

昭9(オ)181号(大審院)

1978 S9.4.24

建物と共に敷地の賃借権が数次転売譲渡され、賃借権の各譲渡につき賃貸人の承諾がなかった場合でも、賃借権存続期間内であれば、最後の譲受人は建物買取請求権を有するとした事例

昭8(オ)2447号(大審院)

1979 S9.3.29

債権の譲渡を主たる債務者に通知しない限り、連帯保証人にその通知をしても、その譲渡をもって連帯保証人に対抗することはできないとした事例

昭8(オ)656号(大審院)

1980 S8.12.11

借地人より建物を借りている賃借人が建増しを行ったのは転貸にあたるとして、土地所有者が土地明渡返還請求をした事案について、その目的が賃借建物の使用のためであり、建増部分が些少で附随的なものに過ぎないと認められるときは、借地契約の解除はできないとされた事例

昭7(オ)第2862号(大審院)

1981 S8.10.13

保証人は当事者として、主たる債務に関する消滅時効の援用をなすことができるとした事例

昭8(オ)1092号(大審院)

1982 S8.9.29

商人がその営業の範囲内において他人のため行為をしたときは、特約がなくても報酬を請求することができるとした事例

昭8(オ)335号(大審院)

1983 S8.4.6

賃借人が賃料の支払をしないで相当期間経過したのにもかかわらず、賃貸人が契約解除をしないときは保証人は一方的意思表示により保証契約を解除することができるとした事例

昭7(オ)1492号(大審院)

1984 S8.1.14

売主が目的物の性能の保証をしたかどうかにかかわらず、売主は瑕疵担保責任を負うとした事例

昭7(オ)815号(大審院)

1985 S8.1.14

・反証のない限り、契約の成立と同時に現実に授受されるもののみが手付であるとされた事例
・手付金の性質が解約手付と解された事例

昭7(オ)750号(大審院)

1986 S7.12.9

民法608条の賃借人による費用の償還請求の必要費とは、その物体の原状を維持し、滅失・毀損を防止するに欠かせない費用をいい、改良もしくは利用に要する費用は含まないとした事例

昭7(オ)1063号(大審院)

1987 S7.11.15

賃貸借の終了において、賃借人が賃貸借契約から生じた債務があれば、敷金は民法489条の法定充当の規定により当然弁済に充当されるとした事例

昭7(オ)573号(大審院)

1988 S7.11.11

土地の賃借人が登記した建物を有するときでも、賃貸人の承諾のない賃借権の譲渡は賃貸人に対抗することができないとした事例

昭7(オ)1113号(大審院)

1989 S7.7.19

売買契約を締結するに当たり、買主が売主に手付を交付したときは、特別の意思表示がない限り、手付は解除権を留保する性質を有するとした事例

昭7(オ)441号(大審院)

1990 S7.7.19

家屋の賃借人の連帯保証人は、賃貸借に期限の定めがなく、保証人の責任期間に限定がなくても、賃貸借終了前に連帯保証人の一方的意思表示により保証債務を免れることはできないとした事例

昭6(オ)3677号(大審院)

1991 S7.6.2

借地法10条の建物譲受人の買取請求の時価は、地上物件が建物その他土地の附属物として有すべき価額を標準として算定すべきであって、これを取り毀した動産として評価すべきではなく、また、これに土地使用権の価格を加算すべきものでもないとした事例

昭6(オ)3031号(大審院)

1992 S7.1.26

借地法10条の建物譲受人の買取請求による買取請求権が行使されたときは、当事者間に地上物件につき時価による売買契約が成立したと同一の効果を生じ、時価につき争いがある場合にも当事者は互いに同時履行の抗弁権を有するとした事例

昭6(オ)1462号(大審院)

1993 S7.1.13

・借地法第12条の規定による地代又は借賃の増減の請求は、その請求者の一方的意思表示をもって足り、相手方の承諾を要しないとした事例
・借地法第12条所定の事由が存する場合において、借地権者が借賃減額の請求をしたときは、爾後その借賃は相当額において減額せられたものとされるとした事例

昭6(オ)1204号(大審院)

1994 S6.6.4

連帯債務者の一人又は主債務者が完成した時効の利益を放棄しても、他の連帯債務者又は主債務者と連帯する保証人に対して何らの効力を及ぼさないとした事例

昭5(オ)3259号(大審院)

1995 S6.5.29

同一不動産につき二重売買の行われた場合において、所有権の取得を登記した第二の買受人は、単に仮登記であっても、第一の買受人に対し登記欠缺を主張することができるとされた事例

昭5(オ)3300号(大審院)

1996 S6.4.30

建物所有を目的とする土地の賃借人が、土地賃貸人に対して土地を明渡す旨の意思表示をしても、賃借人が借地権の対抗力を理解していなければ、賃借権の放棄とはならないとした事例

昭5(オ)2747号(大審院)

1997 S5.7.26

賃貸人は目的物を引渡した後でも、賃借人が使用収益を行うことに協力すべき義務を負うとした事例

昭4(オ)1962号(大審院)

1998 S5.7.9

賃貸中の建物の所有権を取得した者は、賃借人との関係において賃貸人としての地位を承継し、賃借人から旧所有者に差入れた敷金の関係も、敷金消滅の事情が存しない限り、当然に新所有者に移転するとした事例

昭4(オ)1557号(大審院)

1999 S5.3.10

賃貸人は、賃貸借の存続中においても、敷金を延滞賃料に充当することができるとした事例

昭4(オ)1519号(大審院)

2000 S4.6.19

転借人の過失により目的物を滅失毀損したときは、賃借人は賃貸人に対してその責任を負うとした事例

昭4(オ)318号(大審院)

2001 S4.3.30

使用者たる債務者は、その履行につき使用する者の故意または過失について責任を負うとした事例

昭3(オ)第77号(大審院)

2002 S3.6.7

土地の工作物の設置または保存の瑕疵により他人に損害が生じた場合は、所有者に過失がない場合といえども賠償責任を負うとした事例

昭3(オ)341号(大審院)

2003 S3.3.30

売買の目的物に存する瑕疵の修繕が可能かどうかは、修繕費の多寡を斟酌して判断すべきとした事例

昭3(オ)1156号(大審院)

2004 S2.12.27

・借家法5条の造作買取請求権による造作代金請求の訴は、契約履行の訴とするとした事例
・民法574条の代金の支払場所は、売買の目的物の引渡しを完了した後はその適用はないとした事例

昭2(オ)829号(大審院)

2005 S2.9.19

通路を設けないで一定の地上を通行しても、時効により地役権を取得することはできないとした事例

昭2(オ)456号(大審院)

2006 S2.6.15

未登記建物の所有権を取得した者が、移転登記をしないで直ちに保存登記をし、その所有権を第三者に対抗することができるとした事例

昭2(オ)413号(大審院)

2007 S2.6.15

民法715条(使用者等の責任)は、事業の執行につき被用者がある程度において使用者の意思に服従すべき場合に適用あるとされた事例

昭2(オ)161号(大審院)

2008 S2.3.22

本人が無権代理行為の追認または追認の拒絶を行わず死亡し、無権代理人が本人を相続したときは、本人自ら法律行為としたのと同一の地位を有するものとする。

大15(オ)1073号(大審院)

2009 S2.2.25

民法534条(債権者の危険負担)にいう「滅失」には、権利の消滅の意味を含まれる。

大15(オ)839号(大審院)

2010 T15.10.12

・借地法4条の建物買取請求権は、土地の賃借人が債務不履行により契約解除された場合においては適用はないとした事例
・借地法10条の建物譲受人の買取請求は、土地の賃借権存続中第三者が地上建物等を取得した場合に限り適用があり、その取得が借地権消滅後である場合には適用はないとした事例

大15(オ)608号(大審院)

2011 T15.7.12

敷金とは、賃借人に債務不履行があればこれをもって弁済に充当することを約束して貸主に所有権を移転する金銭であって、借主は債務不履行のないことを条件として敷金の返還請求権を有するとした事例

大15(オ)49号(大審院)

2012 T15.6.12

火災保険契約において、地震のため生じた火災・延焼、その他の損害につき保険者において責任を負わない旨の特約は公序良俗に反せず有効であるとした事例

大14(オ)792号(大審院)

2013 T15.5.24

見本品による特定物の売買において、給付した物が見本品と異るときは、売主は瑕疵担保の責任を負うとした事例

大15(オ)58号(大審院)

2014 T15.2.28

買戻特約付の不動産売買契約において、売買代金及び契約費用のほか必要費有益費の支払いを買戻し特約の条件とした場合、特約のうち契約費用以外の支払いに関する部分は無効とするとした事例

大14(オ)875号(大審院)

2015 T15.1.29

借家法5条の畳建具その他の造作の時価とは、建物に附加したままの状態における造作そのものの価格をいうとした事例

大14(オ)474号(大審院)

2016 T14.7.8

時効により不動産の所有権を取得したがその登記を受けなかった者は、時効完成後保存登記を受けた旧所有者より所有権を譲受け登記をした第三者に対して、所有権の取得を対抗することができないとした事例

大13(オ)482号(大審院)

2017 T14.3.13

不動産の売買契約の成立及び所有権移転登記の完了を条件に報酬の支払いを約した場合において、当事者が故意に条件の成就を妨げ売買を合意解約したときは、報酬金の支払を請求することができるとした事例

大13(オ)1028号(大審院)

2018 T14.1.20

自己に所有権ありと信じて他人の所有家屋に居住していた者は、その居住により受けた利得を所有者に返還することを要しないとした事例

大13(オ)566号(大審院)

2019 T13.10.7

土地の一部は、分筆の手続がなされていなくても、時効による所有権取得の目的となるとした事例

大12(オ)672号(大審院)

2020 T13.10.7

土地の一部は、分筆手続をする以前でも所有者においてこれを譲渡することができるとした事例

大12(オ)664号(大審院)

2021 T13.9.24

買主は、代金の支払について履行遅滞となっても、目的物の引渡を受けるまでは、代金の利息を支払うことを要しないとした事例

大12(オ)442号(大審院)

2022 T13.6.23

「隠れたる」瑕疵とは、契約締結の当時買主が過失なくしてその存在を知らなかった瑕疵をいうとした事例

大13(オ)101号(大審院)

2023 T13.5.27

履行期を経過した双務契約は、以後期限の定めなきものとなり、民法541条(履行遅滞等による解除権)により、契約を解除することができるとした事例

大12(オ)829号(大審院)

2024 T13.2.29

売買の一方の予約における予約権利者の権利は、売買完結の意思表示前にあっては、債権譲渡の規定に従い、自由にこれを譲り渡すことができるとした事例

大12(オ)814号(大審院)

2025 T12.2.23

売主らの共有財産である立木の売買において、売主の買主に対する引渡し義務は不可分債務であるとされた事例

大11(オ)963号(大審院)

2026 T11.11.24

共同賃借人の賃料支払債務は反対の事情のない限り不可分債務であるとした事例

大11(オ)760号(大審院)

2027 T11.9.4

手付契約は、必ずしも主たる契約と同時に成立することを要しないとした事例

大11(オ)545号(大審院)

2028 T11.4.1

商人間の売買の目的物に関する瑕疵の通知は、単に瑕疵があることの通知だけでは足らず、瑕疵の種類及び大体の範囲を通知することを要するとした事例

大10(オ)990号(大審院)

2029 T10.12.15

特定物の買主が、契約の目的物が特に一定の品質を有することを重要とする意思を表示したのに、その品質を欠いたため契約の目的を達することができないときは、法律行為の要素に錯誤あるものとして契約は無効であるとした事例

大10(オ)584号(大審院)

2030 T10.11.3

民法557条の手付金の授受があっても、民法420条の損害賠償の予定を定めることはできるとした事例

大10(オ)773号(大審院)

2031 T10.10.15

権利の行使を妨げるものがあるときは、債権といえどもその妨害排除をなし得るとした事例

大10(オ)669号(大審院)

2032 T10.7.11

不動産の賃借人は賃貸借の登記をなすことの特約がない場合には、特別の規定がない限り、賃貸人に対して賃貸借の本登記請求権は勿論、その仮登記をなす権利をも有しないとした事例

大10(オ)245号(大審院)

2033 T10.6.21

売買金額に比べ手付金が些少であっても、当該手付は民法557条の解約手付であることを妨げないとされた事例

大10(オ)217号(大審院)

2034 T10.5.30

・建物保護に関する法律1条における「賃借権を第三者に対抗することを得」との趣旨は、民法605条における「その後不動産の物件を取得した者に対してもその効力を生じる」と同一趣旨であるとした事例
・賃貸人が賃貸借の目的物たる土地を第三者に譲渡したときは、土地の新所有者はその賃貸借契約にもとづく旧所有者の権利義務を承継し、旧所有者は賃貸人たる権利義務を有しないとした事例

大10(オ)26号(大審院)

2035 T10.2.10

瑕疵のため買主が契約の目的を達することができない場合において、契約の解除と損害賠償とは、買主が自由に選択することができ、また、契約の目的が分割に適する場合は、その一部に対し契約を解除し、他の一部に対し損害賠償を請求することもできるとした事例

大9(オ)821号(大審院)

2036 T9.12.18

買戻特約付売買契約において、民法583条(買戻しの実行)のため提供した金額が実際金額に満たなかったが、その金額が極めて些少である場合は、買戻しの効力は無いとの主張はできないとされた事例

大9(オ)663号(大審院)

2037 T9.1.20

土地上に立木が生立する場合において、その土地と立木が同一人の所有であるときは、土地と立木とは一個の土地所有権の目的であって、別個に所有権が存在するものではないから、土地所有権につき移転登記がなされたときは、これにより土地のみならず立木に関しても所有権の移転を第三者に対抗するできるとされた事例

大8(オ)955号(大審院)

2038 T8.12.26

・双方代理行為も有権代理として有効であり、無権代理で行われたとしても、本人の追認によりその効力を生ずるとされた事例
・債務の一部弁済は、債務の承認を表白するものであるとした事例

大8(オ)760号(大審院)

2039 T8.7.5

・自己の所有物と誤信して他人の不動産を売却した場合、民法560条(他人の権利の売買における売主の義務)により、その権利を取得して買主に移転する義務を負うとした事例
・この場合において、後日他人所有の不動産の所有権を売主が取得したときは、当事者間において更に何らの意思表示をしなくても、その物は直ちに買主の所有に帰するとした事例

大8(オ)114号(大審院)

2040 T7.8.14

不動産売買において、実際の不動産の引渡しはなくとも、売主が約束の期日に登記申請に必要な書類を準備し登記所に赴いたことは履行の提供にあたるとした事例

大7(オ)596号(大審院)

2041 T7.3.19

共同賃借人の賃借物返還債務は不可分債務であり、賃貸人は各賃借人に賃借物全部の返還請求ができるとした事例

大7(オ)136号(大審院)

2042 T7.3.2

時効による不動産所有権の取得は、第三者に対抗するには登記を必要とするが、時効完成時における所有者に対しては登記を必要としないとした事例

大6(オ)888号(大審院)

2043 T5.5.22

修繕義務不履行による賃料の支払拒絶権は、賃料減額請求または債務不履行による損害賠償請求の範囲に止まり、賃料全額の支払いを拒絶できるものではないとした事例

大4(オ)589号(大審院)

2044 T5.4.1

・売買による所有権登記は、買主への所有権移転を完全にするための必須の手続きであることから、登記請求権は独立して消滅時効にはかからないとした事例
・不動産の買主が不動産を転売した場合でも、転取得者への登記移転の義務があることから、売主への登記請求権は失わないとした事例

大4(オ)879号(大審院)

2045 T4.12.21

・別途取り決めがない場合、民法575条(果実の帰属及び代金利息の支払)は、目的物の契約による引渡し期限前の引渡し、履行遅滞による引渡し期限後の引渡しにかかわらず適用されるとした事例
・民法575条は、売買の目的物が果実を生ずる場合にのみ適用されるものではないとした事例
・不動産売買において、引渡し前の公租公課は特約がない限り売主の負担となるとした事例

大4(オ)90号(大審院)

2046 T4.12.21

目的物に隠れたる瑕疵があったため契約の目的を達することができない場合において、買主が契約を解除するには、売主においてその目的を知ることを要しないとした事例

大4(オ)788号(大審院)

2047 T4.12.11

賃貸人が修繕義務を履行しなかったため、目的物が使用収益に適する状態になかった期間については、賃借人は賃料支払い義務を負わないとした事例

大4(オ)788号(大審院)

2048 T4.10.9

仲立行為は他人間の法律行為の成立を媒介するにとどまるものにして自己の名を持って当事者のため契約を締結し又は代理人として契約を締結するが如きは媒介と相容れざる観念に属し仲介行為にあらざるものとするとした事例

大3(オ)476号(大審院)

2049 T4.7.13

民法第145条のいわゆる当事者には、主たる債務が時効により消滅した場合における保証人も含まれるとされた事例

大4(オ)189号(大審院)

2050 T4.7.13

再売買の予約者の相手方が、売買完結の意思を表示し売買を成立せしめる権利は形成権であるとされた事例

大4(オ)78号(大審院)

2051 T3.4.4

地上権者又は賃借人が1筆の土地の上に1棟でも登記した建物を有するときは、同一の土地の上に他の登記しない建物を有すると否とに拘わらずその土地の全部にわたり地上権又は賃借権をもって第三者に対抗することができるとした事例

大2(オ)659号(大審院)

2052 T2.6.4

競売の場合における売主は競売を申立てた債権者ではなくて競売の目的物を所有する債務者であるから、債権者の代理人として競売の申立をした者が競落人となっても民法108条の規定には抵触しないとした事例

大2(オ)158号(大審院)

2053 T1.12.6

「土地ノ工作物」とは、建物墻壁地窖のように、土地に接著して築造した設備をいい、機械のように、工場内に据付けられたものは含まないとした事例

大元(オ)94号(大審院)

2054 M44.12.25

二重売買において、第一の売買による登記がなされないうちに、第二の売買の買主が悪意で登記を行い、このため第一の売買の買主の利益を害したとしても、第二の売買の買主に不法行為の責任はないとされた事例

明44(オ)334号(大審院)

2055 M44.11.14

売主の買主に対する登記移転義務は、所有権移転義務に付随するものであり、登記義務の不履行は民法541条(履行遅滞による解除権)の債務不履行にあたるとした事例

明44(オ)359号(大審院)

2056 M43.7.6

甲より不動産を購入した乙の転売により不動産を購入した丙は、乙よりの所有権移転登記がなされない場合は、民法423条(債権者代位権)により、乙の甲に対する登記手続の請求権を行使することができるとした事例

明43(オ)152号(大審院)

2057 M41.12.15

民法177条(不動産に関する物件の対抗要件)の第三者とは、 当事者もしくはその包括承継人以外の者で、不動産物権の得失及び変更の登記欠缺を主張する正当の利益を有する者をいうとした事例

明41(オ)269号(大審院)

2058 M41.7.3

委託者に対する報酬請求権は、仲介行為による委託者とその相手方との売買契約等の成立により発生し、特段の合意のない限り、売買契約等が履行されたか否かによって影響を受けるものではないとされた事例

明41(オ)188号(大審院)

2059 M40.6.18

主たる債務に付き弁済期限が延長された場合、その効力は当然保証債務に及ぶとされた事例

明39(オ)666号(大審院)

2060 M40.6.13

本来一個の債権でも、時期を定めて数回にこれを分割弁済すべき場合には、各弁済期の到来により、その期に弁済せられるべき部分に応じ一部づつ時効にかかるとされた事例

明40(オ)105号(大審院)

2061 M40.5.6

民法第550条は贈与の意思の明確を期するとともに、軽忽な贈与を予防しようとする趣旨の規定であり、当事者双方の意思表示につき書面の作成を命じたものではないとされた事例

明39(オ)260号(大審院)

2062 M40.5.6

他人の代理人と僣称して代理人として文書を作成した場合、その本人が実在する以上は、代理人として自己の氏名を署すると虚偽の氏名を署するとを問わず、私文書偽造に当たるとされた事例

明40(れ)338号(大審院)

2063 M39.5.17

賃貸借契約は、賃貸人が目的物件の所有権その他の権利を有していなくても成立するとされた事例

明39(オ)176号(大審院)

2064 M38.12.19

当事者が保証契約を締結する縁由に錯誤があっても、特にその縁由の実在をもって契約の要件としなかった以上は契約は無効とはならないとされた事例

明38(オ)404号(大審院)

2065 M38.5.11

ある物件の所有名義人は、反証のない以上は以前もその所有者であったものと推定されるとした事例

明37(オ)556号(大審院)

2066 M38.4.22

買主が支払った手付金は、相殺によった場合においても売買契約解除の場合には返還請求ができるとした事例

明37(オ)588号(大審院)

2067 M37.12.13

工作物を所有する地上権者が工作物の所有権を移転した場合、地上権は工作物の所有権とともに移転したものと推定されるとした事例

明37(オ)390号(大審院)

2068 M37.9.29

賃借人が目的物の使用収益をなしうる状況にあれば、賃借人が現実にこれを使用しなくても、賃料を支払う義務を負うとした事例

明37(オ)349号(大審院)

2069 M36.11.16

地上権を譲受けた者は前地上権者の承継人であるから、その地上権をもって土地所有者に対抗するには登記を必要とせず、その土地所有者は民法177条(不動産に関する物件の対抗要件)の第三者に該当しないとした事例

明36(オ)535号(大審院)

2070 M35.1.27

定著物とは絶対にその自然の状態を毀損するのでなければ、これを分離しもしくは移動させることができない物のみに限らないとした事例

明34(オ)523号(大審院)

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